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#301 [愛華]
「……そういえば陽向さん。
松矢から噂のこと聞いたって
言いましたね。いつですか?」


ギク。
ここで松矢君とお昼ご飯
一緒に食べましたー なんて
言ったら………。


あたしは黙って俯く。


「……陽向さん?聞いてます?」


聞いてます。
答えられないだけです。

⏰:11/03/22 01:07 📱:840SH 🆔:1HSINVcg


#302 [愛華]
……っていうか。
どうして天宮はあたしと松矢君が親しくするのを嫌うのかな…


天宮は松矢君があまり
好きじゃないみたいだ。

松矢君はそんなに悪そうな人には見えないけどなぁ……。


「……あ、のね」

「はい」

「お昼ご飯一緒に食べて……
その時に聞いたの」

「…………へぇ…」

⏰:11/03/22 01:11 📱:840SH 🆔:1HSINVcg


#303 [愛華]
……まずい、20点に下がった。

天宮の周りの空気が冷たい。
それに気づいたのか、隣で
談笑していた要君と皐月ちゃんの動きもピタリと止まる。



「……で、でもね。
天宮は松矢君のことあまり
好きじゃないみたいだけど。
あの人、あまり悪い人じゃない
みたいだよ。多分……」


あたしは焦ったように弁解する。

⏰:11/03/22 01:15 📱:840SH 🆔:1HSINVcg


#304 [愛華]
「……多分、でしょう?
いいやつだっていう確信はない」

冷たい、天宮の言葉。



たまに天宮は冷たい。
いつもは優しいけど……

あれも本当の天宮なの?


「……あたし……は。
天宮の嫌いな人とは仲良く
しちゃダメなの………?」

⏰:11/03/22 01:18 📱:840SH 🆔:1HSINVcg


#305 [愛華]
「…………」

「天宮が心配してくれるのは
わかるよ。別に嫌じゃない。
でも、どんな人と関わっていくかは自分で決めたいよ……」


ただ、真っ直ぐに天宮を見つめる


あたし今どんな顔してるかな……
きっとすごく不細工だ。


心配してくれてる天宮に
こんなこと言うのは……
きっと恩知らずなこと。

⏰:11/03/22 12:36 📱:840SH 🆔:1HSINVcg


#306 [愛華]
先に目をそらしたのは天宮。



まるで、「もういい」って
言ってるみたいで。


見捨てられたような気になった。




お母さんが出ていった時と
似てる。 この感覚。

⏰:11/03/22 12:40 📱:840SH 🆔:1HSINVcg


#307 [愛華]
「……ごめん、ちょっと
今日は先に帰るね……」

「え、陽向……HRは…」

「上手く言っておいて」




あたしはカバンも持たずに
教室を出た。


天宮の顔は見なかった。
見たくなかった。


あたしは……天宮の考えてること
全然わかんないよ。

⏰:11/03/22 12:45 📱:840SH 🆔:1HSINVcg


#308 [愛華]
心配はしてくれるのに
『家族』にはなりきれない。

いっぱい感謝してるのに
たまにどうしようもなく冷たい。



天宮にとってあたしは何?
家族じゃないなら………






「…………あれ」

⏰:11/03/22 12:48 📱:840SH 🆔:1HSINVcg


#309 [愛華]
フワッと香る甘い香り。
天宮の………香り。

なんだろ、この香り。

香りにつられて普段使わない
階段の横のドアから外に出ると
そこはまだ来たことのない裏庭。


色とりどりの花が咲いている。
……このにおいだったんだ。


誰かが手入れしてるみたいで
花は全部元気に風に揺れてる。

………綺麗だなぁ。

⏰:11/03/22 12:59 📱:840SH 🆔:1HSINVcg


#310 [愛華]
あたしはそっと花に触れた。


「……かわいいね」


天宮が隣にいるならきっと。
黙って微笑んでくれるのかな。


そんなことを考えていると、
あたしがさっき出てきたドアから話し声が聞こえてきた。



誰か、来た?

