レイン
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#150 [◆It9is9ljoQ]



 愛しくて、堪らなくて
 私の名前を呼んだ

 目を合わせて微笑んだ俺に見せたのは
 また、遠くを見る目


⏰:10/09/19 12:49 📱:SH706i 🆔:uijvO.N2


#151 [◆It9is9ljoQ]


 「アイ」

 「‥‥‥、」

 「‥イ、アイ‥どないしてん」

 「あぁ、‥どしたん?」


 ほんの少し前までは、あんなににも
 幸福そうな表情を見せていたのに
 目の前に居るのは紛れもない
 人形のような瞳をしたアイの姿

⏰:10/09/19 12:50 📱:SH706i 🆔:uijvO.N2


#152 [◆It9is9ljoQ]


 だけど、それに気が付かない振りをした
 きっと、まだ俺には解らないけれど
 いつか解るだろう、そんな気持ちで

 今は目の前に映った彼女の瞳から
 目を背けるように強く抱きしめた
 忘れようとした

⏰:10/09/19 12:50 📱:SH706i 🆔:uijvO.N2


#153 [◆It9is9ljoQ]


 それから、芹沢なのは を完全に切った

 もう必要がないと感じたから
 というよりも、
 此方の軽い気持ちとは裏腹に
 段々と重くなる女の気持ちが面倒で
 休まるなんて事すら
 無くなってしまいそうだと




 簡単に細い糸を切るようにと、
 彼女とは離れた

⏰:10/09/19 12:51 📱:SH706i 🆔:uijvO.N2


#154 [◆It9is9ljoQ]





 それから、寂しさを埋める術は
 見つかることもなく、
 趣味を探して没頭する訳でもなく、

 最近じゃまた部屋にも寄るようになった
 アイだけで充分だと
 言い聞かせるようになった


⏰:10/09/19 12:53 📱:SH706i 🆔:uijvO.N2


#155 [◆It9is9ljoQ]



 一人だけが溺れていてもいい
 そう、開き直るかのように
 考え方を変えた俺には
 それが苦痛に思う事もなければ
 前以上にも彼女に優しくなった

 依存するようになった

 傍に居るようになった

 愛を囁いたり、愛情確認をする事も
 以前と比べて格段に増えた

⏰:10/09/19 12:53 📱:SH706i 🆔:uijvO.N2


#156 [◆It9is9ljoQ]




 只、只、少し彼女が怖くなった

 時々俺を射るように見る視線を
 感じるようになった

 時々、俺を冷めた目で見る
 視線に気づいた

⏰:10/09/19 12:53 📱:SH706i 🆔:uijvO.N2


#157 [◆It9is9ljoQ]




 だから、それを埋めるために
 大事にしよう、傍に居よう

 そう、壊れたものを扱うようにと
 慎重になった

 だけど、出来なくなった
 どれだけ身体を重ねる事が増えても
 彼女の唇にキスを
 落とすことがなくなった


⏰:10/09/19 12:54 📱:SH706i 🆔:uijvO.N2


#158 [◆It9is9ljoQ]




 怖くなった
 ふいに顔を逸らされるんじゃないかと
 
 怖くなった
 ふわりと風船のように
 飛んで消えてしまうんじゃないかって

 慎重になった、距離を置いた、


⏰:10/09/19 12:54 📱:SH706i 🆔:uijvO.N2


#159 [◆It9is9ljoQ]






 それが、間違いだったのだろうか
 重いと、負担だと、感じたのだろうか


⏰:10/09/19 12:54 📱:SH706i 🆔:uijvO.N2


#160 [◆It9is9ljoQ]

 

 

 「好きやで、"アイ"」
 
 へらりと、俺は笑った
 最近の笑みは自分でも解るように
 ‥ヘタになった

 愛想笑いは昔から得意だった筈
 なのに、最近の俺はどないしたんや

⏰:10/09/19 12:55 📱:SH706i 🆔:uijvO.N2


#161 [◆It9is9ljoQ]





 アイの前では、
 段々笑うんがしんどなった

 解るんやもん、笑った顔見せる度
 つまらなさそうな表情をする様子に

 こないなん、誰が見ても一発や
 俺から離れようとしてるんやって解る

⏰:10/09/19 12:56 📱:SH706i 🆔:uijvO.N2


#162 [◆It9is9ljoQ]

 
 頬杖を付き、机を挟んだ手前
 いつものように額へキスを落とした。
 
 漆黒の腰まで伸びた髪が揺れる。
 柔らかくて、艶があって、
 肌の色は透き通っていて
 黒目がちな大きな瞳に長い睫毛
 読んでいた本をぱたりと閉じ顔をあげた

⏰:10/09/19 12:56 📱:SH706i 🆔:uijvO.N2


#163 [◆It9is9ljoQ]












 目が、あった
 息を呑むほど綺麗に映った


⏰:10/09/19 12:57 📱:SH706i 🆔:uijvO.N2


#164 [◆It9is9ljoQ]






 「なぁー、」
 
 「んー」

 別に、何が言いたかった訳やない
 声が聞きたなった

⏰:10/09/19 12:57 📱:SH706i 🆔:uijvO.N2


#165 [◆It9is9ljoQ]





 
 「なぁー、なぁー、なぁー、」
 
 「何よ、どないしたん?」
 
 「好きやで」
 
 「知ってる」
 
 くすりと笑い、長い横髪を耳にかけた
 彼女は決まった台詞で口を開いた。

⏰:10/09/19 12:58 📱:SH706i 🆔:uijvO.N2


#166 [◆It9is9ljoQ]




