亡き君に告ぐ
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#1 [不発花火]
初めまして。
不発花火と申します。
オムニバス形式で色々な話を書いていきたいと思います。
グロ、ホラー等混ざりますので苦手な方は注意してください。
:10/12/17 22:06
:SH04B
:f3tn8iq6
#2 [不発花火]
ギィギィ、と錆びた音が廃れた公園に響き渡る。
僕の横でブランコを漕ぐのは、あの時と何一つ変わらない君。
亡き君に告ぐ
:10/12/17 22:07
:SH04B
:f3tn8iq6
#3 [不発花火]
僕がまだこの公園で遊んでいた時は、周りは古びた団地で、道路を渡ってすぐに優しいおばあちゃんがいる駄菓子屋があって、その少し離れた所に友達の家が経営している本屋があったはずだった。
でも今は見渡しても駄菓子屋も本屋も古びた団地もなく、コンクリートのビルや綺麗な高層マンションがそびえ立っていた。
その中でこの廃れた公園だけは昔と何一つ変わらずに、まるでここだけ世界が違うように佇んでいた。
:10/12/17 22:08
:SH04B
:f3tn8iq6
#4 [不発花火]
でも、昔はたくさんの子供達やその母親で賑わっていた公園も、今ではしんと静まり返っている。
ただ、ブランコの音がギィギィと鳴り響いている。
「君は変わらないな」
ブランコを囲む鉄柵に座る僕の横で無言のまま小さくブランコを漕ぎ続ける君に僕は話し掛けた。
十何年という長い時間は、僕を大人にするのは充分すぎる程だった。
:10/12/17 22:08
:SH04B
:f3tn8iq6
#5 [不発花火]
大人になった僕は、小さい頃の面影なんてない程に成長していた。
顎髭なんか生やしているし、似合わないスーツだって毎日のように着ている。
昔のようにTシャツと短パンで駆け回ることもなくなった。
でも君は何一つ変わらず幼いままだ。
どれ程の時間が経ったのだろうか。
僕は君が亡くなってから、一体何年この公園に足を運ばなくなったのだろうか。
「おじさん、誰?」
まだ声変わりをしていない、高らかな少年の声。
何も知らない、君の声。
「僕は君の友達だよ」
懐かしさから涙が零れそうになるのを必死で耐えながら、言葉を紡ぐ。
君は気付いてくれるだろうか。
:10/12/17 22:09
:SH04B
:f3tn8iq6
#6 [不発花火]
「でも、僕はおじさんを知らないよ?」
「僕は君をずっと昔から知ってるよ」
ブランコを漕ぐのを止め、僕の目を見透かえながら君はきょとん、とした顔をしている。
「僕の、友達…?」
そう、人見知りで泣き虫な君の、たった一人の友達だったんだ。
笑って頷くと君は嬉しそうに、けれど恥ずかしそうに再びブランコを漕ぎ出した。
「じゃあ…ブランコを押してくれる?」
「…もちろんだよ」
僕は鉄柵から立ち上がり、緩くブランコを漕ぐ君の細い背中を優しく押していく。
:10/12/17 22:09
:SH04B
:f3tn8iq6
#7 [不発花火]
「しっかり掴まってるんだよ?」
手放さないように。
「うん!もっと、もっと高く―」
あの時のように、手放さないように。
僕は少し強めに背中を押すが、君はまだ満足出来ないのか『もっと、もっと』と楽しそうに笑っている。
ふと、雨が降り出した。
ポツポツと雨粒が乾いた地面に小さな染みを作り、地面の色を変えていく。
「さあ、雨が降って来たよ。お家に帰ろうか」
また天気が良い日に、君に会いに行くよ。
そしたら君に謝りたいことがあるんだ。
:10/12/17 22:10
:SH04B
:f3tn8iq6
#8 [不発花火]
「―どうして?」
君は許してくれるだろうか。
「どうして、って雨が降ってるからだよ。風邪を引いてしまうだろ?」
僕からは君の顔は見えない。
僕の心臓は急激に早く鼓動を刻み始めた。
声は震えていなかっただろうか。
「あの時は雨が振ってても、もっと強く背中を押してくれたのにね?」
ぐるり、と180度君の顔が僕の方を向く。
人間では、有り得ない向きで君は僕の顔を見ている。
「ひっ」
つい嗚咽が漏れてしまい、慌てて手で口を塞ぐ。
心臓の音が煩い程に鳴っている。
:10/12/17 22:10
:SH04B
:f3tn8iq6
#9 [不発花火]
「どうして僕を置いてったの?」
「僕はまだ生きていたのに」
「どうして?」
君は僕を許してくれるだろうか。
「ごめ、ごめん…本当にごめん…怖かったんだ…責められるのが」
『君を殺した』と責められるのが。
あの日たまたま雨が振っていて、僕はブランコを漕ぐ君の背中をいつものように押していたんだ。
ほんの少しの雨だったから、構わず親友である君と遊んでたんだ。
君を喜ばせたくて、雨粒がキラキラと宝石のように綺麗だったから、いつもより強く背中を押していたんだ。
:10/12/17 22:11
:SH04B
:f3tn8iq6
#10 [不発花火]
『立ったら、きっともっと楽しいよ』
その言葉で立ち上がった君の背中を僕が強く押した瞬間、雨で濡れた鉄で出来た手摺りから君は手を離してしまい、君の小さな体は宙を舞った。
高く飛んだ君の体は地面に強く叩き付けられ、しばらくビクビクと痙攣し、血を吐き出した後ピクリとも動かなくなった。
僕は怖くなってしまい、逃げ出してしまった。
「違、違う…助けたかったんだ…本当だよ…ごめん、ごめんよ…」
「嘘だ」
無表情な君からは、何も感じられなかった。
怒りも悲しみも何も感じられない、君。
僕はただそれに恐怖を感じるしかなかった。
:10/12/17 22:11
:SH04B
:f3tn8iq6
#11 [不発花火]
「今度は僕が背中を押してあげるよ」
雨が、強くなった。
END
:10/12/17 22:12
:SH04B
:f3tn8iq6
#12 [不発花火]
:10/12/17 22:23
:SH04B
:f3tn8iq6
#13 [不発花火]
自分で言うのも何だが、俺は有名な指名手配犯だ。
無差別殺人だし、今だ顔すら警察に割れていないからこうして街中で顔を晒していても俺が今まで人を10人以上殺してる殺人犯なんて誰も気付きやしない。
「お兄さん、さっきからあたしのことばっか見てるよね?」
気付きやしない。
指名手配犯
:10/12/17 22:45
:SH04B
:f3tn8iq6
#14 [不発花火]
「見てねーよ。俺はお前の後ろにあるマックの広告を見てたんだよ」
生憎俺は太い生足を惜しみ無く晒しているJK(女子高生)には興味がないんだ。勘違いもそこまで来るとアッパレだ。
やはり女は年上に限る。(ちなみに俺は明日で24歳になる)
「うっそだー。さっきからあたしのことずっと見てたもん」
「見てねーよ。お前の太い足になんかより俺はビックマック200円の方が魅力的だ」
「太い足って、やっぱ見てんじゃん」
「…」
:10/12/17 22:46
:SH04B
:f3tn8iq6
#15 [不発花火]
うぜぇ、この女。
殺してやろうか。
周りに人は今のところほとんどいないし、たまに人が通るくらいだから、今ここで俺がこの女を殺して逃走したところで俺の顔を覚えてる人間なんか誰もいない。
精々「誰かいたような気がする」くらいだ。
それに俺自身最低な人間なので、女だからって容赦しない。
まだ生まれて間もないガキだって殺してんだ。
「まあいいや。お兄さんさ、あたしと同じだよね」
前略、殺していいですか。
俺はポケットから折り畳みのナイフを取り出す。
心臓を一突き、もしくは血まみれになる覚悟で頸動脈を切るかのどっちかだ。
「俺はお前とは違う」
:10/12/17 22:46
:SH04B
:f3tn8iq6
#16 [不発花火]
お前みたいな何も考えてなさそうなパッパラな女子高生と優秀な殺人犯の俺を一緒にするな。
「一緒だよ」
我慢ならん。殺す。
俺は女子高生の首元にナイフを当てるが、女子高生は顔色一つ変えずに言葉を吐き出した。
「人を殺すなら、躊躇わずにやらなきゃ駄目だよ」
ドスッと衝撃が走り、口から血が溢れ出した。
「ちなみに私が殺した数はお兄さんで44人目だよ」
倒れる瞬間、マックのポスターの横に女子高生の顔写真の上に「指名手配犯」と書かれた髪が貼ってあるのが見えた。
「お兄さんが私に気付いてさっさと殺していれば助かったかも知れないのにね」
沈む意識の中、笑い声が聞こえた。
END
:10/12/17 22:46
:SH04B
:f3tn8iq6
#17 [不発花火]
昔々、亡者がさ迷い続けると噂が飛び交う森の奥にある館に一人の青年が借り出された。
―亡者の館―
:10/12/18 10:20
:SH04B
:Agq75nzI
#18 [不発花火]
青年は勇敢な男だった。
村に盗賊が現れれば進んで村人を避難させたし、戦いに行った。
何より、青年は美しい容姿を持っていた。
金色に輝く絹糸のような髪に、晴天の空のような青い瞳。
村の女性達はこぞって青年に群がった。
青年は自分の前で恥じらいも無く自らの体を開く女性達にウンザリしていた。
:10/12/18 10:21
:SH04B
:Agq75nzI
#19 [不発花火]
―もっと気高く、美しい女性に出会いたい。
そんな女性に出会えたら、自分は恐らくは夢中になってしまうだろうことも青年は理解していた。
そんな中、青年は村の長から「外れにある森の奥に建つ亡者の館を取り壊したい。中に何もないか見に行って欲しい」と頼まれたのだ。
腰に剣を携え、青年は森の奥に進んでいく。
:10/12/18 10:21
:SH04B
:Agq75nzI
#20 [不発花火]
―気をつけて。亡者の館はとても危険よ。
村を出る前、そんな言葉を村娘にかけられた。
―亡者の館に入った人間は、二度と戻って来れないの。
そんなの迷信だと青年は笑い、引き止めようとする村娘に礼を言った。
だが幾ら迷信だと思っていても、亡者の館と呼ばれているだけあるこの館は、確かに他の風景とは違う怪しさがあった。
青年は微かに身震いするが、扉に手をかけた。
:10/12/18 10:21
:SH04B
:Agq75nzI
#21 [不発花火]
ギィ、と鈍い音がして扉が開くと、青年の目の前に広がったのは、壁にかけられた大きな美しい少女の絵画だった。
「Isabela(イザベラ)」と書かれた絵画に、青年は目を離せなくなっていた。
