その日が来る前に、2
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#401 [愛華]
「…………さよならだ」
「隆則……………
どうして、隆則も泣いてるの」
うるせーな。見んなよ。
見ないでくれ。
今声でないからそんなことも
言えないよ。
:10/11/25 21:24
:840SH
:/ryHTVQM
#402 [愛華]
でも最後に言いたかったこと。
これを言ったあと、俺は
間違いなく後悔するだろう。
だから最後に言いたかった。
俺の罪を償うための願い。
涙が次つぎと溢れる。
しっかりしろ、俺。
:10/11/25 21:27
:840SH
:/ryHTVQM
#403 [愛華]
抱きしめる腕に力を入れた。
「たかの…………」
「直純の…………っ」
いつか桜が咲く季節。
海がきれいな季節。
ひんやり空が心地好い季節。
白い景色が光る季節。
そのどれもに君がいるだろう。
「直純の側にいてやってくれ…」
:10/11/25 21:31
:840SH
:/ryHTVQM
#404 [愛華]
「………な、に」
「…………頼むよ……」
最後の最後の願い。
お前をこんなにまで傷つけて
それでも守らなくちゃいけない
直純との約束。
いや、それだけじゃない。
:10/11/26 20:42
:840SH
:9CbmupDw
#405 [愛華]
約束だから、とかだけじゃない。
だから、このまま直純を置いて
那佑と笑いあうなんて無理だ。
幸せになんてなれないんだ。
言い訳にすぎない。
理由なんかなんでもいい。
直純の、側にいてやって。
:10/11/26 20:47
:840SH
:9CbmupDw
#406 [愛華]
それは俺じゃ意味がない。
あいつがずっとほしかったもの
それを俺は奪ってしまったから
今までありがとう。
俺は
君が 大切でした。
:10/11/26 20:50
:840SH
:9CbmupDw
#407 [愛華]
温かくなりはじめた3月。
桜の季節がくるまえに
俺たちは、終わった。
頭の中でこだまするのは君の声
風が俺達を優しく包んでいた。
:10/11/26 20:52
:840SH
:9CbmupDw
#408 [愛華]
-那佑side-
:10/11/26 20:53
:840SH
:9CbmupDw
#409 [愛華]
なにも考えたくない。
頭が殴られたみたいに
ズキンズキンする。
覚めない悪夢みたいだ。
私は最愛の人を失った。
:10/11/27 18:29
:840SH
:NYYirQXU
#410 [愛華]
大切で、大切で。
どうしようもないくらい好きで。
初めてこんな恋をしたの。
でも………終わっちゃったね。
涙が枯れることはなく
あたしの心を濡らしていく。
あなたの心は今どこにありますか
:10/11/27 18:56
:840SH
:NYYirQXU
#411 [愛華]
'
「…………那佑……」
……………あれ?
あたし…………
「あず、さ?…………だよね」
「…………うん。そうだよ」
:10/11/27 21:13
:840SH
:NYYirQXU
#412 [愛華]
時計を見ると、もうお昼休み。
授業中ずっと寝てたみたい。
……なんか、頭ガンガンする。
息苦しいな………なんだろこれ。
「あんた寝過ぎ。夜寝てない?」
寝てないんじゃなくて、
寝れないんだよ。
夜になると、目がジンジン
焼かれたみたいに熱くなるの。
:10/11/27 21:18
:840SH
:NYYirQXU
#413 [愛華]
「……目、赤いけどどうしたの?
毎日、病院通ってて疲れてるん
じゃないの?大丈夫?」
「……平気だよ。寝不足なだけ」
梓は心配そうな顔をした。
ほんとに心配かけてばかりだ。
「あのさ……タカ最近病院に
来てないみたいなんだけどさ、
………那佑、なんか知ってる?」
:10/11/27 21:31
:840SH
:NYYirQXU
#414 [愛華]
「………知らない、よ」
ドクンと体が脈うった。
「そっか……家に行っても
いつもいなくってさ。やっぱり
相当ショックだったのかな…」
あたしは何も言わず微笑んだ。
梓には、まだあたしたちのことは
言っていない。言えないでいる。
:10/11/27 21:39
:840SH
:NYYirQXU
#415 [愛華]
隆則との別れを思い出すだけで
泣きそうになってしまう。
口に出したら、
それを認めたことになっちゃう
わかってる。
もう戻らないって。
でも認めたくない。
大切な人がいなくなっていく。
いやだ。こわいよ。
離れていっちゃわないでよ。
:10/11/28 00:02
:840SH
:ht7jgmU6
#416 [愛華]
「……………梓」
「なに?お腹すいたの?」
「梓は………ここにいるよね?」
「…………え?」
「離れていっちゃわないよね?
