天使と悪魔の暇潰し
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#55 [匿名]
「やぁ、昨日はどうもありがとう。覚えているよ。あんな事を言う人には出会った事がなかったから、印象深かったよ。」

まあ、人間は神様の事なんて全く知らないから、あんな忠告は出来ないだろう。


「ところで何をしているんです?一人で。」

「あ、いや、ちょっと待ち合わせで。」

何故か顔を赤くし、照れ始めるターゲット。実に気持ちが悪い。

⏰:10/10/30 12:03 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#56 [匿名]
この手の反応はきっと異性が絡んでくる。

「もしかしてデート?」
僕は悪戯っ子のような笑顔を作り、ターゲットの顔を覗き込んだ。

「よくわかったね。そうなんだ。こんな年になって恥ずかしいんですが、お見合いで先日出会った人でして。」

また照れ始めたターゲットは、僕に久しぶりの敬語を使った。

緊張からなのだろうか。

⏰:10/10/30 12:08 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#57 [匿名]
そこで今日のターゲットがビシッと決めている理由が分かった。

「がんばってください!」
と応援してみせる。

「ありがとう。」
と先程の緊張が少しほどけた顔つきになった。

「あ!そうだ!良いこと教えてあげます。以前知り合った女の子が言っていたんですけど…」

アドバイスか?とターゲットは激しく頷きながら僕に近付いてきた。必死さが伝わってきて、また気持ちが悪いと思ってしまった。

⏰:10/10/30 12:13 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#58 [匿名]
「女性は誰でも褒められる事が好きみたいです。綺麗ですねだったり、その服とてもお似合いですねみたいな。」

あぁ!と今度は深く頷き始める。

「あとは適度な強引さだったかな?次はあそこに行きましょう!とか、このお店でご飯を食べましょうとか。だけどここが難しくて、一度女性に伺わなきゃ駄目みたいです。行きたい場所はありますか?とか何か食べたい物はありますか?と。」

⏰:10/10/30 12:19 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#59 [匿名]
なるほど。と頭の中で、何度も何度もイメージトレーニングを繰り返している様子だった。

「それじゃあ、僕はこれで。また会う機会があったら是非聞かせて下さい。」
ニコッと笑って、その場を離れた。折角だからハンバーガーでも食べようと、近くのハンバーガー屋さんに入る。

僕が入ると彼も降りてきて、一緒に食べる事にした。

⏰:10/10/30 12:28 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#60 [匿名]
「おい!なんだよあのアドバイス!あれは俺が教えてもらったんだぞ!」

彼がドンッとぶつかってきた。

「あぁ、そうだったっけ?だいぶ前の事だから忘れちゃったよ。」

とぼけた顔で言う僕が、気に食わなかったらしい。舌打ちをしてハンバーガー五つ、奢らされた。

⏰:10/10/30 18:22 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#61 [匿名]
しばらくして僕達はターゲットの事が気になり始め、また上から眺める事にした。

するとすでに待ち合わせしてたであろう女性と一緒に歩いていた。

女性は肩までのストレートな黒髪で、年齢は三十代後半だろうか。目の周りの皺が目立つ。身長はターゲットよりも少し小さい位なので、女性の中では大きい方なのかもしれない。ベージュのワンピースを着ている。

知的で真面目そうな印象。どこか優しそうで、良いお母さんになりそうだ。

⏰:10/11/02 12:42 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#62 [匿名]
女性も少し緊張しているように見える。

案外お似合いな二人なのではと思う。

「このワンピースお似合いですね!」

早速ターゲットは先程僕が教えた事を言っている。

「本当ですか?今日は何を着るか凄く悩んだので、そう言ってくださると、とても嬉しいです。」

まるで十代の女の子のように無邪気に喜ぶ女性を見て、女はいくつになっても少女の気持ちを忘れたくないのよ!!と教えられた事を思い出した。

⏰:10/11/02 18:16 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#63 [匿名]
「今日は、あ、あの、フレンチのお店を、予約したんですが、だ、大丈夫ですか?」

緊張が隠しきれない様子のターゲットは、とても頼りなく感じる。三十代になって何年もたつのに、女性との接点はなかったんだろうな、と予測できた。

「えぇ、大丈夫です!好き嫌いもないですから」

女性の方が余裕がある。

⏰:10/11/02 18:22 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#64 [匿名]
それから二人はそのお店に向かった。

会話という会話はとくになく、今日は雨じゃなくてよかったですね、そうですね、寒くないですか?大丈夫です。を続けている。

黙ったままの時間もあったが、運良く早めにお店に着いた。

予約名を伝え、テーブルへと案内される。

綺麗な内装で、スタッフも皆、プロのサービスマンというかんじだ。

⏰:10/11/02 18:29 📱:F06B 🆔:☆☆☆


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