その日が来る前に、3
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#201 [愛華]
何十個ものお願いをして
その中の絶対に叶いそうにない
願いが叶ったとしたら?
それが幸せに繋がる。
と、思う。
多分。
:11/01/21 02:05
:840SH
:FLDDbvz.
#202 [愛華]
「ばからし……………」
我ながら馬鹿みたいなこと
考えたな。
奇跡を信じる、とか。
ドラマかっつの。
神様なんか信じないよ。
:11/01/21 02:07
:840SH
:FLDDbvz.
#203 [愛華]
今まで何回も神様にお願いして
裏切られてきたんだし。
目をつぶってると、ウトウト
まどろんできた。
………寝よう。
明日起きれなくなっちゃうし。
頭に最後に浮かんだのは隆則。
………おやすみなさい。
:11/01/21 02:11
:840SH
:FLDDbvz.
#204 [愛華]
-隆則side-
:11/01/22 00:01
:840SH
:tdgufmR.
#205 [愛華]
それを望んでいなかった
わけじゃない。
『無理なんかしてない』
そういった那佑の瞳の奥に
強い決心が見えた気がして。
『時間がない』と言ってるようで
なにも言えなかった。
:11/01/23 00:18
:840SH
:1GT4RiK6
#206 [愛華]
今まで怖かった。
大切で、大切すぎて。
その腕のなかに那佑を収めると
那佑が壊れてしまう気がした。
だから今まで、ずっと自分を
理性でおさえてた。
:11/01/23 00:28
:840SH
:1GT4RiK6
#207 [愛華]
今じゃなくてもいい。
時間はあるんだから。
焦んなくてもいい。
…………時間?
焦ってるのは俺じゃなくて那佑。
:11/01/23 00:32
:840SH
:1GT4RiK6
#208 [愛華]
那佑はどうして『時間がない』
なんて思ってるのか。
ないわけないだろ。
だからゆっくりでいいんだ。
そう言ってやりたかった。
でも俺は。
那佑を…………抱きたいって。
:11/01/23 00:46
:840SH
:1GT4RiK6
#209 [愛華]
こんなこと言ったら、
怒られるかもしれないけどさ。
目の前で精一杯抱きしめて
くれてる那佑をかわいいと
思った。ちょっと震えてたけど。
那佑が何に焦ってるのかなんて
俺は知ってるんだろうけど…
今は知らないふりでいい。
本能に忠実なままでいい。
:11/01/23 00:53
:840SH
:1GT4RiK6
#210 [愛華]
そう思った。
………俺ってダメなやつかな。
外は明るくなりはじめていた。
:11/01/23 00:55
:840SH
:1GT4RiK6
#211 [我輩は匿名である]
あああああああーーー
頑張れぇぇぇぇぇぇーーって
あは
はよ下記な
:11/01/23 01:53
:PC
:SRQ4syZM
#212 [愛華]
>>211様
んと……がんばりますね!
感想板のほうにもぜひ来て
下さい。ありがとうございます。
:11/01/23 15:35
:840SH
:1GT4RiK6
#213 [愛華]
:11/01/24 00:08
:840SH
:XeKd0N62
#214 [愛華]
「んじゃ先生。いってきます」
「いってらっしゃい。
くれぐれも………」
「ハイハイ。運動は厳禁ね」
「それだけじゃないでしょ」
「…………なんだっけ?」
「ほら、もう忘れてるし!!」
久しぶりの、外の世界。
:11/01/24 00:10
:840SH
:XeKd0N62
#215 [愛華]
青空を直接見上げるなんて
本当に久しぶりなんだ。
「あ、思い出した!!薬ね!」
「毎朝忘れないでね。咳が
酷いときは別の薬あるから」
「はいはーい」
先生と別れを告げると、
お母さんがトイレから
戻ってきた。
:11/01/24 00:15
:840SH
:XeKd0N62
#216 [愛華]
「あ、お母さんおかえり。
先生いっちゃったよ」
「今あいさつしたから平気よ。
それより………
本当に大丈夫なの?
隆則くんのところで一泊する
なんて………」
「大丈夫だってば。納得して
くれたんでしょ、お父さんも」
「そりゃそうだけど………」
:11/01/24 00:18
:840SH
:XeKd0N62
#217 [愛華]
お母さんの顔から不安の色が
消えない。
「………お母さん。あたしだって『女の子』なんだよ?」
「……………万が一、なにか
あったらすぐ連絡してね?