ずっとここにいるよね?」
:10/11/28 00:04
:840SH
:ht7jgmU6
#417 [愛華]
「なに、どうしたの………」
梓はオロオロと困った顔をした。
頭が痛い。息苦しい。
めまいがして、喉がヒューヒューと息をするたびに鳴る。
「梓………ここにいるよね。
直純くんや……隆則みたいに……
離れていったり……しない…で」
:10/11/28 00:08
:840SH
:ht7jgmU6
#418 [愛華]
「え………タカが……?
てゆーか那佑。あんた顔色…」
「行かないで……置いてかな…」
なんか熱いな。苦しいな。
頭がフラフラする。
あれ。世界が歪んでいく。
目がみえなくなってく……
「那佑!!!」
:10/11/28 00:11
:840SH
:ht7jgmU6
#419 [愛華]
'
ゆめをみていたきがする。
しあわせなあったかい
あたしののぞんでいるゆめ。
隆則も直純くんも梓も
お父さんとお母さんもいる。
:10/11/28 00:13
:840SH
:ht7jgmU6
#420 [愛華]
隆則がわらってる。
この前のは嘘だよ、って。
直純くんもわらってる。
俺が事故にあうわけないだろ。
白石は馬鹿だな、って。
なにさ、みんなで騙して。
ひどいなぁ。
:10/11/28 00:17
:840SH
:ht7jgmU6
#421 [愛華]
ほら、みんなで帰ろう。
あたしね、病気治ったの。
こんなに走り回れちゃうよ。
あれ?そこにいるのは誰?
そんなとこいないで、帰ろう。
…………………純さん……?
:10/11/28 00:19
:840SH
:ht7jgmU6
#422 [愛華]
看護師姿の純さん。
純さんだ!!
会いたかったよ。
あたしね、腕時計を買ったの。
純さんにあげたかったの。
……あれ?ないや。どこ?
あ、そうだ。隆則にあげたんだ。
ごめん、純さん。腕時計ないや。
:10/11/28 00:22
:840SH
:ht7jgmU6
#423 [愛華]
純さんはにっこり微笑んだ。
変わってないな、その笑顔。
優しくって、安心する。
純さんは黙ってあたしの左の
薬指を指した。
そこには隆則がクリスマスに
くれた小さな指輪がはまってる。
これが………欲しいの?
:10/11/28 00:24
:840SH
:ht7jgmU6
#424 [愛華]
純さんは頷いた。
だめだよ、だってこれは……
「隆則くんはもういないんでしょ
だったらそんなのはめてたって
辛いだけじゃないの?
約束を破った彼が…憎くない?」
:10/11/28 00:27
:840SH
:ht7jgmU6
#425 [愛華]
憎い?隆則が?
約束を破った?隆則が?
しあわせなゆめが崩れていく。
いやだ。覚めたくない。
行かないで。みんな。
いやだよ、いやだ、いやだ!!
隆則は…………泣いていた。
:10/11/28 00:30
:840SH
:ht7jgmU6
#426 [愛華]
泣いてる。隆則が。
あなたが悲しいとあたしも悲しい
泣かないで。大丈夫だよ。
「………………さよならだ」
さよなら…………?
振り向くと純さんは微笑んでいた
:10/11/28 00:33
:840SH
:ht7jgmU6
#427 [愛華]
「…………夢から覚めなさい。
たくさんやらなきゃならない
ことがあるんでしょう?
強くなりなさい。
泣いても負けないで。
あたしが………」
見守って、いるよ。
ずっと。ずっと。
:10/11/28 00:38
:840SH
:ht7jgmU6
#428 [愛華]
'
「……………ん……」
「…………!!那佑!!