絵画の中の少女は『アルビノ』と呼ばれる人種だった。
色素欠乏のため、髪は銀に近い白髪に、血管が透けているため赤く見える瞳。
世間では『魔女の末裔』と呼ばれ、忌み嫌われている人種。
:10/12/18 10:22
:SH04B
:Agq75nzI
#22 [不発花火]
だが、そのアルビノすら少女の美しさを際立たせて見せた。
儚げに微笑むアルビノの少女に良く似合う、深紅のドレス。
あまりの美しさに青年は呼吸をすることすら忘れていた。
青年は強く、強くこの少女に会いたいと願った。
「恥ずかしいわ…余り見ないで下さる?」
澄んだ美しい声が埃に塗れた館に響く。
青年は声のする方に勢いよく振り返る。
:10/12/18 10:22
:SH04B
:Agq75nzI
#23 [不発花火]
「君、は…?」
青年の見た所に立つのは、まさしく自分が会いたいと強く願った絵画の少女、イザベラだった。
「私はエルジェーベトと申します。その絵画の女性の孫ですわ」
青年はエルジェーベトに近付くとひざまづき、深紅の手袋を身につけた手の甲に口づける。
「エルジェーベト。君はこのイザベラによく似ている。忌まわしきアルビノすら君の美しさを更に際立たせている。とても美しいよ」
「あら、お上手ね…」
クスクスと上品に笑うエルジェーベトに青年は自分が夢中になっていくのを感じた。
:10/12/18 10:22
:SH04B
:Agq75nzI
#24 [不発花火]
「でもなぜここに?」
「ここは昔祖母が住んでいた館だったのです。私の母が生まれると同時にここより西にある村に移動したのです。最近その祖母が亡くなったので何か遺品はないかと思いまして…」
エルジェーベトは悲しそうな顔をし、テーブルの上にあった埃を被った木箱のオルゴールを手に取る。
エルジェーベトがオルゴールを開くと、音が鳴りはじめた。
「知ってますか?」
「いえ、申し訳ないですが…」
:10/12/18 10:23
:SH04B
:Agq75nzI
#25 [不発花火]
音楽に嗜みがない青年には、エルジェーベトの手の中で奏でる音楽が何だがわからなかった。
だが酷く美しく、悲しい曲のように青年は感じた。
「レクイエムですわ。ここを『亡者の館』と呼ぶ方々が祖母の魂を沈めるために作ったの」
青年の耳に、心地好くイザベラのためのレクイエムが響く。
「さあ、そろそろ日も落ちるわ。また来て下さる?」
「毎日でも。エルジェーベト」
それから青年は、毎日のように亡者の館に足を踏み入れた。
:10/12/18 10:23
:SH04B
:Agq75nzI
#26 [不発花火]
村人や長に引き止められても「色々と価値のあるものが残っている。取り壊すなら全てを調べてから」と最もらしい言い訳を口にし、制止の声すら聞き入れなかった。
青年はエルジェーベトの美しさに魅入られていた。
エルジェーベトと館で小物を探したり、お喋りをする時間が青年はとても好きだった。
「エルジェーベト。今日は少し遅れてしまったよ。いるかい?」
扉を開けて館に入るが、エルジェーベトがいる気配はなかった。
仕方ない、と思い青年は再び扉に手をかけるが、館の奥で扉が閉まる音が聞こえた。
:10/12/18 10:23
:SH04B
:Agq75nzI
#27 [不発花火]
「なんだ、いるのかエルジェーベト。かくれんぼかい?」
そういえば今いる大広間以外の部屋に入ったことがないなと青年はふと思った。
音が聞こえた方に青年が足を運ぶと、錆びた鉄の扉があった。
「なんだ、これは…」
扉には『亡き君へ告ぐ』という文字が血液で綴られていた。
「エルジェーベト。入るよ」
青年は微かに恐怖を覚えたが、愛しいエルジェーベトのいるだろう部屋に足を踏み入れる。
ギィー―…
重い扉が開く。
冷たい空気を感じる。
恐怖を感じる。
:10/12/18 10:24
:SH04B
:Agq75nzI
#28 [不発花火]
「エルジェ、…!?」
扉の先に広がるのは密室。
窓すらない密室の隅に美しい深紅のドレスを着た白骨死体だった。
バタン、と鈍い音を立てて扉が閉まる音が後ろで聞こえたのを青年は感じた。
「エルジェーベト…君かい?」
白骨死体はエルジェーベトと同じ深紅のドレスを身に纏っていた。
:10/12/18 10:24
:SH04B
:Agq75nzI
#29 [不発花火]
見間違えるはずもない。
毎日見て、恋焦がれた美しい少女のドレスだ。
ドレスの横には木箱のオルゴールが落ちていた。
オルゴールを開くと、イザベラのためのレクイエムが流れた。
「あぁ、君がイザベラだったんだね」
青年は白骨死体となったイザベラを撫でる。
「まさか僕が恋した相手が亡者だとは思わなかったよ」
:10/12/18 10:24
:SH04B
:Agq75nzI
#30 [不発花火]
愛しのイザベラ。
白骨死体になっても美しい君に魅入られた僕は二度とここから出られないだろう。
―永遠に私の傍にいて。
青年の耳に美しいイザベラの声が響いた。
END
:10/12/18 10:25
:SH04B
:Agq75nzI
#31 [不発花火]
:10/12/18 10:42
:SH04B
:Agq75nzI
#32 [不発花火]
「私の演奏人形。今夜は何を弾いてくれるのかしら」
―演奏人形―
:10/12/18 12:05
:SH04B
:Agq75nzI
#33 [不発花火]
少年は人形だった。
生まれた時から人形だったし、今更人間になりたいとも思わなかった。
少年はオルガンを弾くことしかできなかった。
少年はいつだって少女に作られた人形だった。
「私の演奏人形。今日はシューベルトが聴きたいわ」
―かしこまりました。
人形は今日も少女の為にオルガンを弾く。
:10/12/18 12:06
:SH04B
:Agq75nzI
#34 [不発花火]
少女は貪欲だった。
少女の醜い容姿は、少女の人格を歪ませる環境を作るのに充分過ぎた。
人が寄り付かない淋しさを乗り越える為に、少女はたくさんの人形を作った。
掃除をする人形、買い物をする人形、少女を愛する為の人形、そして演奏人形。
どれも美しい少年の姿をしていたが、皆少女の貪欲に耐え切れず壊れていった。
―もっと綺麗に掃除しなさい。塵一つ残さずに。
―もっと私を愛しなさい。愛さない場所などないくらいに。
まるで少女を嫌がるかのように人形達は壊れていった。
演奏人形を除いて。
:10/12/18 12:06
:SH04B
:Agq75nzI
#35 [不発花火]
「あなたはずっと私の傍で音楽を奏でてくれるわよね?」
―もちろんです。レディ。
今日も美しいオルガンが少女の済む建物に響き渡る。
人形は少女を愛していたのだ。
「さあ、今日も美しい音色を奏でて頂戴。私の演奏人形」
醜く淋しがり屋の少女を、人形は愛していた。
「今日はバッハがいいわ」
ならば少女は演奏をしない自分を愛してくれるのだろうか。
「どうしたの。さっさとオルガンを弾きなさい」
人形である自分を、人間として愛してはくれるだろうか。
「役立たずな人形ね。また作り直さなくちゃならないわね」
:10/12/18 12:06
:SH04B
:Agq75nzI
#36 [不発花火]
人形は自分に向かって振り下ろされる金づちを見ながら、少女の幸せを願った。
それから、少女が生み出す人形は少女の願いを一度聞き入れると壊れてしまうものばかりだった。
演奏人形のように、長く少女の傍で動く人形はいなかった。
少女は人形に愛されていたことすら気づかないでいる。
END
:10/12/18 12:07
:SH04B
:Agq75nzI
#37 [我輩は匿名である]
:10/12/18 16:08
:SH004
:G9EnQzMk
#38 [みくや]
このお話スキです
頑張ってください
:10/12/18 17:23
:P01A
:3khtU/d6
#39 [不発花火]
どうして僕はこんな底辺にも程がありすぎる高校に入学してしまったんだろう。
入学して3年が経とうとしている今でも毎日のように中学生だった自分をボコボコに殴って「楽なんかしないでもっと勉強して普通の底辺高校に行け」と言ってやりたい衝動に駆られる。(あくまで底辺なのは僕は勉強が苦手だからだ)
―性春ハイスクール―
:10/12/18 20:53
:SH04B
:Agq75nzI
#40 [不発花火]
この高校は、名前を出せばどんな就職先にだって就くことができると有名だった。
ただしAV女優や男優、そういう大人の娯楽関係の会社のみだ。
隣の席の可愛いハルカちゃんだって卒業したら「誤背ハルカ」という名前でAV女優デビューが決まっているし、前の席の向井くんは「キャラメル向井」という名前でAV男優のデビューが決まっている。
:10/12/18 20:53
:SH04B
:Agq75nzI
#41 [不発花火]
輝かしい(?)未来のために皆今日も一生懸命性の勉強をしている。
「お前いい加減進路決めたらどうだ?男優が嫌ならAV制作会社やポルノ雑誌の編集社なんかもあるぞ?」
「結構です」
母さん、父さん。
僕に社会人としての春は訪れそうにありません。
「何が嫌なんだ?」
「全てが嫌です」
:10/12/18 20:54
:SH04B
:Agq75nzI
#42 [不発花火]
「じゃあどうしてこの高校を希望したんだ」
そりゃもう。
入試が「子供はどうやってできるか。3文字の英単語で説明せよ」のみでしたし。
家から徒歩10分でしたし。
ろくにどんな学校かを調べずに入った僕も悪いですけども。
「馬鹿だったからです」
言って酷く虚しくなるのを感じたが、それ以外の回答が思い付かなかった。
:10/12/18 20:54
:SH04B
:Agq75nzI
#43 [不発花火]
「…帰ってよろしい」
そう言って先生から渡されたのはポルノ雑誌の編集社のチラシだった。
『溢れる性欲を満たす雑誌を作りませんか?』なんてキャッチフレーズに溜息しか出なかった。
「…」
何で他人の溢れる性欲を満たす雑誌を自分が作らなきゃいけないのか。
冷たい風が吹く帰り道を僕は虚しく一人で歩み始めた。
END
:10/12/18 20:54
:SH04B
:Agq75nzI
#44 [でりーと
]
でりーと

:10/12/18 20:58
:
:・・・
#45 [不発花火]
>>38ありがとうございます(`・ω・´)!