夜にも電話すること。」
「うん。わかってるよ」
あたしはVサインを出した。
:11/01/24 00:22
:840SH
:XeKd0N62
#218 [愛華]
お母さんが心配でたまらないのは痛いほどにわかる。
でもお母さんとお父さんは、
あたしじゃなくて、隆則を
信頼してくれたんだよね。
それも嬉しいことだ。
「あ、もう出てたのか」
「隆則!!こんにっちはー♪」
:11/01/24 00:25
:840SH
:XeKd0N62
#219 [愛華]
お母さんと玄関の前にいると、
隆則が来た。
「こんにちは、隆則くん」
「こんにちは。遅れてすいませんでした」
「いいのよそんなの。今日と
明日、那佑をよろしくね」
「はい」
お母さんと隆則が話してる……
なんか変な感じするなぁ………
:11/01/24 00:29
:840SH
:XeKd0N62
#220 [愛華]
そういえば、あたしが倒れた時
って救急車呼んでくれたのは
隆則なんだったっけ………
あの時、隆則はお母さんたちと
何話してたんだろう?
「那佑さんとお付き合いさせて
もらってます」 とかかな…?
あ、でもあの時は別れたまま
だったし………
:11/01/24 00:32
:840SH
:XeKd0N62
#221 [愛華]
「…………なーゆ!行くぞ!」
「へぁ?あ、うん!」
ま、いっか。
あとで聞いてみよう。
「んじゃね、お母さん」
「うん。また明日」
「失礼します」
お母さんと別れると、たまらず
あたしは吹き出した。
:11/01/24 00:34
:840SH
:XeKd0N62
#222 [愛華]
「オイ、なに笑ってんの?」
「だって失礼します、とか!
隆則似合ってないんだもん」
「やかましい」
あ。
隆則と二人になると、急に
現実感が沸いてきた。
明日まで、隆則とずっと二人きりなんだ………ずっと。
:11/01/24 00:37
:840SH
:XeKd0N62
#223 [愛華]
あたしだってさ。
緊張しないわけじゃない。
初めてだし………女の子、だし。
そう。
明日まであたしは普通の女の子。
病気のことは考えなくていい。
隆則のことだけでいいんだよね。
:11/01/25 20:42
:840SH
:kjUW4466
#224 [愛華]
「………たーかのり♪」
「え、なに急に。歩きにくいし」
「そう言うなって!」
あたしは隆則の腕にぎゅうっと
抱き着く。
隆則と並んで歩くのも久しぶり。
やっぱり………嬉しいな。
:11/01/25 20:45
:840SH
:kjUW4466
#225 [愛華]
「あ、俺車取りに行かなきゃ」
歩きながら、隆則が思い出した
ようにいった。
「………車!?隆則、免許
なんか持ってたっけ?」
「うん。この前取った」
「え、車買ったの…?」
「うーん……と。もらった?」
「もらったぁ!?」
:11/01/25 20:54
:840SH
:kjUW4466
#226 [愛華]
「うん」
いやいや………免許取ってた
ことも知らなかったし。
おまけに車もらった?
誰に?
「あたし知らないんだけど。
そんなこと聞いてないし……」
「あー免許取ったのは言い忘れ
てたんだけどさ。車もらったのは3年くらい前だから」
:11/01/25 20:56
:840SH
:kjUW4466
#227 [愛華]
「3年………前?」
頭の中が?でいっぱいに
なっていると、いつの間にか
駐車場についていた。
そこにあった隆則の車は
フツーの車。
「……てか誰にもらったの?」
「あー…高校の時にケンカ
売られた族のやつに」
………………。
:11/01/25 21:01
:840SH
:kjUW4466
#228 [愛華]
「まぁ俺も荒れてたし。
そしたらブッ飛ばしたやつが
族だかヤクザだかのお偉い人
だったみたいでさー。
組に入れとか言われて、断ったら
車やるから免許取ったら乗れって車くれたんだよ。
なんかよくわかんないけ……ど
って那佑どうした?」
:11/01/25 21:17
:840SH
:kjUW4466
#229 [愛華]
「いや……なんかリアルすぎて。あたし若干ひいてるよ……」
「んなこと言ったって!!