おばさん、那佑が……!!」
「那佑!!聞こえる!?」
「那佑!!」
お父さん…お母さん…梓……
:10/11/28 00:43
:840SH
:ht7jgmU6
#429 [愛華]
酸素マスクをあてられていた。
うっとうしい。
ここは………病院……?
「あたし………なしたの…」
「倒れたのよ。最近いろいろ
無理しすぎたみたいで………
よかった……ほんとうに……
こんなお母さんでごめんね…」
お母さんは泣いていた。
:10/11/28 00:45
:840SH
:ht7jgmU6
#430 [愛華]
お母さんは今まで
あたしがしたいように、
わがままを聞いてくれた。
放っておいてくれる。
普通の子と同じように。
それがどれだけ難しくて、
そして、苦しかったのか……
今お母さんの涙を見てわかった。
ありがとうね。
:10/11/28 00:49
:840SH
:ht7jgmU6
#431 [愛華]
あたしは軽い診察を受けて、
お母さんとお父さんは医者から
話を聞くためにでていった。
「………大丈夫?」
二人きりになった病室で
梓が重く口を開いた。
「…………うん」
「ごめん………気づけなくて…」
:10/11/28 00:53
:840SH
:ht7jgmU6
#432 [愛華]
「梓のせいじゃないよ……」
あたしはゆっくり目をつむる。
体と心が分離したみたいな感覚。
「………タカにね、電話したの。
でも俺は行かない、の一点張り
で…………」
「隆則は、来ないよ」
そう。あれはゆめなんだ。
:10/11/28 00:55
:840SH
:ht7jgmU6
#433 [愛華]
「タカと……なにがあったの」
強くなりなさい。
「隆則は…………来ない。
もう………来ないかもしれない。
会えないかもしれないよ…」
:10/11/28 00:58
:840SH
:ht7jgmU6
#434 [愛華]
笑ったつもりだったけど
溢れたのは涙だった。
あふれる涙は枕を濡らしていく。
大丈夫。今日の夜をこえれば
きっと強くなれる。
もう泣かないから。
口に出したくなかったのは
認めなくなかったから。
でも認めなくっちゃいけない。
隆則は、もう戻ってはこない。
:10/11/28 01:03
:840SH
:ht7jgmU6
#435 [愛華]
しあわせなゆめから覚める。
隆則は、いない。
どこにもいない。
直純くんも、いない。
ねぇ隆則。
今どんな思いでこの夜を
過ごしていますか。
あなたも苦しいのですか。
:10/11/28 01:08
:840SH
:ht7jgmU6
#436 [愛華]
'
スースー………
規則正しい呼吸音。
こうしてみるとただ眠ってる
だけみたいだね。
直純くん。
あなたはいつ戻ってくるのかな
:10/11/28 15:49
:840SH
:ht7jgmU6
#437 [愛華]
あたしは2週間の入院を終え、
直純くんのお見舞いに来ていた。
この2週間の間、隆則は
一度もあたしのところには
来なかった。
でも、それでよかった。
いろいろと考えて、整理が
自分の中でついたから。
まだわからないことはあるけど。
:10/11/29 01:09
:840SH
:hy/O786s
#438 [愛華]
「直純くん。あたしね、病気なの 心臓の病気。黙っててごめんね」
当たり前だけど返事は、ない。
「今のままだとね、25歳まで
生きられないんだってさ。
馬鹿みたいだよね。こんなに
あたしは元気なのに………」
少しずつ進む病状。
増えていく薬の量。
今回は軽い発作だったけれど
次がどうなのかなんてわからない
:10/11/30 01:23
:840SH
:3qS5Fofs
#439 [愛華]
未来を予想することが怖い。
今までほんとにあなたに
頼ってばかりだったんだね。
ガラッ………
「あ………那佑きてたんだ」
「あ、今きたとこだよ。
退院の時はいろいろ手伝って
もらっちゃってごめんね」
「ううん。大丈夫だよ」
:10/11/30 21:33
:840SH
:3qS5Fofs
#440 [愛華]
梓は持ってきた花を花瓶にいれ
窓の側においた。
優しいかおりの花。
「…………もう平気なの?」
梓はあたしの隣の椅子に座ると、
小さな声で尋ねた。
