亡き君に告ぐ
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#30 [不発花火]
愛しのイザベラ。

白骨死体になっても美しい君に魅入られた僕は二度とここから出られないだろう。


―永遠に私の傍にいて。

青年の耳に美しいイザベラの声が響いた。



END

⏰:10/12/18 10:25 📱:SH04B 🆔:Agq75nzI


#31 [不発花火]
感想
>>12

1、亡き君に告ぐ
>>2->>11

2、指名手配犯
>>13->>16

3、亡者の館
>>17->>30

⏰:10/12/18 10:42 📱:SH04B 🆔:Agq75nzI


#32 [不発花火]
「私の演奏人形。今夜は何を弾いてくれるのかしら」


―演奏人形―

⏰:10/12/18 12:05 📱:SH04B 🆔:Agq75nzI


#33 [不発花火]
少年は人形だった。

生まれた時から人形だったし、今更人間になりたいとも思わなかった。

少年はオルガンを弾くことしかできなかった。

少年はいつだって少女に作られた人形だった。


「私の演奏人形。今日はシューベルトが聴きたいわ」


―かしこまりました。


人形は今日も少女の為にオルガンを弾く。

⏰:10/12/18 12:06 📱:SH04B 🆔:Agq75nzI


#34 [不発花火]
少女は貪欲だった。

少女の醜い容姿は、少女の人格を歪ませる環境を作るのに充分過ぎた。

人が寄り付かない淋しさを乗り越える為に、少女はたくさんの人形を作った。

掃除をする人形、買い物をする人形、少女を愛する為の人形、そして演奏人形。

どれも美しい少年の姿をしていたが、皆少女の貪欲に耐え切れず壊れていった。

―もっと綺麗に掃除しなさい。塵一つ残さずに。

―もっと私を愛しなさい。愛さない場所などないくらいに。

まるで少女を嫌がるかのように人形達は壊れていった。

演奏人形を除いて。

⏰:10/12/18 12:06 📱:SH04B 🆔:Agq75nzI


#35 [不発花火]
「あなたはずっと私の傍で音楽を奏でてくれるわよね?」

―もちろんです。レディ。


今日も美しいオルガンが少女の済む建物に響き渡る。


人形は少女を愛していたのだ。


「さあ、今日も美しい音色を奏でて頂戴。私の演奏人形」


醜く淋しがり屋の少女を、人形は愛していた。


「今日はバッハがいいわ」


ならば少女は演奏をしない自分を愛してくれるのだろうか。


「どうしたの。さっさとオルガンを弾きなさい」


人形である自分を、人間として愛してはくれるだろうか。


「役立たずな人形ね。また作り直さなくちゃならないわね」

⏰:10/12/18 12:06 📱:SH04B 🆔:Agq75nzI


#36 [不発花火]
人形は自分に向かって振り下ろされる金づちを見ながら、少女の幸せを願った。


それから、少女が生み出す人形は少女の願いを一度聞き入れると壊れてしまうものばかりだった。


演奏人形のように、長く少女の傍で動く人形はいなかった。


少女は人形に愛されていたことすら気づかないでいる。



END

⏰:10/12/18 12:07 📱:SH04B 🆔:Agq75nzI


#37 [我輩は匿名である]
>>1-100

⏰:10/12/18 16:08 📱:SH004 🆔:G9EnQzMk


#38 [みくや]
このお話スキです
頑張ってください

⏰:10/12/18 17:23 📱:P01A 🆔:3khtU/d6


#39 [不発花火]
どうして僕はこんな底辺にも程がありすぎる高校に入学してしまったんだろう。

入学して3年が経とうとしている今でも毎日のように中学生だった自分をボコボコに殴って「楽なんかしないでもっと勉強して普通の底辺高校に行け」と言ってやりたい衝動に駆られる。(あくまで底辺なのは僕は勉強が苦手だからだ)


