†horror†
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#581 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
響歌『…黒川さん?』


奈穂『…あっ! な、なんでしょう?』

私の声に必要以上に驚く黒川さんを見て、いつもの彼女じゃないとすぐ感じる事ができた。


響歌『どうかしたんですか?』


奈穂『い、いや…なんでもないの…』

手を小さく振り苦笑いしながら言う。


黒川さんの態度に違和感を感じつつも、追求する事なく別れ際まで歩いた。

⏰:11/10/08 16:45 📱:S004 🆔:vN/kwjkY


#582 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
河原を過ぎると、私の家がある住宅街が見えてくる。


響歌『じゃあ、私こっちなので』


奈穂『一緒に帰ってくれてありがとうございます』


響歌『あの…そろそろ敬語やめませんか? タメ口で!』

流れ的にチャンスだと思い、言いたかった事を思いきって吐き出した。

⏰:11/10/08 16:46 📱:S004 🆔:vN/kwjkY


#583 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
奈穂『あ、うん、そうですね…。じゃあ…改めてよろしくね』


響歌『…こちらこそ』

吐き出した途端、肩の力が抜けていくのがわかった。


それから黒川さんを姿が見えなくなるまで手を振りながら見送った。


高校に入って初めてできた友達。


これから彼女との友情を大事にしていこうと心に誓い、家に帰った。

⏰:11/10/08 16:50 📱:S004 🆔:vN/kwjkY


#584 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
その夜、お風呂からあがって部屋でぐうたらしていると、久しぶりにナナからの電話があった。


お互いの高校生活について語り明かし、気が付くと髪が自然に半乾きになるまで話し込んでいた。


響歌『…じゃあね』

通話を切って中途半端に湿った髪をドライヤーで乾かし、その日は眠りについた。

⏰:11/10/08 16:52 📱:S004 🆔:vN/kwjkY


#585 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
次の日学校に来ると、いつも早く来ているはずの黒川さんが登校していない。


昨日はなんともなかったような気がしたけど、今日になって風邪でもひいたのかと思い席に座って携帯電話を取り出し、前に交換した黒川さんの携帯番号に電話をかけた。


「おかけになった電話は電波の届かない場所にあるか…」

どうやら電源を切っているようだ。


なぜだか胸騒ぎがした。

⏰:11/10/08 16:55 📱:S004 🆔:vN/kwjkY


#586 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
“黒川さんに何かあったのではないか?”

不安が募る。


その時、あの名前が脳裏をよぎった。


“出会い系殺人ネット”


まさか次の被害者に黒川さんが…?


いや、単なる私の考え過ぎかもしれない。

⏰:11/10/08 17:00 📱:S004 🆔:vN/kwjkY


#587 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
でも昨日、下校途中の黒川さんの態度には終始違和感を感じていた。


黒川さんが私に一緒に帰ろうと言ってきたのは昨日が初めての事であることから、一人では帰りたくない理由が何かあったのだろうか。


それから休み時間やお昼の時間に彼女の携帯電話にかけたが、ずっと電源を切っているようで一向に繋がらない。


ここまでくると、ますます不安が高まる。


胸騒ぎが収まらず、真意を確かめたくなった私は休み時間、学校に黒川さんから連絡が来てるか確認する為に担任がいる職員室へ向かった。

⏰:11/10/08 17:02 📱:S004 🆔:vN/kwjkY


#588 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
響歌『失礼します…川島先生はいますか?』

ノックして入り担任の名前を呼ぶと、背を向けていた先生がすぐに振り向いた。


『村井…どうかしたか?』

私はすぐに先生の元に駆け寄って単刀直入に聞いた。


響歌『あの、黒川さんって今日はどうして欠席なんですか?』


『ああ、黒川か? 実は今、連絡が取れない状態なんだ。家にかけても誰も出ない』

それを聞いて、やっぱり黒川さんの身に何かあったんだと確信する。

⏰:11/10/08 17:04 📱:S004 🆔:vN/kwjkY


#589 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
響歌『あの、黒川さんの家の住所教えてください。帰りに行ってみます』


『おお、頼めるか。ちょっと待っててくれ』

先生は自分のデスクに行き調べものをした後、紙に何かを書いてそれを私に手渡した。


『ほい、ここな』

渡された紙には黒川さんの家の住所がボールペンで走り書きされている。

⏰:11/10/08 17:05 📱:S004 🆔:vN/kwjkY


#590 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
紙を制服のポケットにそっとしまって教室に戻った。


放課後、私は学校を出てすぐに住所が書かれた紙と携帯電話のナビを見ながら黒川さんの家へ向かう。


響歌『ここかな?』

どこにでもある木造二階建ての一軒家の前で足を止めて表札を見る。


“佐伯”

名字が“黒川”ではない事から家を間違えたのかと思ったが、携帯電話のナビは間違いなくこの場所を示していた。

⏰:11/10/08 17:07 📱:S004 🆔:vN/kwjkY


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