亡き君に告ぐ
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#94 [不発花火]
他にもメモがあり、洗濯機の使い方と洗濯物のたたみ方、掃除の仕方、調味料の場所等が記されていた。

「なんでこんな丁寧に書いてんだ…」

やけに詳しく書かれたメモに自分は妻から本当に何も出来ない人間だと思われてたことに僅かに怒りを覚えたが、そこは気にしない。

⏰:10/12/29 16:53 📱:SH04B 🆔:2c2Jat.Y


#95 [不発花火]
メモの通り一通りの仕事をやり終えてから、そういえば時間を確認していないことを思い出し再び非通知で雇い主に電話をかけた。


―プルルル


コール音がやけに大きく聞こえる。
出なければいい、やはり何かの冗談であって欲しい、でも今は金が必要だ。

⏰:10/12/29 16:54 📱:SH04B 🆔:2c2Jat.Y


#96 [不発花火]
色々考えてるうちに、酷く手が震えることに気付く。

やはり、自分は。


『―やあ、今日は約束の日だが、覚悟は出来たかい?』


ドクン、と心臓が高鳴った。

「あ、は、はい…あの、時間を、確認するのを…忘れてしまって…」

⏰:10/12/29 16:54 📱:SH04B 🆔:2c2Jat.Y


#97 [不発花火]
電話の男が笑ったのを電話越しに感じた。

心臓の音が煩い。

僕は、今日人を殺す。
大金と引き換えに。

でも本当に金は貰えるのだろうか。

『そうだな。もうターゲットは○×倉庫にいるから何時でも構わないんだが。あぁ、心配しなくても金は○×倉庫にターゲットと影武者と共にある。手に取ってから執行しても構わない』

⏰:10/12/29 16:54 📱:SH04B 🆔:2c2Jat.Y


#98 [不発花火]
ターゲットはもう、いるのか。

途端に立っていられないくらいの恐怖を感じ、足が震え出す。

この男は、本気だ。
本気で僕に人を殺させるつもりだ。
大金と引き換えに。

でも何故大金を払い、わざわざ影武者まで用意する程の完璧主義者なのに自分の手で殺さないのか。

⏰:10/12/29 16:55 📱:SH04B 🆔:2c2Jat.Y


#99 [不発花火]
聞きたいことは山ほどあったが、なぜか聞くことが出来なかった。

恐怖で、うまく口が言葉を紡いでくれなかった。

『あぁ、君が失敗した場合は』


―影武者が君の死刑執行人だ。

心臓が、うるさい。

⏰:10/12/29 16:55 📱:SH04B 🆔:2c2Jat.Y


#100 [不発花火]
「わかりました。では、これから向かいます」

『随分早いね?』

また男がクックッと喉で笑う。

「後々だと…僕の心臓がもちません」

ハハ、と笑ってみせるが、ヒクッと喉が引き攣るのがわかる。

怖いのだ。

だって人を殺すんだ。

⏰:10/12/29 16:55 📱:SH04B 🆔:2c2Jat.Y


#101 [不発花火]
もし「助けてくれ」と懇願されたら?

もし恐怖で涙が溢れる瞳で見つめられたら?

そう考えると本当に自分が出来るのか不安になるが、妻の顔がふと浮かんだ。

愛しい妻と、その子供。

リストラされた僕には出産費用や養育費、とにかく大金が必要になる。

⏰:10/12/29 16:56 📱:SH04B 🆔:2c2Jat.Y


#102 [不発花火]
500万あれば、今まで少ない給料で貯めていた貯金と合わせれば2年は家族3人なんとか生活出来るだろう。

その間に僕は再び就職先を見つければいい。

足りなくなったらアルバイトをしながらでも出来る。

もう、引き返せない。

⏰:10/12/29 16:56 📱:SH04B 🆔:2c2Jat.Y


#103 [不発花火]
気付けば電話は切れていて、僕はただ携帯を持ったまま立ち尽くしていた。


「―幸せのためなら」

僕は上着を羽織り、マスクを付け、家を飛び出した。


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⏰:10/12/29 16:56 📱:SH04B 🆔:2c2Jat.Y


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