天使と悪魔の暇潰し
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#173 [匿名]
一瞬だった。
一瞬だけ、彼はターゲットの肩を抱きながら、キスをした。
「お前のやり残した事は、叶ったか?」
「…うん。」
下を向いたのは二人ともで、目を合わせようとしなかったのも二人ともだった。
:10/12/04 21:57 :F06B :☆☆☆
#174 [匿名]
人間の恋人同士を見ているようで、心が温かくなる。でも実際は違う。
人間と悪魔。
一緒に過ごす事は出来ない。
彼は、ターゲットのやりの残した事を、叶えてあげただけだ!と言い張るが、本心には聞こえなかった。
その日は1日中、彼の様子がおかしかった。
:10/12/06 15:04 :F06B :☆☆☆
#175 [匿名]
五日目 最終日
あれから、彼はターゲットの様子を見る事なく、ボーッとしたり、あたふたしたりの繰り返しで、忙しそうに過ごしていた。
僕は下に降りるタイミングを計っていたが、なかなか掴めず、見舞いに来たお母さんが、ターゲットのいる病室に着いてしまった。
今日も目が腫れている。
:10/12/06 15:10 :F06B :☆☆☆
#176 [匿名]
大切な話がある、とお母さんはターゲットをどこかへ連れて行った。
そして結局、下に降りる事なく、四日目が終わってしまった。
そして今日、最終日。
僕は下に行く必要はなかった。もうターゲットの気持ちは固まっているに違いない。
僕が何をしても、きっと何も変わらない。変える必要もない。
彼には何も言わず、二人を上から眺める事にした。
:10/12/06 15:15 :F06B :☆☆☆
#177 [我輩は匿名である]
あげ”(ノ><)ノ
:10/12/09 07:35 :S001 :w3hWK2fI
#178 [もも◆DwVzW5MnkQ]
続ききになります
:10/12/09 13:59 :SH02A :3xmwpjNA
#179 [匿名]
:10/12/10 01:12 :F06B :☆☆☆
#180 [匿名]
「これ。」
彼が手に持っているのは小さなビンで、中に薬のようなものが入っている。それをターゲットに手渡した。
「盗んできた。これ飲めば、楽に死ねる。あとはお前のタイミングで飲め。俺が居たら嫌なら帰る。見届けて欲しいなら此処に居る。」
「…うん。」
ターゲットは、手に持っているビンを見つめながら呟いた。
:10/12/10 01:27 :F06B :☆☆☆
#181 [匿名]
「私さ、絶対に治らないから、早く死にたいって思ったんだ。」
「おう、聞いた。」
「これ以上苦しむのが怖くて…これ以上、私が私じゃなくなるのが怖かった。」
彼は黙ってターゲットの話を聞いている。
:10/12/10 01:32 :F06B :☆☆☆
#182 [匿名]
「これ以上、お母さんに泣いて欲しくない。私のせいで誰かが苦しんでると思ったら、なんか…なんか痛くて。」
ターゲットは苦しそうな顔をしている。
「こんな状態で生きているのが、辛かった。」
今まで溜まっていた物が、言葉と一緒に流れ出た。
辛いに決まっている。
痛いに決まっている。
:10/12/10 01:40 :F06B :☆☆☆
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