皆様に少しでも楽しんで頂けるようがんばります!
:10/12/18 21:06
:SH04B
:Agq75nzI
#46 [不発花火]
胎動を感じた。
―シャム双生児―
わたしとあなた。
きっと前世では結ばれなかったのかしら。
でも神様が最上級の形で私達を再び廻り逢わせてくれたのね。
わたしとあなた。
お互いの脚はないけれど腹部で繋がっているから、いつも一緒。
歩くことはできないけれど、いつも一緒。
それはセックスよりも素晴らしい愛の形。
わたしとあなた。
死ぬ時も一緒。
:10/12/21 12:25
:SH04B
:vbqTPqqs
#47 [不発花火]
もし生まれ変わりがあるなら、私は魚になりたい。
暗い海の底で、一人きりで泳ぐ美しい魚に。
―深海に、沈む―
:10/12/23 02:01
:SH04B
:vGZkDNeY
#48 [不発花火]
今日は学校に登校すると、上履きがなかった。
昨日は数学の教科書がなくなり、一昨日は上履きの中に大量の砂が入っていた。
簡単に言えば「いじめ」にあっている。
いつからだなんて覚えていないし、原因なんかもさっぱりわからなかった。
:10/12/23 02:02
:SH04B
:vGZkDNeY
#49 [不発花火]
気付けば私の周りからは人が消え、一人になっていた。
別にそれでもよかった。
また輪の中に入っていつ嫌われるんだろうとビクビクしながら生きていくなら、一人でよかった。
なんて、思っていても。
:10/12/23 02:02
:SH04B
:vGZkDNeY
#50 [不発花火]
「ねぇ、今週の土曜日遊ぼうよ」
「どこ行く?」
「場面行動でいいんじゃない?」
教室の中で行われる友達同士の当たり前のやりとりを聞くと、酷く羨ましくなる。
私には休日の予定なんて、ずっとない。
:10/12/23 02:03
:SH04B
:vGZkDNeY
#51 [不発花火]
たまに本屋に小説や漫画を買いに出かけたりするけど、最近はずっと家で一番お気に入りの本を読んでいる。
それは、「深海」について書かれている本だった。
中でも一番のお気に入り魚は、「リュウグウノツカイ」と呼ばれている深海に住む魚だった。
:10/12/23 02:03
:SH04B
:vGZkDNeY
#52 [不発花火]
群れることを好まず、たった一匹で暗く深い深海を泳ぐ美しい虹色の魚。
私はそれが酷く羨ましかった。
たった一匹で気高く、美しく深海を泳ぐ魚。
わたしは生まれ変わったら、その魚になりたかった。
:10/12/23 02:03
:SH04B
:vGZkDNeY
#53 [不発花火]
「それなら一人でも平気なのに」
私の独り言は、放課後の誰もいない教室に響き渡った。
:10/12/23 02:04
:SH04B
:vGZkDNeY
#54 [不発花火]
翌日は、椅子がなかった。
教室を見渡せば、掃除用具入れの前にポツンと置かれていた。
私が取りに行けば、後ろでクスクスと笑い声が聞こえた。
涙が零れそうになるのを必死で堪え椅子に手をかけた瞬間、背中に軽い衝撃を感じた。
振り返れば、ゴロゴロと転がるジュースの缶。
:10/12/23 02:04
:SH04B
:vGZkDNeY
#55 [不発花火]
誰かに意図的に当てられたことは考えなくてもわかった。
「お前生きてる価値ないよ」
私は、私の中で限界を感じた。
ずっと堪えてきた。
靴がなくなっても、無視されても、お弁当をひっくり返されても、ずっと我慢してきた。
:10/12/23 02:04
:SH04B
:vGZkDNeY
#56 [不発花火]
教室中に響く笑い声を背に、溢れる涙を耐え切れず、走って教室を後にする。
一人には慣れていたはずだった。
学校を卒業するまで耐え切ってみせると、そう思ってた。
でも、寂しかった。
ずっと寂しかった。
:10/12/23 02:04
:SH04B
:vGZkDNeY
#57 [不発花火]
一人でも平気な、魚になりたかった。
そうすれば一人でも気高く、美しく生きていけるのに。
私の足が向かった先は、青い綺麗な海だった。
テトラポッドに足を掛け、海に沈む。
着ていた制服が水を吸い込み、私の体は深く深く海の底に沈んだ。
:10/12/23 02:05
:SH04B
:vGZkDNeY
#58 [不発花火]
自然と、苦しくなかった。
ふと、目の前に一匹の魚が現れた。
私がずっと憧れていた、美しく気高い竜宮城の使い。
でも虹色に輝いているはずの体は白く変色していて、それが腐敗した死体だと気付いた瞬間、私の中で恐怖を感じた。
:10/12/23 02:05
:SH04B
:vGZkDNeY
#59 [不発花火]
「ひっ」
声にならない悲鳴が口から漏れ、酸素が口からゴボ、と溢れ出すのを感じた。
途端に強烈に息苦しくなり海面に出ようともがくが、長く大きい竜のような死体が体にのしかかり、私を海の底へと沈めていった。
:10/12/23 02:05
:SH04B
:vGZkDNeY
#60 [不発花火]
あれ程までに焦がれた魚。
海底ではそれが私の体に重くのしかかり、身動きが取れなくなった。
死体からは小さな虫のような魚がうごめいている。
死にたくない、と思ってしまった。
:10/12/23 02:06
:SH04B
:vGZkDNeY
#61 [不発花火]
私が憧れ、焦がれた魚。
頭の中で響く、笑い声。
意識は沈んでいく。
深い、深い暗い海の底に。
END
:10/12/23 02:06
:SH04B
:vGZkDNeY
#62 [不発花火]
「わたし、夢を見たの。
明日、あなたが死ぬ夢を」
―夢を見る少女―
:10/12/23 02:08
:SH04B
:vGZkDNeY
#63 [不発花火]
少女の名前は夢子(ゆめこ)。
幼い頃から夢を見ては、両親や友人に話していた。
最初の頃は「小さな地震が来る」や「明日は雨」など可愛い夢の話だったが、最近は「明日あなたは怪我をする」や「あなたの飼っている猫が死ぬ」等笑えないものばかりだった。
:10/12/23 02:08
:SH04B
:vGZkDNeY
#64 [不発花火]
しかも、それが当たるのだ。
所謂、予知夢というものだった。
気味悪がった両親や友人は、夢子の話に耳を貸さなくなった。
「明日、あなた死ぬわ」
:10/12/23 02:08
:SH04B
:vGZkDNeY
#65 [不発花火]
ある日、クラスメイトである少年に夢子はまるで何でもないかのように言った。
「は、お前…何言ってんだよ」
少年も、少年の周りにいた友人達も夢子の予知夢が当たることをよく知っていた。
ずっと夢子を無視していたが、これだけは気持ち悪くて仕方がなかった。
:10/12/23 02:08
:SH04B
:vGZkDNeY
#66 [不発花火]
夢子が誰かが死ぬ、なんて言ったのは初めてだったからだ。
「本当よ。わたし、見たの。
あなたが死ぬ夢を」
少年は夢子に掴みかかった。
動揺したのだ。
自分が死ぬという明日に。
:10/12/23 02:09
:SH04B
:vGZkDNeY
#67 [不発花火]
「明日、あなたは体が残らないまま死んでしまうの。避けられないわ。あなたの未来だもの」
夢子はクスクスと可笑しそうに笑う。
少年は異常だと思った。
同時に、堪え難い程の恐怖を感じた。
少年の周りは「気にするな」と少年に声をかけるが、皆夢子の予知夢が当たることを知っていた。
:10/12/23 02:09
:SH04B
:vGZkDNeY
#68 [不発花火]
「また、明日」
少年の手を振りほどくと、夢子が笑う。
翌日、少年が死亡したことをクラスメイトが知ることになる。
塾の帰り道に、泥酔した男が運転するダンプカーに引かれ、遺体すら残さず亡くなったと。
