その日が来る前に、3
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#201 [愛華]
何十個ものお願いをして
その中の絶対に叶いそうにない
願いが叶ったとしたら?





それが幸せに繋がる。

と、思う。




多分。

⏰:11/01/21 02:05 📱:840SH 🆔:FLDDbvz.


#202 [愛華]
「ばからし……………」





我ながら馬鹿みたいなこと
考えたな。


奇跡を信じる、とか。

ドラマかっつの。



神様なんか信じないよ。

⏰:11/01/21 02:07 📱:840SH 🆔:FLDDbvz.


#203 [愛華]
今まで何回も神様にお願いして
裏切られてきたんだし。




目をつぶってると、ウトウト
まどろんできた。



………寝よう。
明日起きれなくなっちゃうし。


頭に最後に浮かんだのは隆則。


………おやすみなさい。

⏰:11/01/21 02:11 📱:840SH 🆔:FLDDbvz.


#204 [愛華]
-隆則side-

⏰:11/01/22 00:01 📱:840SH 🆔:tdgufmR.


#205 [愛華]
それを望んでいなかった
わけじゃない。





『無理なんかしてない』



そういった那佑の瞳の奥に


強い決心が見えた気がして。


『時間がない』と言ってるようで

なにも言えなかった。

⏰:11/01/23 00:18 📱:840SH 🆔:1GT4RiK6


#206 [愛華]
今まで怖かった。


大切で、大切すぎて。



その腕のなかに那佑を収めると


那佑が壊れてしまう気がした。



だから今まで、ずっと自分を
理性でおさえてた。

⏰:11/01/23 00:28 📱:840SH 🆔:1GT4RiK6


#207 [愛華]
今じゃなくてもいい。

時間はあるんだから。

焦んなくてもいい。





…………時間?




