亡き君に告ぐ
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#50 [不発花火]
「ねぇ、今週の土曜日遊ぼうよ」

「どこ行く?」

「場面行動でいいんじゃない?」


教室の中で行われる友達同士の当たり前のやりとりを聞くと、酷く羨ましくなる。

私には休日の予定なんて、ずっとない。

⏰:10/12/23 02:03 📱:SH04B 🆔:vGZkDNeY


#51 [不発花火]
たまに本屋に小説や漫画を買いに出かけたりするけど、最近はずっと家で一番お気に入りの本を読んでいる。

それは、「深海」について書かれている本だった。

中でも一番のお気に入り魚は、「リュウグウノツカイ」と呼ばれている深海に住む魚だった。

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#52 [不発花火]
群れることを好まず、たった一匹で暗く深い深海を泳ぐ美しい虹色の魚。

私はそれが酷く羨ましかった。

たった一匹で気高く、美しく深海を泳ぐ魚。

わたしは生まれ変わったら、その魚になりたかった。

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#53 [不発花火]
「それなら一人でも平気なのに」


私の独り言は、放課後の誰もいない教室に響き渡った。

⏰:10/12/23 02:04 📱:SH04B 🆔:vGZkDNeY


#54 [不発花火]
翌日は、椅子がなかった。

教室を見渡せば、掃除用具入れの前にポツンと置かれていた。

私が取りに行けば、後ろでクスクスと笑い声が聞こえた。


涙が零れそうになるのを必死で堪え椅子に手をかけた瞬間、背中に軽い衝撃を感じた。

振り返れば、ゴロゴロと転がるジュースの缶。

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#55 [不発花火]
誰かに意図的に当てられたことは考えなくてもわかった。


「お前生きてる価値ないよ」


私は、私の中で限界を感じた。

ずっと堪えてきた。

靴がなくなっても、無視されても、お弁当をひっくり返されても、ずっと我慢してきた。

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#56 [不発花火]
教室中に響く笑い声を背に、溢れる涙を耐え切れず、走って教室を後にする。


一人には慣れていたはずだった。

学校を卒業するまで耐え切ってみせると、そう思ってた。

でも、寂しかった。
ずっと寂しかった。

⏰:10/12/23 02:04 📱:SH04B 🆔:vGZkDNeY


#57 [不発花火]
一人でも平気な、魚になりたかった。

そうすれば一人でも気高く、美しく生きていけるのに。


私の足が向かった先は、青い綺麗な海だった。

テトラポッドに足を掛け、海に沈む。

着ていた制服が水を吸い込み、私の体は深く深く海の底に沈んだ。

⏰:10/12/23 02:05 📱:SH04B 🆔:vGZkDNeY


#58 [不発花火]
自然と、苦しくなかった。

ふと、目の前に一匹の魚が現れた。

私がずっと憧れていた、美しく気高い竜宮城の使い。


でも虹色に輝いているはずの体は白く変色していて、それが腐敗した死体だと気付いた瞬間、私の中で恐怖を感じた。

⏰:10/12/23 02:05 📱:SH04B 🆔:vGZkDNeY


#59 [不発花火]
「ひっ」

声にならない悲鳴が口から漏れ、酸素が口からゴボ、と溢れ出すのを感じた。

途端に強烈に息苦しくなり海面に出ようともがくが、長く大きい竜のような死体が体にのしかかり、私を海の底へと沈めていった。

⏰:10/12/23 02:05 📱:SH04B 🆔:vGZkDNeY


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