天使と悪魔の暇潰し
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#231 [匿名]
「昨日の事は誰にも言ってないよ。僕の刺された友達は、隠しておいた。だから君の罪は、少し軽くなるかもね。」

僕はやっぱり、得意の出来るだけ優しい笑顔で語りかける。

「面白い事をするねー!」
ターゲットが僕を見た。目を見開き、不気味な笑い声を発して笑っている。キャーキャッキャとも、ヒャーヒャッヒャとも取れない声だ。

⏰:11/01/03 23:17 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#232 [匿名]
ちなみに彼は、ターゲットには見えない姿で僕の隣にずっといる。

僕にしか聞こえない声で、くっせぇ!だの、きたねぇ!だの、うぜぇ!だの騒いでいる。

たまに歩き回り、ターゲットの目の前まで行ったり、パソコンを覗き込んだりしている。

やめてほしい。目障りで、ついつい彼の動きが気になって見てしまう。

僕には見えないが、ターゲットにだけ見えるという、演技をこれからしなくてはいけないのに。

⏰:11/01/03 23:22 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#233 [匿名]
「自首…しなよ。」

僕は真顔を作った。
ターゲットは僕の言葉を無視している。

「君がした事は犯罪だよ。どうして人を殺したのに、平気でいられるの?」

僕は気にせず質問をぶつける。無視されてもいいや、と投げやりな気持ちでいた。だがターゲットは、僕の気持ちとは裏腹に、ギロッとこちらを睨んだ。

⏰:11/01/04 12:18 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#234 [匿名]
「人を殺して平気でいられないような弱い人間じゃないんだよ僕は。人を殺す事に迷っているから震えるんだ。殺したいと思ったら、迷わないんだよー僕は、強いから。」

早口でターゲットは喋る。

人間の強い、弱いが、人を殺す事で決めていいのだろうか。

水泳、格闘技、野球、ろいろな種目で一番強い者が決められている。それなら人殺しという種目で一番強い者を決めてもいいのか!と思った。思った瞬間その考えを捨て去った。馬鹿げてる。

⏰:11/01/04 12:25 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#235 [匿名]
そんな戦い、悪魔の彼が優勝に決まってる。

とても気にくわない。

「じゃあ聞くけど、どうしてあの人を殺したの?殺したい程憎んでいたのか?」

ターゲットが少し興奮していたので、今なら何でも話してくれるような気がしていた。

⏰:11/01/04 12:28 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#236 [匿名]
「あいつは人間のくずだから!あんな大人がうじゃうじゃいるから、この国がダメになるんだ!」

どうやら、殺したいと思った原因はあるらしい。

「あいつらは皆汚い。金があればよくて、いらないものは全て廃除。自分がよければそれでいいと思ってるんだ!許せないよねー?」

そんな事を聞かれても、僕にはどうでもよかった。この国が終わりを迎えようと、関係ない。

「そんな君も、自分がよければそれでいいと思っているんじゃないのかな?」

冷静に言葉を発した。

沸々と怒りが込み上げてくるのが、手に取るように分かる。ターゲットはハァハァと息を荒くし、髪の毛をくしゃくしゃと触り始めた。

⏰:11/01/04 12:37 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#237 [匿名]
それから何だかよく分からない事を、大声で怒鳴り始めた。大声すぎて聞き取れなかった。

ただとてつもなく怒っているのは、誰が見ても分かるだろう。

騒いだままターゲットは手に何かを掴んだ。黒くて固そうな何か。

あ、殺される。

僕の直感が働く。死なないのだけれど。

⏰:11/01/05 17:19 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#238 [匿名]
僕がそう思うと同時に、彼が姿を表した。

僕には何も変わらずに見えるのだけど、今、ターゲットにも見えるようになった。


「うわああああ!!」

ターゲットが叫んだ。
僕を殺そうとしたのではなく、死んだはずの彼が見えたから、恐怖を感じているのだ。

「よくも…よくも…!」

彼も幽霊らしい演技をしている。

⏰:11/01/05 17:24 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#239 [匿名]
「どうした?」

うわああと叫びながら、後ろに尻餅を付いたターゲットに言った。

僕には何も見えない。
幽霊のフリをして、少し床から浮いている彼は、僕には見えない。見えるのはターゲットにだけ。

と、心の中で何度も唱えて、出来るだけ彼を見ないようにする。

「き、きき、きみ、き、きみには、み、み、みえ、み、みえないのか!」

見えます。

⏰:11/01/08 15:25 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#240 [匿名]
「何が?」

危うく彼の方に視線を移す所だった。彼は僕の斜め前に立ち、ターゲットの方を向いている。


「き、き、きみ、きみの友達だ!」

幽霊がそんなに怖いのかってくらい、ターゲットはビクビクしていた。

「僕は悪くない。僕は正しい。歯向かった罰だ。彼が悪い。死んだ奴が悪い。死んで当然だ…」

ターゲットはうずくまり、小さな声で呟き始めた。

⏰:11/01/08 15:32 📱:F06B 🆔:☆☆☆


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