大量生産の屑みたいな短編集
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#34 [ランチルームの怪奇(12)]
体育館の入り口は閉まっていた。大丈夫。扉に鍵は無い筈だ。うろ覚えだがたしか無かった。
「おいちょっと待て……」と友人が立ち止まり、声を潜めて言った。体育館まであともう少しの距離だ。
「なんだよ?」と俺が訊くと、友人は「しっ!」と言った。
ダン……、ダン……。
俺は耳を疑った。おいおい嘘だろ?
ダン……、ダン……。
バスケットボールを突く音だ! 間違いない。それは確かに聞こえた。友人がチラッとこっちを見る。
:11/02/01 23:17
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#35 [ランチルームの怪奇(13)]
「塩持って来たよな?」と友人が訊ねた。俺は「あるけど」と言い、ポケットから塩の入ったビニール袋を取り出した。友人はリュックサックから料理酒を取り出す。
「なんか襲ってきたら塩と酒をぶっかける」
「本当に効き目あんのかな?」
「なかったら困る」
そりゃあそうだ。困る。
ダン……、ダン……。
俺たちは体育館の扉にぴったり付く。
「開けるぞ?」と友人は言う。「ああ……」と俺は力なく言う。
友人は料理酒を構え、俺は手に塩を握る。友人が片手で重たい扉を音を立てながらスライドさせた。
:11/02/01 23:17
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#36 [ランチルームの怪奇(14)]
「うわ!」
俺たちは声を揃えて驚く。だって俺たちの前にはヘルメットを被り肩には銃をかけた兵隊らしき人の姿があったんだから。
俺たちは料理酒や塩をかけることを忘れ逃走を図った。
:11/02/01 23:17
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#37 [ランチルームの怪奇(15)]
叫びながら走る。そうでもしないと心臓が止まってしまいそうだった。廊下を右に曲がる。酸素ポンプがぶくぶくと音を鳴らす。
職員室の横を全速力で駆け抜ける。普段ならできないことだ。トイレの横を通過する。
俺は振り返ってみた。
兵隊は追ってきていた。それもえらいスピードで。
「追ってきてる! 逃げ切れない!」と俺は友人の背中に言った。友人は何も言わずひたすら足を動かす。
:11/02/01 23:18
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#38 [ランチルームの怪奇(16)]
ランチルームに入った所で俺は兵隊に捕まった。兵隊が俺の肩に触れた!
「うわああ!」
俺は叫びながら振り向いて塩を振りかけた。しかし兵隊は動じない。効果なんて全くない。
「落ち着くんだ。落ち着くんだよ」と兵隊は言った。落ち着いてなんていられなかった。俺は肩の手を払う。が、兵隊が俺の腕掴んで逃がしてくれない。
「何もしない! 呪ったりも殺したりもしない! 話がしたいだけなんだ!」
:11/02/01 23:18
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#39 [ランチルームの怪奇(17)]
俺は落ち着きを取り戻す。話がしたい? 幽霊が? その言葉でなんだか拍子抜けしてしまった。俺は座り込む。兵隊も座る。ランチルームに友人の姿はなかった。
「驚かせて悪かった。まさか夜の学校に人が来るなんて思わなかったんだ。それに自分の姿が見えるともね」
それから数十分兵隊と話をした。
:11/02/01 23:18
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#40 [ランチルームの怪奇(18)]
兵隊はこの学校に通っていたらしい。「と言っても改修されてしまってその面影はもうないけどね」
東南アジアで戦死したという兵隊に害はなかった。彼は短く言いたいことを言った。
俺は時計を見る。三十分過ぎだ。
「もう帰らないと」
「悪かった。また明日話せるかな? 昼にここで」
断る理由がない。兵隊は良い人だ。
「良いですよ」と俺は言った。「ありがとう。どうも淋しくてね」と兵隊は照れくさそうに笑いながら言った。
何て言っていいのかわからなかったので頷いておいた。
:11/02/01 23:20
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#41 [ランチルームの怪奇(19)]
「驚いただろ? 幽霊でもまともなんだ。呪ったりしない。見かけで判断しちゃいかんよ」
「そうですね。ごめんなさい」
「良いんだ。じゃあまた会おう。さよなら」
「さよなら」
俺はランチルームの窓から外の世界に戻った。少しばかり空気が違った気がした。振り返ると兵隊の姿はなかった。
翌日、友人は兵隊の話を言いふらして回った。しかし誰も信じてはくれなかった。当然だ。俺も兵隊を目撃しなかったら信じない。
:11/02/01 23:20
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#42 [ランチルームの怪奇(20)]
マッチョは俺たちに謝った。怖くなって来れなかったらしい。友人は「惜しいことをしたな」と自慢げに言った。お前もな。俺は幽霊(兵隊)と話をしたんだ。そして兵隊を思い出し、俺はマッチョに謝った。
昼休み。一人でランチルームを訪れた。ランチルームに昨日の夜のようなじめじめとした空気はない。
俺は兵隊が来るのを待った。しかしいくら待っても兵隊は現れなかった。やがて昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。きっと兵隊は人と話せて満足したんだ。成仏したんだ。俺はランチルームを後にした。
:11/02/01 23:20
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#43 [新聞から始まった再会と別れ(1)]
◆新聞から始まった再会と別れ
僕は新聞を読むのが好きだ。真剣に新聞を読むようになったのは大学を出てからだったと思う。それまではテレビ欄しか見なかった。
新聞はあらゆる情報を僕の脳に届けてくれる。政治や経済、世界情勢と言った堅い内容。文化的ニュース。スポーツの結果。映画の公開情報。旅行の広告。全国的ニュース。地元の出来事。(僕にとって)どうでもいい情報から興味を引く情報まで本当にさまざまな情報が詰まっている。
新聞に目を通すと朝の行事は終わる。そして朝食を済ませ仕事に向かうのだ。
:11/02/01 23:28
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