天使と悪魔の暇潰し
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#50 [匿名]
ターゲットは昨日と同様、今日も休みのようだった。
ただ違うのは服装だ。ビシッとしたジャケットを着ていている。髪の毛も整えられていて昨日より五歳は若く感じる。
出勤の日も同じようにすれば、回りの態度も変わるのにと思う。
いったい何があるのだろう。仕事よりも気合いの入れる行事があるのだろうか。
:10/10/29 20:02 :F06B :☆☆☆
#51 [匿名]
僕と彼は上からターゲットを見守る事にした。
電車に乗り一番端に座る。そして立つ。ドアの前に歩いて行く。
そわそわと、キョロキョロ辺りを見回してる姿は実に怪しい。
挙動不審な男に、回りの乗客も嫌な目で見ている。絶対にかかわりたくない、目があってはいけないと、わざと目をそらす女性も沢山いた。
:10/10/29 22:25 :F06B :☆☆☆
#52 [匿名]
しばらくして電車が停車すると、ターゲットは慌てて降りた。慌てる必要はどこにもないのに。
少し歩き、大きな時計台の前で止まり、深呼吸をしている。
また辺りをキョロキョロし始めたので、誰かと待ち合わせをしているのだと分かった。
:10/10/29 22:30 :F06B :☆☆☆
#53 [匿名]
大体三十分は経っただろうか。ターゲットは時計を気にしながらキョロキョロと辺りを見回している。
「ちょっと僕行ってくる」
隣で退屈そうに頬ずえをついている彼は、おぅとあくび混じりの返事をした。
たいした作戦があったわけではない。ただ、なんとなく、行こうかなと思ったくらいだ。
:10/10/30 11:50 :F06B :☆☆☆
#54 [匿名]
ターゲットの後ろに立ち肩をポンポンと叩いた。するとビクッと肩が上がり、次には満面の笑みで振り返った。
「昨日はどうも。僕の事覚えてます?いや〜こんな所で会うなんて奇遇ですね!」
昨日と同じように、笑顔と人当たりの良さを全面に出し、声をかけた。
ターゲットは待ち合わせの相手が来たと思ったに違いない。笑顔から、目を見開きびっくりした顔になると、すぐに表情が曇った。
:10/10/30 11:56 :F06B :☆☆☆
#55 [匿名]
「やぁ、昨日はどうもありがとう。覚えているよ。あんな事を言う人には出会った事がなかったから、印象深かったよ。」
まあ、人間は神様の事なんて全く知らないから、あんな忠告は出来ないだろう。
「ところで何をしているんです?一人で。」
「あ、いや、ちょっと待ち合わせで。」
何故か顔を赤くし、照れ始めるターゲット。実に気持ちが悪い。
:10/10/30 12:03 :F06B :☆☆☆
#56 [匿名]
この手の反応はきっと異性が絡んでくる。
「もしかしてデート?」
僕は悪戯っ子のような笑顔を作り、ターゲットの顔を覗き込んだ。
「よくわかったね。そうなんだ。こんな年になって恥ずかしいんですが、お見合いで先日出会った人でして。」
また照れ始めたターゲットは、僕に久しぶりの敬語を使った。
緊張からなのだろうか。
:10/10/30 12:08 :F06B :☆☆☆
#57 [匿名]
そこで今日のターゲットがビシッと決めている理由が分かった。
「がんばってください!」
と応援してみせる。
「ありがとう。」
と先程の緊張が少しほどけた顔つきになった。
「あ!そうだ!良いこと教えてあげます。以前知り合った女の子が言っていたんですけど…」
アドバイスか?とターゲットは激しく頷きながら僕に近付いてきた。必死さが伝わってきて、また気持ちが悪いと思ってしまった。
:10/10/30 12:13 :F06B :☆☆☆
#58 [匿名]
「女性は誰でも褒められる事が好きみたいです。綺麗ですねだったり、その服とてもお似合いですねみたいな。」
あぁ!と今度は深く頷き始める。
「あとは適度な強引さだったかな?次はあそこに行きましょう!とか、このお店でご飯を食べましょうとか。だけどここが難しくて、一度女性に伺わなきゃ駄目みたいです。行きたい場所はありますか?とか何か食べたい物はありますか?と。」
:10/10/30 12:19 :F06B :☆☆☆
#59 [匿名]
なるほど。と頭の中で、何度も何度もイメージトレーニングを繰り返している様子だった。
「それじゃあ、僕はこれで。また会う機会があったら是非聞かせて下さい。」
ニコッと笑って、その場を離れた。折角だからハンバーガーでも食べようと、近くのハンバーガー屋さんに入る。
僕が入ると彼も降りてきて、一緒に食べる事にした。
:10/10/30 12:28 :F06B :☆☆☆
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