天使と悪魔の暇潰し
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#36 [匿名]
「なんで?あの!僕は本当にやってないんです。何かの間違いです!!」
見に覚えのない事が起き動揺している。
「そんな事言われても実際に鞄の中から出てきましたからねぇ。それに皆最初はやってないって言うんです。認めないと帰れないですよ。」
店長は慣れているみたいだ。
「しかもまた何でこんな安いお菓子を万引きしたんです?これくらい買えるでしょう?」
それもそうだ。
:10/10/23 18:07 :F06B :☆☆☆
#37 [匿名]
「お金は払います。」
「そういう問題じゃないんですよ!!」
「でも本当にやってないんです。」
「はぁ。」
「こんなばかな事しないですよ…」
「何で認めないんだ?」
そんな会話を15分くらい続けている。本当に可哀想なターゲットだ。
弱気な性格なのか怒鳴ったりはしない。
:10/10/23 18:11 :F06B :☆☆☆
#38 [匿名]
「分かりました。今回は一度目なので警察には通報しません。…お菓子一個だけですし。」
「…はぁ」
「もう帰っていいですよ。」
「はい…」
下を向いたままターゲットは立ち上がり、ドアの前で一礼し外へ出た。
:10/10/24 15:16 :F06B :☆☆☆
#39 [匿名]
僕はターゲットに接触しようと思った。もう彼は下には居ないみたいだし、何もしないでいるわけにはいかないからだ。
相変わらずターゲットは下を向いたまま暗い顔をしてゆっくり歩いている。ターゲットの周りだけ空気がどんよりしている
「あのすみません。」
ターゲットの鞄から落ちたハンカチを拾う。正確に言うと落ちたではなく、僕が落としたのだ。
:10/10/25 18:05 :F06B :☆☆☆
#40 [匿名]
今度はなんだ?と言いたげな嫌な顔をしてターゲットが振り返る。
「あの、これ落としましたよ。」
できるだけ優しい言い方で、できるだけ嫌味のない笑顔を向けた。
さっきの彼とは違う親切な青年に見えたみたいだ。ターゲットの顔が少し和らいだ。
「あぁ、すみません!ありがとうございます。」
:10/10/25 18:09 :F06B :☆☆☆
#41 [匿名]
なんだ…と呟き僕の手からハンカチを受けとる。
「すみません、ありがとうございました。」
ターゲットは丁寧にお辞儀をし、前を向こうとする。
「何かあったんですか?」
突然の僕の問いにターゲットは、え?と目を丸くする。
「いや、なんだって言われたので何かあったのかと思いまして。」
:10/10/25 19:00 :F06B :☆☆☆
#42 [匿名]
「あぁ、ちょっとね不運な事が起こりまして。最近そんな事ばかりでね、いろんなものを警戒してしまうんですよ。」
「そうでしたか」
「ああ、ごめんなさい!こんな愚痴聞きたくないですよね。」
頭をポリポリとかき、照れているのか恐縮しているのか分からない顔をしている。
:10/10/25 19:14 :F06B :☆☆☆
#43 [匿名]
「いえ、そんな事ないですよ。」
そんな事はない。あなたの気持ちが知りたいから。そこで優しい言葉をかけて自殺から救わなくてはいけないから。
「死にたいって思います?」
唐突な僕の質問にターゲットはまた、え?と驚いた顔をする。きっと彼の仕業以外にも不幸な事は沢山起きているのだろう。その度に死にたいと思うに違いないと僕は思った。
:10/10/26 16:35 :F06B :☆☆☆
#44 [匿名]
人間は小さな不幸があると、あーもう死にたい!と口にする。
テストの点数が悪かったり、恋人に振られたり、上手く行くはずの仕事が失敗したり、浮気された時。大好きなカレーを白い洋服にこぼした時や、沢山の人が通る場所で派手に転んだ時。
僕からしたらそんな事はどうだっていいのだ。
全く興味がない。
いや、馬鹿馬鹿しくて笑う事もできない。
:10/10/26 16:42 :F06B :☆☆☆
#45 [匿名]
「死にたいか…そうだな、死にたいかもなぁ。死んだら楽になるのかな。会社で上司には無意味に怒鳴られて、女性社員には気持ちわるがられてさ、僕、何もしてないのに。さっきも万引きしたと間違えられたし、昨日もおっかない若者に絡まれてとっさにお金渡しちゃったよ…だらしないよなー。僕の人生って不運な事で出来ているような気がするよ。」
ハハッと無理矢理笑うターゲットの顔は生気が感じられなかった。
:10/10/26 16:49 :F06B :☆☆☆
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