「うん。いろいろ考えたよ。
正直ちょっと辛かったけど。
で、結論も出したから。
梓には報告しておくね」
:10/11/30 21:43
:840SH
:3qS5Fofs
#441 [愛華]
「けつ………ろん?」
「あたし、直純くんを支える。
側にいて一緒にいるから」
「直純と………つきあうの?」
「そうじゃないよ。あたし今は
まだ隆則が忘れられないもん。
あたしだって馬鹿じゃない。
隆則が本心であたしに別れを
告げたわけじゃないって
ちゃんとわかるから。」
:10/11/30 21:51
:840SH
:3qS5Fofs
#442 [愛華]
そう。ちゃんとわかるよ。
だから直純くんを支える。
ずっと、側にいる。
「隆則が罪悪感に押し潰され
そうな中で、別れを選んだ。
そして最後に言ったの。
直純の側にいてやってくれって。
どんなに辛かったのか、
わかるから。だから隆則の願いを
あたしがちゃんと叶える。
直純くんの側で直純くんが目を
さますまで、さましたあとも。
ずっとずっと側にいる」
:10/11/30 21:57
:840SH
:3qS5Fofs
#443 [愛華]
「………まだ、好きなのに?」
「今はね。でもきっと癒える。
そう信じてる。
もし直純くんを好きになれたら…
まぁまだそこまでわかんないや」
あたしは笑った。
梓は悲しそうな顔だったけど。
:10/11/30 22:00
:840SH
:3qS5Fofs
#444 [愛華]
「……なんで?どうして……
別れなきゃいけなかったの……」
「梓のいうとおりだね。
あたしもそう思ったよ。
でも、もう決めたの。
誰になんて言われたってあたしは
直純くんの側にいる。」
大切な人だから。
隆則も、直純くんも。
:10/11/30 22:08
:840SH
:3qS5Fofs
#445 [愛華]
ずっとずっと迷って。
病院のベッドの上で考えた。
限られてる時間の中で、
自分がするべきこと、したいこと
大切な人たちの記憶に残りたい。
誰かに支えてもらうだけじゃ
なくて。
自分も誰かを支えたいの。
直純くん。はやく、目をさまして
:10/11/30 22:21
:840SH
:3qS5Fofs
#446 [愛華]
ずっと待ってるから。
直純くんに次会うときには
きっと笑えるから。
「おかえり」って言うから。
でもその日は
あたしの覚悟よりも早く
すぐにやってきたのです。
:10/11/30 22:27
:840SH
:3qS5Fofs
#447 [愛華]
よくわからない。
ただ、走った。
いつかきっとまた会える。
信じていたけれど
その日が来るとやっぱり怖くて。
ちゃんと笑えるかなって。
:10/12/01 20:50
:840SH
:.AxXMTAc
#448 [愛華]
'
「………………」
あたしは待合室にいた。
直純くんが目覚めた。
そう聞いて病院に来たのに。
:10/12/01 20:54
:840SH
:.AxXMTAc
#449 [愛華]
………勇気が、出ない。
会いたい。
のに会いたくない。
あたしは………弱虫だ。
会いたくてたまらなかった。
また笑ってほしかった。
隆則と、仲直りしてほしかった。
それはもう叶わないけれど。
:10/12/01 22:25
:840SH
:.AxXMTAc
#450 [愛華]
「…………どうしよ……」
扉をあければ直純くんがいる。
一歩が踏み出せない。
「あの…………」
俯いていると、一人の看護師が
あたしに話しかけてきた。
「いつも品野さんのお見舞いに
来られてる方ですよね?」
:10/12/01 22:27
:840SH
:.AxXMTAc
#451 [愛華]
「えと…………はい」
「直純くん目覚まされました。会いに行ってあげないんですか?」
「………はい」
あたし今、どんな顔したかな…
きっとすごく不細工だった。
「あの……たかにいさんって?」
「え…………?」
:10/12/01 22:36
:840SH
:.AxXMTAc
#452 [愛華]
「直純くん、目を覚ました後、
そう呼ばれたので……。
ご存知ないですか?」
直純くんが、隆則の名前を。
あの日、会いに行く約束を
直純くんも大切にしていて。
あたし、なにやってんだろ。
