亡き君に告ぐ
最新 最初 全 
#1 [不発花火]
初めまして。
不発花火と申します。
オムニバス形式で色々な話を書いていきたいと思います。
グロ、ホラー等混ざりますので苦手な方は注意してください。
:10/12/17 22:06
:SH04B
:f3tn8iq6
#2 [不発花火]
ギィギィ、と錆びた音が廃れた公園に響き渡る。
僕の横でブランコを漕ぐのは、あの時と何一つ変わらない君。
亡き君に告ぐ
:10/12/17 22:07
:SH04B
:f3tn8iq6
#3 [不発花火]
僕がまだこの公園で遊んでいた時は、周りは古びた団地で、道路を渡ってすぐに優しいおばあちゃんがいる駄菓子屋があって、その少し離れた所に友達の家が経営している本屋があったはずだった。
でも今は見渡しても駄菓子屋も本屋も古びた団地もなく、コンクリートのビルや綺麗な高層マンションがそびえ立っていた。
その中でこの廃れた公園だけは昔と何一つ変わらずに、まるでここだけ世界が違うように佇んでいた。
:10/12/17 22:08
:SH04B
:f3tn8iq6
#4 [不発花火]
でも、昔はたくさんの子供達やその母親で賑わっていた公園も、今ではしんと静まり返っている。
ただ、ブランコの音がギィギィと鳴り響いている。
「君は変わらないな」
ブランコを囲む鉄柵に座る僕の横で無言のまま小さくブランコを漕ぎ続ける君に僕は話し掛けた。
十何年という長い時間は、僕を大人にするのは充分すぎる程だった。
:10/12/17 22:08
:SH04B
:f3tn8iq6
#5 [不発花火]
大人になった僕は、小さい頃の面影なんてない程に成長していた。
顎髭なんか生やしているし、似合わないスーツだって毎日のように着ている。
昔のようにTシャツと短パンで駆け回ることもなくなった。
でも君は何一つ変わらず幼いままだ。
どれ程の時間が経ったのだろうか。
僕は君が亡くなってから、一体何年この公園に足を運ばなくなったのだろうか。
「おじさん、誰?」
まだ声変わりをしていない、高らかな少年の声。
何も知らない、君の声。
「僕は君の友達だよ」
懐かしさから涙が零れそうになるのを必死で耐えながら、言葉を紡ぐ。
君は気付いてくれるだろうか。
:10/12/17 22:09
:SH04B
:f3tn8iq6
#6 [不発花火]
「でも、僕はおじさんを知らないよ?」
「僕は君をずっと昔から知ってるよ」
ブランコを漕ぐのを止め、僕の目を見透かえながら君はきょとん、とした顔をしている。
「僕の、友達…?」
そう、人見知りで泣き虫な君の、たった一人の友達だったんだ。
笑って頷くと君は嬉しそうに、けれど恥ずかしそうに再びブランコを漕ぎ出した。
「じゃあ…ブランコを押してくれる?」
「…もちろんだよ」
僕は鉄柵から立ち上がり、緩くブランコを漕ぐ君の細い背中を優しく押していく。
:10/12/17 22:09
:SH04B
:f3tn8iq6
#7 [不発花火]
「しっかり掴まってるんだよ?」
手放さないように。
「うん!もっと、もっと高く―」
あの時のように、手放さないように。
僕は少し強めに背中を押すが、君はまだ満足出来ないのか『もっと、もっと』と楽しそうに笑っている。
ふと、雨が降り出した。
ポツポツと雨粒が乾いた地面に小さな染みを作り、地面の色を変えていく。
「さあ、雨が降って来たよ。お家に帰ろうか」
また天気が良い日に、君に会いに行くよ。
そしたら君に謝りたいことがあるんだ。
:10/12/17 22:10
:SH04B
:f3tn8iq6
#8 [不発花火]
「―どうして?」
君は許してくれるだろうか。
「どうして、って雨が降ってるからだよ。風邪を引いてしまうだろ?」
僕からは君の顔は見えない。
僕の心臓は急激に早く鼓動を刻み始めた。
声は震えていなかっただろうか。
「あの時は雨が振ってても、もっと強く背中を押してくれたのにね?」
ぐるり、と180度君の顔が僕の方を向く。
人間では、有り得ない向きで君は僕の顔を見ている。
「ひっ」
つい嗚咽が漏れてしまい、慌てて手で口を塞ぐ。
心臓の音が煩い程に鳴っている。
:10/12/17 22:10
:SH04B
:f3tn8iq6
#9 [不発花火]
「どうして僕を置いてったの?」
「僕はまだ生きていたのに」
「どうして?」
君は僕を許してくれるだろうか。
「ごめ、ごめん…本当にごめん…怖かったんだ…責められるのが」
『君を殺した』と責められるのが。
あの日たまたま雨が振っていて、僕はブランコを漕ぐ君の背中をいつものように押していたんだ。
ほんの少しの雨だったから、構わず親友である君と遊んでたんだ。
君を喜ばせたくて、雨粒がキラキラと宝石のように綺麗だったから、いつもより強く背中を押していたんだ。
:10/12/17 22:11
:SH04B
:f3tn8iq6
#10 [不発花火]
『立ったら、きっともっと楽しいよ』
その言葉で立ち上がった君の背中を僕が強く押した瞬間、雨で濡れた鉄で出来た手摺りから君は手を離してしまい、君の小さな体は宙を舞った。
高く飛んだ君の体は地面に強く叩き付けられ、しばらくビクビクと痙攣し、血を吐き出した後ピクリとも動かなくなった。