遺体はアスファルトに引き延ばされたと。
:10/12/23 02:09
:SH04B
:vGZkDNeY
#69 [不発花火]
「夢子、お前…!」
「明日、わたしは死ぬわ。
明後日、世界が終わる」
少年の一番の親友が夢子に殴りかかるが、夢子はまた笑っていた。
自分は死ぬと。
その翌日に、世界が終わると。
:10/12/23 02:10
:SH04B
:vGZkDNeY
#70 [不発花火]
「お前、何言ってるんだ!夢話も大概にしろ!」
怒鳴りつけるが、夢子はまだクスクスと笑っている。
「わたしは明日、自殺をする。そして、世界が終わる」
もう、狂気しか感じられなかった。
―たった一日で世界が終わるなんてふざけている。
:10/12/23 02:10
:SH04B
:vGZkDNeY
#71 [不発花火]
「わたしの死はイエス・キリストによって最期の審判をかけられるの。だから、世界が終わるのよ。わたしの死は、世界の死」
夢物語。
「もう、いい。お前と話してるとこっちの頭が可笑しくなりそうだ…」
翌朝、夢子は学校に来なかった。
:10/12/23 02:10
:SH04B
:vGZkDNeY
#72 [不発花火]
担任の教師に、昨夜自室で首吊り自殺をしたとクラスメイトは報告を受けた。
遺体を発見した両親が、夢子の机の上からメモを見つけたらしい。
メモには、こう記されていた。
―明日、世界が終わる夢を見たの。
:10/12/23 02:11
:SH04B
:vGZkDNeY
#73 [不発花火]
クラスメイトは笑った。
夢子の死で、世界が終わる。
夢子の夢物語もここまでだと。
―ねぇ、明日世界が終わる夢を見たのよ
そして、世界が明日を迎えることはなかった。
世界の終結は一瞬だった。
:10/12/23 02:11
:SH04B
:vGZkDNeY
#74 [不発花火]
空は闇に覆われ、大雨が降った。
まず、太陽が死んだ。
後を追う様にして、月が死んだ。
太陽のかけらは人々を焼き払い、月のかけらは世界を壊した。
瞬きをする間もなく、世界は終結を迎えた。
:10/12/23 02:11
:SH04B
:vGZkDNeY
#75 [不発花火]
―ねぇ、明日世界が終わるのよ
クラスメイト達は死ぬ間際、夢子の笑い声を聞いた。
END
:10/12/23 02:12
:SH04B
:vGZkDNeY
#76 [不発花火]
:10/12/23 02:15
:SH04B
:vGZkDNeY
#77 [不発花火]
僕の人生、お先真っ暗だ。
―リストラ、その先は(1)―
:10/12/23 15:50
:SH04B
:vGZkDNeY
#78 [不発花火]
今日僕は会社をクビになった。
まあ、このご時世仕方のないことと言ったら仕方がないんだけどいまいち納得がいかなくもない。
無遅刻無欠席が誇りだったがどうやらそれだけでまんまを喰える程人生は甘くなかったようだ。
:10/12/23 15:50
:SH04B
:vGZkDNeY
#79 [不発花火]
「この先どうすればいいんだ…」
どうする?
家に帰るか?
ちなみに僕には妊娠4ヶ月の妻がいる26歳だ。
なんかもう色々とやばい。
子供はどうする?
妻にはなんて説明する?
よくドラマに出てくるリストラされたサラリーマンのように妻が作る愛妻弁当を鞄につめて公園でハローワークに通いながら時間を潰す生活を送るか?
:10/12/23 15:52
:SH04B
:vGZkDNeY
#80 [不発花火]
いやそれは近所の奥方に見付かり即、妻に密告されるだろう。
あぁ僕の人生お先真っ暗だ。
「ん…?」
『人を殺してみませんか?日払い500万円』
「ちょっと待て」
:10/12/23 15:52
:SH04B
:vGZkDNeY
#81 [不発花火]
何だこの看板は。
僕は突如目の前に現れた(いや別に歩っていたから突如でもないかまぁいいや面倒くさいし)看板を目の前に立ち止まる。
「人を殺して500万円か…」
いや待て。
殺してみませんか?って何だ。
何だこの「キャバ嬢、体験してみませんか?」って書いてあるティッシュペーパーみたいなノリは。
:10/12/23 15:52
:SH04B
:vGZkDNeY
#82 [不発花火]
よく見たら下の方に携帯番号が書いてある。
ここに僕が電話して、人を殺したら500万円が貰えるのか?
馬鹿げている。
でも500万円といえば僕の年収とあまり変わりがない。
「人を殺して、500万円…」
殺してどうする?
見つからない保障なんてあるのか?
:10/12/23 15:53
:SH04B
:vGZkDNeY
#83 [不発花火]
警察にバレたら無職になった今よりもヤバい状況になるのは目に見えている。
でも500万あったら1年は確実に無職のままで持つだろう。
妻だって騙せる。
どうするか。
「えーっと、090…」
頭の中の天使と悪魔の言い合いが始まる前に僕は携帯を手に番号をプッシュする。
どうやら僕の頭の中には悪魔しかいないようだ。
:10/12/23 15:53
:SH04B
:vGZkDNeY
#84 [不発花火]
「あ、でも非通知がいいか…えーっと、いやよ090…」
『ただ今呼び出しております』
内心、携帯から聞こえるお笑い芸人の漫才のメロディーコールを聞きながら僕の心臓はドキドキだ。
早く出て欲しい気持ちとやっぱり出て欲しくない気持ちが入り混じって気持ち悪くなってくる。
心臓の音が、うるさい。
『…はい、もしもし』
:10/12/23 15:53
:SH04B
:vGZkDNeY
#85 [不発花火]
…出た。
低い男の声だ。
どうする。
「あ、あの…看板見て電話したんですけど…」
もはや僕の頭の中には500万円と恐怖しかなかった。
『あぁ、君、人殺せる?』
「はあ…多分…」
多分て何だ。
無理だろ。殺人だぞ。
『多分じゃ困るんだよね。躊躇うと返り打ちに合う可能性もあるし、はっきりしてよ』
「はあ…すみません」
何で謝ってんだ僕。馬鹿か。
むしろ何で説教されてんだ。
見ず知らずの電話越しの男に。
:10/12/23 15:54
:SH04B
:vGZkDNeY
#86 [不発花火]
『で、どうなの?殺せるの?殺せないの?どっち?』
どうする。
このまま妊娠中の妻に「会社クビになった」と報告するか、人生を棒に降って人殺しをするか。
いざとなったら金は妻に渡して「幸せになってくれ」と失踪する手もあるが、人殺しだぞ。
よく考えろ、自分。
「あの、バレない保障は…」
『大丈夫。俺を誰だと思ってるんだ』
いや、知らねーし。誰だよ。
:10/12/23 15:54
:SH04B
:vGZkDNeY
#87 [不発花火]
『殺し方はこちらが指示をする。道具もこちらで用意する。お前はただ決められた人間を殺すだけだ。もしバレたり見られたりしたらお前の変わりに影武者を用意するからお前は何も気にする必要はない』
あ、なんかそれなら大丈夫そうだ。
バレても影武者がいるなら全然問題なくこれから先の人生を過ごせそうだ。
でも、人を殺したという事実を背負ったまま人生を過ごせるか?
:10/12/23 15:54
:SH04B
:vGZkDNeY
#88 [不発花火]
世間は知らなくても自分が死ぬまで一生人殺しのレッテルを貼って生きていかなきゃならないんだぞ。
自分はそれに堪えられるのか?
『ただし、条件がある』
条件。
よし、それで決めよう。
『もし殺すことに躊躇いが出て失敗した時だ』
ゴクリ、と自分が唾を飲み込む音が大きく響いた。
:10/12/23 15:55
:SH04B
:vGZkDNeY
#89 [不発花火]
電話越しの男がクックッと喉を鳴らしながら笑っているのが聞こえる。
『その時はお前を殺す』
―いいな?
