亡き君に告ぐ
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#57 [不発花火]
一人でも平気な、魚になりたかった。
そうすれば一人でも気高く、美しく生きていけるのに。
私の足が向かった先は、青い綺麗な海だった。
テトラポッドに足を掛け、海に沈む。
着ていた制服が水を吸い込み、私の体は深く深く海の底に沈んだ。
:10/12/23 02:05
:SH04B
:vGZkDNeY
#58 [不発花火]
自然と、苦しくなかった。
ふと、目の前に一匹の魚が現れた。
私がずっと憧れていた、美しく気高い竜宮城の使い。
でも虹色に輝いているはずの体は白く変色していて、それが腐敗した死体だと気付いた瞬間、私の中で恐怖を感じた。
:10/12/23 02:05
:SH04B
:vGZkDNeY
#59 [不発花火]
「ひっ」
声にならない悲鳴が口から漏れ、酸素が口からゴボ、と溢れ出すのを感じた。
途端に強烈に息苦しくなり海面に出ようともがくが、長く大きい竜のような死体が体にのしかかり、私を海の底へと沈めていった。
:10/12/23 02:05
:SH04B
:vGZkDNeY
#60 [不発花火]
あれ程までに焦がれた魚。
海底ではそれが私の体に重くのしかかり、身動きが取れなくなった。
死体からは小さな虫のような魚がうごめいている。
死にたくない、と思ってしまった。
:10/12/23 02:06
:SH04B
:vGZkDNeY
#61 [不発花火]
私が憧れ、焦がれた魚。
頭の中で響く、笑い声。
意識は沈んでいく。
深い、深い暗い海の底に。
END
:10/12/23 02:06
:SH04B
:vGZkDNeY
#62 [不発花火]
「わたし、夢を見たの。
明日、あなたが死ぬ夢を」
―夢を見る少女―
:10/12/23 02:08
:SH04B
:vGZkDNeY
#63 [不発花火]
少女の名前は夢子(ゆめこ)。
幼い頃から夢を見ては、両親や友人に話していた。
最初の頃は「小さな地震が来る」や「明日は雨」など可愛い夢の話だったが、最近は「明日あなたは怪我をする」や「あなたの飼っている猫が死ぬ」等笑えないものばかりだった。
:10/12/23 02:08
:SH04B
:vGZkDNeY
#64 [不発花火]
しかも、それが当たるのだ。
所謂、予知夢というものだった。
気味悪がった両親や友人は、夢子の話に耳を貸さなくなった。
「明日、あなた死ぬわ」
:10/12/23 02:08
:SH04B
:vGZkDNeY
#65 [不発花火]
ある日、クラスメイトである少年に夢子はまるで何でもないかのように言った。
「は、お前…何言ってんだよ」
少年も、少年の周りにいた友人達も夢子の予知夢が当たることをよく知っていた。
ずっと夢子を無視していたが、これだけは気持ち悪くて仕方がなかった。
:10/12/23 02:08
:SH04B
:vGZkDNeY
#66 [不発花火]
夢子が誰かが死ぬ、なんて言ったのは初めてだったからだ。
「本当よ。わたし、見たの。
あなたが死ぬ夢を」
少年は夢子に掴みかかった。
動揺したのだ。
自分が死ぬという明日に。
:10/12/23 02:09
:SH04B
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