僕は怖くなってしまい、逃げ出してしまった。
「違、違う…助けたかったんだ…本当だよ…ごめん、ごめんよ…」
「嘘だ」
無表情な君からは、何も感じられなかった。
怒りも悲しみも何も感じられない、君。
僕はただそれに恐怖を感じるしかなかった。
:10/12/17 22:11
:SH04B
:f3tn8iq6
#11 [不発花火]
「今度は僕が背中を押してあげるよ」
雨が、強くなった。
END
:10/12/17 22:12
:SH04B
:f3tn8iq6
#12 [不発花火]
:10/12/17 22:23
:SH04B
:f3tn8iq6
#13 [不発花火]
自分で言うのも何だが、俺は有名な指名手配犯だ。
無差別殺人だし、今だ顔すら警察に割れていないからこうして街中で顔を晒していても俺が今まで人を10人以上殺してる殺人犯なんて誰も気付きやしない。
「お兄さん、さっきからあたしのことばっか見てるよね?」
気付きやしない。
指名手配犯
:10/12/17 22:45
:SH04B
:f3tn8iq6
#14 [不発花火]
「見てねーよ。俺はお前の後ろにあるマックの広告を見てたんだよ」
生憎俺は太い生足を惜しみ無く晒しているJK(女子高生)には興味がないんだ。勘違いもそこまで来るとアッパレだ。
やはり女は年上に限る。(ちなみに俺は明日で24歳になる)
「うっそだー。さっきからあたしのことずっと見てたもん」
「見てねーよ。お前の太い足になんかより俺はビックマック200円の方が魅力的だ」
「太い足って、やっぱ見てんじゃん」
「…」
:10/12/17 22:46
:SH04B
:f3tn8iq6
#15 [不発花火]
うぜぇ、この女。
殺してやろうか。
周りに人は今のところほとんどいないし、たまに人が通るくらいだから、今ここで俺がこの女を殺して逃走したところで俺の顔を覚えてる人間なんか誰もいない。
精々「誰かいたような気がする」くらいだ。
それに俺自身最低な人間なので、女だからって容赦しない。
まだ生まれて間もないガキだって殺してんだ。
「まあいいや。お兄さんさ、あたしと同じだよね」
前略、殺していいですか。
俺はポケットから折り畳みのナイフを取り出す。
心臓を一突き、もしくは血まみれになる覚悟で頸動脈を切るかのどっちかだ。
「俺はお前とは違う」
:10/12/17 22:46
:SH04B
:f3tn8iq6
#16 [不発花火]
お前みたいな何も考えてなさそうなパッパラな女子高生と優秀な殺人犯の俺を一緒にするな。
「一緒だよ」
我慢ならん。殺す。
俺は女子高生の首元にナイフを当てるが、女子高生は顔色一つ変えずに言葉を吐き出した。
「人を殺すなら、躊躇わずにやらなきゃ駄目だよ」
ドスッと衝撃が走り、口から血が溢れ出した。
「ちなみに私が殺した数はお兄さんで44人目だよ」
倒れる瞬間、マックのポスターの横に女子高生の顔写真の上に「指名手配犯」と書かれた髪が貼ってあるのが見えた。
「お兄さんが私に気付いてさっさと殺していれば助かったかも知れないのにね」
沈む意識の中、笑い声が聞こえた。
END
:10/12/17 22:46
:SH04B
:f3tn8iq6
#17 [不発花火]
昔々、亡者がさ迷い続けると噂が飛び交う森の奥にある館に一人の青年が借り出された。
―亡者の館―
:10/12/18 10:20
:SH04B
:Agq75nzI
#18 [不発花火]
青年は勇敢な男だった。
村に盗賊が現れれば進んで村人を避難させたし、戦いに行った。
何より、青年は美しい容姿を持っていた。
金色に輝く絹糸のような髪に、晴天の空のような青い瞳。
村の女性達はこぞって青年に群がった。
青年は自分の前で恥じらいも無く自らの体を開く女性達にウンザリしていた。
:10/12/18 10:21
:SH04B
:Agq75nzI
#19 [不発花火]
―もっと気高く、美しい女性に出会いたい。
そんな女性に出会えたら、自分は恐らくは夢中になってしまうだろうことも青年は理解していた。
そんな中、青年は村の長から「外れにある森の奥に建つ亡者の館を取り壊したい。中に何もないか見に行って欲しい」と頼まれたのだ。
腰に剣を携え、青年は森の奥に進んでいく。
:10/12/18 10:21
:SH04B
:Agq75nzI
#20 [不発花火]
―気をつけて。亡者の館はとても危険よ。
村を出る前、そんな言葉を村娘にかけられた。
―亡者の館に入った人間は、二度と戻って来れないの。
そんなの迷信だと青年は笑い、引き止めようとする村娘に礼を言った。
だが幾ら迷信だと思っていても、亡者の館と呼ばれているだけあるこの館は、確かに他の風景とは違う怪しさがあった。
青年は微かに身震いするが、扉に手をかけた。
:10/12/18 10:21
:SH04B
:Agq75nzI
#21 [不発花火]
ギィ、と鈍い音がして扉が開くと、青年の目の前に広がったのは、壁にかけられた大きな美しい少女の絵画だった。
「Isabela(イザベラ)」と書かれた絵画に、青年は目を離せなくなっていた。
絵画の中の少女は『アルビノ』と呼ばれる人種だった。
