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#327 [愛華]
「陽向さんっ!」
体がビクンと跳ねる。
慌てて手で涙をぬぐった。
「教室にいてって言ったでしょう何で屋上にいるんですか」
「………ごめんなさい」
「泣いてたんですか…?」
「ごめんなさい」
「陽向さん………」
「ごめんなさい」
:11/03/23 22:12
:840SH
:gWV8zvo6
#328 [愛華]
沈黙が流れる。
どうすればいいかわからなくて
俯いていると、ふわっと
甘い花の香りがした。
あれ……。
顔を上げると、いつのまにか
すぐ目の前に天宮がいた。
「………な…に……」
「……………」
:11/03/23 22:15
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#329 [愛華]
天宮はあたしの肩に手を添えて
顔をあたしの首に近づけた。
そして…………
ぺろっ
「んぎゃああああ!!」
ななななな!!
なにしてんのこいつ!!!
:11/03/23 22:18
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#330 [愛華]
「き、き、傷なめ………」
「血出てたし痛そうだったので。消毒ですよ、消毒」
天宮はいたって真面目に
そう言ってあたしを見つめる。
心臓がバクバクする。
「お前は犬か!!」
「まぁ犬でもなんでもいいけど。とりあえずこっち向け」
「………!」
:11/03/23 22:25
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#331 [愛華]
また体が強く脈打つ。
あたしは天宮の言葉に従って
背けていた体を天宮に向ける。
いきなり敬語じゃなくなるし。
………調子狂うよ……。
一度速まった鼓動は簡単には
収まらず、体温を上げてゆく。
……なんだろ、これ……。
熱あんのかな私………。
:11/03/23 22:29
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#332 [愛華]
天宮はあたしの傷を見たあと、
抱きしめる形であたしの首に
顔を埋めた。
傷は天宮の唇の熱を感じて疼く。
「………天……宮…」
「すいませんでした。
側にいれなくて……」
天宮の抱きしめる手に力が入る。
あたしはこの温もりが
ほしかったんだと気づかされた。
:11/03/23 22:34
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#333 [愛華]
「……あたし、最近すごい
不安だったんだよ……」
知らないうちに涙が流れる。
それは留まることを知らずに
天宮の制服をぬらしてゆく。
「学校にも慣れてきて……
ちょっとずつ人とも話せるようになってきたのに。
天宮はずっと不機嫌だし……」
「…………」
「天宮と一緒に喜びたかった
のに………寂しかったよ」
:11/03/23 22:42
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#334 [愛華]
天宮の背中に手をまわして
その存在を確かめるように
抱きしめる。
「陽向さん……ごめんね」
「ううん。天宮が嫌なら……
あたし松矢君とは話さないよ。」
「え……」
「あたしにとっては。
松矢君より天宮が大事だから」
あたしがそう言うと、
天宮は少し何かを考えてから
体を引き離した。
:11/03/23 22:50
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#335 [愛華]
それが少しさみしかった。
「……松矢と普通に話しても
大丈夫ですよ」
「天宮もう怒らない?」
「はい。」
あたしが微笑むと
天宮もゆっくり微笑んでくれた。
「あ……あともうひとつ
聞きたいことがあるの」
:11/03/23 22:54
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#336 [愛華]
「なんですか?」
「その………あたしはもう。
天宮の家族になれたのか、な?」
確かめたかったこと。
天宮を信頼しはじめて。
家族になりたいと願った。
大事にしてくれてるのは
充分わかっているけれど
やっぱり不安でたまらなくて。
天宮にとって……あたしは何?
:11/03/23 22:57
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