†horror†
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#568 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
 
 
 
追憶〜村井 響歌 16才〜
 
 
 
 
 
 

⏰:11/10/02 21:51 📱:S004 🆔:LMa5fxW2


#569 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
中学校3年間の内の2年を共に過ごしてきた桐谷蓮が中学卒業を機に遠くに引越し、小学校の頃から親友だった井本七瀬とは中学卒業後、それぞれ別の高校へ。


新しい高校生活のスタートは、響歌にとっては魔のスタートとなった。


全てのはじまりは、当時ほとんどの学校で話題になっていた


『出会い系殺人ネット』


先ほど見た警官の顔が響歌を過去へと誘った―

⏰:11/10/02 22:39 📱:S004 🆔:LMa5fxW2


#570 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
生徒A『ねえ、昨日のニュース見た?』


生徒B『見た見た! 女子高生が出会い系で会った男達に殺されたんだよね』


生徒C『やっぱ出会い系殺人ネットじゃない?』

…まただ。

デスカメラの時と同じ。


“デスカメラで撮影された者は1週間以内に必ず死ぬ”


普通の人にしてみればそんなのはただの迷信、実にくだらないと思うかもしれない。


私も最初はその一人だった。

⏰:11/10/03 00:57 📱:S004 🆔:2Pxn6/H.


#571 [我輩は匿名である]
全然怖くない。

内容がよくわからない。


=面白くない。

⏰:11/10/04 19:31 📱:W62P 🆔:.ni/x2UA


#572 [りん]
めっちゃ面白いし
話しわかりやすい

↑の人が理解出来てないだけ(笑)

⏰:11/10/05 00:05 📱:P08A3 🆔:8YJtt5.A


#573 [輪廻◆j6ceQ96kak]
>>571さん
はい、自分が一番わかっておりますm(_ _)m

意見などは以後どうかこちらでお願いします。

感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4968/


>>572さん
ありがとうございます。

もっとわかりやすいように書いていきますので、最後までお付き合いくださいm(_ _)m

⏰:11/10/06 12:51 📱:S004 🆔:BJ2RkxJg


#574 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
でも今の私はデスカメラの効果を信じざるを得なくなっている。


中学の時、私の親友がそのカメラで学校の担任を写した。


その担任は数日後、交通事故で亡くなった。


また、中学卒業を機に引っ越していった同級生の蓮のお兄さんもそのカメラを購入し、自分を撮影。


死にはしなかったものの、数日後に交通事故で脚を怪我し入院。


その夜、なぜか弟の蓮も原因不明の高熱で学校をしばらく休む事になった。

⏰:11/10/06 12:56 📱:S004 🆔:BJ2RkxJg


#575 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
これだけ不幸が続くのはただの偶然だとは思えなくなった私は、ここへきてデスカメラの効果に半信半疑になった。


熱が治まって学校に復帰した蓮から見せられた写真。


そこにはデスカメラで撮られたであろう、暗い部屋で寝ている蓮が写っていた。


それでデスカメラの効果に半信半疑だったのが確信へと変わりつつあった。


でも連鎖はまだ終わらなかった…。

⏰:11/10/06 12:57 📱:S004 🆔:BJ2RkxJg


#576 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
ある休日の夜、買い物の帰りに信号待ちをしていた私の身体を一台の車がはねた。


信号が青に変わり、渡ろうと足を一歩車道に踏み出したその一瞬に起きた出来事。


ボンネットにはね上げられた私の身体は軽く宙を舞い、やがて地面に思いきり叩きつけられた。


下半身に今まで経験した事のない激痛が走って、私はその場で意識を失った。

⏰:11/10/06 12:58 📱:S004 🆔:BJ2RkxJg


#577 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
目を覚ますと病院にいて、生きている事を実感した。


