… 極 楽(18禁)愛 戯 …
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#167 [夢。*]
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龍は普通の家庭に育った。

毎週日曜には、大好きな手巻き寿司をたべて、大好きな父と母と一緒にテレビをみて笑った。

ある日その幸せが嵐が過ぎ去ったあとみたいに消えた。

「……?」

今週の日曜はお父さんがいない。 なんでだろう?

お母さんのエプロンを引っ張って、"お父さんどこにいるの?"と聞くと、お母さんは笑顔で答えた。

「パパはお仕事よ、龍ちゃん。」

そっかあ、お父さんは大変だあと笑った。

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⏰:11/02/25 08:31 📱:F02B 🆔:MWFxRXzI


#168 [夢。*]
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次の週もお父さんはいなかった。

「…またお父さん、お仕事なんだねえ…」

寂しそうに龍は言う。 お母さんと龍は食卓でまた巻きずしをたべる。 お母さんがつくるシーチキン手巻き寿司。

それが龍の大好物。

でも食卓のお父さんの席にお皿が伏せて置かれてるのをみるのは嫌いだった。

次の週も、その次もお父さんはいなかった。

何度も何度もお父さんまた忙しいんだね、とお母さんに話しかける龍。

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⏰:11/02/25 08:34 📱:F02B 🆔:MWFxRXzI


#169 [夢。*]
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「お父さんは今日も仕事よ。」

「…お仕事なの…」

「仕事だって言ってるでしょ…」

「いい加減にしなさい! 毎週お仕事なのよ!」

優しいお母さんが手巻き寿司に力をいれすぎてきれいに作れてない。

それでもシーチキン手巻き寿司は本当においしかった。

次の週の日曜は食卓には手巻き寿司はあったけど、お母さんもいなかった。

小さな手で海苔を手におくと慣れない手つきで、寿司米をおいて、スプーンにいっぱいのシーチキン。

はじめての自分でつくった手巻き寿司。

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⏰:11/02/25 08:37 📱:F02B 🆔:MWFxRXzI


#170 [夢。*]
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月曜に起きても、お母さんもお父さんもいなかった。

小さなアパートのどこを探しても、みつからなかった。

龍は外にでて廊下をウロウロする。 ちょっとドアの前で待つ。

遅いなあ。

日が暮れても帰ってこない。

食卓には日曜のための手巻き寿司。 海苔はパリパリしてて、寿司米もかたくなってた。

かちかちのシーチキン手巻き寿司をたべた。

全然おいしくなかった。

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⏰:11/02/25 08:40 📱:F02B 🆔:MWFxRXzI


#171 [夢。*]
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日曜になった。

食卓には先週の手巻き寿司があった。 ひとりで全部お米をたべた。

届かなかった冷蔵庫のドアもあけれるようになってた。

でも誉めてくれるひとはいない。

お父さんもお母さんもお仕事にいってるのかな?おかしいな?

─……

ドアがあいたときに僕は玄関前で寝てた。

それは次の次の日曜日のことだった。

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⏰:11/02/25 08:42 📱:F02B 🆔:MWFxRXzI


#172 [夢。*]
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知らないひとが僕の手をひいて、街中を歩いた。 その女の人の名前は"冴子"て名前が分かった。

凄くきれいなひと。

5歳の僕でも…しっかり覚えてる。

「龍ちゃん、今日は冴子おばちゃんがごちそうつくったげるからね!」

あれから僕は笑えなくなってた。

冴子おばちゃんが、オムライスをつくってくれても食べられなかった。

大好きだったハンバーグも食べれなかった。

「……食べ終わったらいなくなるの?」

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⏰:11/02/25 08:46 📱:F02B 🆔:MWFxRXzI


#173 [夢。*]
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冴子おばちゃんは僕をぎゅっと抱きしめて泣いた。 理由はよくわからないけれど。

冴子おばちゃんと言ってたけど彼女は僕が5歳のときに、18歳だった。

水商売のひとで、酔っぱらって帰っては泣いてた。 翌日には起きて僕にご飯をつくってくれた。

─…

冴子姉との生活がそれから10年経った。

「あっ……りゅっ……─」

俺の初体験は冴子姉だ。 俺が大人の男になってきてからは、彼女の完全なペットして育った。

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⏰:11/02/25 08:49 📱:F02B 🆔:MWFxRXzI