焦ってるのは俺じゃなくて那佑。

⏰:11/01/23 00:32 📱:840SH 🆔:1GT4RiK6


#208 [愛華]
那佑はどうして『時間がない』
なんて思ってるのか。


ないわけないだろ。


だからゆっくりでいいんだ。


そう言ってやりたかった。


でも俺は。



那佑を…………抱きたいって。

⏰:11/01/23 00:46 📱:840SH 🆔:1GT4RiK6


#209 [愛華]
こんなこと言ったら、
怒られるかもしれないけどさ。


目の前で精一杯抱きしめて
くれてる那佑をかわいいと
思った。ちょっと震えてたけど。


那佑が何に焦ってるのかなんて
俺は知ってるんだろうけど…


今は知らないふりでいい。


本能に忠実なままでいい。

⏰:11/01/23 00:53 📱:840SH 🆔:1GT4RiK6


#210 [愛華]
そう思った。



………俺ってダメなやつかな。







外は明るくなりはじめていた。

⏰:11/01/23 00:55 📱:840SH 🆔:1GT4RiK6


#211 [我輩は匿名である]
あああああああーーー
頑張れぇぇぇぇぇぇーーって
あは
はよ下記な

⏰:11/01/23 01:53 📱:PC 🆔:SRQ4syZM


#212 [愛華]
>>211

んと……がんばりますね!
感想板のほうにもぜひ来て
下さい。ありがとうございます。

⏰:11/01/23 15:35 📱:840SH 🆔:1GT4RiK6


#213 [愛華]
>>210


-那佑side-

⏰:11/01/24 00:08 📱:840SH 🆔:XeKd0N62


#214 [愛華]
「んじゃ先生。いってきます」

「いってらっしゃい。
くれぐれも………」

「ハイハイ。運動は厳禁ね」

「それだけじゃないでしょ」

「…………なんだっけ?」

「ほら、もう忘れてるし!!」



久しぶりの、外の世界。

⏰:11/01/24 00:10 📱:840SH 🆔:XeKd0N62


#215 [愛華]
青空を直接見上げるなんて
本当に久しぶりなんだ。



「あ、思い出した!!薬ね!」

「毎朝忘れないでね。咳が
酷いときは別の薬あるから」

「はいはーい」



先生と別れを告げると、
お母さんがトイレから
戻ってきた。

⏰:11/01/24 00:15 📱:840SH 🆔:XeKd0N62


#216 [愛華]
「あ、お母さんおかえり。
先生いっちゃったよ」

「今あいさつしたから平気よ。
それより………


本当に大丈夫なの?
隆則くんのところで一泊する
なんて………」


「大丈夫だってば。納得して
くれたんでしょ、お父さんも」

「そりゃそうだけど………」

⏰:11/01/24 00:18 📱:840SH 🆔:XeKd0N62


#217 [愛華]
お母さんの顔から不安の色が
消えない。


「………お母さん。あたしだって『女の子』なんだよ?」



「……………万が一、なにか
あったらすぐ連絡してね?
夜にも電話すること。」


「うん。わかってるよ」


あたしはVサインを出した。

⏰:11/01/24 00:22 📱:840SH 🆔:XeKd0N62


#218 [愛華]
お母さんが心配でたまらないのは痛いほどにわかる。


でもお母さんとお父さんは、
あたしじゃなくて、隆則を
信頼してくれたんだよね。



それも嬉しいことだ。




「あ、もう出てたのか」


「隆則!!こんにっちはー♪」

⏰:11/01/24 00:25 📱:840SH 🆔:XeKd0N62


#219 [愛華]
お母さんと玄関の前にいると、
隆則が来た。


「こんにちは、隆則くん」

「こんにちは。遅れてすいませんでした」

「いいのよそんなの。今日と
明日、那佑をよろしくね」

「はい」


お母さんと隆則が話してる……
なんか変な感じするなぁ………

⏰:11/01/24 00:29 📱:840SH 🆔:XeKd0N62


#220 [愛華]
そういえば、あたしが倒れた時
って救急車呼んでくれたのは
隆則なんだったっけ………


あの時、隆則はお母さんたちと
何話してたんだろう?



「那佑さんとお付き合いさせて
もらってます」 とかかな…?



あ、でもあの時は別れたまま
だったし………

⏰:11/01/24 00:32 📱:840SH 🆔:XeKd0N62


#221 [愛華]
「…………なーゆ!行くぞ!」

「へぁ?あ、うん!」


ま、いっか。
あとで聞いてみよう。



「んじゃね、お母さん」

「うん。また明日」

「失礼します」


お母さんと別れると、たまらず
あたしは吹き出した。

⏰:11/01/24 00:34 📱:840SH 🆔:XeKd0N62


#222 [愛華]
「オイ、なに笑ってんの?」

「だって失礼します、とか!
隆則似合ってないんだもん」

「やかましい」


あ。


隆則と二人になると、急に
現実感が沸いてきた。




明日まで、隆則とずっと二人きりなんだ………ずっと。

⏰:11/01/24 00:37 📱:840SH 🆔:XeKd0N62


#223 [愛華]
あたしだってさ。
緊張しないわけじゃない。
初めてだし………女の子、だし。



そう。
明日まであたしは普通の女の子。


病気のことは考えなくていい。


隆則のことだけでいいんだよね。

⏰:11/01/25 20:42 📱:840SH 🆔:kjUW4466


#224 [愛華]
「………たーかのり♪」

「え、なに急に。歩きにくいし」

「そう言うなって!」


あたしは隆則の腕にぎゅうっと
抱き着く。


隆則と並んで歩くのも久しぶり。


やっぱり………嬉しいな。

⏰:11/01/25 20:45 📱:840SH 🆔:kjUW4466


#225 [愛華]
「あ、俺車取りに行かなきゃ」


歩きながら、隆則が思い出した
ようにいった。


「………車!?隆則、免許
なんか持ってたっけ?」

「うん。この前取った」

「え、車買ったの…?」

「うーん……と。もらった?」

「もらったぁ!?」

⏰:11/01/25 20:54 📱:840SH 🆔:kjUW4466


#226 [愛華]
「うん」


いやいや………免許取ってた
ことも知らなかったし。

おまけに車もらった?

誰に?


