天使と悪魔の暇潰し
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#76 [匿名]
「あ、僕とのこの会話はあの男性にはバレないようにしてください。とても危険なので。…では、私は店の外で見張っております。」
一礼し、彼は外に出た。
女性はゆっくりとターゲットの元へ向かう。
「あ、大丈夫ですか?気分でも悪いですか?」
長い間トイレから帰って来ない女性を心配したのだろう。ただ今の女性にはターゲットの優しい言葉も全て嘘に感じている。
:10/11/04 17:52 :F06B :☆☆☆
#77 [匿名]
「え、えぇ。」
女性の顔は緊張していた。
「あの、一つお伺いしてもいいですか?」
女性はふぅと息を吐き、本題へと入ろうとした。
「ええ!何でも聞いてください!」
ターゲットは女性に興味を持たれているのが嬉しいようで、ウキウキしている。
:10/11/04 17:57 :F06B :☆☆☆
#78 [匿名]
「昨日何か大変なことが起こりましたか?」
遠回しのような、直球のような質問だ。
え?とターゲットは少し考えるが、すぐにはっと思い出した。
昨日は万引きの容疑をかけられていたのだ。
「あ、えっと、その…な、なにもなかったですよ!!何もしてないです!!」
ターゲットは万引きをしたと思われては確実にふられてしまうと思い、必死に隠そうとした。
:10/11/04 18:02 :F06B :☆☆☆
#79 [匿名]
素直に、やってもいない万引き犯だと思われて大変だったんですよ、と笑い飛ばせば良かったのに。
その怪しい反応に女性は確信したようだった。
「信じてました。残念です。ガッカリです!」
いきなり目を潤ませる女性を見て、ターゲットは慌て出した。
「な、な、なんの話ですか?」
万引きの事がばれたのか?と青ざめた顔になる。
:10/11/04 18:07 :F06B :☆☆☆
#80 [匿名]
「私を騙してたんですね!誠実そうな顔をして、そんな最低なことをするだなんて…!もうこれ以上あなたには会えなくなりました。もう顔も見たくありません!!二度と連絡してこないでください!!」
女性は勢いよく席をたつと、迷わずお店を出た。
ターゲットはポカーンと口を開けたまま、何が起きたのか理解出来ていない。
追い掛ける事すらできずにいる。
:10/11/04 18:12 :F06B :☆☆☆
#81 [匿名]
「思った以上に上手くいったぜ!」
店の外で見張るといった彼は、迷わず上へ戻ってきて、僕の隣で二人の様子を見ていた。
「店の外にいなくていーのか?」
僕が訪ねると
「こっちの方が見やすいしな!外からじっと見てたら怪しいだろ?」
と、答えた。
「あんな不様なふられ方しちゃー死にたくもなるよなぁ?唯一の光だった優しい女に嫌われたんだ!」
:10/11/04 18:18 :F06B :☆☆☆
#82 [匿名]
そうだなぁ、確かに今生きる人間は死にたくなるのかもしれない。と天使のくせに僕は思った。
ターゲットにとってあの女性は、最後のチャンスだったのだろう。
ターゲットは女性恐怖症になったかもしれない。
最後だと決めた恋が呆気なく終わりを迎え、何もかも終わったと勘違いをしただろう。
:10/11/04 18:23 :F06B :☆☆☆
#83 [匿名]
恋愛、仕事、学業、趣味、食事、友人。
人間の心は全てを1つの風船に入れてしまう。何かがダメになり、その部分に針が刺さるとパンッと風船は割れて、他の物まで一緒に粉々に萎れてしまう。
一つ一つを違う風船に入れればいいのだ。一つの風船、例えば恋愛の入った風船が割れても、他の友人が入った風船、趣味が入った風船は割れない。
他に頼る風船があるのだ。
:10/11/04 18:32 :F06B :☆☆☆
#84 [匿名]
今のターゲットは完全に前者だろう。
食事のコースはメインが出たばかりだった。
ターゲットは残りを食べる気もなく、途中で席をたち、会計を済まし一人で店を出た。
足取りが重く、一歩一歩にいろいろな思いが積もっているように感じた。
僕は今ターゲットの所に行こうか迷ったが、止めた。きっと僕の慰めの言葉は、逆効果になるような気がしたのだ。
:10/11/04 18:39 :F06B :☆☆☆
#85 [匿名]
四日目
今日のターゲットは一日目と同じスーツを着て、仕事をしている。
案の定表情は暗い。
仕事もはかどらない様で、パソコンに向かって作業をしたかと思えばすぐに手が止まり、考え事をしている。その繰り返しで、時計は12時を回っていた。
同僚達は昼食を取るべく出掛けていく。ターゲットはそれでもまだ考え事をしている様子だった。
:10/11/06 22:42 :F06B :☆☆☆
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