⏰:11/03/22 13:02 📱:840SH 🆔:1HSINVcg


#311 [愛華]
ガチャッ



「あははは、マジで?」

「そうそう………」


出てきたのは女の子3人。
見たこともない顔だ。

そのうちの一人と目が合う。



「………あれ、あんた……」

「こいつじゃん、羽田って」

⏰:11/03/22 13:05 📱:840SH 🆔:1HSINVcg


#312 [愛華]
「え………この女なの?」


舐めるようにあたしを見回す
3人の女子生徒。
その視線が気持ち悪い。


「あの………なにか?」

「あんたさぁ、羽田陽向でしょ」

「そうだけど……」

「不正転入したってほんと?」


体がドクンと脈打った。

⏰:11/03/22 20:26 📱:840SH 🆔:1HSINVcg


#313 [愛華]
この人たちは………噂を
信じているんだ。

わかってはいたけど目の前で
言われるとやっぱり辛い。



「……そんなの嘘だよ」

「とぼけないでよ。あんた
天宮校長の親戚なんでしょ?
あんたみたいなやつ、この
高校に入れるわけないじゃん」

「なに、それ………」

⏰:11/03/22 20:36 📱:840SH 🆔:1HSINVcg


#314 [愛華]
「努力もなしにこの高校にコネで入ったとか恥ずかしくないの?
笑えないんだけど」




この人たちは。


あたしの何を知ってるんだろう。



何も言えなかった。
全てが否定された気がした。

⏰:11/03/22 22:55 📱:840SH 🆔:1HSINVcg


#315 [愛華]
毎日ただ家の中で過ごす日々。
暴力に耐えながら必死で毎晩
勉強した。ただ、ひたすら。

それをいつか活かせるのか、
なんて見えない未来に怯えて。




そんなあたしの、
何を知ってるというんだろう。




「……………」

「なんとか言いなさいよ!」

⏰:11/03/22 22:58 📱:840SH 🆔:1HSINVcg


#316 [愛華]
ガリッ!



「………った……」

一人の女子があたしを突き飛ばす
突き飛ばされた拍子に、
爪があたしの首に刺さったようで血が飛び散った。


「………あ、やば……」


白いブラウスが赤く染まった。
……天宮に後で謝らなきゃ。

⏰:11/03/22 23:03 📱:840SH 🆔:1HSINVcg


#317 [愛華]
「……そろそろ行こうよ。
なんかちょっとまずいし…」


女子たちはパタパタとドアに
走ってゆく。


あたしはそれを見ることもなく
ただ手でぎゅっと首を抑える。


すると、ドアが開く音と共に
ついさっきまで頭に想い浮かべて
いた人の声がした。


「なにがまずいんですか?」

⏰:11/03/22 23:07 📱:840SH 🆔:1HSINVcg


#318 [愛華]





…………え。




「あ、ここにいたんですか」

「天宮……なんで……」


天宮はあたしの質問には答えずに
あたしから女子たちに視線を
移した。

⏰:11/03/22 23:10 📱:840SH 🆔:1HSINVcg


#319 [愛華]
「……あんたら、2組の女子
だよな。陽向さんに何か用?」

「いや、あの………」


天宮はもう一度あたしに視線を
移した。いつもの、微笑み。



「……陽向さん、教室に
戻ってて?俺もすぐ行くから」

「………わかっ……た」


あたしは首から手は離さずに、
ドアとは反対の方に走った。

⏰:11/03/22 23:14 📱:840SH 🆔:1HSINVcg


#320 [愛華]
どうして、来たんだろう……。
首のケガ見えてしまったかも
しれない。


さっきいつもの微笑みの後に
一瞬見えた冷たい目。


あれは天宮が怒っている証拠。


さっき教室で言ったことを
怒ってるのかもしれない。
というかそれしか考えられない。


目が熱くなってきた気がした。

⏰:11/03/22 23:18 📱:840SH 🆔:1HSINVcg


#321 [愛華]










俺はふーっと長い息をはく。


怒りを吐き出すように。
心を、落ち着けるように。


「……で?陽向さんになんの用」

⏰:11/03/22 23:20 📱:840SH 🆔:1HSINVcg


#322 [愛華]
「……噂が、本当かどうか
確かめようかと思って……」

「陽向さんの首やったのも
あんたたちか?」

「わざとじゃなくて………」



俺は頭をかいた。
まさかこんなに早く
事態が動くとは………。


「結論から言うと噂は嘘だ。
陽向さんはちゃんと転入テストを受けて円に入った。」

⏰:11/03/22 23:24 📱:840SH 🆔:1HSINVcg


#323 [愛華]
女子たちはもじもじとして
早くここを立ち去りたい、
というバツの悪そうな顔を
している。


「……他に聞きたいことは?」


俺がそう聞くと、女子たちは
顔を見合わせ首を横にふる。


「……陽向さんに、変なこと
しないようにね。もしまた
ケガさせたりしたら何するか
わかんないよ」

⏰:11/03/22 23:29 📱:840SH 🆔:1HSINVcg


#324 [愛華]
「え……羽田さんが?」

「いや俺が。」



女子たちは一瞬だけ固まって
引きつった笑顔を浮かべると
一目散にドアに駆け出した。



…俺そんなに怖い顔してたかな。
まぁいっか。あれぐらいで。


教室に行こうと足を進めると
さっきまで気がつかなかった
花の香りが鼻をかすめた。

⏰:11/03/22 23:34 📱:840SH 🆔:1HSINVcg


#325 [愛華]










