†horror†
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#161 [輪廻◆j6ceQ96kak]
歩いて歩いて…
10分…。
20分…。
30分…。
ディスプレイには相変わらず圏外の文字。
時間は夜の19時を指した所だ。
体力に限界が来たのか、雪乃はその場に座り込んでしまった。
:11/05/23 15:25 :T004 :u6/4H1pA
#162 [輪廻◆j6ceQ96kak]
雪乃『もうだめ…無理』
響歌『雪乃、大丈夫?』
雪乃『このまま飢え死になるのかな…』
響歌『何弱気になってるの。さっき逃げる時私を引っ張ってくれたじゃん。嬉しかったんだからね』
雪乃『響歌…』
響歌『頑張ろうよ。こんな山の中で夜を過ごすなんて危なすぎるよ』
:11/05/23 15:29 :T004 :u6/4H1pA
#163 [輪廻◆j6ceQ96kak]
雪乃『そうだよね…。行こうか』
響歌『うん!』
雪乃はゆっくり立ち上がり、2人は再び歩き出す。
それから30分くらい歩いた所で、辺りはすでに暗い闇に包まれようとしていた。
その中で響歌の携帯電話の光だけが小さく浮かび上がる。
:11/05/23 15:37 :T004 :u6/4H1pA
#164 [輪廻◆j6ceQ96kak]
雪乃『なんか同じ所をずっと歩いてるみたいだよね…』
響歌『そんな事ないよ。山の中だし』
お互いの顔は携帯電話の光がなければ完全に見えない状態だった。
雪乃『そういえばさ…あの部屋にあったやつ何だったんだろうね?』
響歌『何かの死体…みたいだったよ。まさかとは思うけど…吉田さん?』
:11/05/23 15:44 :T004 :u6/4H1pA
#165 [輪廻◆j6ceQ96kak]
雪乃『優斗…』
響歌『あ、ごめん…なんか変な事聞いちゃったね』
雪乃『ううん、いいの』
会話はここで途切れ、しばしの沈黙が訪れた。
その沈黙を破ったのは匂いだ。
:11/05/23 15:48 :T004 :u6/4H1pA
#166 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『ねえ…この匂い…』
それは嗅ぎ覚えのある匂いだった。
それは、あの旅館の狼の間に漂った血なまぐさい異臭だ。
響歌『うっ!』
あまりの異臭に鼻をグッとつまんだ。
その異臭は2人の至近距離から放たれている。
しかし暗闇なので、どこに何があるのかハッキリと見る事はできない。
:11/05/23 15:54 :T004 :u6/4H1pA
#167 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『雪乃…?』
携帯電話の小さな光を辺りにちらす。
一瞬、光の先に何かの物体が見えた。
再び光を当てて確認する。
そこには黒くて焦げたような何かがあった。
異臭はその物体からしている事がわかった響歌は、思わずその場から後ずさりする。
:11/05/23 15:59 :T004 :u6/4H1pA
#168 [輪廻◆j6ceQ96kak]
雪乃『わっ!』
響歌『きゃっ!』
背後から雪乃が響歌の肩を掴んで驚かす。
驚いた響歌はその場にしりもちをつくようにして座り込んだ。
雪乃『ごめんごめん!』
響歌『もう! こんな時に…!』
雪乃『ごめんね。それよりこの匂いなんだろうね…』
:11/05/24 22:19 :T004 :OTDo2d3M
#169 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『あそこに何かあるよ…黒いのが…』
雪乃『ちょっと携帯貸して』
雪乃は響歌の指差す方に携帯電話の光を当てながら歩き出す。
雪乃『うわっ! なにこれぇ…』
響歌『ね? なんだろう…』
雪乃『何かが焼けたような…臭い!』
あまりの異臭にその場からとっさに離れる雪乃。
:11/05/24 22:25 :T004 :OTDo2d3M
#170 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『大丈夫…?』
雪乃『な、なんとかね…』
響歌『もしかしてあれって…あの女将が焼却炉で焼いた何かの死体だったりして…』
雪乃『まさか…。旅館からすごい離れたとこに来ちゃったし、それはないんじゃない…』
響歌『そ、そうだよね…』
:11/05/24 22:58 :T004 :OTDo2d3M
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