天使と悪魔の暇潰し
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#229 [匿名]
「あのー僕のこと分かりますか?あ、声だけじゃ分からないかな…。君とお話がしたくて来たんだけど。」
僕の得意な、出来るだけ優しい声でターゲットに問いかける。
物音は聞こえない。
「中に入ってもいいかな?」
何も聞こえない。
「じゃあ開けるよ!」
半ば強引に中に入る事にした。ドアノブを握り、捻る。
鍵がかかっていて、少ししかドアノブは回らない。事を想像していたが、意外にも鍵はかかっていなく、すんなりと開いてしまった。
:11/01/03 22:59 :F06B :☆☆☆
#230 [匿名]
ドアを開けると上で見ていた通り、とても汚い。そして臭いもきつい。汗のような油のような臭いと、食べ物の腐った臭い、そしてタバコ。
一瞬にして気分が悪くなった。
「僕の事を覚えているよね?」
吐きそうな気持ちを押さえて、ニコッと微笑んだ。
ターゲットは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに真顔に戻った。
「何で家が分かったのー?怖いねー。もしかして昨日つけてたのー?気付かなかったな。」
にやにやとパソコンを見ながら言葉を発しているターゲットは、僕を全く見ない。
「昨日の事、誰かに言ったのー?ニュースでは犯人は捜索中ってなってたけど。」
:11/01/03 23:09 :F06B :☆☆☆
#231 [匿名]
「昨日の事は誰にも言ってないよ。僕の刺された友達は、隠しておいた。だから君の罪は、少し軽くなるかもね。」
僕はやっぱり、得意の出来るだけ優しい笑顔で語りかける。
「面白い事をするねー!」
ターゲットが僕を見た。目を見開き、不気味な笑い声を発して笑っている。キャーキャッキャとも、ヒャーヒャッヒャとも取れない声だ。
:11/01/03 23:17 :F06B :☆☆☆
#232 [匿名]
ちなみに彼は、ターゲットには見えない姿で僕の隣にずっといる。
僕にしか聞こえない声で、くっせぇ!だの、きたねぇ!だの、うぜぇ!だの騒いでいる。
たまに歩き回り、ターゲットの目の前まで行ったり、パソコンを覗き込んだりしている。
やめてほしい。目障りで、ついつい彼の動きが気になって見てしまう。
僕には見えないが、ターゲットにだけ見えるという、演技をこれからしなくてはいけないのに。
:11/01/03 23:22 :F06B :☆☆☆
#233 [匿名]
「自首…しなよ。」
僕は真顔を作った。
ターゲットは僕の言葉を無視している。
「君がした事は犯罪だよ。どうして人を殺したのに、平気でいられるの?」
僕は気にせず質問をぶつける。無視されてもいいや、と投げやりな気持ちでいた。だがターゲットは、僕の気持ちとは裏腹に、ギロッとこちらを睨んだ。
:11/01/04 12:18 :F06B :☆☆☆
#234 [匿名]
「人を殺して平気でいられないような弱い人間じゃないんだよ僕は。人を殺す事に迷っているから震えるんだ。殺したいと思ったら、迷わないんだよー僕は、強いから。」
早口でターゲットは喋る。
人間の強い、弱いが、人を殺す事で決めていいのだろうか。
水泳、格闘技、野球、ろいろな種目で一番強い者が決められている。それなら人殺しという種目で一番強い者を決めてもいいのか!と思った。思った瞬間その考えを捨て去った。馬鹿げてる。
:11/01/04 12:25 :F06B :☆☆☆
#235 [匿名]
そんな戦い、悪魔の彼が優勝に決まってる。
とても気にくわない。
「じゃあ聞くけど、どうしてあの人を殺したの?殺したい程憎んでいたのか?」
ターゲットが少し興奮していたので、今なら何でも話してくれるような気がしていた。
:11/01/04 12:28 :F06B :☆☆☆
#236 [匿名]
「あいつは人間のくずだから!あんな大人がうじゃうじゃいるから、この国がダメになるんだ!」
どうやら、殺したいと思った原因はあるらしい。
「あいつらは皆汚い。金があればよくて、いらないものは全て廃除。自分がよければそれでいいと思ってるんだ!許せないよねー?」
そんな事を聞かれても、僕にはどうでもよかった。この国が終わりを迎えようと、関係ない。
「そんな君も、自分がよければそれでいいと思っているんじゃないのかな?」
冷静に言葉を発した。
沸々と怒りが込み上げてくるのが、手に取るように分かる。ターゲットはハァハァと息を荒くし、髪の毛をくしゃくしゃと触り始めた。
:11/01/04 12:37 :F06B :☆☆☆
#237 [匿名]
それから何だかよく分からない事を、大声で怒鳴り始めた。大声すぎて聞き取れなかった。
ただとてつもなく怒っているのは、誰が見ても分かるだろう。
騒いだままターゲットは手に何かを掴んだ。黒くて固そうな何か。
あ、殺される。
僕の直感が働く。死なないのだけれど。
:11/01/05 17:19 :F06B :☆☆☆
#238 [匿名]
僕がそう思うと同時に、彼が姿を表した。
僕には何も変わらずに見えるのだけど、今、ターゲットにも見えるようになった。
「うわああああ!!」
ターゲットが叫んだ。
僕を殺そうとしたのではなく、死んだはずの彼が見えたから、恐怖を感じているのだ。
「よくも…よくも…!」
彼も幽霊らしい演技をしている。
:11/01/05 17:24 :F06B :☆☆☆
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