大量生産の屑みたいな短編集
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#1 [我輩は匿名である]
屑みたいな短編集です。文才ありません。
□ 目次
■ のっぺらぼうの国
■ もし傘を貸さなかったら
■ 最低最悪のトンネル
■ ランチルームの怪奇
■ 新聞から始まった再会と別れ
■ 青汁
■ 香川人の野望
:11/02/01 22:41
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:R.sy3Skc
#2 [のっぺらぼうの国(1)]
◆のっぺらぼうの国
国民がのっぺらぼうになった国があった。すぐに調査チームが組まれ、派遣された。その国は一党独裁の国で将軍が調査チームの派遣を何度か断ったが、将軍の側近がのっぺらぼうになっていったものだから、将軍は怖くなって調査チームの派遣を受け入れた。私はその調査チームの一人だ。
まずのっぺらぼうについて調べた。のっぺらぼうになっても呼吸はできるし、視覚も生きていて言葉を喋ることもできる。口を開いて物を食べることもできる。
医療チームはのっぺらぼうの死体を解剖したが原因はわからなかった。生物兵器やウィルスではない。医療チームはお手上げだった。
:11/02/01 22:47
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#3 [のっぺらぼうの国(2)]
三日間のっぺらぼうの国に居てわかった事。のっぺらぼうになった者は心を失っていた。操り人形のように仕事をして、ご飯を食べて、そして寝る。無駄なことは言わなかったし、しなかった。
調査は難航した。言葉は喋れても手かがりは一切出てこない。
一週間調査をしたが、何もわからず調査チームは一旦のっぺらぼうの国から引き上げることになった。しかし私は無理を言って留まった。まだ調査が足りない。
結局調査チームは私を残して引き上げた。みんな怖くなったのだ。
:11/02/01 22:49
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#4 [のっぺらぼうの国(3)]
私は一人で自分流のやり方で調査することにした。
まずのっぺらぼうに日記を書いてるか訊いて回った。
のっぺらぼうは「書いてる」と素っ気なく言う。
「良かったら見せてくれませんか?」
「構わない」
そして私は集めた日記を読み進めた。
××月××日
畑が獣に荒らされていた。面倒だが対策を打った。これで効果がなかったらお手上げだ。兵士に獣の駆除依頼をするしかない。受けてくれるかわからないが……。
そういえば民主化運動のデモはどうなったのだろう? デモなんかでこの国に民主化が訪れるとは思わない。捕まって重労働の刑を受けるだけだ。嫌になるね、ほんと。
:11/02/01 22:50
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#5 [のっぺらぼうの国(4)]
××月××日
獣対策はうまくいった。これで畑は大丈夫だ。泥棒でも入らなければ良いんだけど。
民主化のデモは解散させられたらしい。リーダー格の……や、中心人物らは重労働に課せられたようだ。やはりな。分かりきってたことだ。なのになんでデモなんかするんだろう? 私には理解できない。
××月××日
変な噂を耳にした。のっぺらぼうが現れたらしい。それも沢山。馬鹿げた話だ。
××月××日
畑仕事をした。
:11/02/01 22:50
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#6 [のっぺらぼうの国(5)]
意外と民主化運動のデモは国民の関心を得ていた。そしてある日を境に(一日二日のズレはあるが)日記は心を亡くしていた。
私は調べ上げる内にあることに気が付いた。民主化運動に参加した者たちは揃って一日早くのっぺらぼうになっているのだ。
そして私はある仮説を組み立てた。
将軍の豪邸に赴く。兵士や側近は揃ってのっぺらぼうになっていた。
将軍はげっそりしていた。肉が落ちている。かつての威光は見られない。
「何かわかったかね? 解決方法は?」
「将軍、これから話す内容は一つの仮説です。将軍の気を悪くしてしまうかもしれません」
「解決方法がわかったのか?」
「仮説をお話しします」
私が強調して言うと将軍は黙った。私は言った。
:11/02/01 22:52
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#7 [のっぺらぼうの国(6)]
「将軍は何らかの手を使って人々から心を奪ったんじゃないですか?」
「何故私がそんなことをする」
「民主化のデモを鎮静化させるため、ではないですか?」
将軍は黙っていた。眉間にしわを寄せ、厳しい表情を作る。
「私はやってない」
「将軍、最近鏡を見ましたか?」
「見とらん。鏡は嫌いなんだ」
「将軍、のっぺらぼうになりかけてますよ」
将軍は自分の顔を両手で撫で回した。
「私がのっぺらぼう? 嘘だ! 嘘だ! おい出てこいのっぺらぼう! 私の顔を返せ! 心を返せ!」
将軍は何者かに怒鳴り散らした。将軍の目の先には誰かがいるようだ。将軍の言葉からすると、人々をのっぺらぼうにした者だろう。
「将軍、心の無い者と接すると心を失うんですよ。それがわかったでしょう」
:11/02/01 22:52
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#8 [もし傘を貸さなかったら(1)]
◆もし傘を貸さなかったら
馬鹿みたいに暑い。もわっとした厚い空気が息苦しさを助長する。スーツからは汗の嫌な匂いがする。
私は会社帰りで駅を出ようとしていた。するとバケツをひっくり返したような激しい雨が勢いよく地面を叩いた。強めのシャワーだ。自然が生み出したシャワー。
私は鞄から折りたたみ傘を取り出した。夏の必需品だ。夕立はいつも突然現れる。そして気が済むまで雨を降らす。しかし折りたたみ傘があれば問題ない。
私は周りを見た。思った程多くの人が傘を持っていた。
:11/02/01 22:56
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#9 [もし傘を貸さなかったら(2)]
そんな中、魅力的な女性が暗い表情を浮かべながら雨を眺めていた。時々雲の様子を見て雨が止むのを待っている。
魅力的……なにが魅力的なのかはわからない。鼻は低く、目は少し離れていた。美人と言われるような人じゃなかった。それでも私は魅力を感じた。暗い顔をしていて飛びっきり良い顔をしているというわけでもないのに。
僕は彼女に歩み寄った。そして意を決して話しかけた。
「良かったら使ってください」
そう言って傘を差し出す。彼女は驚き、そして戸惑いながら「いやいいですよ。すぐ止むと思うので。お気遣いありがとうございます」と言った。
:11/02/01 22:56
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#10 [もし傘を貸さなかったら(3)]
普段なら引き下がる。いや、話しかけたりもしない。でもなんだか今日は違った。私は話しかけなくてはならない。そして傘を貸さなくてはいけないんだ。
「安物なんですよ。遠慮なく使ってください」
私は傘を差し出す。面倒だと思ったのかわからないが、彼女は傘を受け取った。
「じゃあ使わせて頂きます」
「ありがとう」
ありがとう? なんだか馬鹿みたいだ。でも嬉しかった。彼女と話せて、そして傘を受け取って貰えて。彼女は笑った。
:11/02/01 22:57
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