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#310 [愛華]
あたしはそっと花に触れた。


「……かわいいね」


天宮が隣にいるならきっと。
黙って微笑んでくれるのかな。


そんなことを考えていると、
あたしがさっき出てきたドアから話し声が聞こえてきた。



誰か、来た?

⏰:11/03/22 13:02 📱:840SH 🆔:1HSINVcg


#311 [愛華]
ガチャッ



「あははは、マジで?」

「そうそう………」


出てきたのは女の子3人。
見たこともない顔だ。

そのうちの一人と目が合う。



「………あれ、あんた……」

「こいつじゃん、羽田って」

⏰:11/03/22 13:05 📱:840SH 🆔:1HSINVcg


#312 [愛華]
「え………この女なの?」


舐めるようにあたしを見回す
3人の女子生徒。
その視線が気持ち悪い。


「あの………なにか?」

「あんたさぁ、羽田陽向でしょ」

「そうだけど……」

「不正転入したってほんと?」


体がドクンと脈打った。

⏰:11/03/22 20:26 📱:840SH 🆔:1HSINVcg


#313 [愛華]
この人たちは………噂を
信じているんだ。

わかってはいたけど目の前で
言われるとやっぱり辛い。



「……そんなの嘘だよ」

「とぼけないでよ。あんた
天宮校長の親戚なんでしょ?
あんたみたいなやつ、この
高校に入れるわけないじゃん」

「なに、それ………」

⏰:11/03/22 20:36 📱:840SH 🆔:1HSINVcg


#314 [愛華]
「努力もなしにこの高校にコネで入ったとか恥ずかしくないの?
笑えないんだけど」




この人たちは。


あたしの何を知ってるんだろう。



何も言えなかった。
全てが否定された気がした。

⏰:11/03/22 22:55 📱:840SH 🆔:1HSINVcg


#315 [愛華]
毎日ただ家の中で過ごす日々。
暴力に耐えながら必死で毎晩
勉強した。ただ、ひたすら。

それをいつか活かせるのか、
なんて見えない未来に怯えて。




そんなあたしの、
何を知ってるというんだろう。




「……………」

「なんとか言いなさいよ!」

⏰:11/03/22 22:58 📱:840SH 🆔:1HSINVcg


#316 [愛華]
ガリッ!



「………った……」

一人の女子があたしを突き飛ばす
突き飛ばされた拍子に、
爪があたしの首に刺さったようで血が飛び散った。


「………あ、やば……」


白いブラウスが赤く染まった。
……天宮に後で謝らなきゃ。

⏰:11/03/22 23:03 📱:840SH 🆔:1HSINVcg


#317 [愛華]
「……そろそろ行こうよ。
なんかちょっとまずいし…」


女子たちはパタパタとドアに
走ってゆく。


あたしはそれを見ることもなく
ただ手でぎゅっと首を抑える。


すると、ドアが開く音と共に
ついさっきまで頭に想い浮かべて
いた人の声がした。


「なにがまずいんですか?」

⏰:11/03/22 23:07 📱:840SH 🆔:1HSINVcg


#318 [愛華]





…………え。




「あ、ここにいたんですか」

「天宮……なんで……」


天宮はあたしの質問には答えずに
あたしから女子たちに視線を
移した。

⏰:11/03/22 23:10 📱:840SH 🆔:1HSINVcg


#319 [愛華]
「……あんたら、2組の女子
だよな。陽向さんに何か用?」

「いや、あの………」


天宮はもう一度あたしに視線を
移した。いつもの、微笑み。



「……陽向さん、教室に
戻ってて?俺もすぐ行くから」

「………わかっ……た」


あたしは首から手は離さずに、
ドアとは反対の方に走った。

⏰:11/03/22 23:14 📱:840SH 🆔:1HSINVcg


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