色素欠乏のため、髪は銀に近い白髪に、血管が透けているため赤く見える瞳。
世間では『魔女の末裔』と呼ばれ、忌み嫌われている人種。
:10/12/18 10:22
:SH04B
:Agq75nzI
#22 [不発花火]
だが、そのアルビノすら少女の美しさを際立たせて見せた。
儚げに微笑むアルビノの少女に良く似合う、深紅のドレス。
あまりの美しさに青年は呼吸をすることすら忘れていた。
青年は強く、強くこの少女に会いたいと願った。
「恥ずかしいわ…余り見ないで下さる?」
澄んだ美しい声が埃に塗れた館に響く。
青年は声のする方に勢いよく振り返る。
:10/12/18 10:22
:SH04B
:Agq75nzI
#23 [不発花火]
「君、は…?」
青年の見た所に立つのは、まさしく自分が会いたいと強く願った絵画の少女、イザベラだった。
「私はエルジェーベトと申します。その絵画の女性の孫ですわ」
青年はエルジェーベトに近付くとひざまづき、深紅の手袋を身につけた手の甲に口づける。
「エルジェーベト。君はこのイザベラによく似ている。忌まわしきアルビノすら君の美しさを更に際立たせている。とても美しいよ」
「あら、お上手ね…」
クスクスと上品に笑うエルジェーベトに青年は自分が夢中になっていくのを感じた。
:10/12/18 10:22
:SH04B
:Agq75nzI
#24 [不発花火]
「でもなぜここに?」
「ここは昔祖母が住んでいた館だったのです。私の母が生まれると同時にここより西にある村に移動したのです。最近その祖母が亡くなったので何か遺品はないかと思いまして…」
エルジェーベトは悲しそうな顔をし、テーブルの上にあった埃を被った木箱のオルゴールを手に取る。
エルジェーベトがオルゴールを開くと、音が鳴りはじめた。
「知ってますか?」
「いえ、申し訳ないですが…」
:10/12/18 10:23
:SH04B
:Agq75nzI
#25 [不発花火]
音楽に嗜みがない青年には、エルジェーベトの手の中で奏でる音楽が何だがわからなかった。
だが酷く美しく、悲しい曲のように青年は感じた。
「レクイエムですわ。ここを『亡者の館』と呼ぶ方々が祖母の魂を沈めるために作ったの」
青年の耳に、心地好くイザベラのためのレクイエムが響く。
「さあ、そろそろ日も落ちるわ。また来て下さる?」
「毎日でも。エルジェーベト」
それから青年は、毎日のように亡者の館に足を踏み入れた。
:10/12/18 10:23
:SH04B
:Agq75nzI
#26 [不発花火]
村人や長に引き止められても「色々と価値のあるものが残っている。取り壊すなら全てを調べてから」と最もらしい言い訳を口にし、制止の声すら聞き入れなかった。
青年はエルジェーベトの美しさに魅入られていた。
エルジェーベトと館で小物を探したり、お喋りをする時間が青年はとても好きだった。
「エルジェーベト。今日は少し遅れてしまったよ。いるかい?」
扉を開けて館に入るが、エルジェーベトがいる気配はなかった。
仕方ない、と思い青年は再び扉に手をかけるが、館の奥で扉が閉まる音が聞こえた。
:10/12/18 10:23
:SH04B
:Agq75nzI
#27 [不発花火]
「なんだ、いるのかエルジェーベト。かくれんぼかい?」
そういえば今いる大広間以外の部屋に入ったことがないなと青年はふと思った。
音が聞こえた方に青年が足を運ぶと、錆びた鉄の扉があった。
「なんだ、これは…」
扉には『亡き君へ告ぐ』という文字が血液で綴られていた。
「エルジェーベト。入るよ」
青年は微かに恐怖を覚えたが、愛しいエルジェーベトのいるだろう部屋に足を踏み入れる。
ギィー―…
重い扉が開く。
冷たい空気を感じる。
恐怖を感じる。
:10/12/18 10:24
:SH04B
:Agq75nzI
#28 [不発花火]
「エルジェ、…!?」
扉の先に広がるのは密室。
窓すらない密室の隅に美しい深紅のドレスを着た白骨死体だった。
バタン、と鈍い音を立てて扉が閉まる音が後ろで聞こえたのを青年は感じた。
「エルジェーベト…君かい?」
白骨死体はエルジェーベトと同じ深紅のドレスを身に纏っていた。
:10/12/18 10:24
:SH04B
:Agq75nzI
#29 [不発花火]
見間違えるはずもない。
毎日見て、恋焦がれた美しい少女のドレスだ。
ドレスの横には木箱のオルゴールが落ちていた。
オルゴールを開くと、イザベラのためのレクイエムが流れた。
「あぁ、君がイザベラだったんだね」
青年は白骨死体となったイザベラを撫でる。
「まさか僕が恋した相手が亡者だとは思わなかったよ」
:10/12/18 10:24
:SH04B
:Agq75nzI
#30 [不発花火]
愛しのイザベラ。
白骨死体になっても美しい君に魅入られた僕は二度とここから出られないだろう。
―永遠に私の傍にいて。
青年の耳に美しいイザベラの声が響いた。
END
:10/12/18 10:25
:SH04B
:Agq75nzI
#31 [不発花火]
:10/12/18 10:42
:SH04B
:Agq75nzI
#32 [不発花火]