あたし、何やってんだろ。

頭の中がガンガンする。



「お前は何もしなくていい。
俺の言うことだけ聞いてろ」

⏰:11/03/23 22:05 📱:840SH 🆔:gWV8zvo6


#326 [愛華]
ごめんなさい。
ごめんなさい。



「あんたみたいなやつが
この高校に入れるわけない」



ごめんなさい。
ごめんなさい。




誰もあたしを見てくれない。
あたしを……信じてくれない。

⏰:11/03/23 22:08 📱:840SH 🆔:gWV8zvo6


#327 [愛華]
「陽向さんっ!」


体がビクンと跳ねる。
慌てて手で涙をぬぐった。



「教室にいてって言ったでしょう何で屋上にいるんですか」

「………ごめんなさい」

「泣いてたんですか…?」

「ごめんなさい」

「陽向さん………」

「ごめんなさい」

⏰:11/03/23 22:12 📱:840SH 🆔:gWV8zvo6


#328 [愛華]
沈黙が流れる。


どうすればいいかわからなくて
俯いていると、ふわっと
甘い花の香りがした。

あれ……。


顔を上げると、いつのまにか
すぐ目の前に天宮がいた。



「………な…に……」

「……………」

⏰:11/03/23 22:15 📱:840SH 🆔:gWV8zvo6


#329 [愛華]
天宮はあたしの肩に手を添えて
顔をあたしの首に近づけた。

そして…………




ぺろっ





「んぎゃああああ!!」


ななななな!!
なにしてんのこいつ!!!

⏰:11/03/23 22:18 📱:840SH 🆔:gWV8zvo6


#330 [愛華]
「き、き、傷なめ………」

「血出てたし痛そうだったので。消毒ですよ、消毒」


天宮はいたって真面目に
そう言ってあたしを見つめる。

心臓がバクバクする。

「お前は犬か!!」

「まぁ犬でもなんでもいいけど。とりあえずこっち向け」

「………!」

⏰:11/03/23 22:25 📱:840SH 🆔:gWV8zvo6


#331 [愛華]
また体が強く脈打つ。


あたしは天宮の言葉に従って
背けていた体を天宮に向ける。


いきなり敬語じゃなくなるし。
………調子狂うよ……。


一度速まった鼓動は簡単には
収まらず、体温を上げてゆく。



……なんだろ、これ……。
熱あんのかな私………。

⏰:11/03/23 22:29 📱:840SH 🆔:gWV8zvo6


#332 [愛華]
天宮はあたしの傷を見たあと、
抱きしめる形であたしの首に
顔を埋めた。


傷は天宮の唇の熱を感じて疼く。



「………天……宮…」

「すいませんでした。
側にいれなくて……」


天宮の抱きしめる手に力が入る。


あたしはこの温もりが
ほしかったんだと気づかされた。

⏰:11/03/23 22:34 📱:840SH 🆔:gWV8zvo6


#333 [愛華]
「……あたし、最近すごい
不安だったんだよ……」


知らないうちに涙が流れる。
それは留まることを知らずに
天宮の制服をぬらしてゆく。


「学校にも慣れてきて……
ちょっとずつ人とも話せるようになってきたのに。
天宮はずっと不機嫌だし……」

「…………」

「天宮と一緒に喜びたかった
のに………寂しかったよ」

⏰:11/03/23 22:42 📱:840SH 🆔:gWV8zvo6


#334 [愛華]
天宮の背中に手をまわして
その存在を確かめるように
抱きしめる。


「陽向さん……ごめんね」

「ううん。天宮が嫌なら……
あたし松矢君とは話さないよ。」

「え……」

「あたしにとっては。
松矢君より天宮が大事だから」


あたしがそう言うと、
天宮は少し何かを考えてから
体を引き離した。

⏰:11/03/23 22:50 📱:840SH 🆔:gWV8zvo6


#335 [愛華]
それが少しさみしかった。


「……松矢と普通に話しても
大丈夫ですよ」

「天宮もう怒らない?」

「はい。」


あたしが微笑むと
天宮もゆっくり微笑んでくれた。


「あ……あともうひとつ
聞きたいことがあるの」

⏰:11/03/23 22:54 📱:840SH 🆔:gWV8zvo6


#336 [愛華]
「なんですか?」

「その………あたしはもう。
天宮の家族になれたのか、な?」



確かめたかったこと。
天宮を信頼しはじめて。
家族になりたいと願った。

大事にしてくれてるのは
充分わかっているけれど
やっぱり不安でたまらなくて。


天宮にとって……あたしは何?