これもデスカメラの効果かもしれないと思ったけど、私はそのカメラで撮られた覚えはない。


よって、ただの偶然だと思う事にした。


それからデスカメラの話題はピタリと止み、身近で誰かが事故に巻き込まれたり死亡したという話は聞かないまま中学を卒業し、高校へ入った。


でも高校ではまたしても別の『出会い系殺人ネット』という噂が広まりつつある。

⏰:11/10/06 13:00 📱:S004 🆔:BJ2RkxJg


#578 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
この高校に入って数週間。


せっかく気持ちを切り替えて高校生活を過ごしていこうと思ったのに、こうもまた嫌な話が広まると正直嫌になる。


昨日、初めて噂になっている『出会い系殺人ネット』が関係した事件が起こったらしい。


でも私は出会い系サイトを通じた事件なんて珍しくはないだろうと特に気には止めていなかった。



『村井さん』

帰りの号令が終わり、教室を出ようとした私を誰かが呼び止めた。

⏰:11/10/06 13:02 📱:S004 🆔:BJ2RkxJg


#579 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
響歌『…黒川さん』

黒川さん…黒川奈穂さんは、高校受験の時に受験会場でふとしたきっかけで知り合った子だ。


このクラスで一緒になってからは休み時間に喋ったり、お昼に一緒にお弁当を食べたりと、仲良くしている。


響歌『どうかしたんですか?』

向こうから『タメ口でいいよ』と言われないとタメ口になれない私は未だに敬語を使う。


黒川さんも、逆に私からそう言われるのを待っているかもしれない。

⏰:11/10/06 13:05 📱:S004 🆔:BJ2RkxJg


#580 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
奈穂『村井さん…今日一緒に…帰れる…かな』

何やら困った様子で口ごもりながら聞いてくる。


響歌『いいですよ』

私が即答すると黒川さんはいつもの笑顔を見せた。


いつも通る河原を2人並んで歩く。


黒川さんに話しかけようと顔を見ると、なぜか辺りを警戒するように落ち着きなく左右を交互に見ている。

⏰:11/10/06 13:06 📱:S004 🆔:BJ2RkxJg


#581 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
響歌『…黒川さん?』


奈穂『…あっ! な、なんでしょう?』

私の声に必要以上に驚く黒川さんを見て、いつもの彼女じゃないとすぐ感じる事ができた。


響歌『どうかしたんですか?』


奈穂『い、いや…なんでもないの…』

手を小さく振り苦笑いしながら言う。


黒川さんの態度に違和感を感じつつも、追求する事なく別れ際まで歩いた。

⏰:11/10/08 16:45 📱:S004 🆔:vN/kwjkY


#582 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
河原を過ぎると、私の家がある住宅街が見えてくる。


響歌『じゃあ、私こっちなので』


奈穂『一緒に帰ってくれてありがとうございます』


響歌『あの…そろそろ敬語やめませんか? タメ口で!』

流れ的にチャンスだと思い、言いたかった事を思いきって吐き出した。

⏰:11/10/08 16:46 📱:S004 🆔:vN/kwjkY


#583 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
奈穂『あ、うん、そうですね…。じゃあ…改めてよろしくね』


響歌『…こちらこそ』

吐き出した途端、肩の力が抜けていくのがわかった。


それから黒川さんを姿が見えなくなるまで手を振りながら見送った。


高校に入って初めてできた友達。


これから彼女との友情を大事にしていこうと心に誓い、家に帰った。

⏰:11/10/08 16:50 📱:S004 🆔:vN/kwjkY


#584 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
その夜、お風呂からあがって部屋でぐうたらしていると、久しぶりにナナからの電話があった。


お互いの高校生活について語り明かし、気が付くと髪が自然に半乾きになるまで話し込んでいた。


響歌『…じゃあね』

通話を切って中途半端に湿った髪をドライヤーで乾かし、その日は眠りについた。

⏰:11/10/08 16:52 📱:S004 🆔:vN/kwjkY


#585 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
次の日学校に来ると、いつも早く来ているはずの黒川さんが登校していない。


昨日はなんともなかったような気がしたけど、今日になって風邪でもひいたのかと思い席に座って携帯電話を取り出し、前に交換した黒川さんの携帯番号に電話をかけた。


「おかけになった電話は電波の届かない場所にあるか…」

どうやら電源を切っているようだ。


なぜだか胸騒ぎがした。

⏰:11/10/08 16:55 📱:S004 🆔:vN/kwjkY


#586 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
“黒川さんに何かあったのではないか?”

不安が募る。


その時、あの名前が脳裏をよぎった。


“出会い系殺人ネット”


まさか次の被害者に黒川さんが…?


いや、単なる私の考え過ぎかもしれない。

⏰:11/10/08 17:00 📱:S004 🆔:vN/kwjkY


#587 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
でも昨日、下校途中の黒川さんの態度には終始違和感を感じていた。