―性春ハイスクール―

⏰:10/12/18 20:53 📱:SH04B 🆔:Agq75nzI


#40 [不発花火]
この高校は、名前を出せばどんな就職先にだって就くことができると有名だった。

ただしAV女優や男優、そういう大人の娯楽関係の会社のみだ。

隣の席の可愛いハルカちゃんだって卒業したら「誤背ハルカ」という名前でAV女優デビューが決まっているし、前の席の向井くんは「キャラメル向井」という名前でAV男優のデビューが決まっている。

⏰:10/12/18 20:53 📱:SH04B 🆔:Agq75nzI


#41 [不発花火]
輝かしい(?)未来のために皆今日も一生懸命性の勉強をしている。

「お前いい加減進路決めたらどうだ?男優が嫌ならAV制作会社やポルノ雑誌の編集社なんかもあるぞ?」

「結構です」

母さん、父さん。
僕に社会人としての春は訪れそうにありません。

「何が嫌なんだ?」

「全てが嫌です」

⏰:10/12/18 20:54 📱:SH04B 🆔:Agq75nzI


#42 [不発花火]
「じゃあどうしてこの高校を希望したんだ」

そりゃもう。
入試が「子供はどうやってできるか。3文字の英単語で説明せよ」のみでしたし。
家から徒歩10分でしたし。
ろくにどんな学校かを調べずに入った僕も悪いですけども。

「馬鹿だったからです」

言って酷く虚しくなるのを感じたが、それ以外の回答が思い付かなかった。

⏰:10/12/18 20:54 📱:SH04B 🆔:Agq75nzI


#43 [不発花火]
「…帰ってよろしい」

そう言って先生から渡されたのはポルノ雑誌の編集社のチラシだった。

『溢れる性欲を満たす雑誌を作りませんか?』なんてキャッチフレーズに溜息しか出なかった。

「…」

何で他人の溢れる性欲を満たす雑誌を自分が作らなきゃいけないのか。
冷たい風が吹く帰り道を僕は虚しく一人で歩み始めた。


END

⏰:10/12/18 20:54 📱:SH04B 🆔:Agq75nzI


#44 [でりーと]
でりーと

⏰:10/12/18 20:58 📱: 🆔:・・・


#45 [不発花火]
>>38
ありがとうございます(`・ω・´)!
皆様に少しでも楽しんで頂けるようがんばります!