「私の演奏人形。今夜は何を弾いてくれるのかしら」
―演奏人形―
:10/12/18 12:05
:SH04B
:Agq75nzI
#33 [不発花火]
少年は人形だった。
生まれた時から人形だったし、今更人間になりたいとも思わなかった。
少年はオルガンを弾くことしかできなかった。
少年はいつだって少女に作られた人形だった。
「私の演奏人形。今日はシューベルトが聴きたいわ」
―かしこまりました。
人形は今日も少女の為にオルガンを弾く。
:10/12/18 12:06
:SH04B
:Agq75nzI
#34 [不発花火]
少女は貪欲だった。
少女の醜い容姿は、少女の人格を歪ませる環境を作るのに充分過ぎた。
人が寄り付かない淋しさを乗り越える為に、少女はたくさんの人形を作った。
掃除をする人形、買い物をする人形、少女を愛する為の人形、そして演奏人形。
どれも美しい少年の姿をしていたが、皆少女の貪欲に耐え切れず壊れていった。
―もっと綺麗に掃除しなさい。塵一つ残さずに。
―もっと私を愛しなさい。愛さない場所などないくらいに。
まるで少女を嫌がるかのように人形達は壊れていった。
演奏人形を除いて。
:10/12/18 12:06
:SH04B
:Agq75nzI
#35 [不発花火]
「あなたはずっと私の傍で音楽を奏でてくれるわよね?」
―もちろんです。レディ。
今日も美しいオルガンが少女の済む建物に響き渡る。
人形は少女を愛していたのだ。
「さあ、今日も美しい音色を奏でて頂戴。私の演奏人形」
醜く淋しがり屋の少女を、人形は愛していた。
「今日はバッハがいいわ」
ならば少女は演奏をしない自分を愛してくれるのだろうか。
「どうしたの。さっさとオルガンを弾きなさい」
人形である自分を、人間として愛してはくれるだろうか。
「役立たずな人形ね。また作り直さなくちゃならないわね」
:10/12/18 12:06
:SH04B
:Agq75nzI
#36 [不発花火]
人形は自分に向かって振り下ろされる金づちを見ながら、少女の幸せを願った。
それから、少女が生み出す人形は少女の願いを一度聞き入れると壊れてしまうものばかりだった。
演奏人形のように、長く少女の傍で動く人形はいなかった。
少女は人形に愛されていたことすら気づかないでいる。
END
:10/12/18 12:07
:SH04B
:Agq75nzI
#37 [我輩は匿名である]
:10/12/18 16:08
:SH004
:G9EnQzMk
#38 [みくや]
このお話スキです
頑張ってください
:10/12/18 17:23
:P01A
:3khtU/d6
#39 [不発花火]
どうして僕はこんな底辺にも程がありすぎる高校に入学してしまったんだろう。
入学して3年が経とうとしている今でも毎日のように中学生だった自分をボコボコに殴って「楽なんかしないでもっと勉強して普通の底辺高校に行け」と言ってやりたい衝動に駆られる。(あくまで底辺なのは僕は勉強が苦手だからだ)
―性春ハイスクール―
:10/12/18 20:53
:SH04B
:Agq75nzI
#40 [不発花火]
この高校は、名前を出せばどんな就職先にだって就くことができると有名だった。
ただしAV女優や男優、そういう大人の娯楽関係の会社のみだ。
隣の席の可愛いハルカちゃんだって卒業したら「誤背ハルカ」という名前でAV女優デビューが決まっているし、前の席の向井くんは「キャラメル向井」という名前でAV男優のデビューが決まっている。
:10/12/18 20:53
:SH04B
:Agq75nzI
#41 [不発花火]
輝かしい(?)未来のために皆今日も一生懸命性の勉強をしている。
「お前いい加減進路決めたらどうだ?男優が嫌ならAV制作会社やポルノ雑誌の編集社なんかもあるぞ?」
「結構です」
母さん、父さん。
僕に社会人としての春は訪れそうにありません。
「何が嫌なんだ?」
「全てが嫌です」
:10/12/18 20:54
:SH04B
:Agq75nzI
#42 [不発花火]
「じゃあどうしてこの高校を希望したんだ」
そりゃもう。
入試が「子供はどうやってできるか。3文字の英単語で説明せよ」のみでしたし。
家から徒歩10分でしたし。
ろくにどんな学校かを調べずに入った僕も悪いですけども。
「馬鹿だったからです」
言って酷く虚しくなるのを感じたが、それ以外の回答が思い付かなかった。
:10/12/18 20:54
:SH04B
:Agq75nzI
#43 [不発花火]
「…帰ってよろしい」
そう言って先生から渡されたのはポルノ雑誌の編集社のチラシだった。
『溢れる性欲を満たす雑誌を作りませんか?』なんてキャッチフレーズに溜息しか出なかった。
「…」
何で他人の溢れる性欲を満たす雑誌を自分が作らなきゃいけないのか。
冷たい風が吹く帰り道を僕は虚しく一人で歩み始めた。
END
:10/12/18 20:54
:SH04B
:Agq75nzI
#44 [でりーと
]
でりーと

:10/12/18 20:58
:
:・・・
#45 [不発花火]
>>38ありがとうございます(`・ω・´)!