⏰:11/03/23 22:57 📱:840SH 🆔:gWV8zvo6


#337 [愛華]
「………家族になるには、
血の繋がりが必要です。でも
そんなものがなくたって……

俺にとって陽向さんは
ただひとりの大切な人です」

「…………!!」


「今までどんなに陽向さんが
辛かったのか、頑張ってきたか。

自惚れかもしれませんが
俺が1番わかっているつもりです

……だから泣くのは俺の前で
だけにしてくださいね」

⏰:11/03/23 23:01 📱:840SH 🆔:gWV8zvo6


#338 [愛華]
胸のくもりが晴れてゆく。
あたしのことをちゃんと、
わかってくれる人がいる。


なんて心強い、そして安心する。



お母さんに向かう気持ちとは
ちょっとだけ違う。

優しくて、心地好くて、
ちょっとだけ切なくなったり
胸が苦しくなるこの気持ち。


なんて名前の気持ちなのかな。

⏰:11/03/23 23:06 📱:840SH 🆔:gWV8zvo6


#339 [愛華]
ふと上を見ると、太陽は西に
傾き空を赤く染めていた。


「……さ、帰りましょうか。
陽向さんの傷の手当しなきゃ」

「お願いします……。
あ、そういえばさっき女子たちと何話してたの?」

「あーちょっと怒りました。
多分噂もじきに消えますよ!」

「よかったぁ……」


あたしがホッとしていると
天宮がにっこり笑いながら
あたしの頭をなでる。

⏰:11/03/23 23:14 📱:840SH 🆔:gWV8zvo6


#340 [愛華]
あ……今気づいた。


天宮の甘いにおいって
あの裏庭の花のにおいだ。


鞄を取りに行ってくる、と
言い残して教室に戻った天宮。

さっきまで天宮がいた場所は
やっぱり甘い香りがした。

……裏庭に通おうかな。


ってあたし変態みたいだ……。

ひとりで自己嫌悪している間も天宮の甘い香りは消えなかった。

⏰:11/03/23 23:24 📱:840SH 🆔:gWV8zvo6


#341 [愛華]








教室で鞄をとって陽向さんを
迎えに行こうとした時。

階段にあまり今会いたくない
人物を見つけた。


「………松矢……」

「あれ、天宮まだ居たんだ」

⏰:11/03/23 23:26 📱:840SH 🆔:gWV8zvo6


#342 [愛華]
そう言ってニッと笑う松矢は
男の俺から見ても男前。


「……誰か待ってるのか?」

「んー別に。」

「そっか。じゃあな」

それだけ言って松矢を通り過ぎ
階段を降りはじめると、
上からまるで図ったような
松矢の言葉が聞こえた。


「……陽向ちゃんには俺のが
合ってると思うけど」

⏰:11/03/23 23:31 📱:840SH 🆔:gWV8zvo6


#343 [愛華]
その言葉にピタリと階段を
降りる自分の足が止まる。


「………は?」

「予想以上に面白いんだよね。
陽向ちゃんにかまうのって。」

「松矢に陽向さんは無理だ」

「それはどうだろ?」


ピリピリと空気が震える。
相変わらず微笑んだままの
松矢は何を考えてるのか
全くわからない。

⏰:11/03/23 23:35 📱:840SH 🆔:gWV8zvo6


#344 [愛華]
「………それにさ。スタートの
差ってデカいと思うよ」

「スタートの差……?」

「うん。
『家族』からのスタートと
『他人』からのスタート。


どっちが有利かなぁ」


松矢はその言葉を残すと
笑顔を崩さないまま
階段を降りていった。

⏰:11/03/23 23:38 📱:840SH 🆔:gWV8zvo6


#345 [愛華]
スタートの、差。

あまりのんびりしてられないの
かもしれないな………。


距離が近すぎてもダメなんだ。
相手の意識を変えるには
ある程度の距離が必要なのかも
しれない。


でも今さら自分は。
その距離に耐えられるのか…?


2人分の鞄は妙に重かった。

⏰:11/03/23 23:45 📱:840SH 🆔:gWV8zvo6


#346 [愛華]
今日の更新分
>>325-346

感想板にて、よければ
感想待っています。

⏰:11/03/23 23:48 📱:840SH 🆔:gWV8zvo6


#347 [愛華]
第7章 -自惚前線-

⏰:11/03/24 21:02 📱:840SH 🆔:nJH7gHns


#348 [愛華]
最初は好奇心だった。

傷ついてることがわかったから

なんとなく興味が沸いただけ。

いつからだろう。


君はあいつと同じ目をしていると気づいたんだ。


綺麗なのに深い闇を潜めて
世の中の何かを憎みながら
心の在りかを探している。

そんな君に惹かれていった。

⏰:11/03/24 21:09 📱:840SH 🆔:nJH7gHns


#349 [愛華]
「陽向さん!起きて下さい!」

「ん〜…まだ6時じゃん……」

「今日、体育祭ですから早く
行かなきゃダメなんですよ!」

「いーやーだー…」

「………ったく……」


駄々をこねるように布団に包まる
その向こうで天宮の呆れたため息が聞こえた。


いつも通りの、朝。

⏰:11/03/24 21:20 📱:840SH 🆔:nJH7gHns


#350 [愛華]
学校に行くようになってからも
早起きは本当に苦手。
あたしは朝がめっぽう弱い。


朝はあたしと天宮の意地の戦い。



「……陽向さん。最後です。
起・き・て・ください」

「いーやーだ!ってば!」

「そうですか……」


…あれ?いつもならここらへんで布団を天宮が引っ張るのに。
今日は来ないな………。

⏰:11/03/24 21:27 📱:840SH 🆔:nJH7gHns


#351 [愛華]
不思議に思って布団から
頭を出そうとした瞬間。


のしっ




「ぎゃぁぁ!!天宮!!
重い!重いからどいて!」

「最後だっていったでしょ」


布団の上に天宮が座っている
らしく、天宮の全体重が
あたしにのしかかる。

⏰:11/03/24 21:37 📱:840SH 🆔:nJH7gHns


#352 [愛華]
おまけに布団の両端を押さえて
いるようで、顔が布団から出せず息が出来ない!!


「バカバカバカバカ天宮!!
どけこのやろー!息できない!」

「そんな口のききかたで
いいんですか〜?」


必死に暴れてもやはり男と女。
力の差は歴然。

面白そうに天宮が笑っているのが聞こえてくる。

……絶対こいつドSだ!!