黒川さんが私に一緒に帰ろうと言ってきたのは昨日が初めての事であることから、一人では帰りたくない理由が何かあったのだろうか。


それから休み時間やお昼の時間に彼女の携帯電話にかけたが、ずっと電源を切っているようで一向に繋がらない。


ここまでくると、ますます不安が高まる。


胸騒ぎが収まらず、真意を確かめたくなった私は休み時間、学校に黒川さんから連絡が来てるか確認する為に担任がいる職員室へ向かった。

⏰:11/10/08 17:02 📱:S004 🆔:vN/kwjkY


#588 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
響歌『失礼します…川島先生はいますか?』

ノックして入り担任の名前を呼ぶと、背を向けていた先生がすぐに振り向いた。


『村井…どうかしたか?』

私はすぐに先生の元に駆け寄って単刀直入に聞いた。


響歌『あの、黒川さんって今日はどうして欠席なんですか?』


『ああ、黒川か? 実は今、連絡が取れない状態なんだ。家にかけても誰も出ない』

それを聞いて、やっぱり黒川さんの身に何かあったんだと確信する。

⏰:11/10/08 17:04 📱:S004 🆔:vN/kwjkY


#589 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
響歌『あの、黒川さんの家の住所教えてください。帰りに行ってみます』


『おお、頼めるか。ちょっと待っててくれ』

先生は自分のデスクに行き調べものをした後、紙に何かを書いてそれを私に手渡した。


『ほい、ここな』

渡された紙には黒川さんの家の住所がボールペンで走り書きされている。

⏰:11/10/08 17:05 📱:S004 🆔:vN/kwjkY


#590 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
紙を制服のポケットにそっとしまって教室に戻った。


放課後、私は学校を出てすぐに住所が書かれた紙と携帯電話のナビを見ながら黒川さんの家へ向かう。


響歌『ここかな?』

どこにでもある木造二階建ての一軒家の前で足を止めて表札を見る。


“佐伯”

名字が“黒川”ではない事から家を間違えたのかと思ったが、携帯電話のナビは間違いなくこの場所を示していた。

⏰:11/10/08 17:07 📱:S004 🆔:vN/kwjkY


#591 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
インターホンを押して、もしも違ったらどうしようかと思いつつも、その佐伯と書かれた表札の家のインターホンを押した。


しかし数分たっても誰かが出てくる様子はない。


やはり留守なのだろうか。


仕方なく、先生から渡すように頼まれていたプリントを郵便受けにいれて回れ右をして帰ろうとした時、通行人のおじさんと目が合ってしまった。

⏰:11/10/09 12:31 📱:S004 🆔:mzPsbm9g


#592 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
怪しい人に見られたかもしれないという不安にかられる。


5秒くらい時が止まったようにおじさんと目を合わせた後、そのおじさんは私の元に歩み寄り一言切り出した。


『ここの人に何か用なのかい?』


響歌『え、えっと…』

やはり家を間違ったのかもしれない。

⏰:11/10/09 12:32 📱:S004 🆔:mzPsbm9g


#593 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
でもこのおじさんはここらへんに住んでる人っぽいので、もしかしたら黒川さんの事を知っているかもしれない。


響歌『あ、あの…ここらへんに黒川さんという人の家はありませんか?』


『黒川? それならそこでいいんだよ』


響歌『あ…そうなんですか』

おじさんの言葉を聞いた限り、黒川さんの家はここで間違いはないらしい。


ホッと胸を撫で下ろしてから、私は更に話を聞く事にした。

⏰:11/10/09 12:34 📱:S004 🆔:mzPsbm9g


#594 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
響歌『あの、黒川奈穂さんはここに一緒に住んでるんですか?』


『そーだよ。ばあさんとお母さんと3人で暮らしてるよ。奈穂ちゃんの兄ちゃんもいるけど、かなり前に家を出ていってもういないみたいだよ。どこで何をしてるんだかね』

お父さんがいないのが気になるけど、何か事情があるのかもしれないと深くまで聞かなかった。


『お母さんはいつも朝から仕事で家を空けてるよ。だから奈穂ちゃんも寂しいだろうさ』


響歌『でもおばあちゃんもいるんですよね?』

私がそう言うとおじさんはかゆそうな顔をし案の定、首筋をポリポリとかいた。

⏰:11/10/09 12:36 📱:S004 🆔:mzPsbm9g


#595 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
『ここだけの話、ここのばあさんはちょっとおかしいんだよね。たまに朝散歩してるの見かけるけど、近所の人と会っても挨拶もしない。それになんか魚が死んだような目でぼーっとしながら歩いてるんだよ。あれは完全にイっちゃってるだろうね』

嬉しそうに話すおじさんに少し腹が立ってきたが、なんとか抑えた。


響歌『そうなんですか…。ところで奈穂さんってどこにいるか知りませんか? 今日学校に来てなかったんで…』


『あれ、おかしいね。奈穂ちゃんとなら今日の朝会ったよ。制服もちゃんと着ていたし、ワタシにもちゃんと挨拶していったし』


黒川さんを見たのは朝。

制服は着ていたものの学校へは登校していない。

⏰:11/10/09 12:38 📱:S004 🆔:mzPsbm9g


#596 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
家の人に、学校へ行ってくると嘘をついてまでどこか行く所があったのか、それとも学校へ向かう途中で彼女の身に何かが起きたのか…。


電話が繋がらないのも、もしかしたら家や学校から黒川さんの携帯電話に連絡が来るのを断つため?


