天使と悪魔の暇潰し
最新 最初 全
#42 [匿名]
「あぁ、ちょっとね不運な事が起こりまして。最近そんな事ばかりでね、いろんなものを警戒してしまうんですよ。」
「そうでしたか」
「ああ、ごめんなさい!こんな愚痴聞きたくないですよね。」
頭をポリポリとかき、照れているのか恐縮しているのか分からない顔をしている。
:10/10/25 19:14 :F06B :☆☆☆
#43 [匿名]
「いえ、そんな事ないですよ。」
そんな事はない。あなたの気持ちが知りたいから。そこで優しい言葉をかけて自殺から救わなくてはいけないから。
「死にたいって思います?」
唐突な僕の質問にターゲットはまた、え?と驚いた顔をする。きっと彼の仕業以外にも不幸な事は沢山起きているのだろう。その度に死にたいと思うに違いないと僕は思った。
:10/10/26 16:35 :F06B :☆☆☆
#44 [匿名]
人間は小さな不幸があると、あーもう死にたい!と口にする。
テストの点数が悪かったり、恋人に振られたり、上手く行くはずの仕事が失敗したり、浮気された時。大好きなカレーを白い洋服にこぼした時や、沢山の人が通る場所で派手に転んだ時。
僕からしたらそんな事はどうだっていいのだ。
全く興味がない。
いや、馬鹿馬鹿しくて笑う事もできない。
:10/10/26 16:42 :F06B :☆☆☆
#45 [匿名]
「死にたいか…そうだな、死にたいかもなぁ。死んだら楽になるのかな。会社で上司には無意味に怒鳴られて、女性社員には気持ちわるがられてさ、僕、何もしてないのに。さっきも万引きしたと間違えられたし、昨日もおっかない若者に絡まれてとっさにお金渡しちゃったよ…だらしないよなー。僕の人生って不運な事で出来ているような気がするよ。」
ハハッと無理矢理笑うターゲットの顔は生気が感じられなかった。
:10/10/26 16:49 :F06B :☆☆☆
#46 [匿名]
彼の悪戯が効いているみたいだ。
さぁ、1、2、3で目を瞑ればそのまま死ねます!せーのっ!とカウントダウンを始めたら何の迷いもなく目を瞑るだろう。今のターゲットなら。
「死んでも大変ですよ?まず死人の行列に並ばなきゃいけないんです。」
:10/10/26 20:56 :F06B :☆☆☆
#47 [匿名]
そう。この地球にいる人間を含めた生き物は一日に何万と死んでいる。
死んだ瞬間死人の行列に並び順番を待つ。
神様への列だ。
神様は、何故死んだか、やり残した事はないか、生前の悪事など様々な事を聞かれる。
それまでの行列に大体二年は並ぶことになる。
:10/10/26 21:03 :F06B :☆☆☆
#48 [匿名]
「行列?」
ターゲットはハハッと笑う。
「そうです。神様までの。それから神様にいろんな事を聞かれるんです。面倒臭いですよ。特に自殺の場合は質問が多くて。」
僕は正直に事実を伝えた。励ますつもりではなく、笑わせようとしたつもりもない。
「君は面白い事を言うんですね!ありがとう。自殺は面倒臭そうだから止めとくよ。」
:10/10/26 21:11 :F06B :☆☆☆
#49 [匿名]
三日目
とりあえず昨日は良かったんじゃないかな。最後に笑ったターゲットは今まで見たことのない顔をしていた。
彼も自分がターゲットと接触してからはどこかへ行ってしまって、僕とターゲットの接触は全く見ていなかった。
きっとハンバーガーでも食べに行ったのだろう。マイペースな所が彼の長所だ。
:10/10/29 19:52 :F06B :☆☆☆
#50 [匿名]
ターゲットは昨日と同様、今日も休みのようだった。
ただ違うのは服装だ。ビシッとしたジャケットを着ていている。髪の毛も整えられていて昨日より五歳は若く感じる。
出勤の日も同じようにすれば、回りの態度も変わるのにと思う。
いったい何があるのだろう。仕事よりも気合いの入れる行事があるのだろうか。
:10/10/29 20:02 :F06B :☆☆☆
#51 [匿名]
僕と彼は上からターゲットを見守る事にした。
電車に乗り一番端に座る。そして立つ。ドアの前に歩いて行く。
そわそわと、キョロキョロ辺りを見回してる姿は実に怪しい。
挙動不審な男に、回りの乗客も嫌な目で見ている。絶対にかかわりたくない、目があってはいけないと、わざと目をそらす女性も沢山いた。
:10/10/29 22:25 :F06B :☆☆☆
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194