#174 [夢。*]
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今まで優しく育てられたことなんてセックスをしたら忘れた。 この女…俺とヤりたいために、俺に金っていう名前の首輪をつけてるんだと思うと、正直反吐がでた。

「…あたしとあんたのお父さん、できてたのよね~」

と酔っぱらった冴子は自白してきた。 お父さんに俺の養育費と冴子への迷惑料はあげるから、面倒みてやってくれと言われたらしい。

そうか、お父さんはこの女と体重ねてたわけか。

気色が悪い。

俺は冴子と同じように夜の町に繰り出すようになった。

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⏰:11/02/25 08:52 📱:F02B 🆔:MWFxRXzI


#175 [夢。*]
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15のときに初めてやったのはメンズバーのスタッフだった。

客層は20前後。

俺は15のくせに人よりも身長は高かったし、顔も大人っぽかったんだろう。 ずっと20で通してた。

そのときから自分の魅力に気づいてきた。

とある日…

「てかね~聞いてよお兄ちゃん~」

25歳くらいの女の人がベロベロになりながら愚痴ってる。

「あたしの旦那が水商売の女と浮気してんのよ~?だからあたしも、浮気仕返そうとおもって~」

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⏰:11/02/25 08:56 📱:F02B 🆔:MWFxRXzI


#176 [夢。*]
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…ああ、だから母さんもいなくなったんだと悟った。

しょうもない理由で。

それから俺は日曜が大嫌いだった。 絶対に日曜には仕事休みなんていれなかったし、家にテーブルなんて置かなかった。

次第に冴子の家に帰らずに、そのときに出会った年上の女の家に転がりこんで、すみつくようになった。

「……女って馬鹿な生き物だな。」

その3年後、俺はホストになった。

>>003-100
>>101-150
>>151-200

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⏰:11/02/25 08:59 📱:F02B 🆔:MWFxRXzI


#177 [夢。*]
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18歳の誕生日の翌日に面接に来た俺に、その当時主任だった楓さんはビックリしたと言ってた。

「……容姿からして問題はないけど…他店で働いてたってのは?」

「ないです。 15から、バーで働いてました。」

今現在もってる客の数、売り上げ等説明したら、その日から体験入店みたいになった。

今や代表である楓さんは、その頃上から5番目くらいの役職だったんだけど、下っ端の俺にすごくよくしてくれた。

そのおかげで周りの新人たちから嫌な噂とか喧嘩売られたり、営業のときにじゃましたりとかもあったけれど。

正直負ける気がしなかった。

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⏰:11/03/02 01:01 📱:F02B 🆔:CwmzywTk


#178 [夢。*]
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入店してから3か月で50人中10位になったときは誰からも文句を言われることはなかった。

客を定着させるために色もかけたし、もちろん枕だってした。 営業のためにキャバ飲みにいったし、風俗にも行った。

キャッチ1本あげられなくて寒さに凍え死にそうだったときもあった。

ホストは顔だけじゃ駄目なんだって気づいたのは半年経った頃。

「レオンは……あたしをどうしてそんな汚そうな目で見るの?」

と気狂った客に瓶で殴られたことだって、携帯を折られたことだってある。

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⏰:11/03/02 01:06 📱:F02B 🆔:CwmzywTk


#179 [夢。*]
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楓さんは不動のナンバー1だった。 勢いある俺がもがいても届けない位置にいた。

そんな俺の悔しそうな顔をみて、楓さんは笑った。

「…ここまでこれたら、1日だけお前の言うこと聞いてやるよ。」

と意地悪げに笑った。

もちろん文章の最後に、"そんなの到底無理だろうけどな"と付け加えて。

楓さんはかっこよくない。 イケメンじゃないし、お酒を飲み過ぎてお腹はたるんでるし、いつもセットしてこないし。

でも中身が詰まってるひとだってことは、馬鹿で子供な俺にでもすぐわかった。

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⏰:11/03/02 01:09 📱:F02B 🆔:CwmzywTk


#180 [夢。*]
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ナンバー10に入ってからは常連のように5位以降をウロウロしてた。 唯一うれしかったのは、ナンバーに入ってる残り9人は全員役職とチームリーダーばかりだった。

月初めにみる店の看板にでかでかと楓さんの詐欺パネルが貼ってある。

どれだけ尊敬して大好きな先輩でも、いつもライバルにしかおもえなかった。

そんなときに出会ったのが今でも繋げてるお客さんたち。

莫大な金を月にポンポンと、減ることも増えることもないけれど、……確実な"大きなお金"をもってきてくれるひとが、お客さんになった。

俺が毎日そのお姉さんたちにいってたのは、楓さんを越えたいから俺を育てて、だった。

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⏰:11/03/02 01:17 📱:F02B 🆔:CwmzywTk


