その日が来る前に、3
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#301 [我輩は匿名である]
'
あたしは大好きなぬくもりを
隣で感じながら目を覚ました。
いつもと違うにおいがした。
それが嬉しかった。
:11/02/05 23:16
:840SH
:qulkQi8.
#302 [愛華]
名前なくてすみませんでした。
全部愛華が書いたものなので
疑問に思った方がいたら
申し訳ありませんでした。
更新します。
:11/02/06 12:19
:840SH
:KxCQl9Ns
#303 [愛華]
…………なんだろ?
横を見ると、そこには
目をつぶったままあたしの
頭をなでている隆則がいた。
だからあたたかかったんだ……
そうだ、あたし昨日………
:11/02/06 12:21
:840SH
:KxCQl9Ns
#304 [愛華]
昨日のことを思い出し、一人で
赤面する。体温が上がるのが
自分でもわかった。
………ひゃー……
なんか……すごい恥ずかしい…
「………なんだ、起きてたのか」
隆則がゆっくり目を開けた。
:11/02/06 12:24
:840SH
:KxCQl9Ns
#305 [愛華]
「あ…………おはよ、う……」
「うん。おはよ」
隆則はにっこり笑った。
すごく優しい笑顔。
その視線の先には………
「あ、あんま見ないで……」
あたしはシーツで自分の体を
ぐるぐる巻きにした。
:11/02/06 12:29
:840SH
:KxCQl9Ns
#306 [愛華]
は、恥ずかしい…………!!
「………え、今さら恥ずいの?
んなことしなくても昨日……」
「あーうるさいうるさい!」
「思い切り見ちゃっ……」
「お願いだからやめて!!」
一晩明けると恥ずかしさが
一気にこみあげてきた。
:11/02/06 12:32
:840SH
:KxCQl9Ns
#307 [愛華]
「ぷはっ……わかったよ」
「………もー……」
「叶わないなーほんと……」
隆則はあたしをぎゅうっと
抱きしめた。
「かわいすぎ」
「そ……そう言われましても…」
二人で迎える朝はまぶしくて。
:11/02/06 12:36
:840SH
:KxCQl9Ns
#308 [愛華]
「隆則、寝癖ついてる」
「ん、ほんと?」
あたしはシーツから手を出して
隆則の髪にちょいっと触れた。
あれ、今までこんなに近くで
隆則の顔を見たことあったっけ?
びっくりするくらい綺麗な顔
してるなー……
:11/02/06 12:39
:840SH
:KxCQl9Ns
#309 [愛華]
「……………へへっ」
「なーに笑ってんの」
「だって寝癖とか
かわいんだもん」
そう言うと隆則は少し顔を
しかめた。面白くなさそう。
「かわいいとか嬉しくない」
「えーほめてるのになぁ」
「んなこと言ってるとベッドから落としちまうぞ」
:11/02/06 12:44
:840SH
:KxCQl9Ns
#310 [愛華]
「ちょ、今動けないんだけど!」
「自分でぐるぐる巻きに
なったんだろ………馬鹿か」
あ、そうでした………。
枕もとの時計を見ると、
9時をまわっていた。
今日、また戻らなきゃ
いけないんだ…………。
:11/02/06 13:01
:840SH
:KxCQl9Ns
#311 [愛華]
変なの。
昨日まで不安でたまらなかった。
「生きたい」なんて隆則に
泣きついて。
隆則はなにも言わずに
ただ抱きしめてくれてたけど…
それだけで私の力になったよ。
:11/02/06 13:08
:840SH
:KxCQl9Ns
#312 [愛華]
大丈夫。
もう、怖くないよ。
「隆則」
「ん?」
「キスして」
:11/02/06 13:16
:840SH
:KxCQl9Ns
#313 [愛華]
隆則は一瞬びっくりした顔をして
あたしを真っ直ぐに見つめると
ゆっくり唇を重ねた。
今までできっと、
1番幸せなキス。
唇が離れると淋しさを感じた。
:11/02/06 13:19
:840SH
:KxCQl9Ns
#314 [愛華]
「…………足りないの?」
「…………」
あたしはその気持ちを悟られて
しまったようで………
それをごまかすようにもう一度
隆則にキスをした。
甘くて、ちょっと苦くて。
知らないうちに涙が流れた。
:11/02/06 13:23
:840SH
:KxCQl9Ns
#315 [愛華]
隆則はあたしの涙をぬぐい、
目にキスをしてくれた。
「………なんで泣いてるの」
「言ったら馬鹿にされる」
「しないよ。言ってみ?」
あたしは涙もろくなった。
でもね、またこんな風に
あなたの前で泣きたい。
「…………幸せすぎて………」
:11/02/06 13:28
:840SH
:KxCQl9Ns
#316 [愛華]
「……………なんだそりゃ…」
隆則はあたしのまぶたに唇を
つけたままつぶやいた。
くすぐったい。
「…俺も、今なら泣けっかも」
震える声でそう言った。
:11/02/06 13:33
:840SH
:KxCQl9Ns
#317 [愛華]
あなたもあの時幸せだったの?