:10/12/01 22:49
:840SH
:.AxXMTAc
#453 [愛華]
直純くんも………
きっと今、苦しい。
「あの……お友達なんですか?」
「……………はい。
病室、行きます。会います」
直純くん。
あなたは、大切な、友達です。
:10/12/01 22:55
:840SH
:.AxXMTAc
#454 [愛華]
'
直純くんは、窓を見ていた。
なんだろう、この気持ち。
言葉にはできないけれども
きっとすごく素敵な気持ち。
:10/12/01 22:59
:840SH
:.AxXMTAc
#455 [愛華]
やっと、やっとだ。
少し痩せた直純くんの姿。
すごく、懐かしく感じる。
「………直純、くん」
直純くんはゆっくり振り向く。
:10/12/01 23:01
:840SH
:.AxXMTAc
#456 [愛華]
「………お、白石じゃん。
久しぶり。元気だったか?」
直純くんはそう言って笑った。
いつもどおりの、
ほんとにいつもどおりの笑顔。
「元気…………だったよ」
「……はは。また泣いてんのか。
てゆーかさ、酸素マスクって
なんか邪魔くさ…………」
:10/12/01 23:03
:840SH
:.AxXMTAc
#457 [愛華]
'
ガタン………
椅子が倒れる。
あたしは直純くんに抱き着いてた
「ちょ……白石………」
「……………………」
:10/12/01 23:05
:840SH
:.AxXMTAc
#458 [愛華]
「あの、白石……苦しい……」
「なんだその態度は!!
アッサリしすぎでしょ!!
もっとためてよ!!ばか!!」
「あ、すいません…………」
抱きしめる手が震える。
なにもなかったかのような再会
なにをあんなに迷ってたの?
あぁ…………涙が止まらない。
:10/12/01 23:08
:840SH
:.AxXMTAc
#459 [愛華]
「心配かけて、ごめんな?」
大切な人がすぐそこにいる。
大切な、友達が。
これが、隆則が守りたかった
直純くんという存在。
「………おかえりなさい」
「えー……ただ今戻りました」
日の光が少しだけ足元を、
あたしの道を照らしてくれた。
:10/12/01 23:16
:840SH
:.AxXMTAc
#460 [愛華]
'
何度も何度も願った。
隆則が願った直純くんの幸せ。
隆則、わかるかな?
あなたの願いが私の願いなの。
隆則。私は今でもまだ好き。
でもきっと、いつか、
この傷が癒えて。
:10/12/04 13:24
:840SH
:fdl99JMc
#461 [愛華]
もし、隆則じゃない大切な人が
あたしが愛するひとができて。
隆則もそんなひとができたら。
また笑って会えるかもしれない。
「あのときは幸せだったね」
そう言って笑えるかもしれない。
今も幸せだよ、って。
:10/12/04 23:12
:840SH
:fdl99JMc
#462 [愛華]
そのときあたしは涙を流す。
嬉し涙だったらいいなぁ。
たくさんの人に出会って
たくさんのものを愛して
あたしは、生きたい。
あわよくば、ずっとずっと。
もっと長く。
あたしはそんな夢を見る。
:10/12/04 23:15
:840SH
:fdl99JMc
#463 [愛華]
隆則。
言いたいことはたくさんあるよ。
でもきっと伝えきれないね。
また、春がきたよ。
あなたと出会った季節が。
桜が咲いて、散る季節が。
:10/12/04 23:19
:840SH
:fdl99JMc
#464 [愛華]
-直純side-
:10/12/04 23:20
:840SH
:fdl99JMc
#465 [愛華]
「うぉー!!すげー桜!!」
「ちょっと直純くん。そんなに
乗りだして落ちないでよね」
「いっそ落ちればいいのに……」
「てめ、梓。今なんつった!?」
「いっそ落ちればいいのに。」
「そのまま繰り返すな!!」
桜が、散りはじめた季節。春。
:10/12/04 23:23
:840SH
:fdl99JMc
#466 [愛華]
あの日から1ヶ月。
白石は、いつも俺の側にいる。
「隆則とは、別れたの」
「あたし、病気なんだ。
今のままだと25までに死ぬ。」
なんで、笑いながらそんなこと…
そんな悲しそうに笑うなよ。
