天使と悪魔の暇潰し
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#40 [匿名]
今度はなんだ?と言いたげな嫌な顔をしてターゲットが振り返る。

「あの、これ落としましたよ。」
できるだけ優しい言い方で、できるだけ嫌味のない笑顔を向けた。

さっきの彼とは違う親切な青年に見えたみたいだ。ターゲットの顔が少し和らいだ。

「あぁ、すみません!ありがとうございます。」

⏰:10/10/25 18:09 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#41 [匿名]
なんだ…と呟き僕の手からハンカチを受けとる。

「すみません、ありがとうございました。」

ターゲットは丁寧にお辞儀をし、前を向こうとする。

「何かあったんですか?」
突然の僕の問いにターゲットは、え?と目を丸くする。

「いや、なんだって言われたので何かあったのかと思いまして。」

⏰:10/10/25 19:00 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#42 [匿名]
「あぁ、ちょっとね不運な事が起こりまして。最近そんな事ばかりでね、いろんなものを警戒してしまうんですよ。」

「そうでしたか」

「ああ、ごめんなさい!こんな愚痴聞きたくないですよね。」

頭をポリポリとかき、照れているのか恐縮しているのか分からない顔をしている。

⏰:10/10/25 19:14 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#43 [匿名]
「いえ、そんな事ないですよ。」

そんな事はない。あなたの気持ちが知りたいから。そこで優しい言葉をかけて自殺から救わなくてはいけないから。

「死にたいって思います?」
唐突な僕の質問にターゲットはまた、え?と驚いた顔をする。きっと彼の仕業以外にも不幸な事は沢山起きているのだろう。その度に死にたいと思うに違いないと僕は思った。

⏰:10/10/26 16:35 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#44 [匿名]
人間は小さな不幸があると、あーもう死にたい!と口にする。

テストの点数が悪かったり、恋人に振られたり、上手く行くはずの仕事が失敗したり、浮気された時。大好きなカレーを白い洋服にこぼした時や、沢山の人が通る場所で派手に転んだ時。

僕からしたらそんな事はどうだっていいのだ。

全く興味がない。

いや、馬鹿馬鹿しくて笑う事もできない。

⏰:10/10/26 16:42 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#45 [匿名]
「死にたいか…そうだな、死にたいかもなぁ。死んだら楽になるのかな。会社で上司には無意味に怒鳴られて、女性社員には気持ちわるがられてさ、僕、何もしてないのに。さっきも万引きしたと間違えられたし、昨日もおっかない若者に絡まれてとっさにお金渡しちゃったよ…だらしないよなー。僕の人生って不運な事で出来ているような気がするよ。」

ハハッと無理矢理笑うターゲットの顔は生気が感じられなかった。

⏰:10/10/26 16:49 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#46 [匿名]
彼の悪戯が効いているみたいだ。

さぁ、1、2、3で目を瞑ればそのまま死ねます!せーのっ!とカウントダウンを始めたら何の迷いもなく目を瞑るだろう。今のターゲットなら。

「死んでも大変ですよ?まず死人の行列に並ばなきゃいけないんです。」

⏰:10/10/26 20:56 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#47 [匿名]
そう。この地球にいる人間を含めた生き物は一日に何万と死んでいる。
死んだ瞬間死人の行列に並び順番を待つ。
神様への列だ。

神様は、何故死んだか、やり残した事はないか、生前の悪事など様々な事を聞かれる。

それまでの行列に大体二年は並ぶことになる。

⏰:10/10/26 21:03 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#48 [匿名]
「行列?」
ターゲットはハハッと笑う。

「そうです。神様までの。それから神様にいろんな事を聞かれるんです。面倒臭いですよ。特に自殺の場合は質問が多くて。」
僕は正直に事実を伝えた。励ますつもりではなく、笑わせようとしたつもりもない。

「君は面白い事を言うんですね!ありがとう。自殺は面倒臭そうだから止めとくよ。」

⏰:10/10/26 21:11 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#49 [匿名]
三日目

とりあえず昨日は良かったんじゃないかな。最後に笑ったターゲットは今まで見たことのない顔をしていた。

彼も自分がターゲットと接触してからはどこかへ行ってしまって、僕とターゲットの接触は全く見ていなかった。

きっとハンバーガーでも食べに行ったのだろう。マイペースな所が彼の長所だ。

⏰:10/10/29 19:52 📱:F06B 🆔:☆☆☆


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