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#337 [愛華]
「………家族になるには、
血の繋がりが必要です。でも
そんなものがなくたって……
俺にとって陽向さんは
ただひとりの大切な人です」
「…………!!」
「今までどんなに陽向さんが
辛かったのか、頑張ってきたか。
自惚れかもしれませんが
俺が1番わかっているつもりです
……だから泣くのは俺の前で
だけにしてくださいね」
:11/03/23 23:01
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#338 [愛華]
胸のくもりが晴れてゆく。
あたしのことをちゃんと、
わかってくれる人がいる。
なんて心強い、そして安心する。
お母さんに向かう気持ちとは
ちょっとだけ違う。
優しくて、心地好くて、
ちょっとだけ切なくなったり
胸が苦しくなるこの気持ち。
なんて名前の気持ちなのかな。
:11/03/23 23:06
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#339 [愛華]
ふと上を見ると、太陽は西に
傾き空を赤く染めていた。
「……さ、帰りましょうか。
陽向さんの傷の手当しなきゃ」
「お願いします……。
あ、そういえばさっき女子たちと何話してたの?」
「あーちょっと怒りました。
多分噂もじきに消えますよ!」
「よかったぁ……」
あたしがホッとしていると
天宮がにっこり笑いながら
あたしの頭をなでる。
:11/03/23 23:14
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#340 [愛華]
あ……今気づいた。
天宮の甘いにおいって
あの裏庭の花のにおいだ。
鞄を取りに行ってくる、と
言い残して教室に戻った天宮。
さっきまで天宮がいた場所は
やっぱり甘い香りがした。
……裏庭に通おうかな。
ってあたし変態みたいだ……。
ひとりで自己嫌悪している間も天宮の甘い香りは消えなかった。
:11/03/23 23:24
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#341 [愛華]
’
教室で鞄をとって陽向さんを
迎えに行こうとした時。
階段にあまり今会いたくない
人物を見つけた。
「………松矢……」
「あれ、天宮まだ居たんだ」
:11/03/23 23:26
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#342 [愛華]
そう言ってニッと笑う松矢は
男の俺から見ても男前。
「……誰か待ってるのか?」
「んー別に。」
「そっか。じゃあな」
それだけ言って松矢を通り過ぎ
階段を降りはじめると、
上からまるで図ったような
松矢の言葉が聞こえた。
「……陽向ちゃんには俺のが
合ってると思うけど」
:11/03/23 23:31
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#343 [愛華]
その言葉にピタリと階段を
降りる自分の足が止まる。
「………は?」
「予想以上に面白いんだよね。
陽向ちゃんにかまうのって。」
「松矢に陽向さんは無理だ」
「それはどうだろ?」
ピリピリと空気が震える。
相変わらず微笑んだままの
松矢は何を考えてるのか
全くわからない。
:11/03/23 23:35
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#344 [愛華]
「………それにさ。スタートの
差ってデカいと思うよ」
「スタートの差……?」
「うん。
『家族』からのスタートと
『他人』からのスタート。
どっちが有利かなぁ」
松矢はその言葉を残すと
笑顔を崩さないまま
階段を降りていった。
:11/03/23 23:38
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#345 [愛華]
スタートの、差。
あまりのんびりしてられないの
かもしれないな………。
距離が近すぎてもダメなんだ。
相手の意識を変えるには
ある程度の距離が必要なのかも
しれない。
でも今さら自分は。
その距離に耐えられるのか…?
2人分の鞄は妙に重かった。
:11/03/23 23:45
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#346 [愛華]
:11/03/23 23:48
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