皆様に少しでも楽しんで頂けるようがんばります!
:10/12/18 21:06
:SH04B
:Agq75nzI
#46 [不発花火]
胎動を感じた。
―シャム双生児―
わたしとあなた。
きっと前世では結ばれなかったのかしら。
でも神様が最上級の形で私達を再び廻り逢わせてくれたのね。
わたしとあなた。
お互いの脚はないけれど腹部で繋がっているから、いつも一緒。
歩くことはできないけれど、いつも一緒。
それはセックスよりも素晴らしい愛の形。
わたしとあなた。
死ぬ時も一緒。
:10/12/21 12:25
:SH04B
:vbqTPqqs
#47 [不発花火]
もし生まれ変わりがあるなら、私は魚になりたい。
暗い海の底で、一人きりで泳ぐ美しい魚に。
―深海に、沈む―
:10/12/23 02:01
:SH04B
:vGZkDNeY
#48 [不発花火]
今日は学校に登校すると、上履きがなかった。
昨日は数学の教科書がなくなり、一昨日は上履きの中に大量の砂が入っていた。
簡単に言えば「いじめ」にあっている。
いつからだなんて覚えていないし、原因なんかもさっぱりわからなかった。
:10/12/23 02:02
:SH04B
:vGZkDNeY
#49 [不発花火]
気付けば私の周りからは人が消え、一人になっていた。
別にそれでもよかった。
また輪の中に入っていつ嫌われるんだろうとビクビクしながら生きていくなら、一人でよかった。
なんて、思っていても。
:10/12/23 02:02
:SH04B
:vGZkDNeY
#50 [不発花火]
「ねぇ、今週の土曜日遊ぼうよ」
「どこ行く?」
「場面行動でいいんじゃない?」
教室の中で行われる友達同士の当たり前のやりとりを聞くと、酷く羨ましくなる。
私には休日の予定なんて、ずっとない。
:10/12/23 02:03
:SH04B
:vGZkDNeY
#51 [不発花火]
たまに本屋に小説や漫画を買いに出かけたりするけど、最近はずっと家で一番お気に入りの本を読んでいる。
それは、「深海」について書かれている本だった。
中でも一番のお気に入り魚は、「リュウグウノツカイ」と呼ばれている深海に住む魚だった。
:10/12/23 02:03
:SH04B
:vGZkDNeY
#52 [不発花火]
群れることを好まず、たった一匹で暗く深い深海を泳ぐ美しい虹色の魚。
私はそれが酷く羨ましかった。
たった一匹で気高く、美しく深海を泳ぐ魚。
わたしは生まれ変わったら、その魚になりたかった。
:10/12/23 02:03
:SH04B
:vGZkDNeY
#53 [不発花火]
「それなら一人でも平気なのに」
私の独り言は、放課後の誰もいない教室に響き渡った。
:10/12/23 02:04
:SH04B
:vGZkDNeY
#54 [不発花火]
翌日は、椅子がなかった。
教室を見渡せば、掃除用具入れの前にポツンと置かれていた。
私が取りに行けば、後ろでクスクスと笑い声が聞こえた。
涙が零れそうになるのを必死で堪え椅子に手をかけた瞬間、背中に軽い衝撃を感じた。
振り返れば、ゴロゴロと転がるジュースの缶。
:10/12/23 02:04
:SH04B
:vGZkDNeY
#55 [不発花火]
誰かに意図的に当てられたことは考えなくてもわかった。
「お前生きてる価値ないよ」
私は、私の中で限界を感じた。
ずっと堪えてきた。
靴がなくなっても、無視されても、お弁当をひっくり返されても、ずっと我慢してきた。
:10/12/23 02:04
:SH04B
:vGZkDNeY
#56 [不発花火]
教室中に響く笑い声を背に、溢れる涙を耐え切れず、走って教室を後にする。
一人には慣れていたはずだった。
学校を卒業するまで耐え切ってみせると、そう思ってた。
でも、寂しかった。
ずっと寂しかった。
:10/12/23 02:04
:SH04B
:vGZkDNeY
#57 [不発花火]
一人でも平気な、魚になりたかった。
そうすれば一人でも気高く、美しく生きていけるのに。
私の足が向かった先は、青い綺麗な海だった。
テトラポッドに足を掛け、海に沈む。
着ていた制服が水を吸い込み、私の体は深く深く海の底に沈んだ。
:10/12/23 02:05
:SH04B
:vGZkDNeY
#58 [不発花火]
自然と、苦しくなかった。
ふと、目の前に一匹の魚が現れた。
私がずっと憧れていた、美しく気高い竜宮城の使い。
でも虹色に輝いているはずの体は白く変色していて、それが腐敗した死体だと気付いた瞬間、私の中で恐怖を感じた。
:10/12/23 02:05
:SH04B
:vGZkDNeY
#59 [不発花火]
「ひっ」
声にならない悲鳴が口から漏れ、酸素が口からゴボ、と溢れ出すのを感じた。
途端に強烈に息苦しくなり海面に出ようともがくが、長く大きい竜のような死体が体にのしかかり、私を海の底へと沈めていった。
:10/12/23 02:05
:SH04B
:vGZkDNeY
#60 [不発花火]
あれ程までに焦がれた魚。
海底ではそれが私の体に重くのしかかり、身動きが取れなくなった。
死体からは小さな虫のような魚がうごめいている。
死にたくない、と思ってしまった。
:10/12/23 02:06
:SH04B
:vGZkDNeY
#61 [不発花火]
私が憧れ、焦がれた魚。
頭の中で響く、笑い声。
意識は沈んでいく。