 
 にこにこと笑っていた筈なのに
 それは急に切なくなって、
 やりきれなくなって
 目を細めた、笑えなくなった

 気が付かれたのかもしらへん
 はっとして笑みを作ろうとした

⏰:10/09/19 12:58 📱:SH706i 🆔:uijvO.N2


#167 [◆It9is9ljoQ]




 だけど、それよりも前に彼女の口角が
 上がっていくのが解った
 
 無意識なのだろうか、
 こちらをじっとみて
 愛しそうな声で呟いた






「ス・キ」

⏰:10/09/19 12:59 📱:SH706i 🆔:uijvO.N2


#168 [◆It9is9ljoQ]

 
 「ね、朔也のいう好きって何?」

 ふと、彼女は口を開いた

 
 「どないしたんや、いきなり」
 
 「答えたくないなら別にええんよ」
 
 「"YES or はい"やん、アイちゃん」

 今日の彼女は、お喋りな気がする。
 急に、ふいに、可笑しな事を聞いた

⏰:10/09/19 13:26 📱:SH706i 🆔:uijvO.N2


#169 [◆It9is9ljoQ]



 
 
 
 「せやなあ、傍に居りたいとか
 こうしたいとか」
 
 俺はゆっくり立ち上がれば
 柔らかな笑みを浮かべると机を挟んだ
 彼女の手前、くるりと回り込めば
 ゆっくりと抱きしめた

 彼女の質問の意味をもう一度考えた
 

⏰:10/09/19 13:27 📱:SH706i 🆔:uijvO.N2


#170 [◆It9is9ljoQ]


 
 "愛してる"
 
 そう呟くと、
 胸が締め付けられる気持ちになった

 何も言わない彼女に、
 抱きしめる力を強めた

 離れていったりせんといてや、
 それで、そんな自分に苦笑が漏れた


⏰:10/09/19 13:27 📱:SH706i 🆔:uijvO.N2


#171 [◆It9is9ljoQ]






 
 
 「で、満足シマシタカ?」

 ふっと笑い、彼女の顔をのぞき込んだ。
 彼女の瞳は冷たくて、
 小さく首を傾げれば
 此方を見て口を開いた

 譫言のように、小さく声を発した

⏰:10/09/19 13:28 📱:SH706i 🆔:uijvO.N2


#172 [◆It9is9ljoQ]

 
 「‥‥ね、」
 
 「んー?」








 「一人の寂しさを埋めるためやないん?
 誰でもええ、一人が寂しいから
 二人がいいんやないの?」

⏰:10/09/19 13:29 📱:SH706i 🆔:uijvO.N2


#173 [◆It9is9ljoQ]



 のぞき込んで微笑んで見せれば
 思いも寄らない言葉に、息を呑んだ
 
 冗談かと、何を言い出すんだと
 笑えば彼女の瞳は真剣で、俺と目を
 合わせたりする訳やなくて、

 何を言えばいいか、気の利いた言葉すら
 出てこない

⏰:10/09/19 13:29 📱:SH706i 🆔:uijvO.N2


#174 [◆It9is9ljoQ]



 
 「せやなあ‥アイちゃん
 ついに本に洗脳でもされたんか?」

 苦笑まじりに、俺は笑った









⏰:10/09/19 13:30 📱:SH706i 🆔:uijvO.N2


#175 [◆It9is9ljoQ]



 
 「朔也、終わりしよ」

 向き直って、首を傾げて、
 退屈そうに彼女は笑った。


 「冗、談やろ‥」

 「冗談なんかやないんよ」

 淡々としている、何もかも
 そう、吹っ切ってしまったかのような
 何ももう望んではいない様な瞳で
 はっきりとした口調でそう呟いた

⏰:10/09/19 13:30 📱:SH706i 🆔:uijvO.N2


#176 [◆It9is9ljoQ]






 何時やったか、言われた事があった
 
 "一人は寂しい、だから
 二人がいい。それ以上は要らない"

 またあの分厚い本に洗脳でもされたんかって
 そんときは笑い話にして片づけた

⏰:10/09/19 13:30 📱:SH706i 🆔:uijvO.N2


#177 [◆It9is9ljoQ]


 それはもう何ヶ月も前の話

 ふわふわとしていて、
 何も考えていないって
 そんな表情ばかりのアイからは
 考え付かない言葉だと、
 その当時はそればかりだった

 もしかしたらその時から、
 彼女はこんな様子だったのかもしれない

 思考は洗脳されていたのかもしれない
 

⏰:10/09/19 13:31 📱:SH706i 🆔:uijvO.N2


#178 [◆It9is9ljoQ]

 


 
 
 
 「俺も、二人がええ」

 気休めを、呟いた 

 
 「でも、もう終わり」
 
 「‥俺の何処があかんの?」

 只それはもう彼女には何の意味も
 持たへんくて、もう二度と俺の元には 
 帰ってけーへんって事が嫌でも解った
 

⏰:10/09/19 13:32 📱:SH706i 🆔:uijvO.N2


#179 [◆It9is9ljoQ]





 
 
 「何もないんよ」
 
 「じゃあ‥何、やねん
 なあ、急過ぎんねんお前」

 何で、のんびりとした
 恋愛が出来たら俺は
 それだけでシアワセやった

 此奴やって同じなんやないん

⏰:10/09/19 13:32 📱:SH706i 🆔:uijvO.N2


#180 [◆It9is9ljoQ]





 束縛やってしてるつもりもない
 負担にならへんようにって、
 何もかも自由に、
 只過ごしてきたんやないん

 問題なんて何一つ無かったんやないん
 お前が居らな、俺は空っぽやねん

⏰:10/09/19 13:33 📱:SH706i 🆔:uijvO.N2


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