⏰:11/03/24 21:49 📱:840SH 🆔:nJH7gHns


#353 [愛華]
「ごめんなさい〜!ギブ!!
ギブアップだってば!!
ギブアンドテイク………」

訳のわからない英単語が
出てきた途端、布団がガバッと
引っぱがされた。


あたしは水を得た魚のように
酸素をめいっぱい吸い込む。



………こ、殺されるとこだった…


ぜぇぜぇ息をしていると、
頬に天宮のひんやりした手が
添えられた。

⏰:11/03/24 21:55 📱:840SH 🆔:nJH7gHns


#354 [愛華]
ふと横を見ると、そこには
天宮のドアップの笑顔。


「………ちょ、な……に…」

「息苦しいんでしょ?
人工呼吸してあげようかと。」

「なっ………にを……!!」


天宮はあたしの言葉を
聞いてもいないような様子で、顔を近づけると優しく
額にキスを落とした。

⏰:11/03/24 22:01 📱:840SH 🆔:nJH7gHns


#355 [愛華]
額が少しだけひんやりした。

でもそれは一瞬のことで
すぐに全身が熱くなってゆく。


「………はい、陽向さん。
おはようございます!」


にーっと満足したように
微笑む天宮。
それも超至近距離。

でもそれを突っ込む気力もない。


……あたし一生
天宮には勝てない気がする……。

⏰:11/03/24 22:09 📱:840SH 🆔:nJH7gHns


#356 [愛華]
そんなことを真剣に考えながら
脱力して俯く。


「……卑怯だ、あんなの……」

「作戦ですよ、作戦!!
まぁちょっと楽しみましたけど」

「楽しむな馬鹿!!てゆーか
最後のキスは必要ないだろ!」

「そういえばそうですね」

「絶対わざとじゃん!」

⏰:11/03/24 22:18 📱:840SH 🆔:nJH7gHns


#357 [愛華]
あたしがどんなに怒鳴っても
天宮はそれをスルリとかわす。


今日の朝の勝負、完敗。
これで8連敗………。



最近天宮は優しくなった。
けれどそれと比例するように
すごく意地悪になった。


まぁ意地悪なのは前からだけど…
最近は度を越してひどい。

⏰:11/03/24 22:23 📱:840SH 🆔:nJH7gHns


#358 [愛華]
さっきみたいにキスをしたり。
不意に顔を近づけたり。
(↑これは前からだけど……。)