#181 [夢。*]
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今思えば若さのゆえに…だ。 今更育ててくださいなんて、女にいえるはずがない。

「…龍咲レオン!」

社長がナンバー発表で【3】の数字を出したときに俺の源氏名を呼ばれて、ただただはしゃいだのを覚えてる。

そんときの本営の女と給料袋を眺めてうっとりしてた。 その女もそれをみてほんのり微笑む。 自分が払った金が俺のものになってるのに。

「レオン、あたしが頑張って絶対ナンバー1にさせてあげるから…」

ぎゅうっと抱きしめてそんなこと言う女に吐き気を覚えた。

"お前ひとりじゃ足りないんだよね"…とはさすがにいえなかった。

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⏰:11/03/02 01:22 📱:F02B 🆔:CwmzywTk


#182 [夢。*]
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ホストして1年記念日は俺のバースデー。 その1回目のバースデーは滑りに滑った誕生祭で、いまだに俺にとっては嫌な思い出だった。

営業をかけすぎて必死になってる俺に、いつもの常連客たちは冷たかった。

当日気合い入れたのに自分のお客さんは5人前後しかきてなかった。

また楓さんが俺を鼻で笑う…とおもったら、楓さんは俺を引っ張って裏方に連れ込まれる。

「お前いい加減にしろ!」

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⏰:11/03/02 01:28 📱:F02B 🆔:CwmzywTk


#183 [夢。*]
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「お前は俺を抜きたいんだろ?…なんでお前バースデーこけたか教えてやろうか?お前かっこいいくせに、いい男じゃねんだよ。 もっと自分磨けよ!!!!」

先輩から頂く最初で最後の一番いいアドバイスだった。 俺は何かを言い返そうと思ったけれど、あまりにも楓さんの言葉が、パズルが合ったようにぴったりで、俺は何もいえずその日は悔し泣きした気がする。

「…いい男かあ」

当時働いてて同期で仲良しだった優雅に俺はいろんなことを話した。 優雅は俺のヘルプとしてついてくれてることが多かった。

「…お前なら大丈夫だよ。 なに焦ってんだ?そんなすぐ楓さん抜けちゃったら、ホストやってる価値なくなるんじゃね?」

確かに。

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⏰:11/03/02 06:08 📱:F02B 🆔:CwmzywTk


#184 [夢。*]
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その日から優雅とふたりでプライベートでも色んな女の子と連絡して、仕事でもまめに行動するようになった。

冴子姉からまだたまに連絡がはいる。 今度ご飯でもいきましょうよ、とか…とってつけたような理由。 あの女が欲しいのは若い男の体。

ホストにきてる女の子のほうが比べものにならないくらい可愛らしく感じる。 好きになったホストのために、身をけずって仕事する。 そんな感じも悪くない。 純粋じゃないか。

ただ、腐った親父と、自分の息子を棄てた母親、それから童貞を奪った親父の浮気相手に育てられた自分がそのころ、【嫌い】で仕方がなかった。

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⏰:11/03/02 06:13 📱:F02B 🆔:CwmzywTk


#185 [夢。*]
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ナンバー1に上り詰めたのは、それから数ヶ月後のことだった。 確か夏の夜。 楓さんが衰えたわけではない。 ただ、俺自身《龍咲レオン》ていう役を完璧にこなせるようになった…それだけ。

色多め、枕はするとしても前戯まで。 絶対にキスとセックスはしない。 休みの日に客と遊ぶことも、同伴・アフターも徹底させたし、有名な風俗店には、週に1回は絶対足を運んだ。

常に新規客を求めて、リピに繋げて常連にする…そのルールを自分の中でちゃんときめた頃くらいから、極秘の【お客様ノート】をつくるようになった。

でも酒飲んで女を口説いて…莫大な金に溺れるだけの悲しい人生。

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⏰:11/03/02 06:19 📱:F02B 🆔:CwmzywTk


#186 [夢。*]
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感想板はこちら
>>002

あんか~
>>003-100
>>101-150
>>151-200

黒咲龍の過去
>>167-200

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⏰:11/03/02 06:22 📱:F02B 🆔:CwmzywTk


