亡き君に告ぐ
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#97 [不発花火]
電話の男が笑ったのを電話越しに感じた。
心臓の音が煩い。
僕は、今日人を殺す。
大金と引き換えに。
でも本当に金は貰えるのだろうか。
『そうだな。もうターゲットは○×倉庫にいるから何時でも構わないんだが。あぁ、心配しなくても金は○×倉庫にターゲットと影武者と共にある。手に取ってから執行しても構わない』
:10/12/29 16:54
:SH04B
:2c2Jat.Y
#98 [不発花火]
ターゲットはもう、いるのか。
途端に立っていられないくらいの恐怖を感じ、足が震え出す。
この男は、本気だ。
本気で僕に人を殺させるつもりだ。
大金と引き換えに。
でも何故大金を払い、わざわざ影武者まで用意する程の完璧主義者なのに自分の手で殺さないのか。
:10/12/29 16:55
:SH04B
:2c2Jat.Y
#99 [不発花火]
聞きたいことは山ほどあったが、なぜか聞くことが出来なかった。
恐怖で、うまく口が言葉を紡いでくれなかった。
『あぁ、君が失敗した場合は』
―影武者が君の死刑執行人だ。
心臓が、うるさい。
:10/12/29 16:55
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:2c2Jat.Y
#100 [不発花火]
「わかりました。では、これから向かいます」
『随分早いね?』
また男がクックッと喉で笑う。
「後々だと…僕の心臓がもちません」
ハハ、と笑ってみせるが、ヒクッと喉が引き攣るのがわかる。
怖いのだ。
だって人を殺すんだ。
:10/12/29 16:55
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:2c2Jat.Y
#101 [不発花火]
もし「助けてくれ」と懇願されたら?
もし恐怖で涙が溢れる瞳で見つめられたら?
そう考えると本当に自分が出来るのか不安になるが、妻の顔がふと浮かんだ。
愛しい妻と、その子供。
リストラされた僕には出産費用や養育費、とにかく大金が必要になる。
:10/12/29 16:56
:SH04B
:2c2Jat.Y
#102 [不発花火]
500万あれば、今まで少ない給料で貯めていた貯金と合わせれば2年は家族3人なんとか生活出来るだろう。
その間に僕は再び就職先を見つければいい。
足りなくなったらアルバイトをしながらでも出来る。
もう、引き返せない。
:10/12/29 16:56
:SH04B
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#103 [不発花火]
気付けば電話は切れていて、僕はただ携帯を持ったまま立ち尽くしていた。
「―幸せのためなら」
僕は上着を羽織り、マスクを付け、家を飛び出した。
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:10/12/29 16:56
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#104 [不発花火]
絶望、それだけ。
―リストラ、その先は(3)―
:10/12/29 21:38
:SH04B
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#105 [不発花火]
ギィ、と錆びた音を立てながら扉が開き、僕は中に足を踏み入れた。
―場所は○×倉庫。
随分前に廃墟と貸した倉庫には、中にはもちろん周りにも誰一人としていなかった。
静寂の中、僕の呼吸の音が大きく聞こえた。
先程から煩く鳴る心臓の音まで聞こえそうだ。
:10/12/29 21:38
:SH04B
:2c2Jat.Y
#106 [不発花火]
突如、背後から扉が大きな音を立てて閉まる。
僕の体はビクリと跳ね、鼓動が今までよりも早く鳴りはじめた。
マスクを外すと、ポタポタと汗が足元に落ちる。
目線を少し上げると、何もない倉庫の中に何かが転がっていた。
:10/12/29 21:39
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