「…わかりました」
将来のため。
僕と妻と子供の幸せの未来のため。
『じゃあ、場所とターゲットを今から言う。決して躊躇うな。わかったな』
どうせ職なんか見付からないし、無駄な労力は使いたくない。
僕にはなんの資格も取り柄もないし、大学だって出てない。
:10/12/23 15:55
:SH04B
:vGZkDNeY
#90 [不発花火]
何より妊娠した妻に心配をかけたくなかった。
前の職場に就けたのは奇跡に近いレベルだ。
見ず知らずの人間を殺して大金がもらえるなら、妻が笑顔でいてくれるなら、自分は闇に墜ちたとしても構わない。
一生人殺しのレッテルを掲げたまま生きてみせる。
愛する妻と、子供のため。
「…わかりました。10日後の、○×倉庫ですね」
僕は、大罪を犯す。
NEXT
:10/12/23 15:56
:SH04B
:vGZkDNeY
#91 [不発花火]
朝日が眩しく、僕を照らした。
―リストラ、その先は2―
:10/12/29 16:52
:SH04B
:2c2Jat.Y
#92 [不発花火]
「全然寝れなかった…」
寝不足に加えて朝の光が強く差し掛かり、頭痛がする。
今日は約束の10日後。
妻には「体調が優れないため長期の有給休暇を取った」と嘘を吐き、やはり人を殺すという罪悪感と恐怖から余り眠れない日々を過ごした。
:10/12/29 16:53
:SH04B
:2c2Jat.Y
#93 [不発花火]
「おはよう」
軋む体に鞭を打ち、妻がいるだろう居間に向かうがいつも笑顔で「おはよう」と迎えてくれる妻はいなかった。
代わりに、テーブルに妻からのメモが残されていた。
『友人と出かけてきます。
朝ごはんは適当に作ってしっかり食べてね。
洗濯と掃除をよろしくお願いします。』
:10/12/29 16:53
:SH04B
:2c2Jat.Y
#94 [不発花火]
他にもメモがあり、洗濯機の使い方と洗濯物のたたみ方、掃除の仕方、調味料の場所等が記されていた。
「なんでこんな丁寧に書いてんだ…」
やけに詳しく書かれたメモに自分は妻から本当に何も出来ない人間だと思われてたことに僅かに怒りを覚えたが、そこは気にしない。
:10/12/29 16:53
:SH04B
:2c2Jat.Y
#95 [不発花火]
メモの通り一通りの仕事をやり終えてから、そういえば時間を確認していないことを思い出し再び非通知で雇い主に電話をかけた。
―プルルル
コール音がやけに大きく聞こえる。
出なければいい、やはり何かの冗談であって欲しい、でも今は金が必要だ。
:10/12/29 16:54
:SH04B
:2c2Jat.Y
#96 [不発花火]
色々考えてるうちに、酷く手が震えることに気付く。
やはり、自分は。
『―やあ、今日は約束の日だが、覚悟は出来たかい?』
ドクン、と心臓が高鳴った。
「あ、は、はい…あの、時間を、確認するのを…忘れてしまって…」
:10/12/29 16:54
:SH04B
:2c2Jat.Y
#97 [不発花火]
電話の男が笑ったのを電話越しに感じた。
心臓の音が煩い。
僕は、今日人を殺す。
大金と引き換えに。
でも本当に金は貰えるのだろうか。
『そうだな。もうターゲットは○×倉庫にいるから何時でも構わないんだが。あぁ、心配しなくても金は○×倉庫にターゲットと影武者と共にある。手に取ってから執行しても構わない』
:10/12/29 16:54
:SH04B
:2c2Jat.Y
#98 [不発花火]
ターゲットはもう、いるのか。
途端に立っていられないくらいの恐怖を感じ、足が震え出す。
この男は、本気だ。
本気で僕に人を殺させるつもりだ。
大金と引き換えに。
でも何故大金を払い、わざわざ影武者まで用意する程の完璧主義者なのに自分の手で殺さないのか。
:10/12/29 16:55
:SH04B
:2c2Jat.Y
#99 [不発花火]
聞きたいことは山ほどあったが、なぜか聞くことが出来なかった。
恐怖で、うまく口が言葉を紡いでくれなかった。
『あぁ、君が失敗した場合は』
―影武者が君の死刑執行人だ。
心臓が、うるさい。
:10/12/29 16:55
:SH04B
:2c2Jat.Y
#100 [不発花火]
「わかりました。では、これから向かいます」
『随分早いね?』
また男がクックッと喉で笑う。
「後々だと…僕の心臓がもちません」
ハハ、と笑ってみせるが、ヒクッと喉が引き攣るのがわかる。
怖いのだ。
だって人を殺すんだ。
:10/12/29 16:55
:SH04B
:2c2Jat.Y
#101 [不発花火]
もし「助けてくれ」と懇願されたら?
もし恐怖で涙が溢れる瞳で見つめられたら?
そう考えると本当に自分が出来るのか不安になるが、妻の顔がふと浮かんだ。
愛しい妻と、その子供。
リストラされた僕には出産費用や養育費、とにかく大金が必要になる。
:10/12/29 16:56
:SH04B
:2c2Jat.Y
#102 [不発花火]
500万あれば、今まで少ない給料で貯めていた貯金と合わせれば2年は家族3人なんとか生活出来るだろう。
その間に僕は再び就職先を見つければいい。
足りなくなったらアルバイトをしながらでも出来る。
もう、引き返せない。
:10/12/29 16:56
:SH04B
:2c2Jat.Y
#103 [不発花火]
気付けば電話は切れていて、僕はただ携帯を持ったまま立ち尽くしていた。
「―幸せのためなら」
僕は上着を羽織り、マスクを付け、家を飛び出した。
NEXT
:10/12/29 16:56
:SH04B
:2c2Jat.Y
#104 [不発花火]
絶望、それだけ。
―リストラ、その先は(3)―
:10/12/29 21:38
:SH04B
:2c2Jat.Y
#105 [不発花火]
ギィ、と錆びた音を立てながら扉が開き、僕は中に足を踏み入れた。
―場所は○×倉庫。
随分前に廃墟と貸した倉庫には、中にはもちろん周りにも誰一人としていなかった。
静寂の中、僕の呼吸の音が大きく聞こえた。
先程から煩く鳴る心臓の音まで聞こえそうだ。
:10/12/29 21:38
:SH04B
:2c2Jat.Y
#106 [不発花火]
突如、背後から扉が大きな音を立てて閉まる。
僕の体はビクリと跳ね、鼓動が今までよりも早く鳴りはじめた。
マスクを外すと、ポタポタと汗が足元に落ちる。
目線を少し上げると、何もない倉庫の中に何かが転がっていた。
:10/12/29 21:39
:SH04B
:2c2Jat.Y
#107 [不発花火]
それがガムテープと包装紙のような紙でグルグル巻きにされ、芋虫のような状態になっているそれが人間だと気付くのにあまり時間はかからなかった。
もぞもぞと苦し気に動いているのだ。
まるで助けを乞うように。
:10/12/29 21:39
:SH04B
:2c2Jat.Y
#108 [不発花火]
「はっ、はぁ…はぁ…」
それを見た途端、呼吸が酷く乱れるのを感じた。
確かに生きているそれを、僕は殺す。
妻との幸せな未来のために。
:10/12/29 21:40
:SH04B
:2c2Jat.Y
#109 [不発花火]
「あ、武器…武器は」
早く済ませ、金を貰って帰りたい。
妻が待つ家に。
きっと何も知らない妻は僕を笑顔で迎えてくれるだろう。
僕はうまく笑えるだろうか。
:10/12/29 21:40
:SH04B
:2c2Jat.Y
#110 [不発花火]
それに近付くと、もぞもぞと動くそれの横に黒いビニール袋があった。
中を開くと大金と、一丁の拳銃が無造作に入っていた。
初めて見る拳銃と大金。
束ねられていない札は500万以上あるように感じた。
「―そういえば、影武者は」
影武者の存在がどこにもないのを確認すると、突如僕の携帯が鳴りはじめた。
:10/12/29 21:40
:SH04B
:2c2Jat.Y
#111 [不発花火]
何もない空間に響く携帯の音に体が大きく跳ね、震える体で画面を確認すると『非通知』の文字があった。
「も、もしもし…」
『やぁ、私だ。影武者の存在は心配するな。こちらから君の姿は見えているよ』
:10/12/29 21:41
:SH04B
:2c2Jat.Y
#112 [不発花火]
―なんで、僕の番号を。
聞き慣れた男の声。
僕は男に電話をかける時は必ず非通知にしていたし、今まで一回だって男から電話がかかってくることはなかった。
『驚いているな?こちらは君のことを何でも知っているんだ。
さて、早速そこに転がる芋虫を殺して頂こうか』
男はそう言うと、有無を言わさず電話を切った。
:10/12/29 21:41
:SH04B
:2c2Jat.Y
#113 [不発花火]
僕はただ呆然と立ち尽くし、横に転がるそれに目をやった。
口を塞がれているのか、声を上げることもなく、ガムテープと包装紙でグルグル巻きになっている体を逃げようと必死になっている塊。
性別すらわからない人間。
顔すら覆われてるのが救いか。
:10/12/29 21:41
:SH04B
:2c2Jat.Y
#114 [不発花火]
僕は銃を手に取り、横になるそれを蹴飛ばして仰向けにして心臓に向ける。
「―神様」
目を閉じて、刹那。
乾いた銃声が倉庫に鳴り響く。
目を開けると、ピクリとも動かないそれの胸元辺りの包装紙が血に濡れていくのが見えた。
:10/12/29 21:42
:SH04B
:2c2Jat.Y
#115 [不発花火]
ジワジワと染み込み、床に血溜まりを作っていく。
僕はあまり見ないように、黒いビニール袋を手に取り颯爽と倉庫を後にしようと扉に足を向ける。
不思議と先程まで感じていた恐怖も何も感じなかった。
なぜか清々しささえ感じていた僕は異常なのだろうか。
それともずっと感じていた恐怖と緊張感から逃れられた安堵感なのだろうか。
:10/12/29 21:42
:SH04B
:2c2Jat.Y
#116 [不発花火]
薄暗い倉庫から出ると、陽は高く登り、眩しさに目を凝らした。
「やぁやぁ、君は見事任務を成し遂げることに成功したね」
「!?」
突如背後から聞き慣れない声が聞こえ、勢いよく振り返ると、扉の横にもたれ掛かるように老人が立っていた。
「…社長…?」
:10/12/29 21:43
:SH04B
:2c2Jat.Y
#117 [不発花火]
老人はよく見慣れた人物だった。
忘れもしない、自分がつい先日まで勤めていた会社の経営者。
人物に解雇を告げた張本人。
まさか、社長が。
社長が僕に人を殺させたというのか。
「君は見事大金を手に入れることが出来た訳だが、代わりにとても大切なものを失った」
:10/12/29 21:43
:SH04B
:2c2Jat.Y
#118 [不発花火]
社長はニコニコと人当たりの良い笑顔を向けている。
「どういうこと、ですか」
心臓が再び大きな音を立てて鼓動を刻み始めた。
「君が殺した人間を確認してくれば、全てわかるよ」
社長の顔から笑みが消え、声のトーンを落とした。
その声は、電話越しの男の声と同じだった。
:10/12/29 21:43
:SH04B
:2c2Jat.Y
#119 [不発花火]
「さぁ、確認しておいで」
トン、と肩を叩かれる。
僕は弾かれたように再び倉庫の扉を開け、事切れたそれに近づき包装紙とガムテープを解く。
おかしなくらいに手が震え、うまく開けることが出来ない。
乱暴に包装紙を剥ぎ取ると、そこには変わり果てた愛しい妻の顔があった。
「―…ッ!」
:10/12/29 21:44
:SH04B
:2c2Jat.Y
#120 [不発花火]
突如込み上げる嘔吐感を堪えることが出来ず、吐き出す。
まさか、まさか、自分の手で妻を。愛する妻を。
「君は自分の手で最愛の妻を殺してしまった。見事だよ」
パチパチと社長が拍手をする。
なぜ、妻なのだ。
「お前…!殺してやる!!」
:10/12/29 21:44
:SH04B
:2c2Jat.Y
#121 [不発花火]
社長に掴みかかろうとした瞬間、目の前に銃口を突き付けられた。
「教えてやろう。なぜ、君の妻を君が殺さなくてはならなかったのかを」
僕は眉間に当てられた銃口に動くことが出来ないでいる。
心臓の音がやけにうるさい。
:10/12/29 21:44
:SH04B
:2c2Jat.Y
#122 [不発花火]
「7年前の話だ。当時、君の妻は18歳で車の免許を取ったばかりだった」
「嬉しかったのだろうね。君の妻は深夜に車を飛ばしていた。
そこで、君の妻が乗った車が人身事故を起こした」
「轢いたのは私の娘だよ。
即死だった。だが君の妻は恐怖からか逃走した」
体が冷えていくのがわかった。
妻が人を殺している。
:10/12/29 21:47
:SH04B
:2c2Jat.Y
#123 [不発花火]
そんな話、一度も聞いたことがなかった。
「普通だったらすぐに法で裁かれるだろうが、彼女の父親は警視庁だと聞く。『証拠不十分』でこの事件は揉み消されたよ」
社長が持つ銃がカチリ、と音を立てた。
僕は動くことは愚か、言葉も発することができなかった。
語られていく真実。
:10/12/29 21:47
:SH04B
:2c2Jat.Y
#124 [不発花火]
「だから私は私のやり方で彼女を裁いてやろうと誓った。
いやあ、彼女を探し当てるのに7年もかかってしまったよ。
まさか自分の会社の人間の妻になっているとは」
クックッと聞き慣れた笑い声。
社長の口元がニヤリ、と笑う。
「―なぜ、僕の妻だと」
言葉が震えてうまく言葉を紡ぎ出せない。
:10/12/29 21:47
:SH04B
:2c2Jat.Y
#125 [不発花火]
「君が書類を忘れた日、それを届けにきた彼女を見た時だよ。
彼女は気づかなかったが、私は死んでも忘れない。
忘れられる訳がない。
たった一人の娘を殺した人間の顔など、一時でも忘れたことなどない!!だから私は君を使って彼女を殺してやろうと思ったのだ!
