天使と悪魔の暇潰し
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#157 [匿名]
「お前が死ぬのは明後日だ。」
彼の低い声が聞こえた。
「何で明後日なの?私今すぐにでも死にたいのに。」
ターゲットは頬っぺたをぷくっと膨らませた。まるで、彼氏に我が儘を言う彼女のようだ。
なんで今日会えないの?早く会いたいのに。…うん、こんなかんじだ。
:10/11/24 11:46 :F06B :☆☆☆
#158 [匿名]
「お前はやり残した事とかないのか?」
普段の彼は、人間にそのような事は聞かない。
やり残した事があると主張してきた人間には、知るかと冷たい一言を発するのが、彼の流れだ。
「やり残した事か。…そんなのいっぱいあるよ。大学だって行きたかったし、結婚もしたい!独り暮らしとか海外に行くとか…やり残した事だらけだよ。」
ターゲットは寂しそうな顔をした。今まで考えないようにしていたのかもしれない。
:10/11/24 11:54 :F06B :☆☆☆
#159 [匿名]
「明日、一つだけ叶えてやる。だから今日のうちにやり残した事を一つに絞っとけ!」
「え?そんな事できるの?」
「誰だと思ってんだよ。」
「神様?」
「あんな自分の事で精一杯で、人間の願いの一つも聞けねぇようなやつと一緒にすんなよ!」
「え?」
「神様なんかより、俺の方がもっとすげぇよ!」
:10/11/24 11:58 :F06B :☆☆☆
#160 [くぽ]
あげ(´・ω・`)
:10/11/29 23:47 :S001 :GpLvkPFQ
#161 [匿名]
:10/11/30 09:41 :F06B :☆☆☆
#162 [匿名]
彼はそう言い残して帰って来た。
「暇潰しになると、君は人間に優しくなるの?」
僕は嫌味っぽく聞いてみた。
「別に優しくしてねーよ!俺は突き落とすのが好きなんだ!」
必死に怒鳴る彼は、子供っぽく感じる。
:10/11/30 12:31 :F06B :☆☆☆
#163 [匿名]
僕は今日もお母さんと接触する事にした。
病院に入る入り口で、偶然を装い声をかけた。
「あら!今日も来てくれたの?ありがとう。」
相変わらずやつれた表情は変わりなく、ターゲットよりも先にお母さんが倒れてしまいそうだ。
:10/11/30 12:38 :F06B :☆☆☆
#164 [匿名]
「あの、昨日は黙っていたんですけど…」
僕は深刻そうな暗い顔を作った。お母さんは首を少し傾げ、なにかしら?と目で伝えるように僕を覗き込んだ。
「さやちゃんなんですけど…昨日僕が会った時、死にたいって言ってたんです。私はもうすぐ死んじゃうと思うから、苦しくなる前に死にたいって。」
彼が昨日、ターゲットと話していた内容を思い出しながら言った。
え?と短く声にならない声を発したまま、お母さんは黙ってしまった。
:10/12/04 20:38 :F06B :☆☆☆
#165 [匿名]
「さやには、病気の事何も言ってないのに…。あの子、分かってたの?」
やっと話始めたお母さんの目には、やはり涙が溜まっている。
「悟ってるみたいでした。自分の体の事は、本人が一番分かっているのかもしれないです。」
何と言えばいいのか分からなかった。この人は、どれだけ泣くのだろう。涙が出なくなる魔法が使えるなら、僕はこの人に掛けてあげたい。
:10/12/04 20:47 :F06B :☆☆☆
#166 [匿名]
「支えてあげて下さい。」
何かもっと、人を勇気付けられる言葉を知っておきたかった。
「私がこんなんじゃ駄目よね。今日は先生に呼ばれててね。…でも覚悟が出来ないのよ。」
自分の子供が死んでしまう。どういう気持ちなのだろう。どれだけ苦しいだろう。
「良い話ですよ。覚悟だなんて…。決めつけちゃ駄目ですよ!さやちゃんは強いんですよね?」
他に何が言えただろうか。
:10/12/04 21:02 :F06B :☆☆☆
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