天使と悪魔の暇潰し
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#64 [匿名]
それから二人はそのお店に向かった。
会話という会話はとくになく、今日は雨じゃなくてよかったですね、そうですね、寒くないですか?大丈夫です。を続けている。
黙ったままの時間もあったが、運良く早めにお店に着いた。
予約名を伝え、テーブルへと案内される。
綺麗な内装で、スタッフも皆、プロのサービスマンというかんじだ。
:10/11/02 18:29 :F06B :☆☆☆
#65 [匿名]
「料理はディナーコースでお間違いないでしょうか?」
「あ、はい。」
「ではこちらがドリンクのメニューでございます。」
「あ、はい」
ぎこちなさすぎる。
:10/11/02 21:53 :F06B :☆☆☆
#66 [匿名]
「なににしますか?」
ターゲットは先程僕が教えた通りまず女性に伺った。
「えっと、あまりお酒は詳しくないのでお任せします。」
女性は簡単でいいなぁと思った。そうですか、とターゲットはメニューに目を戻す。
そうだなぁ、んー、どれがいいかなぁ、うーん、と目をキョロキョロ動かす。
:10/11/04 16:45 :F06B :☆☆☆
#67 [匿名]
きっとターゲットは僕のアドバイスなど関係なく、女性が決めてくれたドリンクと同じ物を頼もうと思い、伺ったのだろう。
「お客様、本日何かの記念日だったり特別なお日にちでしたら、乾杯はまずシャンパンなどはいかがでしょうか?」
店員が助け船を出してくれた。
「シャンパンは大丈夫ですか?」
ターゲットはここぞとばかりに女性に言う。
「えぇ、大丈夫です。」
「じゃあそれでお願いします。」
ふぅ、と息を吐く。
緊張が少し解かれたみたいだ。
:10/11/04 16:57 :F06B :☆☆☆
#68 [匿名]
あ、とターゲットは思い出したように呟いた。
「どうかしましたか?」
キョトンとした顔で女性は聞いた。
「いや、今日は記念日でもなんでもなかったなと思いまして。」
恥ずかしそうに下を向きながら頭をかく。
「それなら、二回目のデート記念でいいじゃないですか?」
ニコッと笑った女性を見て、ターゲットは幸せそうに頷いた。
今まで生きてきて女性に微笑まれた事などないような、新鮮な反応だった。
:10/11/04 17:02 :F06B :☆☆☆
#69 [匿名]
それからターゲットは適度に会話をして、適度に飲んで、食事を楽しんでいた。
お酒が弱いのか、女性を目の前にしているからなのか、徐々に顔が赤くなってきた。
そこで隣にいる彼は舌打ちをし始め、そわそわと動き出した。
「こりゃ悪魔として、放っておく訳にはいかねーよなー?」
:10/11/04 17:07 :F06B :☆☆☆
#70 [匿名]
同意を求められても僕は天使で、悪魔にはなれないから彼の気持ちは分からない。
「君は悪魔だもんね。」
と質問の答えにはなっていない返事をした。だが僕の答えに彼は納得したみたいだ。
「だよな!そうだよ。俺は生まれてこの方人間の幸せを願った事はねーんだよ。幸せそうな笑顔を見ると虫酸が走る!」
嫌な顔をして彼は肩と顔を震わせた。
:10/11/04 17:12 :F06B :☆☆☆
#71 [匿名]
その時下では、女性が席を立っていた。きっとトイレだ。
「ってことで行ってくるわ!幸せな時間はここまで」
ニヤッと笑う彼は実に恐ろしい。
お手柔らかに、と彼に言うが、聞く耳は持っていない。
:10/11/04 17:17 :F06B :☆☆☆
#72 [匿名]
女性トイレ付近で、女性が出て来るのを彼は待っている。
黒いスーツをきて、髪の毛も後ろに流して整えられている。僕達は思い描いた格好に一瞬にして変える事が出来る。
少しして女性は出てきた。
彼の前を通り過ぎようとしたとき、彼は呼び止めた。
「あの、あなたあそこに座ってる男性と一緒に来られた方ですよね?」
いつになく丁寧な喋り方の彼が、後ろ姿のターゲットを指差す。
「えぇ、そうですがなにか?」
いきなり見ず知らずの若者に言われ、警戒をしている。当たり前の事だ。
:10/11/04 17:27 :F06B :☆☆☆
#73 [匿名]
「これは忠告です。ター…た、多分あなたははめられています。」
何の話ですか?と女性は怒った顔をした。
「簡単に説明します。あの男性は詐欺師です。あの方は結婚していて、その妻と二人で詐欺をしているんです。」
「おっしゃってる意味がよくわかりません。からかっているのなら私ではなく、他を当たって下さい!」
完全に怒ってしまった。彼の口からあんな嘘が出てくるとは思わなかった。
:10/11/04 17:34 :F06B :☆☆☆
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