天使と悪魔の暇潰し
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#254 [匿名]
二時間が過ぎ、彼が僕の隣に戻ってきた。

やっぱり笑っている。

「あいつ、目の下にくまができてたぞ!顔も心なしかげっそりし始めてる!しかもなー最後にあいつ何て言ったと思う?」

僕にはターゲットの言葉が聞き取れなかった。

「死にますから。っつったんだよ!笑えるよなー!」

僕がまだ考えている途中で何も話していないのに、彼は答えを言った。質問した意味がないじゃないか!と怒鳴りたくなる。

⏰:11/01/18 13:33 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#255 [匿名]
結局僕は怒鳴ったりはしないんだけど。

そんな事より、ますます僕の負けが近付いて来ている。

あと2日。僕に出来る事を考えた。僕がターゲットを無理矢理捕まえて、強制的に警察へ向かう事も出来る。

ただそれじゃあつまらない。僕は力ずくという言葉が嫌いだ。それじゃあ悪魔の彼と何も変わらない。

僕は天使だ。
人の心を良い方に動かしたい。誰でも幸せになる義務はある。

幸せになってはいけない人間など、元はいない。ただどこかで歪む人間がいる。歪みは簡単には消えない。

⏰:11/01/18 13:35 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#256 [匿名]
ずっと前に誰かが言っていた。


本人は悪くない。

根にある悪を取らなくてはいけない。

それは何だか分かるかい?

それは悪意などない。

歪んだ愛なのだ。



僕は今思い出した。
変えなければいけないのはターゲットではない。諭さなきゃいけないのは母親だ。

⏰:11/01/18 13:37 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#257 [匿名]
ターゲットは歪んだ人間だ。これは間違いない。

ただターゲットよりも歪んでいるのは母親に違いなかった。


四日目の今日、僕はターゲットの家に向かった。ターゲットは滅多な事がない限り、自分の部屋にこもっている。トイレも一階と二階両方にあるので、一階に降りてくる事はまずない。

この3日間ターゲットは風呂に入る様子もなかったから、今日も入らないだろう。多分。

とにかく僕はターゲットに会うのは逆効果に思えた。
僕を見れば、ターゲットは幽霊の彼を思い出すだろう。

⏰:11/01/18 13:44 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#258 [匿名]
インターホンを押す。

相変わらず愛想の良い母親の声が聞こえ、外に出てきた。

今日も簡単に家の中に入れてくれたが、玄関から先には入れてくれなかった。

家の外だと近所の人の目が気になるのかもしれない。

⏰:11/01/18 13:48 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#259 [匿名]
僕は玄関で、ターゲットが人殺しをした事を母親に言った。

案の定信じない。

僕が知っている限り二人殺した事、一人は今ニュースになっている男性、そしてもう一人が僕の友人である事を、立て続けに話した。

この間僕が来た時に、もう犯行は認めていて、悪びれる様子はなかった事。そして自主して欲しい事を熱心に伝えた。


母親は黙って聞いていたが、多分信じていないだろう。

「証拠はあるんですか?」

余裕があるのか、自分の子供を信じているのか、母親は笑顔を崩さない。

⏰:11/01/18 15:59 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#260 [匿名]
「一度、しっかりと話し合ってみて下さい。彼はもう大人ですよ?甘やかしすぎじゃないですか?」

嫌味たっぷりに言葉を返す。

「自分の子供はいくつになろうと、自分の子供なんです。あなたにはまだ分からないでしょうね?ちょっと人見知りで、人が苦手なだけなんです。」


母親も食い下がらない。
「仕事は?」

「仕事はしていませんが、息子は才能がありますから、ご心配なさらなくても大丈夫です。」

⏰:11/01/18 16:05 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#261 [我輩は匿名である]
自主→自首

⏰:11/01/18 16:05 📱:T001 🆔:zGKzgakc


#262 [匿名]
母親はいったい、何を信じているのだろう。才能はあるかもしれない。それは僕には分からないから否定はしない。

ただ毎日部屋にいるだけで才能が開花するなら、誰もがそうしているだろう。

「とにかく、話をしてみてください。あなたのせいで彼は苦しんでいると思います。」

そう言い、僕は一礼をし、外へ出た。


何かが変わる事を信じて。

⏰:11/01/18 16:09 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#263 [匿名]
>>261さん
あ、そうですね。
失礼いたしました。

ご指摘ありがとうございます。

⏰:11/01/18 16:12 📱:F06B 🆔:☆☆☆


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