天使と悪魔の暇潰し
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#238 [匿名]
僕がそう思うと同時に、彼が姿を表した。
僕には何も変わらずに見えるのだけど、今、ターゲットにも見えるようになった。
「うわああああ!!」
ターゲットが叫んだ。
僕を殺そうとしたのではなく、死んだはずの彼が見えたから、恐怖を感じているのだ。
「よくも…よくも…!」
彼も幽霊らしい演技をしている。
:11/01/05 17:24 :F06B :☆☆☆
#239 [匿名]
「どうした?」
うわああと叫びながら、後ろに尻餅を付いたターゲットに言った。
僕には何も見えない。
幽霊のフリをして、少し床から浮いている彼は、僕には見えない。見えるのはターゲットにだけ。
と、心の中で何度も唱えて、出来るだけ彼を見ないようにする。
「き、きき、きみ、き、きみには、み、み、みえ、み、みえないのか!」
見えます。
:11/01/08 15:25 :F06B :☆☆☆
#240 [匿名]
「何が?」
危うく彼の方に視線を移す所だった。彼は僕の斜め前に立ち、ターゲットの方を向いている。
「き、き、きみ、きみの友達だ!」
幽霊がそんなに怖いのかってくらい、ターゲットはビクビクしていた。
「僕は悪くない。僕は正しい。歯向かった罰だ。彼が悪い。死んだ奴が悪い。死んで当然だ…」
ターゲットはうずくまり、小さな声で呟き始めた。
:11/01/08 15:32 :F06B :☆☆☆
#241 [匿名]
自分を正当化するような言葉の数々に、徐々に苛立ち始めた。
死んだ彼が悪い?正しくは死んではいないけど。
彼は急に刺された。確かに言葉は汚かったが、悪いのは完全にターゲットだ。
なのに、自分の罪は認めない。悪いのは自分じゃない。全て周りが悪い。
僕は天使だ。
こんな人間でも救いたい。
なんて思うはずがない。こんな人間は死んでしまえばいい。
僕は天使だけど、悪魔の友人を持つと、こうなってしまうみたいだ。
:11/01/08 15:38 :F06B :☆☆☆
#242 [匿名]
三日目
「お前も怒った顔、初めて見たわー!」
清々しい顔をして現れたのは彼。
確かに僕は、滅多に怒らない。イラッとしても顔に出す事はまずない。
だが昨日は、こんな僕でも怒りは抑えられなかった。
ターゲットのあの言葉を聞いてから僕は、すぐに家を出た。
すぐにというか実際には、
「人間の中にはクズがいると聞いたが、まさに君のことだな!」
と言ってから、その場を去った。
:11/01/08 22:09 :F06B :☆☆☆
#243 [匿名]
「お前があんな事言うとはなー!俺可笑しくなって笑いそうになっちまってよー、必死に堪えたんだよ!」
ゲラゲラと笑いながら、彼は昨日の話をする。
半分は彼の為に怒ったようなものだが、全く理解していなかった。
少しくらい察しても良いのでは、と思ったが、やっぱり理解しなくていい。
変に恥ずかしい気持ちになる。
:11/01/08 22:15 :F06B :☆☆☆
#244 [匿名]
「お前が出てったからどーしようかと思ったけど、充分びびらせたぜ!お前が死ぬまで呪ってやるーって言ったら、あいつ泣きそうになってやんの!」
ギャハハッと彼は笑う。
いつもなら、彼の好きにさせてたまるか!と思うのだけれど、今回は思わない。
このまま彼の圧勝でも構わない程、僕はターゲットが嫌いになっていた。
:11/01/09 19:07 :F06B :☆☆☆
#245 [匿名]
「じゃあ俺はターゲットんとこ行くから!二時間たっぷりびびらせてくるからよー!」
ひらひらと手を降って、彼は消えて行った。
僕はこれからどうしようか、彼の幽霊ぶりを上から見て、悩んだ。
:11/01/09 19:13 :F06B :☆☆☆
#246 [匿名]
彼はターゲットの部屋にふわっと現れると、ずーっと睨み付けた。
許さない。だとか、呪ってやる。なんて台詞を幽霊の演技で言っている。
死ねばいいんだ。とも言っていた。
そしてターゲットは、二時間ずっと震えていた。
最後の方は、ごめんなさいと謝りもしていたが、それが本心から出た言葉なのかは、判断出来なかった。
ただ恐怖から逃れたくて、出た言葉にも感じる。それなら僕は、本当に呆れる。
暇潰しだろうと関係ない。勝負なんてどうでもいい。
:11/01/09 23:41 :F06B :☆☆☆
#247 [匿名]
イライラとした気持ちが晴れないまま、1日が終わった。
彼は相変わらず楽しそうに、今日のターゲットの様子を喋っている。
このまま彼の事を援護し、自殺させてやろうかと考えた。が、彼に拒否された。
「そんなつまらねぇ暇潰しはしたくねぇな!」
:11/01/09 23:45 :F06B :☆☆☆
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