†horror†
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#741 [輪廻]
 
 
そして、ついに男は響歌のすぐ目の前に立った。


これは夢であって欲しいと、目をぎゅっとつむりながら心の中で祈る。


すると男は、響歌の耳元でぼそっと呟いた。


  『ゲームはまだ終わらないよ…』

その言葉を聞いて、ぱっと目を開けて周りを見回すと、そこに男の姿はもうなかった―
 
 

⏰:11/12/10 17:32 📱:Android 🆔:spUdrKjc


#742 [輪廻]
 
 
響歌『(終わらない……?)』

男が言った言葉が何度も脳内にこだまする。


急に全身に寒気が走り、すぐその場から立ち去ろうとした時、後ろから誰かが響歌の肩をポンと叩いた。


響歌『…きゃっ!!』

いきなりの事に反射的に驚きの声をあげ
、その手を、肩を激しく動かして払いのける。


武田『わっ!』

後ろから聞き覚えのある声がして振り返ると、そこに立っていたのは驚いて目をシロクロさせているアパートの隣人の武田だった。
 
 

⏰:11/12/10 17:35 📱:Android 🆔:K/HY0xQ.


#743 [輪廻]
 
 
響歌『あっ、た、武田さん…』


武田『久しぶりぃ…。一体どうしたの?
私も驚いちゃったよ』

武田のすぐ下の地面には、驚いた拍子に落としてしまったと思われる、ほうきがあった。


響歌『すっ、すみません!』


武田『大丈夫よ。それよりそのリュック…またどこか泊まりにでも行くの?』


響歌『いえ…このアパートを引き払って実家に帰ろうと思ってるんです』

武田は当然理由を尋ねてきたので、響歌はこのアパートで死んだ者の事についての話をした。
 
 

⏰:11/12/10 17:37 📱:Android 🆔:Us.cY7T2


#744 [輪廻]
 
 
武田『あらそう…私もびっくりしたのよ。
奥村さんの時もそうだったけど、管理人さんまでもが殺されたって聞いた時はねぇ』

さすが噂話や世間話が好きなおばちゃんと言った感じか、武田は少し嬉しそうに喋る。


響歌『武田さんは…怖くないんですか?』


愚問だとは思ったが、彼女も女性なので、念のためにと聞いてみた。


武田『私? あはは!
そりゃ怖いに決まってるじゃないの!』

笑いながら即答する武田を見て響歌は“この人なら大丈夫だ”…直感的にそう思った。
 
 

⏰:11/12/10 17:39 📱:Android 🆔:Us.cY7T2


#745 [輪廻]
 
 
武田『でも村井さんがいなくなっちゃうとなんだか寂しいわ。
実家はどの辺りにあるの?』


響歌『あ、ここから20分くらいの所です』


武田『あらそう…じゃあおばさんに会いたくなったらいつでも来てちょうだいね』


響歌『…ありがとうございます』

気さくで明るい武田と話していると、今までの出来事などが最初からなかったように感じた。


そんな意味も込めた“ありがとう”を武田に言い、響歌は実家へと向かうー
 
 

⏰:11/12/10 17:41 📱:Android 🆔:Us.cY7T2


#746 [輪廻]
 
   
途中あの河原を歩いていると、上から一枚の紙が風に流されるように響歌の方に向かってきて、やがて足元にフワリと落ちた。


その白いA4サイズのくしゃくしゃになった紙には…

“高収入! 誰にでもできるアルバイト急募! 詳しくはコチラへ”と書かれ、担当者の名前などはなく電話番号だけが記されている。


響歌『……やめとこ』

“高収入”という響きに一瞬だけ心が揺らいだが、担当者の名前がないのはどう考えても不自然だと思い、その紙を拾い上げると、まるめて後ろにポイっと投げ捨てた。
 
 

⏰:11/12/10 17:43 📱:Android 🆔:PW2isk5o


#747 [輪廻]
 
 
数十分後―

高校を卒業してから出ていった実家の前に到着し、ドアの前で足を止めて深呼吸してからインターホンを押す。


  『はあい!』

ドアの向こうからした、久しぶりに聞く母の声に安心を覚える響歌。

そしてドアが開き、中から母が顔を覗かせた。


響歌『お母さん…久しぶり』


  『響歌じゃない! 久しぶり!』

お互いの顔を数秒間眺めた後、次に母の目に入ったのは、響歌が背中に背負った大きいリュック。
 
 

⏰:11/12/10 17:46 📱:Android 🆔:PrFZziwo


#748 [輪廻]
 
 
  『あれ、どこか旅行にでも行ってたの?』


響歌『ううん、違うよ。あのさ…』

前もって連絡しなかったせいで“アパート暮らしをやめてここに帰ってきた”とはなかなか言い出せない響歌だった。


すると母は、響歌がこれから言おうとした事を悟ったかのように、優しい目をして言った。


  『わかってるよ、響歌。
何も言わなくても…お母さんには』

そんな母の言葉で、響歌の目は涙で一杯になり、そんな響歌を母は優しく抱きしめた―
 
 

⏰:11/12/10 17:48 📱:Android 🆔:7tj.6SrI


#749 [輪廻]
 
 
中に入り、しばらくして落ちついた所で、母は一枚の紙を差し出した。


響歌『なに? これ』

そう言いながら、紙に目をやる。


響歌『……同窓会……?』

印刷された紙の上部分には大きめな文字で“桜丘中学3年A組・同窓会のお知らせ”と書かれていた。


  『昨日ファックスで送られてきたんだよ』


響歌『同窓会か…どうしようかな』

最近続いた出来事もあり、あまり乗り気じゃなさそうに言う。
 
 

⏰:11/12/10 17:50 📱:Android 🆔:7tj.6SrI


#750 [輪廻]
 
   
  『そうそう、ニュース見た?
アンタが通ってた中学校の先生が自殺したって』

母は突然、思い出したように言う。


響歌『う、うん…そうみたい』

その件に自分も関わっていたとは言えなかった。


  『名前は…望月って言ったっけ?
響歌、どんな人だったか覚えてる?』

今の響歌にとって、これほど戸惑う質問はなく…


響歌『……よく覚えてない』

と、そう一言だけ答えた。
 
 

⏰:11/12/10 21:46 📱:Android 🆔:ltKS0pug


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