返しようもないだろ今さら!
その時だって正直組入るの
断るので精一杯だったし!!」
ヤクザブッ飛ばしといて
何言ってんだか………。
でも。そっか。
あたし隆則の高校時代、
よく知らないんだ。
:11/01/25 21:43
:840SH
:kjUW4466
#230 [愛華]
車に乗ると、新車特有の
シートのにおいがした。
「………あれ、新車?」
「んーみたいだな。乗ったの
昨日が初めてだし」
「大丈夫なのそれ………」
まだ知らない、隆則のこと。
知りたい。
:11/01/25 21:51
:840SH
:kjUW4466
#231 [愛華]
「………さて、どこ行く?」
運転席に乗り込んだ隆則が
キーを差し込んだ。
「………どこでも、いいよ」
「行きたいとこあるだろ?
車だから遠出もできるけど」
久しぶりの外出だけど、
ほんとうはね。
隆則がいるならどこだっていい。
:11/01/25 21:59
:840SH
:kjUW4466
#232 [愛華]
「………じゃあね、ドライブ」
「ドライブ?そんなんでいい?」
「うん。ぶらぶらするだけで」
「りょーかいしましたー」
ブゥン!!
「発進ー!!」
小さな子供みたいに。あの時のあたしはワクワクしてた。
:11/01/25 22:03
:840SH
:kjUW4466
#233 [愛華]
隆則といる時だけだよ。
あたしは子供に戻れる。
強がってばかりだったあの時。
甘えることを知らなかった
子供時代。
隆則は簡単にあたしの心を
持っていっちゃうんだよ。
それだけは
出会ったころと何も変わらない。
:11/01/26 19:57
:840SH
:xNQnfUXU
#234 [愛華]
「ねー隆則」
「んー?」
「隆則の高校時代ってどんなの?あたし知らないんだよねー」
「え?俺の話聞きたいの?」
「うん!!ダメ?」
「ダメじゃねーけど……
聞いてもつまんねーよ多分」
「それでもいーいーの!」
「えー……」
:11/01/26 20:04
:840SH
:xNQnfUXU
#235 [愛華]
隆則は嫌そうな顔だ。
あ。ケンカばっかだったって
言ってたし……嫌な過去なのかな
「……高校、嫌だったの?」
「嫌っつーか…つまんなかった。金髪だから目立ってたしさ。
友達っつー友達も誨ぐらいしか
いなかったしなぁ。」
「高校の時から金髪だったの?」
:11/01/26 20:26
:840SH
:xNQnfUXU
#236 [愛華]
「うん。なんかカッコつけたい
時期とかだったんじゃん?
あとは大体、那佑の想像通り
だと思うけど」
「ケンカばっかしてたの?」
「まーね。俺強かったよ〜」
隆則は笑いながら言った。
…………なんか、オトナ。
:11/01/26 21:56
:840SH
:xNQnfUXU
#237 [愛華]
「…………隆則と、もっと前に
会いたかったなぁ………」
「え、なんで」
「なんとなく」
「なんだそりゃ」
「…………」
「なんだそりゃ」
「なんで2回言うのさ」
「いや、意味わからんから」
「………うん。そっか……」
:11/01/26 22:03
:840SH
:xNQnfUXU
#238 [愛華]
「一人で納得すんなっつの!」
………なんか、もったいない。
そう思ったんだ。
あたしが知らない隆則の部分が
いっぱいありすぎて。
隆則に出会ってなかった時間が
もったいなかったなって。
そんなこと言えるわけないけど。
:11/01/26 22:16
:840SH
:xNQnfUXU
#239 [愛華]
「それよりさ、今看板で
ナントカ海岸って書いてたよ!」
「海岸?海ってことか?」
「行きたい!!海!!」
「海ぃ?行きてーの?」
「行きたい!行きたいっす!」
「わかったわかった」
隆則はあたしの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
:11/01/26 22:53
:840SH
:xNQnfUXU
#240 [愛華]
「………へへっ」
「なに笑ってんだよ」
「もー隆則だいすきー」
「……知ってるってば」
こんな穏やかな時間を
あとどれくらい過ごせる……?