『あの事件について話がある』と私の名前を使って彼女を呼び出してな!!」
僕はその瞬間、全てを理解した。
:10/12/29 21:48
:SH04B
:2c2Jat.Y
#126 [不発花火]
朝、妻がやけに細かく洗濯機の使い方や洗濯物のたたみ方、調味料の置き場所等詳しく書いていたのかを。
妻が今日自分が殺されることを理解していたのだ。
だから僕が、一人でも生きていけるようにと。
体から力が抜け、足から崩れ落ちる。
:10/12/29 21:48
:SH04B
:2c2Jat.Y
#127 [不発花火]
守ろうとしていた妻と子を、自らの手で危めてしまった絶望。
愛する者を奪われ、復讐だけを考えて生きてきた人間の味わってきた絶望。
もう、何も考えたくなかった。
「…僕にはもう何もありません。守るものも、失うものも」
社長が握る銃に手をかけ、座り込んでしまった僕の額にまで下げさせる。
:10/12/29 21:48
:SH04B
:2c2Jat.Y
#128 [不発花火]
「いっそ、殺してください」
なぜ電話口の声に気付けなかったのか。
なぜ欲に負け、人を危める道を選択したのか。
なぜ、躊躇せず人を殺めてしまったのか。
後悔と、絶望しかなかった。
:10/12/29 21:49
:SH04B
:2c2Jat.Y
#129 [不発花火]
「それと、影武者など本当は用意していない。
君が躊躇った時、私が君と彼女を殺そうと思っていた。
だが君は任務を成し遂げたんだ。
私が殺す義務はない。
自殺するなり、足掻いて生きていくなり、好きにするがいい」
そう言うと社長は、僕の手を振り払い自らのこめかみに銃を当て、発砲した。
再び、乾いた音が響いた。
:10/12/29 21:49
:SH04B
:2c2Jat.Y
#130 [不発花火]
スローモーションのように倒れる様を僕はただ呆然と見ていた。
気付けば僕の目の前には二つの死体と、二丁の拳銃。
拳銃を手に取り、僕も二人の後を追おうと心臓に当てレバーを引くが、弾は入っていなかった。
:10/12/29 21:49
:SH04B
:2c2Jat.Y
#131 [不発花火]
「はは…」
僕はまだ立ち上げれないでいる。
END
:10/12/29 21:50
:SH04B
:2c2Jat.Y
#132 [不発花火]
:10/12/29 21:56
:SH04B
:2c2Jat.Y
#133 [不発花火]
一体いつから夢を見続けていたのかさえも、曖昧で。
―殺人犯の憂鬱―
:11/01/08 16:10
:SH04B
:GxI.VZ8M
#134 [不発花火]
夢の中で少女が泣いている。
まだ幼く、親がいなくては右も左もわからない様な少女が蹲りながら泣いている。
「どうしたの…?」
少女に歩み寄ると、ピタリと泣き声が止む。
:11/01/08 16:11
:SH04B
:GxI.VZ8M
#135 [不発花火]
「ママに会いたいの」
ゆっくりと少女の顔が上がる。
「ママに会わせて…」
少女の、顔は。
「―はぁッ…!」
少女の顔を確認する前に夢から現実に引き戻される。
:11/01/08 16:11
:SH04B
:GxI.VZ8M
#136 [不発花火]
毎度の如く、同じ夢。
自分が殺した少女の夢。
「くそッ…」
眠りについて直ぐに見る夢は、自分が3年前に殺した少女の夢ばかりだった。
毎日のように夢に現れる少女の顔を見る前に、必ずと言っていい程に目が覚める。
:11/01/08 16:12
:SH04B
:GxI.VZ8M
#137 [不発花火]
だが、3年前より明らかに長く夢を見るようになった。
殺した翌日は真っ暗な闇だった。
半年してから泣き声が聞こえるようになった。
1年が経過すると少女の姿が僅かに見えるようになった。
2年が経つと、少女の姿ははっきりと見えるようになった。
:11/01/08 16:13
:SH04B
:GxI.VZ8M
#138 [不発花火]
そして3年が経過した今、少女が語りかけてくるようになった。
少しずつ少女が自分に近付いているのを感じた。
だが、3年の長い年月の中で自分は今だに警察に身元が割れていない。
警察は最初の捜査で躓いたのだ。
:11/01/08 16:14
:SH04B
:GxI.VZ8M
#139 [不発花火]
自分ではない全く関係のない人間に容疑をかけ、2年に渡り裁判を続けた。
しかし、結局無実だと発覚した訳だが後の祭。
長い月日は自分が犯人だという真実を消すには充分過ぎる時間だった。
一番最初の捜査で躓くと、解決は極めて困難になるというのは本当だったのだ。
:11/01/08 16:14
:SH04B
:GxI.VZ8M
#140 [不発花火]
時効がない今、無実になることは未来永劫ないが、恐らく自分は永遠に捕まることはないだろう。
完璧な殺人だった。
目撃者すらない完璧な殺人。
加えて、無差別の快楽殺人。
溜まっていた鬱憤を晴らす為に幼い少女の命を奪った。
:11/01/08 16:15
:SH04B
:GxI.VZ8M
#141 [不発花火]
自分と少女や少女の家族とは何の接点もない。
そして証拠も残っていない今、自分が捕まることは皆無だった。
無抵抗の少女を殺すのはとても心地が好いものだった。
恐怖に怯えた大きな瞳に自分が写った瞬間、どんな残忍な方法で殺してやろうか悩んだ。
:11/01/08 16:16
:SH04B
:GxI.VZ8M
#142 [不発花火]
細い少女の首に手をかけ、力を込めると意図も安易く鈍い音を立てて折れてしまった。
少女が事切れた刹那、抑えようのない快楽が体を支配し、セックスよりも酷く興奮した。
自分でも異常だと思ったが、罪悪感すら湧かなかった。
だが、少女が夢に現れてからまともに眠れない日々を過ごしているうちに段々、恐怖と僅かながらの罪悪感を感じるようになった。
:11/01/08 16:16
:SH04B
:GxI.VZ8M
#143 [不発花火]
自分は、あの夢に恐怖していた。
「何なんだ…言いたいことがあるなら言え!クソっ…」
死人に口ナシとは本当によく言ったものだ。
「ちくしょう…今日もまともに寝れやしねぇ」
:11/01/08 16:16
:SH04B
:GxI.VZ8M
#144 [不発花火]
布団から起き上がり立ち上がると、少女を殺した後も変わらず住み続けているボロアパートの床はギシギシと悲鳴を上げた。
「…酒でも呑むか…」
それと、一人言が増えた。
一人暮らしは高校を卒業してから田舎を離れてからしているし、もう長い時間が経つが元から余り喋るのが好きじゃなかった為慣れてはいるが、少女を殺したあの日から一人が格段に増えた。
やはり自分は恐怖しているのか。
:11/01/08 16:17
:SH04B
:GxI.VZ8M
#145 [不発花火]
幼い少女を殺し、未来を奪ったことに。
裁かれることに。
冷蔵庫を開けると、暗い部屋がぼんやりと明かりに照らされる。
冷蔵庫に敷き詰められたビールや焼酎、酎ハイの缶から厳選していると、後ろから夢と同じ泣き声が聞こえた。
「―…ッ!?」
:11/01/08 16:17
:SH04B
:GxI.VZ8M
#146 [不発花火]
勢いよく振り返ると、布団の横で少女が蹲り泣いていた。
「…ママ…」
幽霊、だろうか。
途端に足がガクガクと奮え始め、立っていられなくなる程の恐怖を感じた。
「…ママに会いたいよ…」
少女はまだ顔を上げないままシクシクと泣いている。
「―クソッ」
:11/01/08 19:18
:SH04B
:GxI.VZ8M
#147 [不発花火]
笑う足を叱咤し、少女に近づく。
が、いよいよ少女に手を伸ばせば触れられる程の距離まで近付いた時、少女が顔をゆっくりと上げ始めた。
心臓が煩い程に孤独を刻んでいる。
自分は恐怖している。
だが少女の顔が自分に向けられる前に、強い力で意識が引き戻された。
:11/01/08 19:19
:SH04B
:GxI.VZ8M
#148 [不発花火]
「―…はぁッ…!」
気付けば自分は布団の中にいた。
体を起こし、辺りを見回しても少女はいない。
まさか、夢…
「何なんだよ…!」
起きて、罪悪感を感じたことすら夢なのか。
:11/01/08 19:19
:SH04B
:GxI.VZ8M
#149 [不発花火]
気を取り直して、テレビをつける為リモコンに手を伸ばすが、今度は真横で少女の泣き声が聞こえた。
「…ママ…」
泣き声が聞こえる方を見ると、冷蔵庫の前でまたしても少女がシクシクと泣いていた。
「ママは、どこ…?」
「うるせぇ!とっとと土に還れ!クソガキが!!」
勢いよく布団から立ち上がり少女に近付くと、またしても強い力で意識が引き戻された。
