大量生産の屑みたいな短編集
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#23 [ランチルームの怪奇(1)]
◆ランチルームの怪奇

「夜の学校って絶対怖いよな」

と、とある友人は言った。俺とその友人は怪談話が大好きだ。顔を合わせればこぞって仕入れた怪談話を披露していた。それだから日常会話もホラーだとかオカルト物ばかりだ。珍しいことじゃない。

「墓地なんか屁だよ。学校は本当にヤバい」と俺は言った。

「今夜学校に忍び込まないか? 夜の学校を体験しないとなんだか真のホラー好きにはなれない気がするんだ」と友人は真剣な顔つきで言った。

なんだよ、真のホラー好きって、と俺は思った。

⏰:11/02/01 23:11 📱:biblio 🆔:R.sy3Skc


#24 [ランチルームの怪奇(2)]
「なあ、今夜忍び込もう。な?」

俺は「わかった」と言った。わかったと言わなければ友人の気が収まらないだろう。友人は「よっしゃ! 待ってろ夜の学校!」っとニヤニヤしながら言った。

「なあ、二人じゃ心細い。頼りになりそうな奴呼ぼう」と俺は言った。友人は同意した。

そこで俺たちは体格の良い友人を誘った。そいつはマッチョと呼ばれている。筋肉トレーニングで中学生とは思えないたくましい筋肉を身に付けている。肩、腕、胸、腹、太もも、ふくらはぎ、とにかく全ての筋肉が一回り大きい。こいつがいれば心細いなんてことはない。

⏰:11/02/01 23:11 📱:biblio 🆔:R.sy3Skc


#25 [ランチルームの怪奇(3)]
しつこく誘っていると「わかった。参加するよ」とマッチョは嫌がりながらも言った。

これで決まりだ。今夜決行。胸が高鳴る。遠足前日のような高鳴りだ。おかげで授業の内容は全くと言っていいほど耳に入らなかった。

⏰:11/02/01 23:11 📱:biblio 🆔:R.sy3Skc


#26 [ランチルームの怪奇(4)]
俺たちは放課後、一階のランチルームと呼ばれている普段人の立ち寄らない部屋に入った。そして沢山の畳んだテーブルによって塞がれてしまった窓の鍵を外しておいた。

そして家に帰り、各自荷物を用意した。塩や酒と言った物を分担して持って来ることにしたのだ。俺たちはそれが幽霊に対して武器になると思っていた。

俺はビニール袋に塩を入れ、それを無理やりポケットに入れた。


十時ぴったりに、俺は学校の玄関前に到着した。誰も居なかった。玄関前の段差に腰をかけ、友人とマッチョを待つことにした。

⏰:11/02/01 23:12 📱:biblio 🆔:R.sy3Skc


#27 [ランチルームの怪奇(5)]
闇に包まれた学校は廃棄された建物ような暗い感じを思わせた。昼の明るい学校とは明らかに違う雰囲気を持つ不気味な学校。その玄関前で友人を待っていると経過する時間がとても遅く感じられた。

急に寒くなった。七月だと言うのに身体が冷えてきた。まずいな、と俺は思った。夜の学校が持つ不思議な魔力に飲み込まれつつあるんだ。俺は懐中電灯で腕時計を照らした。長い針は五分を指していた。あと五分経って誰も来なかったら帰ろう。

⏰:11/02/01 23:12 📱:biblio 🆔:R.sy3Skc


#28 [ランチルームの怪奇(6)]
何だか嫌な予感がする。夜の学校は俺を不安にさせた。ここから立ち去りたい。早く十分になれ、と思った。十分を待たずに帰ろうとも思った。

バイクがエンジン音を響かせながら学校の前を通り過ぎた。聞き慣れたバイクのエンジン音さえもなんだか不気味な悲鳴に聞こえた。

⏰:11/02/01 23:12 📱:biblio 🆔:R.sy3Skc


#29 [ランチルームの怪奇(7)]
八分になった所で校門に人影が見えた。それは校門を越えるとこちらに向かって走ってくる。

友人か? マッチョか?

近付くにつれ、人影がはっきりする。体格は普通。がっしりしていない。友人だ。とにかく俺は安心した。人が来たおかげで気が楽になった。

「遅かったじゃないか」と俺は言う。友人は「悪い。料理酒持ってくるのに手こずった」と大して悪びれる様子もなく言った。

「マッチョは来てないのか?」
「来てないみたい」
「今何時だ?」

俺は腕時計を懐中電灯で照らす。

「十時十分」
「じゃあ十五分まで待とう」

⏰:11/02/01 23:13 📱:biblio 🆔:R.sy3Skc


#30 [ランチルームの怪奇(8)]
また待つのか……。なんだか一時間くらい待ってた気がする。これならもっと遅くくればよかった。

結局十五分になってもマッチョは現れなかった。俺たちは仕方なくマッチョ抜きでランチルームまで歩いた。

「あいつビビったんだよ」と友人は言った。「マッチョなくせにビビったんだ」

「意外だよな。幽霊なんて怖くないような面してんのに。しかもマッチョなのに。マッチョが幽霊にビビるってライオンがきりんにやられるくらいショックだよな」と俺は言った。

なんだよ、マッチョのくせに。俺たちはマッチョに失望していた。その筋肉はお飾りかよ。

⏰:11/02/01 23:13 📱:biblio 🆔:R.sy3Skc


#31 [ランチルームの怪奇(9)]
ランチルームの窓は開いていた。開いている? おかしい。鍵は外した。しかし窓は開けていない。俺たちは顔を見合わせた。

「マッチョじゃね?」と友人は言った。「一人で侵入? 馬鹿かよ」と俺は言った。二人で苦笑する。

友人が先にランチルームに忍び込む。俺も後に続く。両手を窓枠にかけ、身体を持ち上げたら右足を窓枠にかける。そして身体の左半分をランチルームに入れる。侵入完了。

⏰:11/02/01 23:16 📱:biblio 🆔:R.sy3Skc


#32 [ランチルームの怪奇(10)]
ランチルームはなんだかじめじめしていた。空気が違う。それで暗かった。不気味な暗さだった。お互いの表情が見える程度の闇。時々部屋の隅や天井の何かが動いた気がした。俺は懐中電灯の光線を浴びせる。しかしなにもいない。気のせいだ。

「どうした?」と友人が不安げな顔をして言う。「いや、何でもない」と俺は答える。何でもない、何でもない。

俺たちはランチルームを出て、廊下を真っ直ぐ進んだ。非常口の緑の誘導灯の光が廊下を照らしている。二人の歩く音だけがする。俺たちは会話を交わさず、息を潜めながら進む。

⏰:11/02/01 23:16 📱:biblio 🆔:R.sy3Skc


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