考えようとしてやめた。
:11/01/26 22:58
:840SH
:xNQnfUXU
#241 [愛華]
………なに考えてんの。
今日はそんなことは
考えないって決めたじゃん。
窓の外に海が見えてきた。
太陽の光を反射して、
キラキラしてる。
…海ってこんな綺麗だったっけ。
:11/01/26 23:09
:840SH
:xNQnfUXU
#242 [愛華]
そんなことを考えながら
海を眺めていた。
でも1時間ほど走っても、
ナントカ海岸、なんて文字の
書かれた看板は見えない。
「ねー隆則ーなんか遠くない?
通りすぎたりとかしちゃった?」
「俺に言われてもなぁ………
すぐ横に海あんのにまだ先
なんかな?」
:11/01/27 23:04
:840SH
:DBi3AEWQ
#243 [愛華]
今さら引き返すのもなんか嫌。
途中でお昼を食べ、再出発。
海沿いに走るのも飽きてきた頃。
看板が見えた。
「…………あ、隆則!今看板に
『金城海岸100キロ』って!」
「100キロぉ!?遠っ!!」
:11/01/27 23:09
:840SH
:DBi3AEWQ
#244 [愛華]
「この際だから行こうよ!」
「………俺はいいけどさぁ」
隆則はふぅ、と息をついた。
「………疲れたの?運転」
「いや、別に?」
「かわったげよーか」
「ばーか」
:11/01/27 23:12
:840SH
:DBi3AEWQ
#245 [愛華]
あ、なんか………
隆則やっぱりオトナ。
あたしが子供になったの?
それとも隆則が大人になったの?
どっちにしても……
隣にいるのに遠い。
そんな気がした。
:11/01/30 18:54
:840SH
:JIvfWBzg
#246 [愛華]
そりゃあたしみたいな我が儘で
自己中な女の子と付き合えば、
誰だって大人になるのかも。
おまけに病気もち。
隆則の笑顔はまるで子供を
なだめるような感じだった。
……………気がする。
とか思っちゃうあたしが子供。
:11/01/30 18:58
:840SH
:JIvfWBzg
#247 [愛華]
「…………那佑ー?なした?
急に黙りこんで……」
「チョコで酔った………」
「え?コレお酒はいってた?」
「なんか味変だったもんー」
「てゆーかお前酒弱いの?」
「その前にあたし未成年」
「がーき。今どきみんな飲む
だろー。子供だなー」
………トドメをあんたが刺すか。
:11/01/30 19:06
:840SH
:JIvfWBzg
#248 [愛華]
なんなんだよー…
もやもやする。
なんでこんな日にこんなこと
考えちゃうんだろう?
なんかネガティブになってる…
今日は楽しくいたいのに。
:11/01/30 21:40
:840SH
:JIvfWBzg
#249 [愛華]
どれくらい時間が過ぎただろ。
なんとなく、さみしかった。
切なくて、もどかしくて。
隆則との距離。たった数十センチ
それがすごく遠く感じて。
:11/02/03 20:42
:840SH
:a8wAIOCc
#250 [愛華]
あたしは病気になってから、
弱くなったみたいだね。
強くなりたいけれど……
距離を感じる度にあなたが
足りなくなってしまう。
それは……わがままなのかな。
:11/02/03 20:44
:840SH
:a8wAIOCc
#251 [愛華]
たとえばあたしが隆則と
出会わなかったとして。
ひとりでこの日を迎えたとして。
あたしは、何を思っただろう?
隆則じゃない、誰かほかのひとを見つけられたの?
未来に絶望したりしてない?