「あたし知らないんだけど。
そんなこと聞いてないし……」

「あー免許取ったのは言い忘れ
てたんだけどさ。車もらったのは3年くらい前だから」

⏰:11/01/25 20:56 📱:840SH 🆔:kjUW4466


#227 [愛華]
「3年………前?」

頭の中が?でいっぱいに
なっていると、いつの間にか
駐車場についていた。

そこにあった隆則の車は
フツーの車。


「……てか誰にもらったの?」

「あー…高校の時にケンカ
売られた族のやつに」


………………。

⏰:11/01/25 21:01 📱:840SH 🆔:kjUW4466


#228 [愛華]
「まぁ俺も荒れてたし。

そしたらブッ飛ばしたやつが
族だかヤクザだかのお偉い人
だったみたいでさー。

組に入れとか言われて、断ったら
車やるから免許取ったら乗れって車くれたんだよ。

なんかよくわかんないけ……ど




って那佑どうした?」

⏰:11/01/25 21:17 📱:840SH 🆔:kjUW4466


#229 [愛華]
「いや……なんかリアルすぎて。あたし若干ひいてるよ……」

「んなこと言ったって!!
返しようもないだろ今さら!
その時だって正直組入るの
断るので精一杯だったし!!」


ヤクザブッ飛ばしといて
何言ってんだか………。



でも。そっか。



あたし隆則の高校時代、
よく知らないんだ。

⏰:11/01/25 21:43 📱:840SH 🆔:kjUW4466


#230 [愛華]
車に乗ると、新車特有の
シートのにおいがした。



「………あれ、新車?」

「んーみたいだな。乗ったの
昨日が初めてだし」

「大丈夫なのそれ………」


まだ知らない、隆則のこと。





知りたい。

⏰:11/01/25 21:51 📱:840SH 🆔:kjUW4466


#231 [愛華]
「………さて、どこ行く?」

運転席に乗り込んだ隆則が
キーを差し込んだ。



「………どこでも、いいよ」

「行きたいとこあるだろ?
車だから遠出もできるけど」


久しぶりの外出だけど、

ほんとうはね。


隆則がいるならどこだっていい。

⏰:11/01/25 21:59 📱:840SH 🆔:kjUW4466


#232 [愛華]
「………じゃあね、ドライブ」

「ドライブ?そんなんでいい?」

「うん。ぶらぶらするだけで」

「りょーかいしましたー」


ブゥン!!


「発進ー!!」


小さな子供みたいに。あの時のあたしはワクワクしてた。

⏰:11/01/25 22:03 📱:840SH 🆔:kjUW4466


#233 [愛華]
隆則といる時だけだよ。
あたしは子供に戻れる。


強がってばかりだったあの時。
甘えることを知らなかった
子供時代。


隆則は簡単にあたしの心を
持っていっちゃうんだよ。


それだけは
出会ったころと何も変わらない。

⏰:11/01/26 19:57 📱:840SH 🆔:xNQnfUXU


#234 [愛華]
「ねー隆則」

「んー?」

「隆則の高校時代ってどんなの?あたし知らないんだよねー」

「え?俺の話聞きたいの?」

「うん!!ダメ?」

「ダメじゃねーけど……
聞いてもつまんねーよ多分」

「それでもいーいーの!」

「えー……」

⏰:11/01/26 20:04 📱:840SH 🆔:xNQnfUXU


#235 [愛華]
隆則は嫌そうな顔だ。


あ。ケンカばっかだったって
言ってたし……嫌な過去なのかな



「……高校、嫌だったの?」

「嫌っつーか…つまんなかった。金髪だから目立ってたしさ。
友達っつー友達も誨ぐらいしか
いなかったしなぁ。」

「高校の時から金髪だったの?」

⏰:11/01/26 20:26 📱:840SH 🆔:xNQnfUXU


#236 [愛華]
「うん。なんかカッコつけたい
時期とかだったんじゃん?

あとは大体、那佑の想像通り
だと思うけど」

「ケンカばっかしてたの?」

「まーね。俺強かったよ〜」


隆則は笑いながら言った。



…………なんか、オトナ。

⏰:11/01/26 21:56 📱:840SH 🆔:xNQnfUXU


#237 [愛華]
「…………隆則と、もっと前に
会いたかったなぁ………」

「え、なんで」

「なんとなく」

「なんだそりゃ」

「…………」

「なんだそりゃ」

「なんで2回言うのさ」

「いや、意味わからんから」

「………うん。そっか……」

⏰:11/01/26 22:03 📱:840SH 🆔:xNQnfUXU


#238 [愛華]
「一人で納得すんなっつの!」


………なんか、もったいない。
そう思ったんだ。
あたしが知らない隆則の部分が
いっぱいありすぎて。


隆則に出会ってなかった時間が
もったいなかったなって。



そんなこと言えるわけないけど。

⏰:11/01/26 22:16 📱:840SH 🆔:xNQnfUXU


#239 [愛華]
「それよりさ、今看板で
ナントカ海岸って書いてたよ!」

「海岸?海ってことか?」

「行きたい!!海!!」

「海ぃ?行きてーの?」

「行きたい!行きたいっす!」

「わかったわかった」


隆則はあたしの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。

⏰:11/01/26 22:53 📱:840SH 🆔:xNQnfUXU


#240 [愛華]
「………へへっ」

「なに笑ってんだよ」

「もー隆則だいすきー」

「……知ってるってば」




こんな穏やかな時間を


あとどれくらい過ごせる……?