そんなこと聞けなかったけれど
あの時のあたしは確かに。
全力で幸せだったの。
『幸せってなに?』
いつか直純くんは言っていた。
:11/02/06 13:35
:840SH
:KxCQl9Ns
#318 [愛華]
きっと一生わからない。
わからないから生きるの。
その日が来る前に、
頑張って幸せになろうって
あなたが隣にいるから思えるの。
この日々をいつか思い出して
:11/02/06 13:40
:840SH
:KxCQl9Ns
#319 [愛華]
そして笑いあうために。
神様。
もしいるのなら。
もう一度信じてみていいですか?
奇跡は存在するのだと。
願いは叶うのだと。
:11/02/06 13:43
:840SH
:KxCQl9Ns
#320 [愛華]
明日は決して見えないけれど。
それでも道しるべはあるの。
向こうで待っていてくれる人が
いるから………
あたしは胸張って進めるの。
信じることは簡単じゃない。
それでも強さになるから。
あなたはあの日
そう言いたかったのでしょうか。
:11/02/06 14:00
:840SH
:KxCQl9Ns
#321 [愛華]
長くなったので一旦きります。
>>302-321夜にまた更新します。
感想あれば、待っています!
:11/02/06 14:03
:840SH
:KxCQl9Ns
#322 [愛華]
-隆則side-
:11/02/06 20:08
:840SH
:KxCQl9Ns
#323 [愛華]
俺のすぐ側で
「苦しい」と言って泣いてくれた
強がってばかりだった君が
久しぶりに見せてくれた弱さ。
どうしようもないくらい嬉しくて
どうしようもないくらい愛しい。
:11/02/06 20:12
:840SH
:KxCQl9Ns
#324 [愛華]
那佑の体は驚くほど細くて。
そして、冷たかった。
今までどんなことをこの体で
感じてきたんだろう。
きっと俺じゃ一生かかっても
理解できない、そんな思い。
それでも分け合うことはできる。
:11/02/06 20:27
:840SH
:KxCQl9Ns
#325 [愛華]
震える手を握りしめた。
俺の全部が伝わるように。
こんな理不尽な運命を呪った
日もあったけれど
それでも今、ここで。
「幸せだ」と泣いている。
ひとって幸せな時も
涙出るんだ。
:11/02/06 20:57
:840SH
:KxCQl9Ns
#326 [愛華]
なんてことを泣きながら
笑っている那佑を見て思った。
絶対に、離さない。
絶対にずっと側にいる。
そう自分に誓った。
那佑の容態が急変したのは
それから4日後のことだった。
:11/02/06 21:04
:840SH
:KxCQl9Ns
#327 [愛華]
'
なん、だ、これ。
:11/02/07 21:09
:840SH
:I4D24sKM
#328 [愛華]
'
脳が、拒否する。
考えることを。
認めることを。
どうして、今なん、だよ。
:11/02/07 21:14
:840SH
:I4D24sKM
#329 [愛華]
那佑が病院に戻ってから
4日目の夜中。
午前2時半。
那佑の母さんから電話が入った。
何を言われたのかは覚えてない。
ただ、移動中に何回もタクシーの運転手にどなったのは
なんとなく覚えてる。
:11/02/07 21:19
:840SH
:I4D24sKM
#330 [愛華]
思い出していたのは今までの
那佑との思い出。
…………やめろよ。
浮かんでくるなよ……
こんなのまるで…………
那佑が死んじまうみたいじゃんか
:11/02/07 21:21
:840SH
:I4D24sKM
#331 [愛華]
