その日が来る前に、3
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#396 [愛華]
この手さえあれば。
なんでものりこえてゆける。
そんな気がするよ。
「じゃーひとつめの話」
「うん」
隆則は座っていた椅子から、
あたしのいるベッドに移った。
:11/02/11 10:33
:840SH
:zJ6xm7Y6
#397 [愛華]
空けていた窓から、夕方特有の
涼しくて少ししょっぱい風が
はいってくる。
優しくて、切なくて、でも
あたたかくて、さみしい。
「那佑、手術受けよう」
:11/02/11 10:37
:840SH
:zJ6xm7Y6
#398 [愛華]
'
手術?
頭が真っ白になった。
どうして、そんなこと………
:11/02/11 10:39
:840SH
:zJ6xm7Y6
#399 [愛華]
何度も堅く拒んだ。
絶対に嫌だったの。
手術室の中でひとりで死を
迎えるなんて絶対に。
隆則はそれを知ってるのに
今さらどうして……………?
どうしてそんなこと言うの?
:11/02/11 10:42
:840SH
:zJ6xm7Y6
#400 [愛華]
「……なに言ってんの?
するわけないじゃん手術なんか」
「今のまんまじゃダメだ」
「今のままでいいよ」
声が震える。
隆則はわかってくれてると
思ってた。
話ってそれなの……?
手術を受けろって話?
:11/02/11 14:16
:840SH
:zJ6xm7Y6
#401 [愛華]
「俺は、いやだよ」
隆則はゆっくり、あたしを
なだめるような口調で言った。
「隆則………あたしだって
自分がいなくなるのやだよ」
目を合わせられない。
悪いことをしてるような気分
になってしまう。
:11/02/11 14:21
:840SH
:zJ6xm7Y6
#402 [愛華]
「那佑。ダメだよ」
「やだ。やだよ………」
涙があふれそうだ。
だって嫌なんだよ。
こわいんだよ。
自分から死へ向かう。
そんな気がしてこわいの。
:11/02/11 14:50
:840SH
:zJ6xm7Y6
#403 [愛華]
「俺の目見て………」
「やだ!手術は受けない!!
そんな話なら帰ってよ!
聞きたくない!」
隆則は泣き叫ぶあたしの手を
思い切りひっぱると、
自分のほうに抱き寄せた。
小さいあたしの体は全部
隆則の中におさまる。
このあたたかさが今は残酷だよ。
:11/02/11 14:56
:840SH
:zJ6xm7Y6
#404 [愛華]
「はなしてよ!!」
「那佑、泣いてもいいから聞け」
隆則の声、震えてる。
隆則も、泣いてるの?
何回あたしのせいで泣いたの?
一緒に泣いてくれたこともあった
:11/02/11 14:59
:840SH
:zJ6xm7Y6
#405 [愛華]
今もあたしのせいで………
「……俺の両親が死ぬときさ。
」
「…………ん」
「直純は俺に『助けて』って
言ったんだ。でも俺は医者
なんかじゃない。無力だった。
どうすることもできなかった」
:11/02/11 15:03
:840SH
:zJ6xm7Y6
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