考えようとしてやめた。

⏰:11/01/26 22:58 📱:840SH 🆔:xNQnfUXU


#241 [愛華]
………なに考えてんの。


今日はそんなことは
考えないって決めたじゃん。




窓の外に海が見えてきた。


太陽の光を反射して、
キラキラしてる。



…海ってこんな綺麗だったっけ。

⏰:11/01/26 23:09 📱:840SH 🆔:xNQnfUXU


#242 [愛華]
そんなことを考えながら
海を眺めていた。

でも1時間ほど走っても、
ナントカ海岸、なんて文字の
書かれた看板は見えない。



「ねー隆則ーなんか遠くない?
通りすぎたりとかしちゃった?」

「俺に言われてもなぁ………
すぐ横に海あんのにまだ先
なんかな?」

⏰:11/01/27 23:04 📱:840SH 🆔:DBi3AEWQ


#243 [愛華]
今さら引き返すのもなんか嫌。


途中でお昼を食べ、再出発。




海沿いに走るのも飽きてきた頃。
看板が見えた。



「…………あ、隆則!今看板に
『金城海岸100キロ』って!」

「100キロぉ!?遠っ!!」

⏰:11/01/27 23:09 📱:840SH 🆔:DBi3AEWQ


#244 [愛華]
「この際だから行こうよ!」

「………俺はいいけどさぁ」


隆則はふぅ、と息をついた。



「………疲れたの?運転」

「いや、別に?」

「かわったげよーか」

「ばーか」

⏰:11/01/27 23:12 📱:840SH 🆔:DBi3AEWQ


#245 [愛華]
あ、なんか………


隆則やっぱりオトナ。


あたしが子供になったの?

それとも隆則が大人になったの?



どっちにしても……



隣にいるのに遠い。

そんな気がした。

⏰:11/01/30 18:54 📱:840SH 🆔:JIvfWBzg


#246 [愛華]
そりゃあたしみたいな我が儘で
自己中な女の子と付き合えば、
誰だって大人になるのかも。


おまけに病気もち。



隆則の笑顔はまるで子供を
なだめるような感じだった。




……………気がする。


とか思っちゃうあたしが子供。

⏰:11/01/30 18:58 📱:840SH 🆔:JIvfWBzg


#247 [愛華]
「…………那佑ー?なした?
急に黙りこんで……」

「チョコで酔った………」

「え?コレお酒はいってた?」

「なんか味変だったもんー」

「てゆーかお前酒弱いの?」

「その前にあたし未成年」

「がーき。今どきみんな飲む
だろー。子供だなー」


………トドメをあんたが刺すか。

⏰:11/01/30 19:06 📱:840SH 🆔:JIvfWBzg


#248 [愛華]
なんなんだよー…



もやもやする。



なんでこんな日にこんなこと
考えちゃうんだろう?

なんかネガティブになってる…




今日は楽しくいたいのに。

⏰:11/01/30 21:40 📱:840SH 🆔:JIvfWBzg


#249 [愛華]
どれくらい時間が過ぎただろ。



なんとなく、さみしかった。



切なくて、もどかしくて。



隆則との距離。たった数十センチ


それがすごく遠く感じて。

⏰:11/02/03 20:42 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#250 [愛華]
あたしは病気になってから、
弱くなったみたいだね。

強くなりたいけれど……




距離を感じる度にあなたが
足りなくなってしまう。



それは……わがままなのかな。

⏰:11/02/03 20:44 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#251 [愛華]
たとえばあたしが隆則と
出会わなかったとして。



ひとりでこの日を迎えたとして。



あたしは、何を思っただろう?


隆則じゃない、誰かほかのひとを見つけられたの?


未来に絶望したりしてない?