深い、深い暗い海の底に。
END
:10/12/23 02:06
:SH04B
:vGZkDNeY
#62 [不発花火]
「わたし、夢を見たの。
明日、あなたが死ぬ夢を」
―夢を見る少女―
:10/12/23 02:08
:SH04B
:vGZkDNeY
#63 [不発花火]
少女の名前は夢子(ゆめこ)。
幼い頃から夢を見ては、両親や友人に話していた。
最初の頃は「小さな地震が来る」や「明日は雨」など可愛い夢の話だったが、最近は「明日あなたは怪我をする」や「あなたの飼っている猫が死ぬ」等笑えないものばかりだった。
:10/12/23 02:08
:SH04B
:vGZkDNeY
#64 [不発花火]
しかも、それが当たるのだ。
所謂、予知夢というものだった。
気味悪がった両親や友人は、夢子の話に耳を貸さなくなった。
「明日、あなた死ぬわ」
:10/12/23 02:08
:SH04B
:vGZkDNeY
#65 [不発花火]
ある日、クラスメイトである少年に夢子はまるで何でもないかのように言った。
「は、お前…何言ってんだよ」
少年も、少年の周りにいた友人達も夢子の予知夢が当たることをよく知っていた。
ずっと夢子を無視していたが、これだけは気持ち悪くて仕方がなかった。
:10/12/23 02:08
:SH04B
:vGZkDNeY
#66 [不発花火]
夢子が誰かが死ぬ、なんて言ったのは初めてだったからだ。
「本当よ。わたし、見たの。
あなたが死ぬ夢を」
少年は夢子に掴みかかった。
動揺したのだ。
自分が死ぬという明日に。
:10/12/23 02:09
:SH04B
:vGZkDNeY
#67 [不発花火]
「明日、あなたは体が残らないまま死んでしまうの。避けられないわ。あなたの未来だもの」
夢子はクスクスと可笑しそうに笑う。
少年は異常だと思った。
同時に、堪え難い程の恐怖を感じた。
少年の周りは「気にするな」と少年に声をかけるが、皆夢子の予知夢が当たることを知っていた。
:10/12/23 02:09
:SH04B
:vGZkDNeY
#68 [不発花火]
「また、明日」
少年の手を振りほどくと、夢子が笑う。
翌日、少年が死亡したことをクラスメイトが知ることになる。
塾の帰り道に、泥酔した男が運転するダンプカーに引かれ、遺体すら残さず亡くなったと。
遺体はアスファルトに引き延ばされたと。
:10/12/23 02:09
:SH04B
:vGZkDNeY
#69 [不発花火]
「夢子、お前…!」
「明日、わたしは死ぬわ。
明後日、世界が終わる」
少年の一番の親友が夢子に殴りかかるが、夢子はまた笑っていた。
自分は死ぬと。
その翌日に、世界が終わると。
:10/12/23 02:10
:SH04B
:vGZkDNeY
#70 [不発花火]
「お前、何言ってるんだ!夢話も大概にしろ!」
怒鳴りつけるが、夢子はまだクスクスと笑っている。
「わたしは明日、自殺をする。そして、世界が終わる」
もう、狂気しか感じられなかった。
―たった一日で世界が終わるなんてふざけている。
:10/12/23 02:10
:SH04B
:vGZkDNeY
#71 [不発花火]
「わたしの死はイエス・キリストによって最期の審判をかけられるの。だから、世界が終わるのよ。わたしの死は、世界の死」
夢物語。
「もう、いい。お前と話してるとこっちの頭が可笑しくなりそうだ…」
翌朝、夢子は学校に来なかった。
:10/12/23 02:10
:SH04B
:vGZkDNeY
#72 [不発花火]
担任の教師に、昨夜自室で首吊り自殺をしたとクラスメイトは報告を受けた。
遺体を発見した両親が、夢子の机の上からメモを見つけたらしい。
メモには、こう記されていた。
―明日、世界が終わる夢を見たの。
:10/12/23 02:11
:SH04B
:vGZkDNeY
#73 [不発花火]
クラスメイトは笑った。
夢子の死で、世界が終わる。
夢子の夢物語もここまでだと。
―ねぇ、明日世界が終わる夢を見たのよ
そして、世界が明日を迎えることはなかった。
世界の終結は一瞬だった。
:10/12/23 02:11
:SH04B
:vGZkDNeY
#74 [不発花火]
空は闇に覆われ、大雨が降った。
まず、太陽が死んだ。
後を追う様にして、月が死んだ。
太陽のかけらは人々を焼き払い、月のかけらは世界を壊した。
瞬きをする間もなく、世界は終結を迎えた。
:10/12/23 02:11
:SH04B
:vGZkDNeY
#75 [不発花火]
―ねぇ、明日世界が終わるのよ
クラスメイト達は死ぬ間際、夢子の笑い声を聞いた。
END
:10/12/23 02:12
:SH04B
:vGZkDNeY
#76 [不発花火]
:10/12/23 02:15
:SH04B
:vGZkDNeY
#77 [不発花火]
僕の人生、お先真っ暗だ。
―リストラ、その先は(1)―
:10/12/23 15:50
:SH04B
:vGZkDNeY
#78 [不発花火]
今日僕は会社をクビになった。
まあ、このご時世仕方のないことと言ったら仕方がないんだけどいまいち納得がいかなくもない。
無遅刻無欠席が誇りだったがどうやらそれだけでまんまを喰える程人生は甘くなかったようだ。
:10/12/23 15:50
:SH04B
:vGZkDNeY
#79 [不発花火]
「この先どうすればいいんだ…」
どうする?