#187 [夢。*]
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……─

あったかい手。

自分に向けられる愛しい目とその優しい笑顔。

あったかすぎて俺には刺激的すぎるよ、凛。

「…ありがとう」

シーチキン手巻き寿司をまたぱくり、と食べるといつもの優しく微笑む龍に戻った。

あたしはただ膝のところに手を置いて彼にかける言葉もないままだった。

何もいう必要もないのかもしれないけれど…

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⏰:11/03/02 06:25 📱:F02B 🆔:CwmzywTk


#188 [夢。*]
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愛に飢えていた分をあたしで埋めてあげたい。 それを龍が望むなら、あたしは龍のために精一杯の愛を注ぎ込める。

本当は優しい人、柔らかい人なのに…周りの環境のせいで簡単にひとは変われてしまう。 よい風にも悪い風にも。

「龍?」

「凛も食べろよ☆美味しいってまじで♪」

少し目を赤くしたまま、いつも通り笑う龍は子供みたいだ。

あたしはただ、特別なんて望まないから、龍と【普通の幸せ】が欲しい。

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⏰:11/03/02 06:29 📱:F02B 🆔:CwmzywTk


#189 [夢。*]
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普通の幸せ。

誰でも簡単に手にいれれるはずなのに、人間は凄く欲張りだ。

少し幸せの感覚を覚えると、絶望なんてあれば死んでしまう気になれるし、少し幸せの感覚を覚えると、もっと刺激求めてしまう。

「ほんと……俺の記憶というか人生がお前と出会ってからだとうれしいのに…」

と、言いながら赤味噌を食べ終わると、ごちそうさまでした、と優しく微笑みかけてくる。

「消えてなくなったら、あたしが好きになった龍はいなかったかもしれないね…」

そう、過去があるから。 その過去がなかったらあたしが立ってる筋を龍は通らなかったかもしれない。

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⏰:11/03/03 07:10 📱:F02B 🆔:RVQf8DHY


#190 [夢。*]
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「確かにそうかもな…」

と少し難しそうに龍は笑って言った。

その日は色んな種類の手巻き寿司を食べて、いつもは腕枕を龍がしてくれるのだけど、なぜかあたしが龍の頭を胸にうずめて、ぎゅうっと抱きしめて眠りについた。

…たぶん、龍もだろうけど、ふたりとも色んな過去を思い出しただろう。

あたしは龍みたいな複雑な過去なんてないし、とっても普通だ。

でもただただ、龍を好きになってから、彼にどんなことがあってもこの関係を大切にしたいと思うようになった。

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⏰:11/03/04 06:08 📱:F02B 🆔:VKiV9NvQ


#191 [夢。*]
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─…

あたしの名前は、"花梨"なんかじゃない。 あたしをちゃんと蓮って…偽りじゃないあたしの名前を呼んで。

その声であたしの耳に吹き込んで、嘘でも好きだよと言って愛して?お願い、金のためなんてやめて…ただあたしを見て好きとだけ言って。

それであたしは貴方のために頑張れるから。 何人ものアレをくわえて、汚い金なのかもしれない…でもあたしの純粋な気持ちはそこにある…《あなたのため》。

「蓮、……」

あなたは一度も言ってくれない。 あたしが欲しい言葉を。

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⏰:11/03/07 04:08 📱:F02B 🆔:LyyTSzLE


#192 [夢。*]
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毎日彼のために店に足を運ぶよになった。 彼に会うために、店に来る。 決してお金を渡しにきてるわけじゃない…と思いたいし、そう信じたい。

頭の中でふたつの訳分からない理由が飛び交ってる。

「…蓮、もうやめよ。 俺はお前のものにはならないよ。」

切なそうに言うあたしの王子様。 あたしのことがそんなに不満?

「もっとお金持ってきたらいいの?いくら必要?」

あたしはソープに移動しようかと思ってた。 本番ありの職。 倍は稼げる。

ただ自分のためじゃなく彼のために。

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⏰:11/03/07 04:15 📱:F02B 🆔:LyyTSzLE


#193 [夢。*]
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「お金は要らないから…もうじゅうぶんだから。」

苦しそうに言う彼。

あたしの目から涙がでてくる。 お金が要らないイコールあたしたちの偽造された関係も無くなる…というのが必然になる。

やだ。

レオンはあたしのもの…

「頼むからもうやめよ。 俺はお前に嘘で好きとはいえないし、抱いてやれない。」

それだけ言うとすっと席をたって、それから彼があたしの隣に戻ってくることはなかった。

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⏰:11/03/07 04:18 📱:F02B 🆔:LyyTSzLE