⏰:11/02/03 20:50 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#252 [愛華]
そんなことあるわけない。



今のあたしは隆則がつくって
くれたんだよ。


隆則がいなきゃ生きてゆけない。


隆則は側にいるけれどー……



それでも足りなくなるのは


あたしがおかしいのかな。

⏰:11/02/03 21:01 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#253 [愛華]
'







「……………那佑ー起きろー」





「…………へぁ………ん……」

⏰:11/02/03 21:07 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#254 [愛華]
「お前ねー寝てんなよ……」

「あたし………寝てた?」



いつの間にか寝てたらしい。
昨日寝なかったせいか………


てゆーかこんな日に昼寝って…



「あたし変な顔してなかった?」

「あーヨダレふいてやった」

⏰:11/02/03 22:19 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#255 [愛華]
「うそばっかついて……」

「わはは。ほら。外見てみ」




あたしは窓の外に目をやった。
まだまどろむ目をこする。





「……………すご……」


それしか言葉が出なかった。

⏰:11/02/03 22:22 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#256 [愛華]
最後に海を見たのは
確か6歳の時。

お父さんとお母さんと一緒に
海に入って遊んだ。



少し寒かったけど、嬉しくて。

楽しくて。


こんな幸せが続くって信じた。



幼かった、あの頃。

⏰:11/02/03 22:29 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#257 [愛華]
「隆則!!早く早く!!」

「そんな急いで転ぶなよー」



隆則が呆れたように笑う。


あたしは波打際まで走った。




……冷たい。海の水って冷たい。

⏰:11/02/03 22:32 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#258 [愛華]
夕陽が海に沈んでいた。

映画とかで見慣れた感じ。


でもその景色は言葉が出ない
くらいに綺麗で。



夕陽ってほんとに海に沈むんだ…



なんて馬鹿なこと考えた。

⏰:11/02/03 22:34 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#259 [愛華]
「………隆則、ありがと」

「なにが?」

「連れて来てくれて。海見たの
10年ぶりくらいだから嬉しい」

「あー…俺もそんくらいかな…」

隆則はニッと笑った。




たまらなく、愛しいひと。

⏰:11/02/03 22:38 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#260 [愛華]
「ひといねーなぁ」

「もう夕方だしねー……」


あたしたちは砂の上に座った。
長い時間車に乗っていたので、
砂がやわらかく感じた。


あたたかかった。





「………綺麗だ、ね」

「うん。ありがたいわ」

⏰:11/02/03 22:44 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#261 [愛華]
「ありがたいってなに?」

「俺前までは景色とか見て
感動することとかないって
思ってたからさー…」

「なるほどー心が荒んでたのね」

「うるせーな!」


2人で声を上げて笑った。


笑い声は波の音に消えていった。

⏰:11/02/03 22:51 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#262 [愛華]
幸せだな。あたし。



でも、もしもあたしが。





病気じゃなかったら?




今までにも何度も考えたっけ。

⏰:11/02/03 22:54 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#263 [愛華]
もっと幸せになれたかも。

苦しむこともなかった。



それでもあたしは。




この病気のおかげで隆則に会えた




あぁ……………あたしは。

⏰:11/02/03 22:55 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#264 [愛華]
「………………隆則」

「ん?」






「約束、絶対守ってね。」





『あたしがいなくなる時、
泣かないで。その時だけは……


…………絶対に』

⏰:11/02/03 22:58 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#265 [愛華]
「絶対に絶対に守って。」



あたしはゆっくり隆則の目を
見つめる。


そして、手を握りしめる。



その目で、腕で。



いっぱいの幸せをあたしにくれた

⏰:11/02/03 23:01 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#266 [愛華]
あたしはもうすぐいなくなる
かもしれないけれど。



もう、充分だよ。


一生ぶんの幸せをもらったよ。




だからお願い。

あたしが死んじゃう時は

「またね」って笑ってね。

⏰:11/02/03 23:06 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#267 [愛華]
「………那佑、なした……?」



期待することはもうやめた。
『諦めない』なんて
きれいごとはもういい。


現実をただ一点に見つめる。



『あたしはいなくなる』


という事実。

⏰:11/02/03 23:10 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#268 [愛華]
「………今日だけは。病気のこと忘れようって思った。

でも無理だった。

あたしはそんなとこまできてる。


隆則も、気づいてるでしょ?
あたしには時間がないの」



口に出すのが辛かった『事実』

⏰:11/02/03 23:12 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#269 [愛華]
「なに………それ」

