亡き君に告ぐ
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#7 [不発花火]
「しっかり掴まってるんだよ?」

手放さないように。

「うん!もっと、もっと高く―」

あの時のように、手放さないように。

僕は少し強めに背中を押すが、君はまだ満足出来ないのか『もっと、もっと』と楽しそうに笑っている。

ふと、雨が降り出した。

ポツポツと雨粒が乾いた地面に小さな染みを作り、地面の色を変えていく。

「さあ、雨が降って来たよ。お家に帰ろうか」

また天気が良い日に、君に会いに行くよ。
そしたら君に謝りたいことがあるんだ。

⏰:10/12/17 22:10 📱:SH04B 🆔:f3tn8iq6


#8 [不発花火]
「―どうして?」


君は許してくれるだろうか。


「どうして、って雨が降ってるからだよ。風邪を引いてしまうだろ?」


僕からは君の顔は見えない。
僕の心臓は急激に早く鼓動を刻み始めた。

声は震えていなかっただろうか。


「あの時は雨が振ってても、もっと強く背中を押してくれたのにね?」

ぐるり、と180度君の顔が僕の方を向く。

人間では、有り得ない向きで君は僕の顔を見ている。

「ひっ」

つい嗚咽が漏れてしまい、慌てて手で口を塞ぐ。

心臓の音が煩い程に鳴っている。

⏰:10/12/17 22:10 📱:SH04B 🆔:f3tn8iq6


#9 [不発花火]
「どうして僕を置いてったの?」
「僕はまだ生きていたのに」
「どうして?」


君は僕を許してくれるだろうか。

「ごめ、ごめん…本当にごめん…怖かったんだ…責められるのが」


『君を殺した』と責められるのが。


あの日たまたま雨が振っていて、僕はブランコを漕ぐ君の背中をいつものように押していたんだ。

ほんの少しの雨だったから、構わず親友である君と遊んでたんだ。

君を喜ばせたくて、雨粒がキラキラと宝石のように綺麗だったから、いつもより強く背中を押していたんだ。

⏰:10/12/17 22:11 📱:SH04B 🆔:f3tn8iq6


#10 [不発花火]
『立ったら、きっともっと楽しいよ』

その言葉で立ち上がった君の背中を僕が強く押した瞬間、雨で濡れた鉄で出来た手摺りから君は手を離してしまい、君の小さな体は宙を舞った。

高く飛んだ君の体は地面に強く叩き付けられ、しばらくビクビクと痙攣し、血を吐き出した後ピクリとも動かなくなった。

僕は怖くなってしまい、逃げ出してしまった。

「違、違う…助けたかったんだ…本当だよ…ごめん、ごめんよ…」

「嘘だ」

無表情な君からは、何も感じられなかった。

怒りも悲しみも何も感じられない、君。

僕はただそれに恐怖を感じるしかなかった。

⏰:10/12/17 22:11 📱:SH04B 🆔:f3tn8iq6


#11 [不発花火]
「今度は僕が背中を押してあげるよ」

雨が、強くなった。


END

⏰:10/12/17 22:12 📱:SH04B 🆔:f3tn8iq6


#12 [不発花火]
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4867/
感想、意見等はこちらにお願い致します(`・ω・´)!

⏰:10/12/17 22:23 📱:SH04B 🆔:f3tn8iq6


#13 [不発花火]
自分で言うのも何だが、俺は有名な指名手配犯だ。

無差別殺人だし、今だ顔すら警察に割れていないからこうして街中で顔を晒していても俺が今まで人を10人以上殺してる殺人犯なんて誰も気付きやしない。


「お兄さん、さっきからあたしのことばっか見てるよね?」


気付きやしない。


指名手配犯

⏰:10/12/17 22:45 📱:SH04B 🆔:f3tn8iq6


#14 [不発花火]
「見てねーよ。俺はお前の後ろにあるマックの広告を見てたんだよ」

生憎俺は太い生足を惜しみ無く晒しているJK(女子高生)には興味がないんだ。勘違いもそこまで来るとアッパレだ。

やはり女は年上に限る。(ちなみに俺は明日で24歳になる)


「うっそだー。さっきからあたしのことずっと見てたもん」

「見てねーよ。お前の太い足になんかより俺はビックマック200円の方が魅力的だ」

「太い足って、やっぱ見てんじゃん」

「…」

⏰:10/12/17 22:46 📱:SH04B 🆔:f3tn8iq6


#15 [不発花火]
うぜぇ、この女。
殺してやろうか。

周りに人は今のところほとんどいないし、たまに人が通るくらいだから、今ここで俺がこの女を殺して逃走したところで俺の顔を覚えてる人間なんか誰もいない。

精々「誰かいたような気がする」くらいだ。

それに俺自身最低な人間なので、女だからって容赦しない。

まだ生まれて間もないガキだって殺してんだ。


「まあいいや。お兄さんさ、あたしと同じだよね」

前略、殺していいですか。
俺はポケットから折り畳みのナイフを取り出す。

心臓を一突き、もしくは血まみれになる覚悟で頸動脈を切るかのどっちかだ。

「俺はお前とは違う」

⏰:10/12/17 22:46 📱:SH04B 🆔:f3tn8iq6


#16 [不発花火]
お前みたいな何も考えてなさそうなパッパラな女子高生と優秀な殺人犯の俺を一緒にするな。

「一緒だよ」

我慢ならん。殺す。

俺は女子高生の首元にナイフを当てるが、女子高生は顔色一つ変えずに言葉を吐き出した。

「人を殺すなら、躊躇わずにやらなきゃ駄目だよ」

ドスッと衝撃が走り、口から血が溢れ出した。

「ちなみに私が殺した数はお兄さんで44人目だよ」

倒れる瞬間、マックのポスターの横に女子高生の顔写真の上に「指名手配犯」と書かれた髪が貼ってあるのが見えた。

「お兄さんが私に気付いてさっさと殺していれば助かったかも知れないのにね」

沈む意識の中、笑い声が聞こえた。



END

⏰:10/12/17 22:46 📱:SH04B 🆔:f3tn8iq6


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