:11/02/03 20:50
:840SH
:a8wAIOCc
#252 [愛華]
そんなことあるわけない。
今のあたしは隆則がつくって
くれたんだよ。
隆則がいなきゃ生きてゆけない。
隆則は側にいるけれどー……
それでも足りなくなるのは
あたしがおかしいのかな。
:11/02/03 21:01
:840SH
:a8wAIOCc
#253 [愛華]
'
「……………那佑ー起きろー」
「…………へぁ………ん……」
:11/02/03 21:07
:840SH
:a8wAIOCc
#254 [愛華]
「お前ねー寝てんなよ……」
「あたし………寝てた?」
いつの間にか寝てたらしい。
昨日寝なかったせいか………
てゆーかこんな日に昼寝って…
「あたし変な顔してなかった?」
「あーヨダレふいてやった」
:11/02/03 22:19
:840SH
:a8wAIOCc
#255 [愛華]
「うそばっかついて……」
「わはは。ほら。外見てみ」
あたしは窓の外に目をやった。
まだまどろむ目をこする。
「……………すご……」
それしか言葉が出なかった。
:11/02/03 22:22
:840SH
:a8wAIOCc
#256 [愛華]
最後に海を見たのは
確か6歳の時。
お父さんとお母さんと一緒に
海に入って遊んだ。
少し寒かったけど、嬉しくて。
楽しくて。
こんな幸せが続くって信じた。
幼かった、あの頃。
:11/02/03 22:29
:840SH
:a8wAIOCc
#257 [愛華]
「隆則!!早く早く!!」
「そんな急いで転ぶなよー」
隆則が呆れたように笑う。
あたしは波打際まで走った。
……冷たい。海の水って冷たい。
:11/02/03 22:32
:840SH
:a8wAIOCc
#258 [愛華]
夕陽が海に沈んでいた。
映画とかで見慣れた感じ。
でもその景色は言葉が出ない
くらいに綺麗で。
夕陽ってほんとに海に沈むんだ…
なんて馬鹿なこと考えた。
:11/02/03 22:34
:840SH
:a8wAIOCc
#259 [愛華]
「………隆則、ありがと」
「なにが?」
「連れて来てくれて。海見たの
10年ぶりくらいだから嬉しい」
「あー…俺もそんくらいかな…」
隆則はニッと笑った。
たまらなく、愛しいひと。
:11/02/03 22:38
:840SH
:a8wAIOCc
#260 [愛華]
「ひといねーなぁ」
「もう夕方だしねー……」
あたしたちは砂の上に座った。
長い時間車に乗っていたので、
砂がやわらかく感じた。
あたたかかった。
「………綺麗だ、ね」
「うん。ありがたいわ」
:11/02/03 22:44
:840SH
:a8wAIOCc
#261 [愛華]
「ありがたいってなに?」
「俺前までは景色とか見て
感動することとかないって
思ってたからさー…」
「なるほどー心が荒んでたのね」
「うるせーな!」
2人で声を上げて笑った。
笑い声は波の音に消えていった。
:11/02/03 22:51
:840SH
:a8wAIOCc
#262 [愛華]
幸せだな。あたし。
でも、もしもあたしが。
病気じゃなかったら?
今までにも何度も考えたっけ。
:11/02/03 22:54
:840SH
:a8wAIOCc
#263 [愛華]
もっと幸せになれたかも。
苦しむこともなかった。
それでもあたしは。
この病気のおかげで隆則に会えた
あぁ……………あたしは。
:11/02/03 22:55
:840SH
:a8wAIOCc
#264 [愛華]
「………………隆則」
「ん?」
「約束、絶対守ってね。」
『あたしがいなくなる時、
泣かないで。その時だけは……
…………絶対に』
:11/02/03 22:58
:840SH
:a8wAIOCc
#265 [愛華]
「絶対に絶対に守って。」
あたしはゆっくり隆則の目を
見つめる。
そして、手を握りしめる。
その目で、腕で。
いっぱいの幸せをあたしにくれた
:11/02/03 23:01
:840SH
:a8wAIOCc
#266 [愛華]
あたしはもうすぐいなくなる
かもしれないけれど。
もう、充分だよ。
一生ぶんの幸せをもらったよ。
だからお願い。
あたしが死んじゃう時は
「またね」って笑ってね。
:11/02/03 23:06
:840SH
:a8wAIOCc
#267 [愛華]
「………那佑、なした……?」
期待することはもうやめた。
『諦めない』なんて
きれいごとはもういい。
現実をただ一点に見つめる。
『あたしはいなくなる』
という事実。
:11/02/03 23:10
:840SH
:a8wAIOCc
#268 [愛華]
「………今日だけは。病気のこと忘れようって思った。
でも無理だった。
あたしはそんなとこまできてる。
隆則も、気づいてるでしょ?
