天使と悪魔の暇潰し
最新 最初 全
#215 [匿名]
彼は目を瞑り、刺されたお腹辺りを押さえていた。
「もうどっか行ったよ。」
僕かそう教えてあげると、彼はパチッと目を明け、スクッと立ち上がった。
「俺演技上手くね?」
刺さった包丁を抜くと、放り投げた。
:10/12/23 17:49 :F06B :☆☆☆
#216 [匿名]
前にも言ったが、僕達は死なない。怪我もしないし、風邪も引かない。
包丁を抜いて出来た穴は、触っていれば塞がる。
刺されて平気な人間などいないから、ターゲットは彼を殺したと思うかもしれない。かなり深く刺さっていたみたいだし、致命傷になってもおかしくない。
死ななくても、重症である事は間違いないだろう。
:10/12/23 17:55 :F06B :☆☆☆
#217 [匿名]
「あ!俺、いい事思い付いた!幽霊になるわ。」
僕達は死なない。だから幽霊にはなれない。
人間のように生きていないから、人間からしてみれば、幽霊も天使も悪魔も、同じなのかもしれないけど。
「幽霊のふりして、あいつにとりつくってのはどーだよ!かなり怖くねーか?怖いよな!毎日耳元で、呪ってやるーって囁くんだよ!怖くなって、死にたくなるよな?な?」
:10/12/23 18:03 :F06B :☆☆☆
#218 [匿名]
やっぱり彼は楽しそうだ。人間の不安や恐怖心を煽るのが、この上ない楽しみのようだ。
悪魔だからいいものの、天使や人間だったら、かなりの悪趣味だと思う。
「僕だったら泣いちゃうかも。」
ちょっと馬鹿にして言ったつもりだったのだが、彼には理解されていなくて、ただ自信を付けさせてしまったみたいだ。
:10/12/23 18:08 :F06B :☆☆☆
#219 [匿名]
「まあ、作戦も決まった事だし!…あれでも食いにいくか?」
彼の言うあれとは、ハンバーガー。僕達の大好物だ。
作戦が決まったのは彼だけで、僕は何も決まっていないが、彼の話に乗る事にした。
ハンバーガーが食べれるなら、勝ち負けなんてどうでもいい。と、思ったりもする。
:10/12/23 18:12 :F06B :☆☆☆
#220 [匿名]
二日目
とりあえずターゲットの様子を見る事にした。
仕事に行く時や、どこかに出掛ける時などに、偶然を装い遭遇出来たらいいなと考えた。
が、一向に外へ出ない。朝から様子を見て、もう18時を回ってしまった。
ずっとパソコンをいじっていて、そこから動こうとしない。ポテトチップスやらのお菓子の袋やカップラーメンのカップなどが散乱している。
:10/12/26 11:35 :F06B :☆☆☆
#221 [匿名]
「あいつヒデェ生活してんなー。あの散らかりよう見ると、毎日こんな生活してんじゃねぇの?」
彼はターゲットを見る時、いつも苦い顔をする。生理的に受け付けないんだろうな。彼と一緒で、僕も受け付けない。
人を殺しておいて、いつもと変わらない毎日を送っているなんて、信じられない。
「僕、あの家行って来ようかな。」
一軒家で、両親と住んでいる事は分かった。父親はいなかったが、きっと仕事だろう。母親がせっせと晩御飯を作っている。
:10/12/26 11:44 :F06B :☆☆☆
#222 [匿名]
「じゃあ俺も行くよ。幽霊になってな!」
あまり乗り気にはなれなかったけど、彼と一緒に行く事にした。勿論彼は姿を消している。人間には見えないけど、僕には見える。彼の前に来たらうっすら姿を現すんだろう。
ターゲットの家の前。何のへんてつもない普通の一軒家だ。「金子」というらしい。
ピンポーン。
彼がインターホンを勝手に押した。
:10/12/26 11:52 :F06B :☆☆☆
#223 [匿名]
「はい!」
きっと母親だろう。女性の声が聞こえる。
「あ、すみません。鈴木と申しますが、息子さんとお話がしたいんですけど。」
鈴木と適当に名乗った。
「お前なんか怪しくねーか?もっとそれらしーこと言えねぇのかよ。」
「君が勝手に押したから、何も考える時間なかったんだよ。」
:10/12/26 11:57 :F06B :☆☆☆
#224 [匿名]
僕たちが言い合っていると、ガチャっとドアが空いた。
「どうも。あのーどういったご用件で。うちの息子は人と関わりを持たない方なので…。」
とても優しい雰囲気を感じたが、どこかビクビクしていて、何かに怯えているようだった。
「この間知り合いましたので、もう少しお話がしたいと思いまして。」
当たり障りのないように言ったつもりだった。
:10/12/26 12:05 :F06B :☆☆☆
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194