震える手を必死で抑えながら、
エレベーターがあるのも忘れ
階段で病室まで走った。
何を考えていたか。
それも覚えてない。
ただ、那佑が助かりますように。
それだけを祈ってたと思う。
俺は今、裏庭にいる。
那佑との始まりの、あの木の下。
:11/02/07 21:27
:840SH
:I4D24sKM
#332 [愛華]
'
蒸し暑い、夜。
昼にはきれいな緑の葉も
夜には漆黒に塗り潰される。
:11/02/07 21:30
:840SH
:I4D24sKM
#333 [愛華]
「…………なにやってんだろ俺」
涙さえも出ない。
本当に一瞬の出来事だった。
頭に焼き付いて、消えない。
:11/02/07 21:47
:840SH
:I4D24sKM
#334 [愛華]
「……………タカ?」
消え入るような声。
心なしか震えてる。
「病室もどろう?とりあえずは
安定したっていうから……」
「………………」
「先生が………ご両親に話が
あるっていってたみたいでさ」
「………………」
:11/02/07 21:56
:840SH
:I4D24sKM
#335 [愛華]
暗くて見えないけれど、多分
泣きそうな顔してるんだろう。
いや、泣いてるかもしれない。
俺はゆっくりベンチに座った。
那佑とジュースで乾杯したっけ。
『赤と白が出会ったことに
かんぱーい!!』
:11/02/07 21:59
:840SH
:I4D24sKM
#336 [愛華]
「……那佑の、お母さんがね。
話ならタカにも一緒に聞いて
ほしいって言ってて…」
時刻は、午前4時。
「…………タカ」
「………………」
「なんか言ってよぉ………」
:11/02/07 22:04
:840SH
:I4D24sKM
#337 [愛華]
梓は、泣いていた。
静かに。
どうしてお前はそんなに
強いんだよ。
教えてくれよ。なぁ。
いつのまにか明るくなっていた。
:11/02/07 22:07
:840SH
:I4D24sKM
#338 [愛華]
「………那佑のとこ、行こ?」
「見れないよ」
たくさんの管に繋がれていた。
今にも消えそうな。
そんな呼吸をしていた那佑。
もう一度なんて見れない。
「話だって………聞けない」
余命?これからの治療法?
:11/02/07 22:25
:840SH
:I4D24sKM
#339 [愛華]
そんな話聞けない。
聞きたくない。
わかってた。
いつかこんな時が来るって。
でも、なんで今なんだよ?
俺は…………弱いから。
:11/02/07 22:43
:840SH
:I4D24sKM
#340 [愛華]
那佑の側にいたって。
どんなに祈ったって。
那佑を救う方法はわからない。
どうすればいいかわからない。
苦しみに、押し潰されそうだ。
:11/02/07 22:55
:840SH
:I4D24sKM
#341 [愛華]
「……………タカ………」
「梓。俺、どうすればいい?」
自分の弱さが嫌になる。
神様でも誰でもいい。
誰でもいいから。
那佑を連れていかないで。
:11/02/07 23:02
:840SH
:I4D24sKM
#342 [愛華]
「こんなとこでなにしてんの」
「…………え」
玄関から出てきたのは
那佑なんかなわけなくて。
ましてや神様なんかじゃなくて。
「直純……………」
「さっさと病室戻れよ。隆兄」
:11/02/07 23:06
:840SH
:I4D24sKM
#343 [愛華]
息をきらして、短パンにTシャツのままの直純。
よほど急いで来たんだろう。
「…………白石に会ったよ。
安定してるけど、いつまた急変
してもおかしくないんだって?