あたしには時間がないの」
口に出すのが辛かった『事実』
:11/02/03 23:12
:840SH
:a8wAIOCc
#269 [愛華]
「なに………それ」
隆則の瞳には色がなかった。
悲しみも苦しみも。なにもない。
わかってるよ。
同じ気持ちなんだよ。
「ごめんね…………隆則」
:11/02/03 23:15
:840SH
:a8wAIOCc
#270 [愛華]
涙を流すことにも慣れた。
自分を受け入れなきゃ。
「………あたしはもうすぐ…」
次の言葉は出なかった。
:11/02/03 23:18
:840SH
:a8wAIOCc
#271 [愛華]
やわらかくてあたたかい
隆則のぬくもりが一瞬で
あたしを包み込んだ。
「…………なに弱ってんの?
んなもん誰がきめたんだよ?」
隆則はあたしを抱きしめたまま
うなるように声を出す。
:11/02/03 23:21
:840SH
:a8wAIOCc
#272 [愛華]
波の音が消えた。
「…………隆則…………」
「勝手なこと言ってんな。
お前後悔するぞ、絶対。
お前の寿命なんて誰がどこで
きめたんだよ?自分が生きたい
だけ生きれよ!」
まっすぐな、言葉。
:11/02/03 23:25
:840SH
:a8wAIOCc
#273 [愛華]
苦しいほどに、心にしみる。
じわじわ、広がってく。
「あたし、は…………隆則を
幸せにはできな……もしれない」
「俺はもう幸せだからいい。
お前の番だろーが今は。俺が
ちゃんと幸せにしてやるから」
:11/02/03 23:27
:840SH
:a8wAIOCc
#274 [愛華]
言葉になっていないのに、
ちゃんと聞き取ってくれる。
「ちゃんと泣け。なんで
頼らないんだよ?不安なら
いくらでも言ってやるから。
お前はいなくならない」
ほら。また。
あたしを期待させるんだね。
:11/02/03 23:30
:840SH
:a8wAIOCc
#275 [愛華]
なんの根拠もないくせに。
わたしはあなたの言葉に
期待を抱いてしまうの。
大切なものを見つけると
ひとは欲深くなる。
それを生きる力に変えるのは
あたしにとってはすごく
難しかったんだよ。
それでも、力になる。
:11/02/03 23:33
:840SH
:a8wAIOCc
#276 [愛華]
明日を生きる、あたしの。
「………苦しいよ………」
「うん」
「辛いんだよ…………」
「うん」
「どうしてあたしなの?」
「うん」
:11/02/03 23:35
:840SH
:a8wAIOCc
#277 [愛華]
隆則の手は、震えていたね。
いや、震えてたのはあたしかも。
「隆則…………やだよ……」
「うん」
「生きたい…………」
死にたくない、じゃなくて。
:11/02/03 23:42
:840SH
:a8wAIOCc
#278 [愛華]
生きたい。
それだけ。
神様なんか信じない。
願ったりしないよ。
ただ、思うだけだよ。
:11/02/03 23:44
:840SH
:a8wAIOCc
#279 [愛華]
「こわい………やだ………」
「…………ん。」
隆則は抱きしめる手に力を込める
「………俺もこえーや」
:11/02/03 23:45
:840SH
:a8wAIOCc
#280 [愛華]
神様なんか、信じないから。
心に思うだけ。
隆則の側で生きたいです。
叶うなんて期待は、しない。
絶対に、してやるもんか。
:11/02/03 23:48
:840SH
:a8wAIOCc
#281 [愛華]
辛かった。
苦しかった。
だから、生きたかった。
いつだって願ったことは
ただひとつ。
「ただ一人誰かの為に生きたい」
それが君なんだと信じた。
18歳の夏。
:11/02/03 23:52
:840SH
:a8wAIOCc
#282 [愛華]
今日の更新分
>>249-282久しぶりの大量更新なので
文章おかしいかもしれないです。すいません……
感想待っています。
:11/02/03 23:54
:840SH
:a8wAIOCc
#283 [愛華]
'
ずっとずっと夢見てた。
あたしは、女の子として。
普通の女の子として生きれるのか
:11/02/04 21:11
:840SH
:Hg7.qx02
#284 [愛華]
大切なひとを見つけて
キスをして
…………ひとつになって。
そんな幸せを手に入れられるのか
病気になってからも考えた。
:11/02/04 21:13
:840SH
:Hg7.qx02
#285 [愛華]
あたたかいあなたの腕の中で
あたしはそんな昔のことを
思い出していたんだよ。
今日あたしは。
あなたとひとつになれます。
:11/02/04 21:15
:840SH
:Hg7.qx02
#286 [愛華]
'
「…………ひっ……」
首に隆則の熱を感じた。
チクリとした痛み。
熱くて、でも優しい。
:11/02/04 21:31
:840SH
:Hg7.qx02
#287 [愛華]
「…………しるし」
隆則は優しく笑いながら言った。
ゆっくりベッドが沈んだ。
隆則に見下ろされてる……
なんか、変な感じ。
:11/02/04 21:36
:840SH
:Hg7.qx02
#288 [愛華]
震えてるのが自分でわかった。
「……………こわい?」
「大丈夫。へいき」
「無理してんなら………」
あたしは思い切り隆則を
抱きしめた。
「いいの」
:11/02/04 21:38
:840SH
:Hg7.qx02
#289 [愛華]
いいんだ。
隆則なら。
きっと、大丈夫だから。
そうでしょう?