あたしをからかうのを
楽しんでいるみたいだ。
それに素直に反応してしまう
自分がすっごく悔しい。



いつか絶対ぎゃふんと
言わせてやる。


と、たくらんでいる今日この頃。
なかなか上手くいかないけど。

⏰:11/03/24 22:37 📱:840SH 🆔:nJH7gHns


#359 [愛華]
「おはよう陽向にタッキー♪」

「皐月、おはよう!」

「タッキーはよせ、皐月」


学校に着くと、ブカブカの
学ランを着てはちまきを巻いた
皐月がお迎えをしてくれた。


「どう?似合う?」

「うん、かわいーよ皐月!」

「やっぱり?でっしょー!」

⏰:11/03/25 15:50 📱:840SH 🆔:gyuZj19U


#360 [愛華]
微笑みながらくるっと回る
皐月は本当にかわいい。


ここで初めてできた、友達。
呼び捨てはまだ慣れないけど…



「…さて。陽向も着替えようか」

「…………は?」


キョトンとするあたしと天宮。


「陽向も着るの!ほら行くよ!」

⏰:11/03/25 15:54 📱:840SH 🆔:gyuZj19U


#361 [愛華]
「え!?だって体育祭だよ?
走れないじゃんか!」

「あれ、滝話してないの?
陽向あのね、午前中は円恒例の
応援合戦だからクラスそれぞれ
こうやって着替えて応援するの」

「俺も知りませんでした」


天宮が驚いた顔をする。

天宮も知らなかったのか。
………てゆーかこの企画。
100%天宮校長の趣味だ……。

という確信に近い考えは
胸に留めておいた。

⏰:11/03/25 17:58 📱:840SH 🆔:gyuZj19U


#362 [愛華]
全員が着替えたところで
大撮影会が始まる。


……といってもほとんどは。


「皐月ちゃんこっち向いて!」

「こう?」

「最高ですっ!!」


凄まじいシャッター音と
フラッシュの光。


まぁ皐月はかわいいから
しょうがないとは思う。

⏰:11/03/25 23:12 📱:840SH 🆔:gyuZj19U


#363 [愛華]
溢れる笑顔。
響く笑い声。


あぁ…………あたし。




「…陽向さん?どうしました?
すごいぼーっとしてましたよ」

「いや、なんていうか……」




今あたし。すごく楽しいなぁ。

⏰:11/03/25 23:16 📱:840SH 🆔:gyuZj19U


#364 [愛華]
前までは人の笑い声とか。
笑顔とか。

そんなものは苦痛でしかなくて。

我ながら捻くれてたと思う。

でも幸せそうな人たちを見ると
妬まずにはいられなくて
そんな自分が嫌でしかたなかった



私はどうして苦しいんだろう。
どうして笑えないんだろう。

ただ心から笑いたいだけなのに。

⏰:11/03/27 00:46 📱:840SH 🆔:H13WwXZw


#365 [愛華]
毎日鏡の前で泣いた。
声を押し殺して泣いた。



今あたしは
心から笑えているだろうか。


過去の自分が羨ましくなるくらい
笑えているかな。



「…………嬉しいなぁ」


ふいに口を突く言葉。

⏰:11/03/27 01:02 📱:840SH 🆔:H13WwXZw


#366 [愛華]
「嬉しいって何がですか?」

不思議そうに首を傾げて
天宮が聞く。


「今あたし幸せだなって。
ここにいれることが嬉しいの」

「………………」



毎日が幸せの連続で夢のよう。
それをつくってくれたのは…



カシャッ

⏰:11/03/27 01:05 📱:840SH 🆔:H13WwXZw


#367 [愛華]
「ぬぁっ!天宮なんで
あたし撮ってんの!?」

「いや、なんか可愛かったから」

「はぁ?いーから消してよそれ」

「嫌です。待受に決定。」

「ちょっ……消してってば!」


それをつくってくれたのは
まぎれもなくあなたなんです。


でも、たまに迷うんだ。

⏰:11/03/27 01:10 📱:840SH 🆔:H13WwXZw


#368 [愛華]
居心地が良すぎて
今ある居場所に満足してしまう。


あたしのいるべき場所は
ここじゃないのに。

ここにいるべきではないのに。


あたしが今いなくなったって
天宮はいつもどおりの朝を
明日も迎えるだろう。


でもあたしは違うの。
きっと1日も生きてゆけない。

⏰:11/03/27 01:14 📱:840SH 🆔:H13WwXZw


#369 [愛華]
居場所に依存してゆく。
そんなことあってはいけない。



『天宮の家族になりたい。
お母さんが見つかるまででいい。
その後は忘れてくれて構わない』




お母さんが見つかったとき。
あたしは笑顔で天宮に
さよなら、と言えるのかな。

⏰:11/03/27 01:18 📱:840SH 🆔:H13WwXZw


#370 [愛華]
深くはいりこみすぎて
離れられなくなりは
しないだろうか。


それがあたしは怖い。




幸せを感じるたびに考えるの。





あたしは本当に

ここにいていいんだろうか……?

⏰:11/03/27 01:21 📱:840SH 🆔:H13WwXZw


#371 [愛華]
「ふわぁ〜疲れたねぇ〜」

「疲れたって………皐月はただ
写真撮られてただけじゃん」

「べつに撮られたくて撮られてたわけじゃないもーん。
みんな勝手に撮るんだもん」


午前中の応援合戦が終わり、
お昼休みに入ると、みんな
我先に、とばかりに購買や
学食になだれこむ。

あたしたちお弁当組には
関係ないことだけれど、
こうしてゆっくりお昼を
食べれるのはすごくありがたい。

⏰:11/03/28 01:17 📱:840SH 🆔:d2TRB.q6


#372 [愛華]
「でも要君のパフォーマンス
すごいかっこよかったよ!!
いつ練習してたの?」

「俺バスケ部入ってるからさ。
部のみんなで練習してたんだ。

陽向ちゃんにそう言って
もらえると嬉しいもんだね」


そう言うと要君は微笑みながら
ちらっと天宮を見た。


「………なぜ俺を見る?」

「いや、なんとなく……」

⏰:11/03/28 01:22 📱:840SH 🆔:d2TRB.q6


#373 [愛華]
「俺はそこまで器の
小さい男じゃない」

「何も言ってないだろ……」


……?何の話してんだろ?
天宮もパフォーマンスに
出たかったのかなぁ?


あたしは天宮のパフォーマンスを想像しながらお茶を飲もうとして
それを買い忘れていたことに
気がついた。

⏰:11/03/28 01:28 📱:840SH 🆔:d2TRB.q6


#374 [愛華]
「………あ、お茶わすれた」

「あたしも行こうか?」

「ううん、大丈夫。急いで
買ってくるねー」


皐月の誘いを断るとあたしは
飲み物を買いに教室を出た。







「………滝、なにしてんの」

⏰:11/03/28 01:31 📱:840SH 🆔:d2TRB.q6


#375 [愛華]
「ん?陽向さんのご飯に
ソースで落書きを……」

「………何歳だよ、お前…」


要は呆れながらそれを見つめる。

陽向ちゃんの方もたいがい素直じゃ
ないけどそれに負けないくらい
天宮も強情だからなぁ……

……ってうかあの鈍感さは
もはや罪といってもいい。

⏰:11/03/28 23:21 📱:840SH 🆔:d2TRB.q6


#376 [愛華]
天宮に八つ当たりされる俺の
身にもなってほしいな……。


……そういえば松矢蓮。
確か同じ中学だったけど、中学
の時は彼女いたような……。

滝は周りにあまり興味がなかったから覚えてないだろうけど。



まぁ過去の話……か。


改めて心の中で滝にエールを送る要だったが、今だにソースで
落書き中の滝を見ると
やっぱりため息は隠せなかった。

⏰:11/03/28 23:30 📱:840SH 🆔:d2TRB.q6


#377 [愛華]







