亡き君に告ぐ
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#116 [不発花火]
薄暗い倉庫から出ると、陽は高く登り、眩しさに目を凝らした。


「やぁやぁ、君は見事任務を成し遂げることに成功したね」

「!?」

突如背後から聞き慣れない声が聞こえ、勢いよく振り返ると、扉の横にもたれ掛かるように老人が立っていた。

「…社長…?」

⏰:10/12/29 21:43 📱:SH04B 🆔:2c2Jat.Y


#117 [不発花火]
老人はよく見慣れた人物だった。

忘れもしない、自分がつい先日まで勤めていた会社の経営者。

人物に解雇を告げた張本人。

まさか、社長が。

社長が僕に人を殺させたというのか。

「君は見事大金を手に入れることが出来た訳だが、代わりにとても大切なものを失った」

⏰:10/12/29 21:43 📱:SH04B 🆔:2c2Jat.Y


#118 [不発花火]
社長はニコニコと人当たりの良い笑顔を向けている。

「どういうこと、ですか」

心臓が再び大きな音を立てて鼓動を刻み始めた。

「君が殺した人間を確認してくれば、全てわかるよ」

社長の顔から笑みが消え、声のトーンを落とした。

その声は、電話越しの男の声と同じだった。

⏰:10/12/29 21:43 📱:SH04B 🆔:2c2Jat.Y


#119 [不発花火]
「さぁ、確認しておいで」

トン、と肩を叩かれる。

僕は弾かれたように再び倉庫の扉を開け、事切れたそれに近づき包装紙とガムテープを解く。

おかしなくらいに手が震え、うまく開けることが出来ない。

乱暴に包装紙を剥ぎ取ると、そこには変わり果てた愛しい妻の顔があった。

「―…ッ!」

⏰:10/12/29 21:44 📱:SH04B 🆔:2c2Jat.Y


#120 [不発花火]
突如込み上げる嘔吐感を堪えることが出来ず、吐き出す。

まさか、まさか、自分の手で妻を。愛する妻を。

「君は自分の手で最愛の妻を殺してしまった。見事だよ」

パチパチと社長が拍手をする。

なぜ、妻なのだ。

「お前…!殺してやる!!」

⏰:10/12/29 21:44 📱:SH04B 🆔:2c2Jat.Y


#121 [不発花火]
社長に掴みかかろうとした瞬間、目の前に銃口を突き付けられた。


「教えてやろう。なぜ、君の妻を君が殺さなくてはならなかったのかを」


僕は眉間に当てられた銃口に動くことが出来ないでいる。

心臓の音がやけにうるさい。

⏰:10/12/29 21:44 📱:SH04B 🆔:2c2Jat.Y


#122 [不発花火]
「7年前の話だ。当時、君の妻は18歳で車の免許を取ったばかりだった」

「嬉しかったのだろうね。君の妻は深夜に車を飛ばしていた。
そこで、君の妻が乗った車が人身事故を起こした」

「轢いたのは私の娘だよ。
即死だった。だが君の妻は恐怖からか逃走した」

体が冷えていくのがわかった。

妻が人を殺している。

⏰:10/12/29 21:47 📱:SH04B 🆔:2c2Jat.Y


#123 [不発花火]
そんな話、一度も聞いたことがなかった。

「普通だったらすぐに法で裁かれるだろうが、彼女の父親は警視庁だと聞く。『証拠不十分』でこの事件は揉み消されたよ」

社長が持つ銃がカチリ、と音を立てた。

僕は動くことは愚か、言葉も発することができなかった。

語られていく真実。

⏰:10/12/29 21:47 📱:SH04B 🆔:2c2Jat.Y


#124 [不発花火]
「だから私は私のやり方で彼女を裁いてやろうと誓った。
いやあ、彼女を探し当てるのに7年もかかってしまったよ。
まさか自分の会社の人間の妻になっているとは」

クックッと聞き慣れた笑い声。
社長の口元がニヤリ、と笑う。

「―なぜ、僕の妻だと」

言葉が震えてうまく言葉を紡ぎ出せない。

⏰:10/12/29 21:47 📱:SH04B 🆔:2c2Jat.Y


#125 [不発花火]
「君が書類を忘れた日、それを届けにきた彼女を見た時だよ。
彼女は気づかなかったが、私は死んでも忘れない。
忘れられる訳がない。
たった一人の娘を殺した人間の顔など、一時でも忘れたことなどない!!だから私は君を使って彼女を殺してやろうと思ったのだ!
『あの事件について話がある』と私の名前を使って彼女を呼び出してな!!」

僕はその瞬間、全てを理解した。

⏰:10/12/29 21:48 📱:SH04B 🆔:2c2Jat.Y


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