:10/12/04 23:26
:840SH
:fdl99JMc
#467 [愛華]
なんとなく、わかった。
隆兄がそうしたんだろう。
隆兄から別れを告げたんだろう。
そこには俺でも理解はできない
くらいの想いがあった。
でも間違いなく、俺もそこには
関係している。それはわかる。
だから、白石は側にいる。
俺のそばにいてくれてるんだ。
隆兄の、ために。
なんて残酷な。
それでも離れたくはない。
:10/12/04 23:32
:840SH
:fdl99JMc
#468 [愛華]
たとえ俺を見てくれなくたって
側にいてくれるならいい。
悲しそうに笑いながら俺に
病気のことを話してくれた白石
それだけで充分だ。
未来は来てからでいい。
今、白石はここにいるんだから。
:10/12/05 17:47
:840SH
:/eY1KTpY
#469 [愛華]
でも、どうしてだろう。
もともとの目的、隆兄への復讐。
それは成功して、白石も俺の
側にいてくれてる。
すべて俺の望んだとおりになった
なのに。
たまにどうしようもなく苦しい。
隆兄は今、どうしてるのか。
:10/12/05 17:52
:840SH
:/eY1KTpY
#470 [愛華]
知らなくてもいいんだ。
知る必要なんかないんだ。
でも俺の隆兄への想いは……
多分、憎しみなんかじゃない。
「…………直純くん?」
びくっとして振り向くと、
白石が不思議そうに俺を見てた。
:10/12/05 17:55
:840SH
:/eY1KTpY
#471 [愛華]
「はやくしないと授業に遅れちゃうよ。梓も行っちゃったし」
「あー……めんどくせー……」
桜が切ないくらいに綺麗で。
「…………さぼるか」
「えぇ!?」
「めんどくせーし。桜見てたいし
白石もここ、いれば?」
:10/12/05 17:58
:840SH
:/eY1KTpY
#472 [愛華]
「んー……まぁいっかぁ」
白石は俺の隣にちょこんと
腰を下ろした。
…………やべ。かわいい。
なんか………抱きしめたい。
白石の長い黒髪が風になびいてて
すげー綺麗で。
あー俺マジで白石が好きなんだ。
:10/12/05 18:01
:840SH
:/eY1KTpY
#473 [愛華]
「あー……もう三年生だねー…
直純くん、卒業後は?」
「俺?上に上がるけど」
「楽だしねー…あたしは……」
そこで白石は止まった。
なんとなく、考えてることは
わかったけど。
俺がなにか言えるような問題
なのか。まだ戸惑ってる。
「まぁ……も少ししたら考えよ」
:10/12/05 18:08
:840SH
:/eY1KTpY
#474 [愛華]
「……うん。ゆっくりでいーよ」
「そーだね。ゆっくりだね」
白石は微笑んだ。
女は失恋すると強くなって
そして、美しくなる。
だれかがそんなこと言ってたな。
その失恋の原因は俺。
なんていう皮肉なんだろう。
笑っちまうよな。
:10/12/05 18:20
:840SH
:/eY1KTpY
#475 [愛華]
「………隆兄のことまだ好き?」
「………へ?」
あれ?俺、今……なに言った?
隆兄のこと………好きかって?
うわー!!馬鹿だ俺!!
自爆じゃん!!
:10/12/05 18:30
:840SH
:/eY1KTpY
#476 [愛華]
気がついたら口に出してた。
傷つくに決まってるのに。
「…………うん。大好き」
白石は俺を見ることなく、
でも迷いなく言った。
…………ほら、な。
でも改めて言われると………
やっぱりきつい。
俺だって、白石が好きなんだ。
気づいてるくせにさ。
:10/12/05 18:35
:840SH
:/eY1KTpY
#477 [愛華]
「……じゃあなんで、俺の側に
いるの?期待しちゃうじゃん」
「直純くんを支えたいから」
………嘘つくなっての。
「隆則から頼まれたから」って
言えばいーじゃん。
あー……全部自爆だけどさ。
ちょっとしくじったな。
わかってたのにやっぱり傷つく。
心は思い通りにはならない。
:10/12/05 18:39
:840SH
:/eY1KTpY
#478 [愛華]
「あたしは、直純くんが大事」
「………うん」
もう何回もきいたよ。
それは「友達」としてだろ?