ガチャンッ


鈍い音を立ててお茶が落ちた。


………あれ。


「………やべ、しくった」

⏰:11/03/28 23:36 📱:840SH 🆔:d2TRB.q6


#378 [愛華]
ペットボトルを押したつもり
だったのにどうやら間違って
缶を押してしまったらしい。

これじゃ開閉ができない。



「………かえたげよっか?」


優しくて甘い声。
あたしの心を見透かすような……


「……心の中読まないでよね。
松矢君もお茶買ったの?」

⏰:11/03/28 23:40 📱:840SH 🆔:d2TRB.q6


#379 [愛華]
松矢君は汗をかいているのか、
首にタオルをかけていた。

何もしていないのに妙に
色気があるというか………。

いつ見ても女として
敗北感を感じてしまう。



「ペットボトルがいいんでしょ?俺、口つけてないから
かえたげるよ」

「あ、いいの?やったー」

⏰:11/03/28 23:50 📱:840SH 🆔:d2TRB.q6


#380 [愛華]
「はは、どーぞどーぞ」


にっこり笑う松矢君から
お茶をうけとると、あたしは
近くの階段に腰掛けた。


その様子を松矢君は
不思議そうに見つめる。


「天宮んとこ戻んないの?」

「んー歩くの疲れちゃったし
昼休みは長いから平気だよ」

「そう?」

⏰:11/03/28 23:54 📱:840SH 🆔:d2TRB.q6


#381 [愛華]
「うん。松矢君も座りなよ」


あたしは自分の隣を指差す。
それを見た松矢君は遠慮がちに
腰を下ろした。



「…最近、天宮の機嫌はどう?」

「普通かな?」

「それはよかった」

「あたしもよかった。松矢君も
あたしの友達なんだもん」

⏰:11/03/28 23:58 📱:840SH 🆔:d2TRB.q6


#382 [愛華]
涼しい風が廊下に吹き抜ける。
もう秋のにおいがする。
家を出てから……3ヶ月、か。



「……松矢君って一匹狼?」

「はは、なにそれ?」

「友達あたし以外にいないの?
他の人といるの見たことない」

「うーん、群れるのが苦手
なんだよね。めんどくさいし」

「ふぅん。っていうかあたしは…

⏰:11/03/29 00:03 📱:840SH 🆔:FS3Myf2Y


#383 [愛華]
………他の人に触れるのを
嫌がってるように見える。

壁をつくってる、みたいな」



誰も、寄せつけない。
前までのあたしのよう。


そっか、あたしがずっと
松矢君に感じてたものって……



「………さみしくないの?」

⏰:11/03/29 00:08 📱:840SH 🆔:FS3Myf2Y


#384 [愛華]
「…………さみしくないよ」



そう言った松矢君の目は
言葉とはまるで正反対で。

さみしくない、という言葉は
まるで自分に言い聞かせている
ようで。



あたしは何も言えなくなった。


その瞳の奥に何があるのか
あたしにはわからなくて

怖くなった。

⏰:11/03/29 00:15 📱:840SH 🆔:FS3Myf2Y


#385 [愛華]
「信頼できる人と一緒にいる
ことはめんどくさくなんかない。

……松矢君も、そんなひとに
会えるといいね」



多分、このひとも。
色々な悲しみを背負ってる。

それは不本意に探っていいような
安っぽいものじゃない。

そんな気がした。

⏰:11/03/29 00:23 📱:840SH 🆔:FS3Myf2Y


#386 [愛華]
松矢君は瞳に色を戻すと
ちょっとだけ微笑んだ。


「……アトバイスありがと」

「え!?や、そんなつもり……
ていうか偉そうなこと言って
ごめんね……」

「んーん。うれしかったよ」



……今考えるとあたしほんとに
何偉そうに言ってたんだろ…

恥ずかしい。恥ずかしい!!