:11/01/08 19:20
:SH04B
:GxI.VZ8M
#150 [不発花火]
「―…何なんだよ!」
また、自分は布団の中にいた。
今のも夢だと言うのか。
現実と変わりないではないか。
「…気が狂っちまう…」
これも夢だと言うのだろうか。
試しに自分の頬を強く叩いてみると、確かな痛みがあった。
「…はは」
:11/01/08 19:20
:SH04B
:GxI.VZ8M
#151 [不発花火]
ヒリヒリとした痛み。
どうやら自分は相当寝不足に参っていたようだ。
まともに眠れない日が続いた3年の間、無意識のうちに気にしないようにしていたことを思い知る。
やはり自分は恐怖していた。
少女を殺した罪悪感に。
:11/01/08 19:20
:SH04B
:GxI.VZ8M
#152 [不発花火]
自嘲気味に笑っていると、今度は自分の真横で少女の泣き声が聞こえた。
「―ママ」
咄嗟に起き上がり隣を見ると、少女がすぐ真横で蹲り泣いていた。
「ママに会いたいよ…」
:11/01/08 19:21
:SH04B
:GxI.VZ8M
#153 [不発花火]
少女に手を伸ばした瞬間、いい加減慣れてしまった強い力でまたしても意識を引っ張られた。
「―くそっ!!」
痛みを感じたはずなのに、また自分は布団の中にいた。
いい加減、気が狂ってしまう。
どうせこれも夢なのだろう。
:11/01/08 19:21
:SH04B
:GxI.VZ8M
#154 [不発花火]
「何なんだ…!今更出て来て、何がしたいんだ!いい加減にしろ!!」
布団から飛び出し、台所の棚から包丁を取り出す。
「はぁっ…はぁっ…」
すると、また背後から少女の泣き声が聞こえた。
ほら、夢だ。
:11/01/08 19:21
:SH04B
:GxI.VZ8M
#155 [不発花火]
「ちくしょう…!いい加減にしやがれ!!クソガキ!」
少女に包丁を向けながら走り出すと、少女が勢いよく顔を上げた。
「ママ」
少女の顔は可愛らしい笑みを浮かべていた。
:11/01/08 19:22
:SH04B
:GxI.VZ8M
#156 [不発花火]
「マ"マ"…」
ごぼごぼと少女の口から血の泡が吹き出された。
「―――ッ!」
少女に向かって勢いよく包丁を振りかざすと、また意識が浮上するのを感じた。
気付けば自分はまた布団の中にいた。
「はは―…」
:11/01/08 19:22
:SH04B
:GxI.VZ8M
#157 [不発花火]
終わらない夢。
どうせこれもまた夢なのだろう。
今度は目の前から泣き声が聞こえた。
起き上がると、布団の前で少女が蹲り泣いていた。
「…ママ」
いつまで自分は夢を見ているのだろうか。
:11/01/08 19:23
:SH04B
:GxI.VZ8M
#158 [不発花火]
自分の手に握られた包丁を自分の喉元に突き刺した。
また、意識が浮上するのを感じた。
END
:11/01/08 19:23
:SH04B
:GxI.VZ8M
#159 [不発花火]
:11/01/08 21:17
:SH04B
:GxI.VZ8M
#160 [不発花火]
亡き君に、弔いの言葉を。
―亡き君へ―
:11/01/09 16:36
:SH04B
:CF17bEo.
#161 [不発花火]
家族が泣いている。
ゆらゆらと、漂いながら微かに声を聞いた。
深い、微かな声。
けれど確かな声。
家族が呼ぶ元へ、ゆらゆらと。
ただ、体を打つ冷たい波に飲まれながら。
:11/01/09 16:36
:SH04B
:CF17bEo.
#162 [不発花火]
毎日、君を探す人がいる。
サクサク、と波で湿った砂浜が足音を立てる。
「必ず、見つける」
その人は言った。
冷たい風がその人の体温を容赦なく奪っていく。
気付けば夕闇に浮かんでいた。
:11/01/09 16:37
:SH04B
:CF17bEo.
#163 [不発花火]
毎日、君を叱る人がいる。
「馬鹿なことを」
叱るその人は大粒の涙をボロボロと零していた。
涙は砂浜に吸い込まれ、消えた。
夕焼けが涙を美しく照らしていた。
:11/01/09 16:38
:SH04B
:CF17bEo.
#164 [不発花火]
(君は皆に愛されていた)
亡き、君へ。
END
:11/01/09 16:38
:SH04B
:CF17bEo.
#165 [不発花火]
どうせなら、美しく死にたい
―美しい死体―
:11/01/21 22:11
:SH04B
:esLpyWR6
#166 [我輩は匿名である]
恵まれた容姿。
恵まれた頭脳。
恵まれた家庭。
何一つ不自由はなかった。
けれど、それは孤独の魔法。
美しいと言われる容姿は同性から嫉まれ、異性からは近寄り難いと言われ、いつも一人だった。
恵まれた頭脳は同性からも異性からもお高く止まっていると言われ一人になった。
恵まれた家庭は近所から嫌みだと疎まれた。
:11/01/21 22:11
:SH04B
:esLpyWR6
#167 [我輩は匿名である]
両親だけが私の味方だった。
両親はいつも一人でいる私の気持ちを汲んで、昔から「辛かったら家にいればいい」と言ってくれた。
それが嬉しかった。
無理矢理外に出されるよりも、一人で家にいた方がずっと気が楽だったから。
でも、私の唯一の味方だった両親も先月交通事故で亡くなった。
私に残されたものは一生働かなくとも生きていける程の莫大な財産だけだった。
:11/01/21 22:11
:SH04B
:esLpyWR6
#168 [我輩は匿名である]
そんな大金だけがあっても、所詮は一人。
今更外に出て友人や恋人を作る気などさらさらなかった。
どうせまた一人になるのだ。
また一人になる虚しさを感じるくらいなら初めから一人だった方がいい。
一人で死んだ方がいい。
だから私は、恵まれたこの容姿を崩さないまま死ぬことを決めた。
:11/01/21 22:12
:SH04B
:esLpyWR6
#169 [我輩は匿名である]
生きていても一人。
ならいなくても同じ。
だから私は今、高層ビルの屋上にいる。
飛び降りの遺体は悲惨なものだと聞くが、臀部から着地すればそれは綺麗な死体になるらしい。
だから、臀部が下になるように飛び降りた。
:11/01/21 22:12
:SH04B
:esLpyWR6
#170 [我輩は匿名である]
これで私の遺体は綺麗なまま。
美しいまま。
なのに、どうして。
なぜ私は飛び降りたはずの場所に佇んでいるのか。
確かに飛び降りたはずなのに。
「お姉さんが望んでいる綺麗な死体とは程遠いものだったからだよ」
「!?」
:11/01/21 22:12
:SH04B
:esLpyWR6
#171 [我輩は匿名である]
クン、と服を捕まれ、そこを見ると小さな少年がいた。
黒い髪に、大きな瞳。
可愛らしい顔立ちの少年がいつの間にか私の隣にいた。
「なんで…」
「臀部から着地しようとしたみたいだけど、そんなの偶然じゃなきゃうまくいかない。お姉さんの死体は脳みそグチャグチャで体は変な方向に曲がり放題。骨も突き出てたしね」
:11/01/21 22:13
:SH04B
:esLpyWR6
#172 [我輩は匿名である]
グロテスクな言葉をスラスラと不釣り合いな程軽々しく少年は口にした。
「そんなの嫌っ…!そんなの私が望んでいる死体じゃない!」
知りたくなかった。
自分は綺麗な死体になりたいのだ。
「だから僕はここにいる。お姉さんが満足するまで僕は何度でも自殺に付き合うよ」
この少年は何を言っているのだ。
:11/01/21 22:13
:SH04B
:esLpyWR6
#173 [我輩は匿名である]
そんなことが可能なのか。
でも、現に私は確かに飛び降りたはずなのにここにいる。
飛び降りた高層ビルの下にいるのが何よりの証拠だった。
「でも、途中で死ぬのをやめることは出来ない。だってお姉さんは一度死んでいるもんね?お姉さんは自分が満足する死体になるまで何度でも死ななきゃいけない」
くすくすと少年が笑う。
:11/01/21 22:13
:SH04B
:esLpyWR6
#174 [我輩は匿名である]
それでもよかった。
どうせ生きていても一人。
美しい死体になるまで何度だって死んでやる。
一度死ねたんだ。
また一人であの孤独感を味わうのなら、死んだ方がマシだ。
「…わかった」
さぁ、次はどうやって死のうか。
NEXT
:11/01/21 22:14
:SH04B
:esLpyWR6
#175 [不発花火]
:11/01/21 22:16
:SH04B
:esLpyWR6
#176 [我輩は匿名である]
気になります
:11/01/24 23:09
:N08A3
:kF.WyjM.
