その日が来る前に、3
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#431 [愛華]
「あはは、ばっかだー」

「うるせ」


それを複雑そうな笑顔で見守る
那佑のご両親。

不安が伝わって来るようで
こっちまで緊張してくる。


那佑も口に出さないだけで
本当はそうなんだろうか。

不安じゃないわけないよな。

⏰:11/02/12 21:25 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#432 [愛華]
「………白石さん、そろそろ…」

「あ、はい」

「横になられていきますか?」

「………いえ、歩いていきます」


心臓がドクンと脈打った。

なんだよ、これ。

今さらこんな、………

那佑の瞳に迷いはないのに。

⏰:11/02/12 21:32 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#433 [愛華]
那佑はゆっくりベッドから、
点滴に気を遣いながら立ち上がる

その仕草がまた俺の不安を煽る。


「………よいしょっと」

「手、貸そうか?」

「んーん。一人で歩きたいの」


那佑は梓の言葉を断ると、
一人で歩きだした。

⏰:11/02/12 21:38 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#434 [愛華]
その歩く後ろ姿は凛としていて
本当に綺麗だった。



お前はいつからこんなに強く
なったんだろうか?


お前のために何度も泣いた俺は
強くなれたんだろうか?

今になってこんなことを思うのはやっぱり弱いのかもしれない。

それでもいい。

⏰:11/02/12 21:43 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#435 [愛華]
手術室の前まで来ると、那佑は
看護士の手を借りて横になった。



「………んじゃ、行くかぁ」

「那佑、待ってるからね」

「ありがとお母さん。お父さん」

「………頑張ってね」

「うん。頑張るよ、梓」

⏰:11/02/12 21:48 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#436 [愛華]
「が、んばっ……て」

「…言うならちゃんと言ってよ、直純くん………」



みんなに一言ずつ言い終えると、
那佑は俺のほうに向き直った。



………やばい、泣きそう。
でも那佑ですら泣いてないのに
泣くわけにはいかない。
かっこわるすぎる。

⏰:11/02/12 21:52 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#437 [愛華]
「………そんな顔すんな!!」

「わかってるよ」


強がってみたけど、上手く
言葉が出ないのがもどかしい。


いや、もう言葉はいらないんだ。



「待っててね、隆則」

「うん。待ってる。ずっと」

⏰:11/02/12 21:57 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#438 [愛華]
ずっと、待ってる。


ここで。




「隆則、手貸してくれる?」

「え?」

「これ、預かってて」


そう言って手渡されたのは
あの日渡した、指輪。

⏰:11/02/12 21:59 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#439 [愛華]
「戻ってきたらまたはめて
くれる?…………教会で!」

「…………わかった……」

「あ、最後にもうひとつ!」


那佑は思い出したように俺の
耳をぐいっと引っ張り、自分の
顔に近づけた。




「もしあたしがいなくなっても。隆則はこっち来ちゃダメだよ」

⏰:11/02/12 22:05 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#440 [愛華]
「……え…」

「生きるの。大事な人見つけてねんで幸せにしてあげんの!」


驚くほど小さくて、早口な。
きっと悩みに悩んで出した
那佑の言葉。


なんでこんなときまで、
後の俺の心配してんだよ?


馬鹿かよお前…………。

⏰:11/02/12 22:10 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


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