天使と悪魔の暇潰し
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#287 [匿名]




今日は暇潰し最終日。
今回のターゲットは、妻子ある者を愛してしまった、愚かな女。

男の言う「愛している」という言葉を信じ、奥さんと離婚する事を願っている女。

年齢は二十代前半。相手の男は三十代半ば。

当たり前かもしれないが、男は本気ではなく、ただ若い女と体の関係を持ちたいと思っているだけの、どこにでもいる最低な男だ。

⏰:11/02/08 22:19 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#288 [匿名]
ターゲットは昨日、自殺をしようとした。その男に遊ばれていたとやっと気がつき、ショックが大きかったみたいだ。自分の命を捨てる程、あの男に魅力があるとは思えない。

ターゲットはビルの屋上にあがり、飛び降りようとした。だが、良いタイミングで僕が現れた。

「死んだらダメだ。僕は君が死んだら悲しい。」というような事を、一生懸命感情を込めて、ターゲットの目をずっと見つめながら言う。

突然現れた男にそのような事を言われたターゲットは、驚く程簡単に自殺をやめた。

⏰:11/02/11 19:40 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#289 [匿名]
「もっと早くあなたに会っていれば…」

とろーんとした目で僕を見つめるターゲットは、泣き真似みたいに涙を流した。

やっぱり人間は、簡単な理由で生き続ける事が出来る。死にたい理由が小さな事のように、生きたい理由も小さな事だ。僕からしてみたら。

彼女がいるから生きる。彼氏の為に生きる。まだ海外旅行に行ってないから、新しい靴を履きたいから。仕事がしたいから、家族が欲しいから。春が好きだから、来月好きな漫画の発売日だから、夢があるから、友達と遊ぶから。

⏰:11/02/11 19:41 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#290 [匿名]
だから生きる。
意識なんてしてなくても、人間の回りには生きる理由が沢山ある。ない人間なんて、僕は見た事がない。


今回のターゲットも、頭は悪いけど生きる理由なら死ぬ程ある。そして何故か僕は、命の恩人と言われ、ターゲットの実家に招待されてしまった。

それが今日、最終日。


もうターゲットが自殺をする事はないと断言出来る。その為にも僕は行かなくてはならない。ただ、面倒臭い。

⏰:11/02/11 19:42 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#291 [我輩は匿名である]
>>1-100
>>100-200
>>200-300
>>300-400
>>400-500

⏰:11/02/14 01:42 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#292 [匿名]
ターゲットと駅で待ち合わせをして、家へと向かう。歩いて10分程の距離だったが、ターゲットがひたすら喋っていたので、とても長く感じた。

お父さんは普通のサラリーマンで、お母さんは専業主婦。という事だけは覚えているが、他は覚えていない。興味がない事や、自分の為にならない事は覚えない事にしている。

「ただいま!」とターゲットが元気よく玄関のドアを開けると、中から両親が出迎えてくれた。

⏰:11/02/20 14:18 📱:F06B 🆔:W7R7DE9.


#293 [匿名]
ぷくっとお腹の出た父親は眼鏡をかけていて、白髪頭を後ろに流している。たれ目がとても優しそうに見えた。母親は肩まである髪の毛、上品なワンピース、品のある笑顔で、理想の母親像だな、と思った。

どこかで見た覚えのある二人だと感じたが、それもそのはずだ。どこにでもいる幸せそうな家族だからだ。暇潰しをする時に地上に降りると、1日5組くらいは、このような夫婦とすれ違う。見覚えがあると勘違いしても無理はないだろう。

⏰:11/02/20 14:26 📱:F06B 🆔:W7R7DE9.


#294 [匿名]
「やあ!よく来てくれたね。さあ!上がって上がって!」

父親が笑顔で僕に言うと、隣にいる母親もうんうんと頷いた。

「お邪魔します」

僕も笑顔で答える。頭の中は、どんな理由をつけて早く帰ろうかと、必死に考えていた。

⏰:11/02/20 14:30 📱:F06B 🆔:W7R7DE9.


#295 [匿名]
「いやー本当に君には感謝しているよ!娘の命の恩人だからなー。さあ!沢山食べて下さい!お口には合いますか?」

お酒が進んでいる父親は赤い顔をしながら、ご機嫌な様子で笑っている。
その隣で品よく笑う母親は、父親の言葉にうんうんと頷く。

「はい、ありがとうございます。」

何故僕がここにいるのだろう、と疑問に思いながらも、精一杯笑顔を作る。

それにしても、料理は美味しい!

⏰:11/03/02 14:22 📱:F06B 🆔:Xakx.NxM


#296 [匿名]
「そうだ!お父さん、昔のアルバム見ましょうよ!」
そう言い出したのはターゲット。そういう家族の思い出話は、赤の他人の僕が帰った後にしてほしい。

「持ってくるわ!」

そんなにアルバムが見たいのか、母親はターゲットが言い終わるとほぼ同時に立ち上がり、アルバムを探しに隣の部屋へ行ってしまった。

面倒だ。
僕が興味のない家族の昔の写真を見て、どんなリアクションをとればいいのだろうか。

⏰:11/03/02 14:23 📱:F06B 🆔:Xakx.NxM


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