天使と悪魔の暇潰し
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#119 [匿名]
「なんだよアイツ!自殺してぇならとっとと飛び降りりゃいーのによぉ」

屋上に行き、ただただ空を眺めてるターゲットに嫌気がさしたのか、舌打ちをしながら彼は下に降りて行く。

僕もターゲットの所へ行きたかったが、先を越されてしまった。


彼が何をするかは分からなかったが、彼がターゲットに接触する事で、死が早まるような気がして仕方がなかった。

⏰:10/11/13 14:42 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#120 [匿名]
「おい、お前!こんな所で何してんだよ!!」

彼はターゲットの後ろから話しかける。話しかけるというよりは、怒鳴るが近いかもしれない。


「…君は?」

ターゲットは驚く事もなく、振り向いた。もう、何もかも諦めているような顔だ。


「てめぇには関係ねぇだろ。」

なんて無愛想なんだろう。

⏰:10/11/13 14:48 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#121 [匿名]
「あぁ、関係ないね。なら僕がここで何しようと、君にも関係ないよね。」

「お前死ぬ気か?」

「…君には関係ない。」

ターゲットは冷静だった。

「ああ、そうだな。俺には関係ねぇことだな。」

「分かってくれたら、どこかへ行ってくれないか。人が目の前で死ぬなんて嫌だろう。」

「答えてんじゃねーかよ。」

⏰:10/11/13 14:53 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#122 [匿名]
「だから…」

「うるせぇ!」

ターゲットが話そうとしたとき、また彼は怒鳴った。

「悪いけど、人が死ぬ事には慣れてる。てめぇが目の前で飛び降りた所で俺は笑うだけだ!」

「僕を止めようとしても無駄だよ?」


「は?笑わせんな。俺はてめぇみてーな奴が大嫌いなんだよ!早く死んでほしくてわざわざ此処まで来てやったんだ!」

ターゲットはふふっと下を向き笑った。

「そっか。よかった。僕は意志が弱いから、君みたいに後押しをしてくれる人がいると心強いよ。」

⏰:10/11/13 15:02 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#123 [匿名]
するとターゲットは手すりに手をかけ、ゆっくりとまたぐ。そして柵の向こう側へと出た。

今までのターゲットの性格が嘘のように、落ち着き払っている。

ターゲットは死ぬ気だ。死ぬ事すら出来ない人間だったのに、もうここまで成長してしまった。

まずい、と思ったとほぼ同時に、その気持ちはなくなった。

「待って!!」

ターゲットの自殺を止める事が出来る、唯一の女性。

⏰:10/11/14 12:04 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#124 [匿名]
間に合った。

昨日女性には、ターゲットの会社の場所を教えていた。

行くのも行かないのも、あなたの自由です、とだけ伝えて。

よく屋上にいるとわかったもんだ。僕はほっと一安心した。

「待って!!死ぬなんてやめてください!!」

女性は今にも泣き出しそうな形相で、必死に言葉を出している。

⏰:10/11/14 12:09 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#125 [匿名]
「…あ、あなたは!どうしてここに?」

ターゲットは驚いた顔をしている。

「私、あなたに謝らなければならない。ごめんなさい!あんなに酷い事を言ってしまって。ずっと後悔してたんです。あなたを信じてあげなかった自分を恨みました。」

とうとう女性は泣き出してしまった。

「あなたは悪くありません!泣かないでください。」
ターゲットは柵に手をかけ、女性を心配している。

⏰:10/11/14 12:16 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#126 [匿名]
「もう一度私とデートしていただけませんか?」

「え?」

聞き取れなかった訳ではないだろう。

「もう一度私とデートをしてください。」

女性は必死だった。
ターゲットも泣き出しそうだ。目は真っ赤で涙が溜まっている。

「こんな僕とですか?…僕、たった今首になっちゃったんです。いらない人間なんです。誰からも必要とされない、邪魔な人間なんです!こんな僕があなたとデートだなんて…」

⏰:10/11/14 12:22 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#127 [匿名]
「邪魔なんかじゃない!」
女性は叫んだ。

「邪魔なんかじゃないです。必要なんです。私には、あなたが必要なんです!あなたに合わない会社なんて辞めればいい!私が支えますから、一緒に頑張りましょう?そして私を支えてください。」

ターゲットは泣いた。子供のように声をあげて。

足が震えている。やっと死ぬ事への恐怖が、戻ってきたみたいだ。

⏰:10/11/14 12:28 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#128 [匿名]
「また俺の負けかよ。」

彼はいつの間にか、僕の隣に戻って来ていた。

「でも今回は、今まで以上に手こずったよ。彼女が来なかったら僕は負けてた。」

「来るって分かってたんだろ?」

ああ、わかっていた。必ず来ると思っていた。だけど僕は、いや、と否定しておいた。

⏰:10/11/14 12:32 📱:F06B 🆔:☆☆☆


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