天使と悪魔の暇潰し
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#221 [匿名]
「あいつヒデェ生活してんなー。あの散らかりよう見ると、毎日こんな生活してんじゃねぇの?」

彼はターゲットを見る時、いつも苦い顔をする。生理的に受け付けないんだろうな。彼と一緒で、僕も受け付けない。

人を殺しておいて、いつもと変わらない毎日を送っているなんて、信じられない。

「僕、あの家行って来ようかな。」

一軒家で、両親と住んでいる事は分かった。父親はいなかったが、きっと仕事だろう。母親がせっせと晩御飯を作っている。

⏰:10/12/26 11:44 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#222 [匿名]
「じゃあ俺も行くよ。幽霊になってな!」

あまり乗り気にはなれなかったけど、彼と一緒に行く事にした。勿論彼は姿を消している。人間には見えないけど、僕には見える。彼の前に来たらうっすら姿を現すんだろう。

ターゲットの家の前。何のへんてつもない普通の一軒家だ。「金子」というらしい。

ピンポーン。
彼がインターホンを勝手に押した。

⏰:10/12/26 11:52 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#223 [匿名]
「はい!」

きっと母親だろう。女性の声が聞こえる。

「あ、すみません。鈴木と申しますが、息子さんとお話がしたいんですけど。」

鈴木と適当に名乗った。

「お前なんか怪しくねーか?もっとそれらしーこと言えねぇのかよ。」

「君が勝手に押したから、何も考える時間なかったんだよ。」

⏰:10/12/26 11:57 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#224 [匿名]
僕たちが言い合っていると、ガチャっとドアが空いた。

「どうも。あのーどういったご用件で。うちの息子は人と関わりを持たない方なので…。」

とても優しい雰囲気を感じたが、どこかビクビクしていて、何かに怯えているようだった。

「この間知り合いましたので、もう少しお話がしたいと思いまして。」

当たり障りのないように言ったつもりだった。

⏰:10/12/26 12:05 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#225 [匿名]
「あぁ。とてもありがたいのですが、話すことが苦手な子なので、あなたには会うかどうか…。でも、どうぞ。せっかくですので上がってください。」

結構簡単に家に入れてくれた。とても綺麗で、埃一つないほどだ。居間でお茶を入れてくれ、息子に声をかけてきますね、と二階に上がって行った。

僕は二人の会話を聞くことにした。

⏰:10/12/26 12:15 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#226 [匿名]
「たけるー?お友達がきてるわよ。」

ドアをノックして、中には入らずにターゲットに声をかけている。ターゲットは「たける」というらしい。

「……………」
ターゲットの部屋からは何の声も聞こえて来ない。無視している。

「たけるー?」

母親はもう一度呼び掛けた。

その瞬間ドンっと何かがドアに当たる音がした。たまらず短い悲鳴をあげてしまった母親や、何も言わずに僕達がいる居間に下りてきた。

⏰:10/12/27 17:07 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#227 [匿名]
だいたいの予想はつく。
ターゲットは母親との会話を拒否し、僕たちとの面会も拒否した。

昨日会った時の印象と、何も変わらない。ただただ、不愉快だった。

「ごめんなさいねぇ。あの子いつもあんな感じなのよ。」

母親は苦笑しながら言う。そして遠回しに帰ってくれないかしら、と僕に伝えて来た。

⏰:11/01/03 22:46 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#228 [匿名]
僕には帰る気などなかった。もし僕が帰ろうとしても、彼は残るだろう。それが気に食わなかったのだ。

「僕から声をかけてみます。」

僕は母親の、帰れという意味合いの言葉を無視し、そう伝えた。

そして立ち上がり、え?あ?と動揺している母親を完全に無視して階段を上がる。

僕が部屋をノックするまで、母親は下から僕の様子を見ていたが、ノックがすみ、ターゲットの部屋から大きな物音が聞こえると居間の奥の方へと引っ込んでしまった。

⏰:11/01/03 22:53 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#229 [匿名]
「あのー僕のこと分かりますか?あ、声だけじゃ分からないかな…。君とお話がしたくて来たんだけど。」

僕の得意な、出来るだけ優しい声でターゲットに問いかける。

物音は聞こえない。


「中に入ってもいいかな?」

何も聞こえない。

「じゃあ開けるよ!」

半ば強引に中に入る事にした。ドアノブを握り、捻る。

鍵がかかっていて、少ししかドアノブは回らない。事を想像していたが、意外にも鍵はかかっていなく、すんなりと開いてしまった。

⏰:11/01/03 22:59 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#230 [匿名]
ドアを開けると上で見ていた通り、とても汚い。そして臭いもきつい。汗のような油のような臭いと、食べ物の腐った臭い、そしてタバコ。

一瞬にして気分が悪くなった。

「僕の事を覚えているよね?」

吐きそうな気持ちを押さえて、ニコッと微笑んだ。

ターゲットは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに真顔に戻った。

「何で家が分かったのー?怖いねー。もしかして昨日つけてたのー?気付かなかったな。」

にやにやとパソコンを見ながら言葉を発しているターゲットは、僕を全く見ない。

「昨日の事、誰かに言ったのー?ニュースでは犯人は捜索中ってなってたけど。」

⏰:11/01/03 23:09 📱:F06B 🆔:☆☆☆


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