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#51 [愛華]
「そこらへんに座って下さい」


そんなことを考えてるうちに
いつのまにか天宮の家についた。
そこまで広くはないけど、
一人暮らしには十分なマンション

知らない家の匂いがする。


あたしはふかふかのソファに
遠慮がちに腰を下ろした。

「……あれ、救急箱………」

⏰:11/02/20 12:32 📱:840SH 🆔:EuWhtOcA


#52 [愛華]
「救急箱ないの?」

「いや、確かここに…あった!」

天宮は戸棚の中から白いケースを取り出した。
それを持つと、あたしの隣の椅子にゆっくり座った。


「…………手、出して下さい?」

「…………お願いします…」

天宮はちょっとだけ微笑むと
包帯を丁寧にほどいてゆく。

⏰:11/02/20 12:38 📱:840SH 🆔:EuWhtOcA


#53 [愛華]
なんか……………変な感じ。

人にこんなに優しく触れられたのなんていつぶりだろうか?


「……ずいぶんずさんな包帯の
巻きかたですね……」

「悪かったね」

天宮は包帯を取ると、むきだしになっている傷に消毒していく。

「……新しい包帯だけくれれば
それでいいって言ったじゃん」

⏰:11/02/20 12:43 📱:840SH 🆔:EuWhtOcA


#54 [愛華]
「そんなんだったら、ずっと
治らないままですよ!化膿してるじゃないですか………

見たところ切り傷ですけど…
どこでどうやってこれを?」

天宮は真剣な顔で聞く。

「……前の家でちょっとね」

あたしがそう言うと、天宮は
「そうですか」とだけ言った。

傷は綺麗なガーゼを当てられ、
綺麗な包帯で包まれていく。

⏰:11/02/20 12:51 📱:840SH 🆔:EuWhtOcA


#55 [愛華]
天宮は器用だった。

手当が終わると、血で汚れた
あたしのTシャツを水で洗って
くれた。貸してもらった天宮の
Tシャツは甘い匂いがした。


知らない家の匂いにも慣れた頃。


「………さて。そろそろ
聞かせてもらえますか?」


紅茶を飲みながら天宮が言った。

⏰:11/02/20 14:39 📱:840SH 🆔:EuWhtOcA


#56 [愛華]
「………聞くってなにを?」

「あなたの家出の理由です」

あたしは飲んでいた紅茶を
吹き出しそうになった。


「……だから天宮には関係ない!Tシャツ貸してくれたり
手当してくれて感謝してるよ。

でもそこまで話せる程、あたしはあんたのこと信用してない!」

「関係ない、ね………」

⏰:11/02/20 14:47 📱:840SH 🆔:EuWhtOcA


#57 [愛華]
「Tシャツ乾いたら出ていく。
もう会う事なんてないんだから
話す必要なんてないよ。」

「手当して、警察から助けたのに関係ないってことはないでしょ」


天宮はずいっと顔を近づける。
真っすぐな天宮の目に吸い込まれそうになる。

……近い……それに
綺麗な目してるな………。


じゃなくて!!

⏰:11/02/20 14:54 📱:840SH 🆔:EuWhtOcA


#58 [愛華]
「……俺が警察に言っても
いいんですよ?あなたのこと」

天宮はにっこり微笑む。
今はその笑顔がカンに障る。

「あんた………見かけによらず
嫌なやつだね。最悪」

「なんとでもどーぞ。さ、
話してくれますね?」


………隠すほどのことじゃない。話し終わったらすぐ帰ろう。

それでも思い出すのは嫌だな。

⏰:11/02/20 17:41 📱:840SH 🆔:EuWhtOcA


#59 [愛華]
あたしは息を吐く。





「…簡単にいうと。家庭内暴力。お父さんからのね。っていっても本当のお父さんじゃないけど」

「………暴力……」


天宮は信じられない、といった
顔をした。当たり前だけど……

⏰:11/02/20 17:46 📱:840SH 🆔:EuWhtOcA


#60 [愛華]
そう。
あたしはお父さんから暴力を
毎日のように受けていた。

お母さんが再婚した男性は
酔うと暴力を振るう男だった。
お母さんはそれに耐え兼ね、
お父さんと離婚した。

お母さんはあたしを引き取ると
いって聞かなかったけれど、
お父さんがあたしを引き取ることそれが離婚の条件だった。


暴力の対象はあたしになった。

⏰:11/02/20 17:50 📱:840SH 🆔:EuWhtOcA


#61 [愛華]
傷にならないレベルの最高の暴力を毎日受けつづけた。


そしてあの日。




「……酔ったお父さんが刃物
持ち出して腕切り付けられたの。殺される、って思った。


それで急いで荷物まとめて
逃げてきたってわけ。」

あたしは辛い記憶は飛ばしながら天宮に過去を話した。

⏰:11/02/20 17:55 📱:840SH 🆔:EuWhtOcA


#62 [愛華]
「これで満足?天宮」

「……………」


天宮は何もいわず下を向いたまま引かれたな、こりゃ。


あたしは乾いたTシャツを手にし家を出ようと立ち上がった。

すると天宮も急に立ち上がる。



「………わ!びっくりした。
急に立ち上がんないでよ…」

⏰:11/02/20 18:00 📱:840SH 🆔:EuWhtOcA


#63 [愛華]
「………よし!決めた!」

「は?決めたって何を……」

天宮はさっきよりももっと
優しい笑顔を見せた。
そしてまた顔を近づける。


だから近いっつの!
おでこくっつくっつの!
それにしても綺麗な目……

じゃなくて!!


そんなことを考えていると、
天宮の目があたしの目を捕らえた

⏰:11/02/20 18:15 📱:840SH 🆔:EuWhtOcA


#64 [愛華]
「………陽向さん」

「な、なに………」


天宮は甘くていいにおいがした。優しいお日様みたいなにおい。





「……ここで暮らしませんか?」

「……………は?」


それは天宮がお日様みたいな
人だったからかな。

⏰:11/02/20 18:31 📱:840SH 🆔:EuWhtOcA


#65 [愛華]
いったんきります。
>>51-65
読んで下さってる方がいたら
感想下さると嬉しいです。

⏰:11/02/20 18:34 📱:840SH 🆔:EuWhtOcA


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