で、そんな時にあんたは
何やってんだよ?」
鋭くて、突き刺さるような言葉。
:11/02/07 23:11
:840SH
:I4D24sKM
#344 [愛華]
その通りだ。でも………
「………那佑の姿、見れない」
「見れなくても見ろよ。
最後かもしれねぇんだぞ」
「直純、あんたなに言って…」
「梓は黙ってろよ」
直純の言葉も。
するすると通り抜けてく。
心を強くえぐって。
:11/02/07 23:15
:840SH
:I4D24sKM
#345 [愛華]
「ぼろぼろな白石なんか
見たくないのかよ?」
「そんなんじゃねぇ」
「逃げてんだろ」
「てめぇ何言って………」
「現実見ねぇふりしてんなよ!」
見ない、フリ?
那佑を見ないふり………?
:11/02/07 23:18
:840SH
:I4D24sKM
#346 [愛華]
「どんなに隆兄が辛くてもな。
今、この瞬間に端っこで
苦しんでんのは誰だよ?
闘ってんのは誰だよ?」
闘ってるのは誰?
俺?だとしたら何と?
……………違う。
闘ってるのは…………
:11/02/07 23:21
:840SH
:I4D24sKM
#347 [愛華]
『生きたい』と言って泣いた。
今も苦しんでる那佑だ。
俺は拳をにぎりしめた。
涙がこぼれないように。
泣くな、泣くな。
:11/02/07 23:23
:840SH
:I4D24sKM
#348 [愛華]
「…………隆兄にしかできない
ことがあるだろ?」
「え…………」
直純はなんの迷いもないように
言い放った。
「白石に手術受けさせろ」
生きるか、死ぬか。
那佑が拒んだ手術。
:11/02/07 23:26
:840SH
:I4D24sKM
#349 [愛華]
「そんなの………」
「無理じゃないだろ?
もう死ぬか治るか、どっちか
しかないんだよ!
このまんま放置かよ?
そんなの白石がよくても
俺が許さねぇから」
那佑、わかってるお前?
お前の周りにはこんなにお前を
想ってくれてるやつがいるんだ。
:11/02/07 23:32
:840SH
:I4D24sKM
#350 [愛華]
「殴ってでも蹴り飛ばしてでも!白石に手術受けさせろよ!」
どうすればよかったかなんて
多分一生わからないけれど。
それでもこの過去を振り返って
後悔するのだけは嫌だ。
流した涙が無駄になるのは
もう嫌なんだ。
:11/02/07 23:35
:840SH
:I4D24sKM
#351 [愛華]
あふれる涙をぬぐった。
………大丈夫だ。
まだ、頑張れるだろ。
情けない顔してんな。
また君と笑いあうために。
一歩を踏み出す。
:11/02/07 23:43
:840SH
:I4D24sKM
#352 [愛華]
:11/02/07 23:45
:840SH
:I4D24sKM
#353 [愛華]
-那佑side-
:11/02/08 22:56
:840SH
:RObCb5To
#354 [愛華]
またあの夢なんだね。
隆則が泣いていて
あたしはどうすることもできず。
ただ、もがき苦しむ夢。
でも今度は夢じゃないの……?
:11/02/08 22:59
:840SH
:RObCb5To
#355 [愛華]
'
目が覚めると、前にも見た天井。
薬のツンとする大嫌いな臭い。
:11/02/08 23:01
:840SH
:RObCb5To
#356 [愛華]
しぶといね、あたしも…………
何回死にかけてんだか。
鼻に違和感があったので、
触ろうとしたけれど、
手に力が入らなかった。
………違う人の体みたい………
:11/02/08 23:08
:840SH
:RObCb5To
#357 [愛華]
まぶたがすごく重くて。
あたし、生きてんのか。
まだ生きてんのか。
確実に命は擦り減ってるけど。
まだこらえつづけてるんだ。
手にぎゅっと力をいれた。
:11/02/08 23:11
:840SH
:RObCb5To
#358 [愛華]
あたし、どうしたんだっけ……
あ、また発作おきたのか。
体の調子からいくと
けっこう危なかったっぽいな。
静まりかえった病室。
ここは天国なんかじゃないよね?
お願いだから、
誰か証明して……………。
:11/02/08 23:14
:840SH
:RObCb5To
#359 [愛華]
今度は右手に力を入れた。
……………あれ?