家に帰るか?
ちなみに僕には妊娠4ヶ月の妻がいる26歳だ。
なんかもう色々とやばい。
子供はどうする?
妻にはなんて説明する?
よくドラマに出てくるリストラされたサラリーマンのように妻が作る愛妻弁当を鞄につめて公園でハローワークに通いながら時間を潰す生活を送るか?
:10/12/23 15:52
:SH04B
:vGZkDNeY
#80 [不発花火]
いやそれは近所の奥方に見付かり即、妻に密告されるだろう。
あぁ僕の人生お先真っ暗だ。
「ん…?」
『人を殺してみませんか?日払い500万円』
「ちょっと待て」
:10/12/23 15:52
:SH04B
:vGZkDNeY
#81 [不発花火]
何だこの看板は。
僕は突如目の前に現れた(いや別に歩っていたから突如でもないかまぁいいや面倒くさいし)看板を目の前に立ち止まる。
「人を殺して500万円か…」
いや待て。
殺してみませんか?って何だ。
何だこの「キャバ嬢、体験してみませんか?」って書いてあるティッシュペーパーみたいなノリは。
:10/12/23 15:52
:SH04B
:vGZkDNeY
#82 [不発花火]
よく見たら下の方に携帯番号が書いてある。
ここに僕が電話して、人を殺したら500万円が貰えるのか?
馬鹿げている。
でも500万円といえば僕の年収とあまり変わりがない。
「人を殺して、500万円…」
殺してどうする?
見つからない保障なんてあるのか?
:10/12/23 15:53
:SH04B
:vGZkDNeY
#83 [不発花火]
警察にバレたら無職になった今よりもヤバい状況になるのは目に見えている。
でも500万あったら1年は確実に無職のままで持つだろう。
妻だって騙せる。
どうするか。
「えーっと、090…」
頭の中の天使と悪魔の言い合いが始まる前に僕は携帯を手に番号をプッシュする。
どうやら僕の頭の中には悪魔しかいないようだ。
:10/12/23 15:53
:SH04B
:vGZkDNeY
#84 [不発花火]
「あ、でも非通知がいいか…えーっと、いやよ090…」
『ただ今呼び出しております』
内心、携帯から聞こえるお笑い芸人の漫才のメロディーコールを聞きながら僕の心臓はドキドキだ。
早く出て欲しい気持ちとやっぱり出て欲しくない気持ちが入り混じって気持ち悪くなってくる。
心臓の音が、うるさい。
『…はい、もしもし』
:10/12/23 15:53
:SH04B
:vGZkDNeY
#85 [不発花火]
…出た。
低い男の声だ。
どうする。
「あ、あの…看板見て電話したんですけど…」
もはや僕の頭の中には500万円と恐怖しかなかった。
『あぁ、君、人殺せる?』
「はあ…多分…」
多分て何だ。
無理だろ。殺人だぞ。
『多分じゃ困るんだよね。躊躇うと返り打ちに合う可能性もあるし、はっきりしてよ』
「はあ…すみません」
何で謝ってんだ僕。馬鹿か。
むしろ何で説教されてんだ。
見ず知らずの電話越しの男に。
:10/12/23 15:54
:SH04B
:vGZkDNeY
#86 [不発花火]
『で、どうなの?殺せるの?殺せないの?どっち?』
どうする。
このまま妊娠中の妻に「会社クビになった」と報告するか、人生を棒に降って人殺しをするか。
いざとなったら金は妻に渡して「幸せになってくれ」と失踪する手もあるが、人殺しだぞ。
よく考えろ、自分。
「あの、バレない保障は…」
『大丈夫。俺を誰だと思ってるんだ』
いや、知らねーし。誰だよ。
:10/12/23 15:54
:SH04B
:vGZkDNeY
#87 [不発花火]
『殺し方はこちらが指示をする。道具もこちらで用意する。お前はただ決められた人間を殺すだけだ。もしバレたり見られたりしたらお前の変わりに影武者を用意するからお前は何も気にする必要はない』
あ、なんかそれなら大丈夫そうだ。
バレても影武者がいるなら全然問題なくこれから先の人生を過ごせそうだ。
でも、人を殺したという事実を背負ったまま人生を過ごせるか?
:10/12/23 15:54
:SH04B
:vGZkDNeY
#88 [不発花火]
世間は知らなくても自分が死ぬまで一生人殺しのレッテルを貼って生きていかなきゃならないんだぞ。
自分はそれに堪えられるのか?