「あたしは隆則とは全然違う
次元で直純くんが大切なの。
諦め悪いって思われるかもしれ
ないけど、まだ隆則が好き。
でも戻れるなんて思ってないよ。
まだ、時間がたってないから」
:10/12/05 18:49
:840SH
:/eY1KTpY
#479 [愛華]
うん。まだ1ヶ月。
今日までこの話題には一回も
触れてはいなかったけれど。
「でもいつか忘れられるよ。
そう信じてる。
あたしには25を越えられる
保証なんて全くないからさ。
それでもいいって人がいたら…
あたしはまた誰かを好きになれる
かもしれないけどね?」
:10/12/05 18:53
:840SH
:/eY1KTpY
#480 [愛華]
俺は、それでもいいよ。
でもその言葉は飲み込んだ。
今はまだそれは言うべきじゃない
「………隆兄からさ、頼まれた
んじゃないの?俺の側にいろって」
………うわ、聞いちゃった……
いや、この際もういーや。
今日はとことん傷ついてやる。
:10/12/05 18:57
:840SH
:/eY1KTpY
#481 [愛華]
「…………直純くんは今幸せ?」
「………え?」
「隆則は直純くんの幸せをいつも願ってたんだよ。それを
あたしに託したんだ。
あたしが直純くんの側にいること
で直純くんが幸せになるなら…
あたしは側にいるよ」
俺の、幸せ……?
:10/12/05 19:00
:840SH
:/eY1KTpY
#482 [愛華]
「うん、幸せだよ」
「じゃあ側にいる。あ、あと
普通に隆則の話とかしていーよ。
気つかわなくていーから」
白石はそう言って笑った。
目の前で笑っている女の子を
まるで天使みたいだと思った。
心から愛しく思った。
そんな俺は馬鹿かな?
:10/12/05 19:03
:840SH
:/eY1KTpY
#483 [愛華]
俺の幸せのために、側に。
今はそれでいいんだ。
それがいつか、君の幸せにも
なってくれたら……
そんな幸せはないだろーな。
「あれ?さっきの俺の質問…」
「えーなんのことー?」
「………うまくはぐらかすよな」
:10/12/05 19:07
:840SH
:/eY1KTpY
#484 [愛華]
桜がきれいに咲いて、散って。
今俺は幸せだ。
そう心でつぶやいた。
いつか、俺を見てくれ。
隣にいる俺を好きになって。
側にいるだけじゃ満足できない
そんな瞬間がきっとくる。
それが恋なんだ。
:10/12/05 19:11
:840SH
:/eY1KTpY
#485 [愛華]
-梓side-
:10/12/05 19:25
:840SH
:/eY1KTpY
#486 [愛華]
あたしの家から歩いて5分。
そこに隆則の家はある。
昔はそこに行くのが楽しみで
楽しみで仕方がなかったっけ。
「梓ー、これ隆ちゃんに届けて」
リビングで昔のアルバムを見て
いると、お母さんにそう言われ
から揚げを差し出された。
…………いいにおい。
:10/12/06 14:18
:840SH
:AVjEAaMQ
#487 [愛華]
「タカに届ければいーの?」
「うん。つまみぐいしないでね。向こう行ってからたべな」
「んー……わかった……」
あたしはホカホカのからあげを
袋にいれ、玄関をでた。
もうすっかり春。
上着はもういらないや。
:10/12/06 14:22
:840SH
:AVjEAaMQ
#488 [愛華]
あれから1ヶ月。
隆則と那佑の別れから。
二人ともまだお互いに好きな
くせに。
その別れにどんな意味があるの?