ゴツゴツしてて大きくて。
それでもいつもあたたかい。
間違えるわけない。
あの手を。
:11/02/08 23:18
:840SH
:RObCb5To
#360 [愛華]
私の右手を包んでるその手は。
「……………たか……の、り」
ツーッと一筋涙が流れた。
頬をつたい落ちたそれは
枕に小さなシミをつくった。
:11/02/08 23:22
:840SH
:RObCb5To
#361 [愛華]
会いたかった。
会いたかったんだよ。
ずっとずっと会いたかった。
隆則はあたしの右手を握りしめ、その手に頬を寄せるようにして眠っていた。
寝息が伝わってくる。
:11/02/08 23:24
:840SH
:RObCb5To
#362 [愛華]
「……………隆則?」
「………………」
「隆則…………」
「………………」
何回呼んでも起きない。
3回目に隆則を呼ぼうとした時。
「たか…………」
:11/02/08 23:27
:840SH
:RObCb5To
#363 [愛華]
「……………ん……」
「わっ…………」
隆則は何も言わずに、
ムクッと起き上がった。
目は空いているけれど、
焦点があっていない。
ただ、その手は痛いほどに
あたしの右手を握りしめていた。
:11/02/08 23:33
:840SH
:RObCb5To
#364 [愛華]
「隆則、手いたい………」
「え……………」
すごく久しぶりに言葉を
発した気がする。
そして………すごく久しぶりに
隆則を見たような気もする。
嬉しい。
:11/02/08 23:41
:840SH
:RObCb5To
#365 [愛華]
「え、え……………那佑?」
「そ、そうだよ………」
隆則はパッと手を離すと
両手であたしの頬を包んだ。
さっきまで焦点があっていなかった瞳が真っ直ぐ私に向かう。
「那佑?那佑だよな?」
:11/02/08 23:45
:840SH
:RObCb5To
#366 [愛華]
「だからそうだってば」
「そっか…………」
「うん。戻ってきたんだよ」
あたしが笑うと、隆則は
ホッとしたように手を離し、
今度はあたしの手を自分の頬に
持っていった。
隆則の頬はやっぱりあたたかくて
あたしは戻ってきたんだなって
実感させてくれた。
:11/02/08 23:50
:840SH
:RObCb5To
#367 [愛華]
「…………よかった。
もう、戻ってこねぇかと思っ…」
「ばか。あたしはそんな簡単に
くたばりませんよーだ」
隆則は優しく笑いながら、
あたしの手のひらにキスをした。
神様、覚えていますか?
:11/02/08 23:54
:840SH
:RObCb5To
#368 [愛華]
きっと毎日、何千何万という人があなたに願いを託すのだろう
けれど。
その中で私の願いは届いてる?
信じない、なんて言わない。
だって私はこうやってここに
戻ってこれたんだから。
だから贅沢をいうならば。
ずっとここにいたいです。
:11/02/08 23:59
:840SH
:RObCb5To
#369 [愛華]
それからは忙しかった。
お母さんとお父さんが泣いて。
検査を受けて。
そして、次にまたいつ発作が
起こるかわからないことを
告げられた。
なんとなくわかってたから、
何も言わなかった。
:11/02/09 00:05
:840SH
:GPZpAJBk
#370 [愛華]
何を感じることもなくて。
気がつくと、
目覚めてから5日たっていた。
『次』って……いつだろ?
そんなことばかり
考えていた気がする。
隆則は、そんなあたしを朝から晩まで一緒にいて支えてくれた。
:11/02/09 00:11
:840SH
:GPZpAJBk
#371 [愛華]
なんでもないように過ぎる時間
これからもこんな風に
あたしの残り時間は減っていく。
ここに戻ってこれたことが
すごくすごく嬉しいのに
未来が見えない不安に
あたしは限界を感じていた。
光が遠すぎて………見えない。
:11/02/09 00:17
:840SH
:GPZpAJBk
#372 [愛華]
隆則。
今考えてみてもさ。
あたしに希望を与えるのも
絶望を与えるのも
全部隆則だったんだよ。
それが、嬉しかったよ?
