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#332 [愛華]
天宮はあたしの傷を見たあと、
抱きしめる形であたしの首に
顔を埋めた。
傷は天宮の唇の熱を感じて疼く。
「………天……宮…」
「すいませんでした。
側にいれなくて……」
天宮の抱きしめる手に力が入る。
あたしはこの温もりが
ほしかったんだと気づかされた。
:11/03/23 22:34
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#333 [愛華]
「……あたし、最近すごい
不安だったんだよ……」
知らないうちに涙が流れる。
それは留まることを知らずに
天宮の制服をぬらしてゆく。
「学校にも慣れてきて……
ちょっとずつ人とも話せるようになってきたのに。
天宮はずっと不機嫌だし……」
「…………」
「天宮と一緒に喜びたかった
のに………寂しかったよ」
:11/03/23 22:42
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#334 [愛華]
天宮の背中に手をまわして
その存在を確かめるように
抱きしめる。
「陽向さん……ごめんね」
「ううん。天宮が嫌なら……
あたし松矢君とは話さないよ。」
「え……」
「あたしにとっては。
松矢君より天宮が大事だから」
あたしがそう言うと、
天宮は少し何かを考えてから
体を引き離した。
:11/03/23 22:50
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#335 [愛華]
それが少しさみしかった。
「……松矢と普通に話しても
大丈夫ですよ」
「天宮もう怒らない?」
「はい。」
あたしが微笑むと
天宮もゆっくり微笑んでくれた。
「あ……あともうひとつ
聞きたいことがあるの」
:11/03/23 22:54
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#336 [愛華]
「なんですか?」
「その………あたしはもう。
天宮の家族になれたのか、な?」
確かめたかったこと。
天宮を信頼しはじめて。
家族になりたいと願った。
大事にしてくれてるのは
充分わかっているけれど
やっぱり不安でたまらなくて。
天宮にとって……あたしは何?
:11/03/23 22:57
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#337 [愛華]
「………家族になるには、
血の繋がりが必要です。でも
そんなものがなくたって……
俺にとって陽向さんは
ただひとりの大切な人です」
「…………!!」
「今までどんなに陽向さんが
辛かったのか、頑張ってきたか。
自惚れかもしれませんが
俺が1番わかっているつもりです
……だから泣くのは俺の前で
だけにしてくださいね」
:11/03/23 23:01
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#338 [愛華]
胸のくもりが晴れてゆく。
あたしのことをちゃんと、
わかってくれる人がいる。
なんて心強い、そして安心する。
お母さんに向かう気持ちとは
ちょっとだけ違う。
優しくて、心地好くて、
ちょっとだけ切なくなったり
胸が苦しくなるこの気持ち。
なんて名前の気持ちなのかな。
:11/03/23 23:06
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#339 [愛華]
ふと上を見ると、太陽は西に
傾き空を赤く染めていた。
「……さ、帰りましょうか。
陽向さんの傷の手当しなきゃ」
「お願いします……。
あ、そういえばさっき女子たちと何話してたの?」
「あーちょっと怒りました。
多分噂もじきに消えますよ!」
「よかったぁ……」
あたしがホッとしていると
天宮がにっこり笑いながら
あたしの頭をなでる。
:11/03/23 23:14
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#340 [愛華]
あ……今気づいた。
天宮の甘いにおいって
あの裏庭の花のにおいだ。
鞄を取りに行ってくる、と
言い残して教室に戻った天宮。
さっきまで天宮がいた場所は
やっぱり甘い香りがした。
……裏庭に通おうかな。
ってあたし変態みたいだ……。
ひとりで自己嫌悪している間も天宮の甘い香りは消えなかった。
:11/03/23 23:24
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#341 [愛華]
’
教室で鞄をとって陽向さんを
迎えに行こうとした時。
階段にあまり今会いたくない
人物を見つけた。
「………松矢……」
「あれ、天宮まだ居たんだ」
:11/03/23 23:26
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