「…………馬鹿」
:11/02/04 21:47
:840SH
:Hg7.qx02
#290 [愛華]
「馬鹿ってなにさ。隆則もだよ」
「俺が馬鹿?」
「…………隆則、熱い」
隆則はゆっくりキスしてくれた。
少しタバコのにおいがした。
それすらも安心する。
:11/02/04 21:50
:840SH
:Hg7.qx02
#291 [愛華]
「いんじゃん?馬鹿で」
「うん。そーだね」
あたしは
隆則の
隆則のすべてで
幸せになれるの。
:11/02/04 22:05
:840SH
:Hg7.qx02
#292 [愛華]
幸せだった。
きっと、こんな幸せな夜は
初めてだったよ。
隆則もそうだったのかな?
だと嬉しいな。
まるで宝物にさわるみたいに
不器用な手であたしに触れる。
愛しい手。
:11/02/04 22:25
:840SH
:Hg7.qx02
#293 [愛華]
暗い闇の中でいつも
あなたの声がしていた。
あたしの名前を呼んで
笑顔で手をふってくれる。
ずっと前から
こうなることは決まっていた。
そんな気がするの。
そう信じたいの。
:11/02/04 22:52
:840SH
:Hg7.qx02
#294 [愛華]
隆則。
大好きなんかじゃない。
愛してるよ。
ずっとずっと愛してるよ。
長くて、温かくて。
少しだけ切ないような。
幸せな夜が明けようとしていた。
:11/02/04 22:56
:840SH
:Hg7.qx02
#295 [愛華]
:11/02/04 22:59
:840SH
:Hg7.qx02
#296 [我輩は匿名である]
'
太陽は東から昇る。
そして西に沈む。
当たり前のような
神様がずっと昔に決めた決まり。
:11/02/05 22:39
:840SH
:qulkQi8.
#297 [我輩は匿名である]
きっと誰もが感じている。
そんなの当たり前だって。
でもあたしは違ったんだ。
太陽が昇って沈むまで
明日への恐怖に怯えていた。
光を見ることが怖かった。
なのに夜の闇にも怯えていた。
居場所がどこにもなかった。
:11/02/05 22:47
:840SH
:qulkQi8.
#298 [我輩は匿名である]
まぶしいのは嫌い。
自分がどんなに醜い心をしてるか
全て照らされてしまうから。
でも暗いのも嫌い。
自分がどこにいるかわかんなくて
闇にのまれそうになるから。
じゃああたしは、
どこに在ればいい?
:11/02/05 22:52
:840SH
:qulkQi8.
#299 [我輩は匿名である]
そんなあたしを連れ出してくれた
隆則。
自分の中のぜんぶが
あなたでうめつくされた。
:11/02/05 23:02
:840SH
:qulkQi8.
#300 [我輩は匿名である]
光がこんなに心地好いなんて
知らなかった。
夜がこんなに穏やかだったなんて知らなかった。
全部隆則が教えてくれた。
言葉にできないくらいに
温かくて、楽しくて。
つまりね。
幸せなの。
:11/02/05 23:08
:840SH
:qulkQi8.
#301 [我輩は匿名である]
'
あたしは大好きなぬくもりを
隣で感じながら目を覚ました。
いつもと違うにおいがした。
それが嬉しかった。
:11/02/05 23:16
:840SH
:qulkQi8.
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