涼しくなりはじめた日
運命を決めたのもあなたでした。
:11/02/09 00:20
:840SH
:GPZpAJBk
#373 [愛華]
:11/02/09 00:22
:840SH
:GPZpAJBk
#374 [愛華]
-隆則side-
:11/02/09 22:37
:840SH
:GPZpAJBk
#375 [愛華]
那佑がまた戻ってきた。
嬉しかった。
もう会えないかも、って
眠る度に考えたから。
これはきっと、神様がくれた
最後のチャンス。
これが最後だから
俺のできることをしなさいって。
そう言ってる気がした。
:11/02/09 22:40
:840SH
:GPZpAJBk
#376 [愛華]
那佑。
お前が何考えてるのか
俺は知らないけど。
俺は俺ができる精一杯のこと。
それをやる。
俺のすべてを懸けて。
泣いてもいいから。
どうか最後まで聞いて。
:11/02/09 22:43
:840SH
:GPZpAJBk
#377 [愛華]
-那佑side-
:11/02/09 22:43
:840SH
:GPZpAJBk
#378 [愛華]
夏が終わりを告げていた。
目覚めてから1週間たちました。
自分が自分じゃなくなっていく
感覚。
何かを考えるのも
めんどくさくなっていた。
:11/02/09 22:46
:840SH
:GPZpAJBk
#379 [愛華]
このままでいい。
隆則が側にいて。
あたしの最期を見てくれるなら
それでいいよ。
それがあたしが望んでいた
最期なんだから。
未来を見透かすのはやめよう。
涙を流すことにも飽きたね。
:11/02/09 22:49
:840SH
:GPZpAJBk
#380 [愛華]
あたしはゆっくりと起き上がり
深呼吸した。
……………お風呂入りたい。
自分にもまだ人間らしい感情が
残っていたことを知り、
なんとなく嬉しい。
テーブルに置いてあるケータイがぴかぴか点滅していた。
:11/02/09 22:52
:840SH
:GPZpAJBk
#381 [愛華]
-新着メール3件-
『今日はテストがあったよ。
やばい。英語はできたよー。
なんか食べたいものある?
明日3時ごろに行くね』
梓からだ。
ケータイには梓がお守りだと
言ってあたしにくれた
小さなストラップが揺れてる。
『那佑が元気になりますよーに』
:11/02/09 22:56
:840SH
:GPZpAJBk
#382 [愛華]
そう書かれた紙が、お守りの中に入っていた。
すごく嬉しかった。
もう1件は直純くんから。
『学校疲れた(´ε`)
これありえなくね?明日、梓と
一緒に持っていくから』
下には真っ赤な色のカップが
写った写メ。
:11/02/09 23:03
:840SH
:GPZpAJBk
#383 [愛華]
『キムチプリン』と書かれていて唐辛子の絵が書いてある。
……直純くんらしいな。
すごく自然に笑顔がにじみ出た。
最後の1件。
『4時ごろ行く。寝るなよ?』
:11/02/09 23:09
:840SH
:GPZpAJBk
#384 [愛華]
たったそれだけの文章。
もう慣れたことなのに、
いつだって嬉しくなるの。
「あ、もう4時になる……」
もっと早くにメールに気づけば
よかった。
あたしはくしで長い髪をとかし
鏡で身嗜みを確認する。
:11/02/09 23:13
:840SH
:GPZpAJBk
#385 [愛華]
好きなひとの前ではやっぱり
かわいくいたいけれど。
今のあたしでは難しいね。
大分痩せたしなぁ………。
隆則はそんなこと気にしない
んだろう。でもやっぱり
女の子だから。
もうすぐいなくなるとしても
最後まで女の子だから。
隆則だけの女の子でいたいから。
:11/02/09 23:18
:840SH
:GPZpAJBk
#386 [愛華]
あたしはベッドで隆則が来るのをいつものように待っていた。
運命とはタイミング。
カチツと音をたてて。
一瞬で変わってゆく。
いいほうにも悪いほうにも
それは神様の気まぐれで。
きっとあの日の運命もあなたの
気まぐれで決まったのかな。
:11/02/09 23:23
:840SH
:GPZpAJBk
#387 [愛華]
今日の更新分
>>374-387感想待っています。
多分、今週末までに本編は
終わると思います。
超長編になってしまいましたが
応援してくださってる皆様、
改めて本当に感謝感謝です…
最後までよろしくお願いします!