⏰:11/03/29 00:29 📱:840SH 🆔:FS3Myf2Y


#387 [愛華]
ぱたぱたと顔をあおぎながら
ペットボトルで頬を冷やす。


「陽向ちゃんは天宮を
すごく信頼してるんだな」

「うん、まーね。でも
優しくされると少し苦しい」

「え、なんで?」

「いつか、天宮と別れなきゃ
いけない時が来たら……

自分はどうなるんだろう、って
考えるとすごく苦しくなる」

⏰:11/03/29 11:46 📱:840SH 🆔:FS3Myf2Y


#388 [愛華]
「…………」


松矢君は黙ったまま。
やば、絶対引かれたよ……。

ていうか、あたしもあたしで
何ペラペラしゃべってんの。
今日はいらないことをたくさん
しゃべってしまってる気がする。



「……ごめん、今の忘れて!
気にしなくていいからさっ!」

「え?あぁ………」

⏰:11/03/30 00:13 📱:840SH 🆔:qJJkXGRo


#389 [愛華]
「お茶ありがとう!!午後から
がんばろーね!ばいばい!」


あたしは松矢君の返事を待たず
逃げるように階段を上がって行く
するとすぐに松矢君の声が
あたしに向かって飛んできた。


「………陽向!!」

「はい!!……え、呼び捨て…」

条件反射で振り向いて返事をしたけれどいきなりの呼び捨てに
ペットボトルを落としそうになる

⏰:11/03/30 00:18 📱:840SH 🆔:qJJkXGRo


#390 [愛華]
その様子を見て松矢君は笑うと
小さな声でつぶやいた。



「………陽向ってさ。


俺の大事だった人に似てる。」

「え?」



「俺が陽向の考えてることを
わかっちゃうのってさ、
それが原因なのかもしんない」


無邪気そうに、懐かしそうに、
でも悲しそうに、笑う。

⏰:11/03/30 00:26 📱:840SH 🆔:qJJkXGRo


#391 [愛華]
「………そう?」

「うん。そっくりだ」

「そっか。でもどんなに似てても
あたしはその人じゃないよ」

「うん。」



………どうしてそんな顔するの。



再び階段を上る。
足が鉛のように重かった。

⏰:11/03/30 22:09 📱:840SH 🆔:qJJkXGRo


#392 [愛華]








「おまたせー」

「遅かったね、陽向」

「え?あぁ………うん」


なんとなく天宮と目を合わせ
ずらくて俯いたまま席につく。

⏰:11/03/31 22:08 📱:840SH 🆔:z/QxPonw


#393 [愛華]
再び箸に手をつけようとした。


時。



「……天宮?これやったの」

「俺なわけないでしょう」

「嘘つけ。にやけてんじゃん」


半分以上残っている白米には、
中農ソースで馬がかかれていた。
意外と上手いのがムカつく。

⏰:11/03/31 22:19 📱:840SH 🆔:z/QxPonw


#394 [愛華]
「これ、コロッケ用のソース
じゃん!なんで白米に!」

「かわいいでしょう?」

「かわいいけど!
ぶっちゃけ少し感動したけど!
今はそこじゃないでしょ!」

「まぁまぁ陽向ちゃん。天宮は
すごい楽しんでたみたいだから
多めに見てやってよ」

「要君は天宮に甘すぎだよ…
あたしは楽しくないっつの!」

「あはは」

「何がおかしいんだ天宮」

⏰:11/03/31 22:30 📱:840SH 🆔:z/QxPonw


#395 [愛華]
天宮は意外と子供なのかも、と
思いながら突っ込む気力も
失せたので再びお昼再開。



「………なんか、ありました?」


物足りない味のコロッケを
口に運ぶと天宮があたしの
顔を心配そうに覗き込んだ。


あたしは手を止めることなく
その質問に答える。

⏰:11/03/31 22:45 📱:840SH 🆔:z/QxPonw


#396 [愛華]
「別になんもない」

「嘘つくの下手すぎです」

「下手じゃないもん」

「ほら嘘だって認めてんじゃん」


しまった、やられた。
口では天宮には勝てない……
ていうかあたしが天宮に勝る
ものなんてあるんだろうか。


「陽向ータッキーに隠し事とか
したらタッキー怒るよぉ?」

⏰:11/03/31 22:49 📱:840SH 🆔:z/QxPonw


#397 [愛華]
う………
皐月の言葉に詰まってしまう。
確かにさっき天宮は敬語じゃ
なかった。経験からすると
あれは怒ってる証拠であり……


ていうかなんで隠し事してるってわかるんだろ。
透視でもできるんだろうか…


「陽向ちゃん〜天宮の怒りは
廻りに廻って俺に来るんだからささっさと話してよ〜」


か、要君まで………。

⏰:11/03/31 23:01 📱:840SH 🆔:z/QxPonw


#398 [愛華]
松矢君と話してもいいとは
言われているけど、やっぱり
言うのは少し抵抗がある。


「か、帰って話す」

「……家でじっくりね。」

「なんか滝変態っぽいぞ」

「それはお前が変態だからだ。


………陽向さん。家でちゃんと
話してください、ね?」


口調は優しいのに、あたしには
悪魔の囁きみたいだよ……。

⏰:11/03/31 23:18 📱:840SH 🆔:z/QxPonw


#399 [愛華]
なんだかんだで午後の競技も
終わり…結局我らが1−3は
初日の時点で総合2位となった。


1番印象的だったのは午前の
応援合戦を校長室の窓から
ひっそり覗いていた天宮校長。

天宮も将来あんな風になったら
どうしようと本当に不安になった




で、現在。

⏰:11/04/01 00:25 📱:840SH 🆔:5cR3Yg52


#400 [愛華]
「ふぃーいいお湯でしたー」


運動のあとのお風呂は
やっぱりいい!!
心休まる。



「天宮ぁ、髪のびちゃったから
今度切ってくれる?」

「それはいいですけど」

「アイスある?」

「ありますけど」

⏰:11/04/03 11:29 📱:840SH 🆔:evjaXgCs


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