あたしにはちっともわかんない。
きっとずっとわかんないんだ。
:10/12/06 14:25
:840SH
:AVjEAaMQ
#489 [愛華]
そこには二人しか理解できない
様々な想いが交差していて。
あたしには止める力もなくて。
那佑が倒れた次の日。
あたしはタカに詰め寄った。
那佑を傷つけたことが許せなくて
どうしようもなく許せなくて。
でも………タカも苦しかったよね
那佑を傷つけた自分を1番責めたのは…………タカ。
:10/12/06 14:30
:840SH
:AVjEAaMQ
#490 [愛華]
それからちょくちょくタカに
会いに行ってるけど、
タカは抜け殻みたいで。
妙に元気ぶってるみたいで。
ピンポーン
「………わ!!梓か!!」
「久しぶり。母さんからおかず
おすそ分け。上がっていい?」
:10/12/06 14:36
:840SH
:AVjEAaMQ
#491 [愛華]
「おー助かるわ。誨もいるぞ」
そういってタカは笑った。
あ、ちょっと元気になったみたい
あたしがからあげを温めなおしていると、風呂あがりの誨さんが部屋からでてきた。
「あ、梓ちゃん来てたんだ」
「から揚げありますよー」
:10/12/06 14:41
:840SH
:AVjEAaMQ
#492 [愛華]
「マジで?ラッキー!!」
誨さんはから揚げを2個も
口に放り込んだ。
なんでもおいしそうに食べるな…
「お前食べすぎ。残せよ」
「だって久々の肉だしさー」
よかった。少し元気みたいで。
ちょっと安心したな。
:10/12/07 14:01
:840SH
:kzDtIACQ
#493 [愛華]
食べ終わると、誨さんはソファに横になって、そのまま
眠りについてしまった。
「誨のやつ、起きないな……」
タカはそういってあくびした。
寝てないのかな?
「ん?梓、そっちの袋は??」
「あ、これ?」
タカはあたしが持ってきていた
もうひとつの袋を指さした。
:10/12/07 23:30
:840SH
:kzDtIACQ
#494 [愛華]
「これはね………直純のだよ」
タカの顔色が変わった。
あたしがあの日から聞きたくて
聞きたくて仕方なかったこと。
「タカ………後悔してないの?」
:10/12/07 23:34
:840SH
:kzDtIACQ
#495 [愛華]
「………本題はそっちかよ」
ふーっと息をはく。
「答えて。後悔してる?」
「してるに決まってんじゃん」
………やっぱり。
:10/12/11 18:59
:840SH
:wGC9P6l.
#496 [愛華]
「前も言ったけど、もう一回
言うよ。那佑と戻ってよ」
「それは無理。梓。よく聞いて。
俺は後悔するのを知ってて
那佑との別れを選んだんだ。
だからそれでいいんだよ」
なにそれ………意味わかんない。
:10/12/11 19:05
:840SH
:wGC9P6l.
#497 [愛華]
「じゃあこれから一生、那佑とも直純とも会わないつもり?」
「…………」
「そんなの間違ってるでしょ。
直純とタカは兄弟なんだよ。
那佑は今も………タカを大切
だと思ってるんだから」
間違ってる。そんなこと。
「タカ………」
:10/12/11 19:12
:840SH
:wGC9P6l.
#498 [愛華]
「わかってるよ」
「……………え」
「今のまんまじゃダメだって。
だから、直純と会って話す」
「タカ…………」
「那佑とも。戻れなくてもいい。
でも支えていたい」
:10/12/11 19:20
:840SH
:wGC9P6l.
#499 [愛華]
タカも進みたいんだ。
それは………那佑も一緒。
もう那佑とは戻れない。
タカの強い気持ちが伝わる。
だから………
「タカ、こっち向け」
「へ、向けって……」
バチン!!!
:10/12/11 19:29
:840SH
:wGC9P6l.
#500 [愛華]
「いってぇぇぇぇ!!!
梓てめぇなんでビンタ!?」
「言っただろーが!!
那佑を傷つけたら許さないって。
まぁこれで許したげるよ」
「んだよ………ってぇー…」
あたしは袋を持ち、立ち上がる。
話はすんだからもういい。
「いい加減ケジメつけろよ、
ばーか!!へたれ!!」
:10/12/11 19:35
:840SH
:wGC9P6l.
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