:11/02/09 23:30
:840SH
:GPZpAJBk
#388 [愛華]
'
「うーっす。あ、起きてた!」
「隆則が寝るなって言ったん
じゃんかよーばか」
「ははは」
バイトから真っ直ぐきた感じで
額には汗がにじみでていた。
:11/02/11 10:02
:840SH
:zJ6xm7Y6
#389 [愛華]
変なの。
いつもどおりに隆則が来ただけ
なのに……………
なんだか懐かしい気がするのは
どうしてだろう?
「バイトから真っ直ぐ来たの?」
「そ。疲れたよー」
いつもと同じ、はずなのに……
:11/02/11 10:05
:840SH
:zJ6xm7Y6
#390 [愛華]
今日の空気はなにか違った。
なんだろ?
なんか嫌な予感がするよ………
微妙な空気の違いをあたしが
感じとったことに気づいたのか
隆則はいつもよりも多く、
あたしに笑いかけていた。
安心させようとしてくれてた
んだよね。きっと。
:11/02/11 10:09
:840SH
:zJ6xm7Y6
#391 [愛華]
世間話もほどほどに、
隆則が急にあたしに言った。
「具合どうだ?」
これも、いつもと同じセリフ。
なのに今日はいつもと重みが
全然違う気がした。
茶化しちゃいけない気がした。
:11/02/11 10:12
:840SH
:zJ6xm7Y6
#392 [愛華]
ベッドがぎしぎしときしむ。
その音が妙に耳に響く。
「絶好調ですよーだ」
「ほんとに?」
あ、今…………。
空気が冷える感覚。
:11/02/11 10:16
:840SH
:zJ6xm7Y6
#393 [愛華]
なに?なに?
こわい。こわいよ。
隆則は真っ直ぐにあたしを
見つめる。
強い決意のようなものが見える。
「今日は重大な話がありますっ」
:11/02/11 10:20
:840SH
:zJ6xm7Y6
#394 [愛華]
「重大な………はなし?」
あたしが聞き直すと、隆則は
またにっこり笑ってVサインを
出した。
「ふたつ。話があるから。
聞いてくれるか?」
聞きたくない。
でもそれは声にならなくて。
頭の中は嫌なことしか思い
浮かばなくて。
:11/02/11 10:26
:840SH
:zJ6xm7Y6
#395 [愛華]
「……………」
「那佑。俺を見て」
あたしも隆則がしてくれたように真っ直ぐと隆則を見つめる。
「…………いいよ」
「うん。ありがとな」
わしわしとあたしの頭をなでる。
:11/02/11 10:29
:840SH
:zJ6xm7Y6
#396 [愛華]
この手さえあれば。
なんでものりこえてゆける。
そんな気がするよ。
「じゃーひとつめの話」
「うん」
隆則は座っていた椅子から、
あたしのいるベッドに移った。
:11/02/11 10:33
:840SH
:zJ6xm7Y6
#397 [愛華]
空けていた窓から、夕方特有の
涼しくて少ししょっぱい風が
はいってくる。
優しくて、切なくて、でも
あたたかくて、さみしい。
「那佑、手術受けよう」
:11/02/11 10:37
:840SH
:zJ6xm7Y6
#398 [愛華]
'
手術?
頭が真っ白になった。
どうして、そんなこと………
:11/02/11 10:39
:840SH
:zJ6xm7Y6
#399 [愛華]
何度も堅く拒んだ。
絶対に嫌だったの。
手術室の中でひとりで死を
迎えるなんて絶対に。
隆則はそれを知ってるのに
今さらどうして……………?
どうしてそんなこと言うの?
:11/02/11 10:42
:840SH
:zJ6xm7Y6
#400 [愛華]
「……なに言ってんの?
するわけないじゃん手術なんか」
「今のまんまじゃダメだ」
「今のままでいいよ」
声が震える。
隆則はわかってくれてると
思ってた。
話ってそれなの……?
手術を受けろって話?
:11/02/11 14:16
:840SH
:zJ6xm7Y6
#401 [愛華]
「俺は、いやだよ」
隆則はゆっくり、あたしを
なだめるような口調で言った。
「隆則………あたしだって
自分がいなくなるのやだよ」
目を合わせられない。
悪いことをしてるような気分
になってしまう。
:11/02/11 14:21
:840SH
:zJ6xm7Y6
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