『ただし、条件がある』
条件。
よし、それで決めよう。
『もし殺すことに躊躇いが出て失敗した時だ』
ゴクリ、と自分が唾を飲み込む音が大きく響いた。
:10/12/23 15:55
:SH04B
:vGZkDNeY
#89 [不発花火]
電話越しの男がクックッと喉を鳴らしながら笑っているのが聞こえる。
『その時はお前を殺す』
―いいな?
「…わかりました」
将来のため。
僕と妻と子供の幸せの未来のため。
『じゃあ、場所とターゲットを今から言う。決して躊躇うな。わかったな』
どうせ職なんか見付からないし、無駄な労力は使いたくない。
僕にはなんの資格も取り柄もないし、大学だって出てない。
:10/12/23 15:55
:SH04B
:vGZkDNeY
#90 [不発花火]
何より妊娠した妻に心配をかけたくなかった。
前の職場に就けたのは奇跡に近いレベルだ。
見ず知らずの人間を殺して大金がもらえるなら、妻が笑顔でいてくれるなら、自分は闇に墜ちたとしても構わない。
一生人殺しのレッテルを掲げたまま生きてみせる。
愛する妻と、子供のため。
「…わかりました。10日後の、○×倉庫ですね」
僕は、大罪を犯す。
NEXT
:10/12/23 15:56
:SH04B
:vGZkDNeY
#91 [不発花火]
朝日が眩しく、僕を照らした。
―リストラ、その先は2―
:10/12/29 16:52
:SH04B
:2c2Jat.Y
#92 [不発花火]
「全然寝れなかった…」
寝不足に加えて朝の光が強く差し掛かり、頭痛がする。
今日は約束の10日後。
妻には「体調が優れないため長期の有給休暇を取った」と嘘を吐き、やはり人を殺すという罪悪感と恐怖から余り眠れない日々を過ごした。
:10/12/29 16:53
:SH04B
:2c2Jat.Y
#93 [不発花火]
「おはよう」
軋む体に鞭を打ち、妻がいるだろう居間に向かうがいつも笑顔で「おはよう」と迎えてくれる妻はいなかった。
代わりに、テーブルに妻からのメモが残されていた。
『友人と出かけてきます。
朝ごはんは適当に作ってしっかり食べてね。
洗濯と掃除をよろしくお願いします。』
:10/12/29 16:53
:SH04B
:2c2Jat.Y
#94 [不発花火]
他にもメモがあり、洗濯機の使い方と洗濯物のたたみ方、掃除の仕方、調味料の場所等が記されていた。
「なんでこんな丁寧に書いてんだ…」
やけに詳しく書かれたメモに自分は妻から本当に何も出来ない人間だと思われてたことに僅かに怒りを覚えたが、そこは気にしない。
:10/12/29 16:53
:SH04B
:2c2Jat.Y
#95 [不発花火]
メモの通り一通りの仕事をやり終えてから、そういえば時間を確認していないことを思い出し再び非通知で雇い主に電話をかけた。
―プルルル
コール音がやけに大きく聞こえる。
出なければいい、やはり何かの冗談であって欲しい、でも今は金が必要だ。
:10/12/29 16:54
:SH04B
:2c2Jat.Y
#96 [不発花火]
色々考えてるうちに、酷く手が震えることに気付く。
やはり、自分は。
『―やあ、今日は約束の日だが、覚悟は出来たかい?』
ドクン、と心臓が高鳴った。
「あ、は、はい…あの、時間を、確認するのを…忘れてしまって…」
:10/12/29 16:54
:SH04B
:2c2Jat.Y
#97 [不発花火]
電話の男が笑ったのを電話越しに感じた。
心臓の音が煩い。
僕は、今日人を殺す。
大金と引き換えに。
でも本当に金は貰えるのだろうか。
『そうだな。もうターゲットは○×倉庫にいるから何時でも構わないんだが。あぁ、心配しなくても金は○×倉庫にターゲットと影武者と共にある。手に取ってから執行しても構わない』
:10/12/29 16:54
:SH04B
:2c2Jat.Y
#98 [不発花火]
ターゲットはもう、いるのか。
途端に立っていられないくらいの恐怖を感じ、足が震え出す。
この男は、本気だ。
本気で僕に人を殺させるつもりだ。
大金と引き換えに。
でも何故大金を払い、わざわざ影武者まで用意する程の完璧主義者なのに自分の手で殺さないのか。
:10/12/29 16:55
:SH04B
:2c2Jat.Y
#99 [不発花火]
聞きたいことは山ほどあったが、なぜか聞くことが出来なかった。
恐怖で、うまく口が言葉を紡いでくれなかった。
『あぁ、君が失敗した場合は』
―影武者が君の死刑執行人だ。
心臓が、うるさい。
:10/12/29 16:55
:SH04B
:2c2Jat.Y
#100 [不発花火]
「わかりました。では、これから向かいます」
『随分早いね?』
また男がクックッと喉で笑う。
「後々だと…僕の心臓がもちません」
ハハ、と笑ってみせるが、ヒクッと喉が引き攣るのがわかる。
怖いのだ。
だって人を殺すんだ。
:10/12/29 16:55
:SH04B
:2c2Jat.Y
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194