隆則の瞳には色がなかった。


悲しみも苦しみも。なにもない。



わかってるよ。
同じ気持ちなんだよ。




「ごめんね…………隆則」

⏰:11/02/03 23:15 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#270 [愛華]
涙を流すことにも慣れた。



自分を受け入れなきゃ。





「………あたしはもうすぐ…」



次の言葉は出なかった。

⏰:11/02/03 23:18 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#271 [愛華]
やわらかくてあたたかい
隆則のぬくもりが一瞬で
あたしを包み込んだ。








「…………なに弱ってんの?
んなもん誰がきめたんだよ?」


隆則はあたしを抱きしめたまま
うなるように声を出す。

⏰:11/02/03 23:21 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#272 [愛華]
波の音が消えた。




「…………隆則…………」



「勝手なこと言ってんな。
お前後悔するぞ、絶対。

お前の寿命なんて誰がどこで
きめたんだよ?自分が生きたい
だけ生きれよ!」


まっすぐな、言葉。

⏰:11/02/03 23:25 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#273 [愛華]
苦しいほどに、心にしみる。


じわじわ、広がってく。






「あたし、は…………隆則を
幸せにはできな……もしれない」

「俺はもう幸せだからいい。
お前の番だろーが今は。俺が
ちゃんと幸せにしてやるから」

⏰:11/02/03 23:27 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#274 [愛華]
言葉になっていないのに、
ちゃんと聞き取ってくれる。




「ちゃんと泣け。なんで
頼らないんだよ?不安なら
いくらでも言ってやるから。



お前はいなくならない」



ほら。また。
あたしを期待させるんだね。

⏰:11/02/03 23:30 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#275 [愛華]
なんの根拠もないくせに。

わたしはあなたの言葉に
期待を抱いてしまうの。



大切なものを見つけると
ひとは欲深くなる。


それを生きる力に変えるのは
あたしにとってはすごく
難しかったんだよ。


それでも、力になる。

⏰:11/02/03 23:33 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#276 [愛華]
明日を生きる、あたしの。





「………苦しいよ………」

「うん」

「辛いんだよ…………」

「うん」

「どうしてあたしなの?」

「うん」

⏰:11/02/03 23:35 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#277 [愛華]
隆則の手は、震えていたね。

いや、震えてたのはあたしかも。




「隆則…………やだよ……」

「うん」



「生きたい…………」


死にたくない、じゃなくて。

⏰:11/02/03 23:42 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#278 [愛華]
生きたい。



それだけ。





神様なんか信じない。

願ったりしないよ。



ただ、思うだけだよ。

⏰:11/02/03 23:44 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#279 [愛華]
「こわい………やだ………」

「…………ん。」




隆則は抱きしめる手に力を込める






「………俺もこえーや」

⏰:11/02/03 23:45 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#280 [愛華]
神様なんか、信じないから。


心に思うだけ。





隆則の側で生きたいです。




叶うなんて期待は、しない。


絶対に、してやるもんか。

⏰:11/02/03 23:48 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#281 [愛華]
辛かった。

苦しかった。

だから、生きたかった。

いつだって願ったことは
ただひとつ。


「ただ一人誰かの為に生きたい」

それが君なんだと信じた。

18歳の夏。

⏰:11/02/03 23:52 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#282 [愛華]
今日の更新分

>>249-282


久しぶりの大量更新なので
文章おかしいかもしれないです。すいません……

感想待っています。

⏰:11/02/03 23:54 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#283 [愛華]
'









ずっとずっと夢見てた。


あたしは、女の子として。

普通の女の子として生きれるのか

⏰:11/02/04 21:11 📱:840SH 🆔:Hg7.qx02


#284 [愛華]
大切なひとを見つけて


キスをして



…………ひとつになって。






そんな幸せを手に入れられるのか

病気になってからも考えた。

⏰:11/02/04 21:13 📱:840SH 🆔:Hg7.qx02


#285 [愛華]
あたたかいあなたの腕の中で

あたしはそんな昔のことを
思い出していたんだよ。






今日あたしは。


あなたとひとつになれます。

⏰:11/02/04 21:15 📱:840SH 🆔:Hg7.qx02


#286 [愛華]
'







