天使と悪魔の暇潰し
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#125 [匿名]
「…あ、あなたは!どうしてここに?」
ターゲットは驚いた顔をしている。
「私、あなたに謝らなければならない。ごめんなさい!あんなに酷い事を言ってしまって。ずっと後悔してたんです。あなたを信じてあげなかった自分を恨みました。」
とうとう女性は泣き出してしまった。
「あなたは悪くありません!泣かないでください。」
ターゲットは柵に手をかけ、女性を心配している。
:10/11/14 12:16 :F06B :☆☆☆
#126 [匿名]
「もう一度私とデートしていただけませんか?」
「え?」
聞き取れなかった訳ではないだろう。
「もう一度私とデートをしてください。」
女性は必死だった。
ターゲットも泣き出しそうだ。目は真っ赤で涙が溜まっている。
「こんな僕とですか?…僕、たった今首になっちゃったんです。いらない人間なんです。誰からも必要とされない、邪魔な人間なんです!こんな僕があなたとデートだなんて…」
:10/11/14 12:22 :F06B :☆☆☆
#127 [匿名]
「邪魔なんかじゃない!」
女性は叫んだ。
「邪魔なんかじゃないです。必要なんです。私には、あなたが必要なんです!あなたに合わない会社なんて辞めればいい!私が支えますから、一緒に頑張りましょう?そして私を支えてください。」
ターゲットは泣いた。子供のように声をあげて。
足が震えている。やっと死ぬ事への恐怖が、戻ってきたみたいだ。
:10/11/14 12:28 :F06B :☆☆☆
#128 [匿名]
「また俺の負けかよ。」
彼はいつの間にか、僕の隣に戻って来ていた。
「でも今回は、今まで以上に手こずったよ。彼女が来なかったら僕は負けてた。」
「来るって分かってたんだろ?」
ああ、わかっていた。必ず来ると思っていた。だけど僕は、いや、と否定しておいた。
:10/11/14 12:32 :F06B :☆☆☆
#129 [匿名]
その後、ターゲットはあの女性と結婚をした。
不景気らしいが会社も決まり、以前とは見違えるように働いている。
お腹の肉は一回り余計についたようだ。きっと女性の料理が美味しいのだろう。
幸せそうに笑っているターゲットを見ると、少しだけ嬉しくなった。
いつまでも続いて欲しいものだ。
:10/11/14 12:41 :F06B :☆☆☆
#130 [匿名]
3
僕は、かれこれ何百人ものターゲットを決めて暇潰しをしてきた。
初めての彼との暇潰しは、僕の圧勝だった。彼は自分が悪魔である事を忘れてしまっていたから。
:10/11/14 12:46 :F06B :☆☆☆
#131 [匿名]
一日目
「暇潰しって知ってるか?」
企んだ顔をして、彼は近寄ってきた。
暇潰し、僕も早くやりたいと思っていた。子供の天使と悪魔は、暇潰しの遊びはやってはいけない事になっている。
産まれてから何千年とたった。もう子供ではないので、暇潰しをしても何も言われなくなる。
:10/11/15 10:42 :F06B :☆☆☆
#132 [匿名]
「知ってるよ。ずっとやりたいと思ってた。君もだろ?」
「おう!やろうぜ。どーせ暇だしよっ。」
暇じゃなくても、彼は無理矢理暇を作って、遊ぼうとしてきただろう。
ターゲットは彼が決めた。大きな病院に入院している高校生の女の子。
髪の毛は黒く、大きな目、小さめな鼻に、薄い唇。華奢なので、どこかか弱そうに見える。
:10/11/15 10:53 :F06B :☆☆☆
#133 [匿名]
「まぁ、とりあえず行ってくるわ!」
彼は何の作戦も考えていないのに、下に降りて行った。僕には真似出来ないな、と少し感心した。
ターゲットは屋上で空を眺めていた。
「なんか見えんのか?」
何の躊躇いもなく、彼はターゲットの隣に立つと、声をかけた。
「ずっと空を見てたら、天使が見えたりしないかなーって。」
ターゲットは警戒もせず答える。
:10/11/15 12:24 :F06B :☆☆☆
#134 [匿名]
「天使じゃなくて、悪魔じゃダメなのか?」
その言葉に、ターゲットは一瞬戸惑うような顔付きになったが、すぐに緩んだ。
「悪魔は何かしてくれるの?」
「うーん、自殺を促す。」
彼は少し考えたが、あまりいい答えが出来ていないようだ。だがターゲットは笑った。
:10/11/15 12:30 :F06B :☆☆☆
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