#177 [我輩は匿名である]
確かに地面に叩き付けられる直前に例えようのない恐怖を感じたというのに。
―美しい死体(2)―
:11/01/27 10:31
:SH04B
:0FYnLcmw
#178 [我輩は匿名である]
私の最も理想的な死体は、かの有名な世界一美しいと言われるミイラ「ロザリア・ロンバルド」だった。
まるで人形のような、未来永劫老いることのない美しい死体。
:11/01/27 10:32
:SH04B
:0FYnLcmw
#179 [不発花火]
溺死は二目と見られない程醜い死体になると聞くし、青酸カリは泡を吹き遺体はアーモンド臭がするらしいから却下。
首吊りや列車衝突も却下。
美しく死にたかった。
孤独で寂しい人生を送っていた分、一目を惹くような、美しい死体になりたかった。
:11/01/27 10:33
:SH04B
:0FYnLcmw
#180 [不発花火]
「凍死するしかないよ」
隣で少年が笑いながら言う。
あれから少年は、私の傍にくっついて回った。
私自身は確かに一度死んだはずなのに、なぜだか他の人間に見えてはいるが(普通にコンビニで買い物が出来たのが証拠)、少年は誰にも見えていなかった。
:11/01/27 10:33
:SH04B
:0FYnLcmw
#181 [我輩は匿名である]
「凍死なんて出来る訳ないでしょ。冷凍庫にでも押し込むつもり?」
少年の皮肉に、私も皮肉で返すが少年は気にしていないようでまだ笑っている。
「僕なんて首が180度曲がって口から血の泡を吹いて死んだんだよ。それに比べたら冷凍庫に入って凍死のがいいでしょ」
:11/01/27 10:33
:SH04B
:0FYnLcmw
#182 [我輩は匿名である]
どこがいいんだ。
業務用冷凍室のような広いところならともかく、家庭用の冷凍庫に押し込められて死ぬなんてドリフのコントでもそんなのはない。
それはともかく、少年の言葉が気にかかった。
傍にいる、名前も知らない少年の死に方。
事故だろうか。
:11/01/27 10:34
:SH04B
:0FYnLcmw
#183 [我輩は匿名である]
「…君は殺されたの?」
少し遠慮がちに聞くと、少年は一瞬笑顔を消すが、またニコニコと笑い始める。
「…違うよ。事故だったんだ」
「…事故…」
少年は見た目からして小学2、3年生くらいだろうか。
:11/01/27 10:39
:SH04B
:0FYnLcmw
#184 [我輩は匿名である]
その年齢なら事故死でも納得がいくが、まだ幼い少年の急な死を憐れに思った。
「僕はブランコから投げ出されたんだよ…」
少年の笑顔の中にどこか悲しげなものが混じっていたのは、きっと気のせいじゃない。
:11/01/27 10:40
:SH04B
:0FYnLcmw
#185 [我輩は匿名である]
「この話は終わり!さあ、お姉さんはどうやって美しく死ぬつもりなの?」
「…私は」
美しく死ぬことは難しい。
餓死は醜いし、きっと誰かしら異臭に気付き腐敗してる遺体を見付けるだろう。
それだけは嫌だった。
やはり凍死が一番理想的だが、用意が出来ない。
:11/01/27 10:41
:SH04B
:0FYnLcmw
#186 [我輩は匿名である]
エベレストにでも行く?
なんて、冗談。
それならば。
「…樹海に行く。綺麗なドレスを着た白骨死体なんて素敵じゃない?昔お母さんが話してくれた令嬢も、綺麗なドレスを着た白骨死体で見つかったの」
彼女のような、死して尚愛されるような美しい死体に。
:11/01/27 10:41
:SH04B
:0FYnLcmw
#187 [我輩は匿名である]
「…磁場が狂う程奥に行かなければ死体なんてすぐに見付けられちゃうよ」
「樹海でコンパスが効かないなんて話、信じてるの?それに失敗すればまたやり直せるんでしょう?」
満足のいくまで、私は何度だって死んでみせる。
その時の私は、自分が一度感じた死への恐怖にまだ気付けないでいた。
NEXT
:11/01/27 10:41
:SH04B
:0FYnLcmw
#188 [我輩は匿名である]
報復など、醜いだけだと
―死して尚、屍―
:11/01/29 21:15
:SH04B
:T5g04vLM
#189 [我輩は匿名である]
『僕は君の友達だよ』
僕の友達は、僕を置いて逃げたんだ。
事故なのはわかっていた。
けれど、僕は薄れゆく意識の中で走り出す君の背中を見たんだ。
僕はあの時、確かに生きていたのに。
:11/01/29 21:15
:SH04B
:T5g04vLM
#190 [我輩は匿名である]
「今度は僕が背中を押してあげるよ」
降り続く雨が強くなり、彼を濡らす。
僕は彼の背中を強く押す。
ギィ、とブランコが揺れる。
「―やめろっ!!」
:11/01/29 21:16
:SH04B
:T5g04vLM
#191 [我輩は匿名である]
彼が暴れ出すと、悲しいかな所詮は子供と大人の力の差。
彼はブランコから手を離し、前から地面に落ちた。
「手を離したら危ないよ…僕みたいになっちゃうじゃないか…」
「はぁッ…はぁッ…」
みっともなくも、地面に拳を握り締め彼は起き上がろうとしない。
:11/01/29 21:16
:SH04B
:T5g04vLM
#192 [我輩は匿名である]
僕は彼の前に立ち、見下ろす。
彼は大粒の涙を流していた。
「…すまなかった!君を見捨てる気はなかったんだ!怖かったんだよ…!」
「!」
急に彼が僕に縋り付いてきたから、僕は体制を崩すが何とか持ちこたえるが、彼はただ嗚咽混じりでボロボロと涙を零しているだけだった。
:11/01/29 21:16
:SH04B
:T5g04vLM
#193 [我輩は匿名である]
「何度もここに来ようと思ったんだ!でも怖かった!君に拒絶されるのが…!」
「…僕がここにいる確信でも?」
彼は何を言っているんだ。
どんな確信があって、何を思ってここに来たのか、僕にはわからなかった。
「君は絶対にここにいると思ったんだ…ずっと謝りたかった…」
謝るために、ここに。
ならばなぜ、謝りたかったのならもっと早くここに来なかったのか。
:11/01/29 21:16
:SH04B
:T5g04vLM
#194 [我輩は匿名である]
なぜ、
「決心がつかなかったんだ…君に拒絶されるのが怖かった臆病者なんだ…」
「…」
「笑ってくれ…君を見殺しにしたくせに、死ぬのが怖いんだ…」
彼はズルい。
そんな風に泣かれてしまったら、許すしかなくなってしまう。
:11/01/29 21:17
:SH04B
:T5g04vLM
#195 [我輩は匿名である]
僕にはもう、それ以外の選択肢しかないではないか。
「…もう、帰って。二度とここに来ないで」
僕の口が吐き出した言葉は文句ではなく、君を赦す言葉。
「…すまなかった」
立ち去る彼を、見送るしか出来ない僕は。
僕は一体、何のために長い間ここにいたのか。
僕はこれからどうすればいいのか。
ふと、彼が去った後に一枚の写真が落ちているのに気付いた。
写真には僕と同じくらいの可愛らしい顔立ちの少女が写っていた。
僕はただ雨に打たれ歪んでいく写真を見つめることしかできなかった。
END
:11/01/29 21:17
:SH04B
:T5g04vLM
#196 [不発花火]
:11/01/29 21:19
:SH04B
:T5g04vLM
#197 [我輩は匿名である]
あげ↑
:11/10/04 20:06
:W62P
:.ni/x2UA
#198 [○○&◆.x/9qDRof2]
(´∀`∩)↑age
:22/10/04 08:40
:Android
:nH.OoPsQ
#199 [○○&◆.x/9qDRof2]
:22/10/04 17:14
:Android
:nH.OoPsQ
#200 [○○&◆.x/9qDRof2]
:22/10/04 17:15
:Android
:nH.OoPsQ
#201 [○○&◆.x/9qDRof2]
:22/10/04 17:28
:Android
:nH.OoPsQ
#202 [○○&◆.x/9qDRof2]
:22/10/04 17:29
:Android
:nH.OoPsQ
#203 [○○&◆.x/9qDRof2]
:22/10/04 19:13
:Android
:nH.OoPsQ
#204 [○○&◆.x/9qDRof2]
(´∀`∩)↑age↑
:22/10/17 22:22
:Android
:We5gljpk
#205 [approach]
(´∀`∩)↑age↑(∩゚∀゚)∩age
:25/11/12 23:48
:Android
:84s6S4Do
#206 [approach]
:25/11/13 00:09
:Android
:b8Rd/wD6
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