⏰:10/12/18 21:06 📱:SH04B 🆔:Agq75nzI


#46 [不発花火]
胎動を感じた。


―シャム双生児―


わたしとあなた。

きっと前世では結ばれなかったのかしら。

でも神様が最上級の形で私達を再び廻り逢わせてくれたのね。

わたしとあなた。

お互いの脚はないけれど腹部で繋がっているから、いつも一緒。

歩くことはできないけれど、いつも一緒。

それはセックスよりも素晴らしい愛の形。

わたしとあなた。
死ぬ時も一緒。

⏰:10/12/21 12:25 📱:SH04B 🆔:vbqTPqqs


#47 [不発花火]
もし生まれ変わりがあるなら、私は魚になりたい。

暗い海の底で、一人きりで泳ぐ美しい魚に。



―深海に、沈む―

⏰:10/12/23 02:01 📱:SH04B 🆔:vGZkDNeY


#48 [不発花火]
今日は学校に登校すると、上履きがなかった。

昨日は数学の教科書がなくなり、一昨日は上履きの中に大量の砂が入っていた。

簡単に言えば「いじめ」にあっている。

いつからだなんて覚えていないし、原因なんかもさっぱりわからなかった。

⏰:10/12/23 02:02 📱:SH04B 🆔:vGZkDNeY


#49 [不発花火]
気付けば私の周りからは人が消え、一人になっていた。

別にそれでもよかった。

また輪の中に入っていつ嫌われるんだろうとビクビクしながら生きていくなら、一人でよかった。

なんて、思っていても。

⏰:10/12/23 02:02 📱:SH04B 🆔:vGZkDNeY


#50 [不発花火]
「ねぇ、今週の土曜日遊ぼうよ」

「どこ行く?」

「場面行動でいいんじゃない?」


教室の中で行われる友達同士の当たり前のやりとりを聞くと、酷く羨ましくなる。

私には休日の予定なんて、ずっとない。

⏰:10/12/23 02:03 📱:SH04B 🆔:vGZkDNeY


#51 [不発花火]
たまに本屋に小説や漫画を買いに出かけたりするけど、最近はずっと家で一番お気に入りの本を読んでいる。

それは、「深海」について書かれている本だった。

中でも一番のお気に入り魚は、「リュウグウノツカイ」と呼ばれている深海に住む魚だった。

⏰:10/12/23 02:03 📱:SH04B 🆔:vGZkDNeY


#52 [不発花火]
群れることを好まず、たった一匹で暗く深い深海を泳ぐ美しい虹色の魚。

私はそれが酷く羨ましかった。

たった一匹で気高く、美しく深海を泳ぐ魚。

わたしは生まれ変わったら、その魚になりたかった。

⏰:10/12/23 02:03 📱:SH04B 🆔:vGZkDNeY


#53 [不発花火]
「それなら一人でも平気なのに」


私の独り言は、放課後の誰もいない教室に響き渡った。

⏰:10/12/23 02:04 📱:SH04B 🆔:vGZkDNeY


#54 [不発花火]
翌日は、椅子がなかった。

教室を見渡せば、掃除用具入れの前にポツンと置かれていた。

私が取りに行けば、後ろでクスクスと笑い声が聞こえた。


涙が零れそうになるのを必死で堪え椅子に手をかけた瞬間、背中に軽い衝撃を感じた。

振り返れば、ゴロゴロと転がるジュースの缶。

⏰:10/12/23 02:04 📱:SH04B 🆔:vGZkDNeY


#55 [不発花火]
誰かに意図的に当てられたことは考えなくてもわかった。


「お前生きてる価値ないよ」


私は、私の中で限界を感じた。

ずっと堪えてきた。

靴がなくなっても、無視されても、お弁当をひっくり返されても、ずっと我慢してきた。

⏰:10/12/23 02:04 📱:SH04B 🆔:vGZkDNeY


#56 [不発花火]
教室中に響く笑い声を背に、溢れる涙を耐え切れず、走って教室を後にする。


一人には慣れていたはずだった。

学校を卒業するまで耐え切ってみせると、そう思ってた。

でも、寂しかった。
ずっと寂しかった。

⏰:10/12/23 02:04 📱:SH04B 🆔:vGZkDNeY


#57 [不発花火]
一人でも平気な、魚になりたかった。

そうすれば一人でも気高く、美しく生きていけるのに。


私の足が向かった先は、青い綺麗な海だった。

テトラポッドに足を掛け、海に沈む。

着ていた制服が水を吸い込み、私の体は深く深く海の底に沈んだ。

⏰:10/12/23 02:05 📱:SH04B 🆔:vGZkDNeY


#58 [不発花火]
自然と、苦しくなかった。

ふと、目の前に一匹の魚が現れた。

私がずっと憧れていた、美しく気高い竜宮城の使い。


でも虹色に輝いているはずの体は白く変色していて、それが腐敗した死体だと気付いた瞬間、私の中で恐怖を感じた。

⏰:10/12/23 02:05 📱:SH04B 🆔:vGZkDNeY


#59 [不発花火]
「ひっ」

声にならない悲鳴が口から漏れ、酸素が口からゴボ、と溢れ出すのを感じた。

途端に強烈に息苦しくなり海面に出ようともがくが、長く大きい竜のような死体が体にのしかかり、私を海の底へと沈めていった。

⏰:10/12/23 02:05 📱:SH04B 🆔:vGZkDNeY


#60 [不発花火]
あれ程までに焦がれた魚。

海底ではそれが私の体に重くのしかかり、身動きが取れなくなった。

死体からは小さな虫のような魚がうごめいている。


死にたくない、と思ってしまった。

⏰:10/12/23 02:06 📱:SH04B 🆔:vGZkDNeY


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