「…………ひっ……」



首に隆則の熱を感じた。

チクリとした痛み。


熱くて、でも優しい。

⏰:11/02/04 21:31 📱:840SH 🆔:Hg7.qx02


#287 [愛華]
「…………しるし」


隆則は優しく笑いながら言った。



ゆっくりベッドが沈んだ。




隆則に見下ろされてる……


なんか、変な感じ。

⏰:11/02/04 21:36 📱:840SH 🆔:Hg7.qx02


#288 [愛華]
震えてるのが自分でわかった。





「……………こわい?」

「大丈夫。へいき」

「無理してんなら………」


あたしは思い切り隆則を
抱きしめた。


「いいの」

⏰:11/02/04 21:38 📱:840SH 🆔:Hg7.qx02


#289 [愛華]
いいんだ。


隆則なら。



きっと、大丈夫だから。



そうでしょう?





「…………馬鹿」

⏰:11/02/04 21:47 📱:840SH 🆔:Hg7.qx02


#290 [愛華]
「馬鹿ってなにさ。隆則もだよ」

「俺が馬鹿?」

「…………隆則、熱い」



隆則はゆっくりキスしてくれた。


少しタバコのにおいがした。

それすらも安心する。

⏰:11/02/04 21:50 📱:840SH 🆔:Hg7.qx02


#291 [愛華]
「いんじゃん?馬鹿で」

「うん。そーだね」




あたしは



隆則の



隆則のすべてで



幸せになれるの。

⏰:11/02/04 22:05 📱:840SH 🆔:Hg7.qx02


#292 [愛華]
幸せだった。

きっと、こんな幸せな夜は
初めてだったよ。



隆則もそうだったのかな?


だと嬉しいな。



まるで宝物にさわるみたいに
不器用な手であたしに触れる。

愛しい手。

⏰:11/02/04 22:25 📱:840SH 🆔:Hg7.qx02


#293 [愛華]
暗い闇の中でいつも
あなたの声がしていた。

あたしの名前を呼んで
笑顔で手をふってくれる。



ずっと前から
こうなることは決まっていた。



そんな気がするの。


そう信じたいの。

⏰:11/02/04 22:52 📱:840SH 🆔:Hg7.qx02


#294 [愛華]
隆則。


大好きなんかじゃない。



愛してるよ。


ずっとずっと愛してるよ。






長くて、温かくて。
少しだけ切ないような。
幸せな夜が明けようとしていた。

⏰:11/02/04 22:56 📱:840SH 🆔:Hg7.qx02


#295 [愛華]
今日の更新分

>>283-295
感想待ってます。

⏰:11/02/04 22:59 📱:840SH 🆔:Hg7.qx02


#296 [我輩は匿名である]
'









太陽は東から昇る。

そして西に沈む。


当たり前のような

神様がずっと昔に決めた決まり。

⏰:11/02/05 22:39 📱:840SH 🆔:qulkQi8.


#297 [我輩は匿名である]
きっと誰もが感じている。

そんなの当たり前だって。


でもあたしは違ったんだ。


太陽が昇って沈むまで
明日への恐怖に怯えていた。

光を見ることが怖かった。

なのに夜の闇にも怯えていた。


居場所がどこにもなかった。

⏰:11/02/05 22:47 📱:840SH 🆔:qulkQi8.


#298 [我輩は匿名である]
まぶしいのは嫌い。

自分がどんなに醜い心をしてるか
全て照らされてしまうから。


でも暗いのも嫌い。

自分がどこにいるかわかんなくて
闇にのまれそうになるから。




じゃああたしは、


どこに在ればいい?

⏰:11/02/05 22:52 📱:840SH 🆔:qulkQi8.


#299 [我輩は匿名である]
そんなあたしを連れ出してくれた





隆則。





自分の中のぜんぶが
あなたでうめつくされた。

⏰:11/02/05 23:02 📱:840SH 🆔:qulkQi8.


#300 [我輩は匿名である]
光がこんなに心地好いなんて
知らなかった。

夜がこんなに穏やかだったなんて知らなかった。


全部隆則が教えてくれた。


言葉にできないくらいに
温かくて、楽しくて。


つまりね。




幸せなの。

⏰:11/02/05 23:08 📱:840SH 🆔:qulkQi8.


#301 [我輩は匿名である]
'









あたしは大好きなぬくもりを
隣で感じながら目を覚ました。


いつもと違うにおいがした。


それが嬉しかった。

⏰:11/02/05 23:16 📱:840SH 🆔:qulkQi8.


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