#194 [夢。*]
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……俺はどうしたらいいんだろうか……

最近、蓮が自分にはまりだして、歯止めがきかなくなってきたことに龍は、戸惑ったし不安になった。

自分は凛との大切な時間を過ごしたいだけ。

でも凛の双子の妹である蓮に、俺は詐欺をしてる気分にもなった。 ふたりの関係を言わないだけで。

…どうすればいいだろう。

蓮のためにもこの悪魔みたいなホストを好きなるのはやめたほうがいい、と思う。

だから断るけど、蓮自身は俺から拒絶されるくらいなら、金を積むと言ってる。

それが俺と凛のお金になるのに…

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⏰:11/03/11 07:43 📱:F02B 🆔:lkHoi5DQ


#195 [夢。*]
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>>003-999

~~~~~~

地震の関係で
更新を自粛することだけ
ご報告しておきます…

被災地の皆さん
一緒に生きてみせましょう

被害にあわれてない皆さん
どうかどうか
災害に備えておいて
惨事にならないように
してくださいね

それではまた会える日まで…

~~~~~~

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⏰:11/03/18 22:21 📱:F02B 🆔:5kskFabc


#196 [夢。*]
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「最近おかしいよ?花蓮ちゃん?」

テンテンは心配して何度も【あたしの偽りの名前】を呼んだ。 体を揺すられて、やっと自分のことだと気づく。

「…あ、テンテン…」

元々細い体はさらに痩せた。

最近は朝イチから出勤してラストまでいることだってある。 気が狂うくらい仕事ばかりしてる気がする。

「……花蓮ちゃん今日は早めに切り上げてご飯いこっか。」

優しく肩を撫でるとテンテンは切なそうに微笑んだ。

あたしは何度も頭のなかでレオンのコトバを繰り返してる。

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⏰:11/03/23 22:53 📱:F02B 🆔:Ann/97qQ


#197 [夢。*]
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仕事が終わってテンテンが店じまいをしてるときには、あたしはじいっと携帯の画面をみつめたまま、何度もセンター問い合わせをしてる。

メールは届かない。

「…いこっか…」

テンテンはヴィトンの鞄を手に持つとあたしのやせ細った体を抱き寄せて外にでた。

「………」

前は明るくお喋りをしながらテンテンとご飯いってたのに。 今はなんかしゃべる気力もなくなってた。

「花蓮ちゃん何があったの?」

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⏰:11/03/23 23:07 📱:F02B 🆔:Ann/97qQ


#198 [夢。*]
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「…あたし実は、今ソープ行こうか悩んでるんです…」

はあ?とテンテンから冷たい声があがる。

「なんで?」

「今よりも稼ぎたいから…」

「何のために?」

《龍咲レオン》のために…なんていえるはずもなく、あたしはただテンテンからの厳しい目線から逃げるように目を反らした。

「………」

あたしは何も返せない。

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⏰:11/03/23 23:11 📱:F02B 🆔:Ann/97qQ


#199 [夢。*]
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「…っ」

突然あたしは包み込まれた。 テンテンはあたしの細い折れそうな体を抱き抱えて頭を優しく撫でてくれた。

忘れてた、この感触…

「俺が受け止めてあげるから…だから…もう風俗から足洗いな、ね?」

自分の店でも稼ぎ頭なあたしをリストラする店長なんて……あたしは思わず笑えてしまった。

「テンテンってめちゃくちゃだね、ほんと…」

くすくすと小さく笑う。

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⏰:11/03/25 06:44 📱:F02B 🆔:XE2LlTtE


#200 [夢。*]
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「俺が花蓮ちゃんのこと気にいってることくらいすぐ分かっただろ?…悪い女だよ、ほんと…」

相手にされないほど花蓮が気になっていく…そんなループにはまってしまった店長。 花蓮は計算高い女だけど、そこまでは思っていなかったので意外な展開だったりする。

またぎゅっと強く抱きしめて、テンテンのぬくもりを再確認する。

レオンはもっと筋肉質なのかな?
あのレオンの指輪が背中に当たるのかな?
レオンのあったかさは、これくらいなのかな?

「…花蓮……」

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⏰:11/03/25 22:55 📱:F02B 🆔:XE2LlTtE


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