それとも、何者かに襲われて携帯電話を手にして警察へ電話しようとした所で犯人に取られて電源を切られてしまったのか…?


いや、嫌な方向へ想像を膨らませても仕方がない。


響歌『あの! 奈穂さんが行きそうな場所とか…心当たりとかありませんか?』


『…さあね。でも奈穂ちゃんが学校を休むなんて珍しいな。何か事情があるんじゃないかい?』

おじさんに聞けるのはこれくらいだろう。


私は軽く礼をし、黒川さんを探す為、その場から走り出した。

⏰:11/10/09 12:40 📱:S004 🆔:mzPsbm9g


#597 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
電話を何度もかけながら探した結果、結局黒川さんを見つける事はできないまま夜を迎えた。


響歌『はあはあ…』

こんなに走ったのは、小学校の時のマラソン以来だ。


あの河原に座り込んで呼吸を落ち着かせる。


なんとか落ち着いてきたと思っていた時、後ろから『ガシャン』と自転車を止める音がして誰かが私に近づいてくるのを感じた。

⏰:11/10/09 12:41 📱:S004 🆔:mzPsbm9g


#598 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
その気配に私は反射的に後ろを振り返る。


もしかしたら黒川さん?という期待を膨らましたが、そこにいたのは中年の男の警察官だった。


『こんな所で何をしてるの? 制服着たままだけど、どこの学校?』

警官の職務質問は厄介だが、答えなければすんなりと帰れそうにもないので、生徒手帳を提示してから警官の出す質問に全て答えた。

⏰:11/10/09 12:42 📱:S004 🆔:mzPsbm9g


#599 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
『…ふうん、なるほどね。で…そのいなくなった友達は名前なんていうの?』


響歌『はい、黒川奈穂さんといいます』


『黒川奈穂ね…。わかった。警察の方でも調べてみるから、君はもう帰りなさい』

10分ほどの職務質問を終えた後、私は解放された。

⏰:11/10/09 12:43 📱:S004 🆔:mzPsbm9g


#600 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
家に着いてからも、黒川さんの事が頭から離れない。


女子高生が1日中ずっと携帯電話の電源を切っているなんてあり得るのだろうか。


ただの電池切れという可能性はあるが、今はもう夜9時で普通ならば家に帰っているはずだ。


その日は当然、眠れるはずもなかった。


ベッドの傍で体育座りになり携帯電話を片手に黒川さんから連絡がくるのをずっと待っていたんだ―

⏰:11/10/09 12:44 📱:S004 🆔:mzPsbm9g


#601 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
午前6時―


結局、黒川さんから連絡が来ないまま朝になった。


一睡もしていないせいで私の目はうつろだ。


ふらふらと立ち上がり、おぼつかない足で階段を下りて真っ先に洗面所へ向かう。


眠気はないが、頭がぼーっとする。


ずっと起きているなんて初めての体験で慣れていないせいかもしれない。

⏰:11/10/09 13:11 📱:S004 🆔:mzPsbm9g


#602 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
洗面台で冷たい水で顔をバシャバシャと洗い、鏡で自分の顔を見る。


なんて疲れた顔をしているんだろう。


よく見るとニキビがいくつかできている。


でも今は黒川さんの事だけが気がかりだ。


私は今日、早めに家を出て黒川さんの家をもう一度訪れる事にした。

⏰:11/10/09 13:20 📱:S004 🆔:mzPsbm9g


#603 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
昨日のおじさんの話によると、この家にはおばあさんと黒川さんと、黒川さんのお母さんの3人が暮らしているとの事だ。


家の表札が“佐伯”となっているのが特に気になった。


黒川さんのお母さんは朝から仕事に行くという事なので、今インターホンを鳴らせば出てきてくれる可能性はある。


私は迷わずインターホンを押した。

⏰:11/10/10 19:33 📱:S004 🆔:XJq82qMk


#604 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
しばらくするとドアが『ギイイイ』と軋む音をたてながら開かれ、中から腰を低くかがめた白髪のおばあさんが現れた。


響歌『あ、あの…』

なんというか、そのおばあさんから伝わってくる不気味な空気と雰囲気に思わず声が震える。


『…………』

おばあさんは警戒した様子で黙って私を下から睨みつけていた。

⏰:11/10/10 19:34 📱:S004 🆔:XJq82qMk


#605 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
何秒くらい見つめ合っただろうか。


10秒?


20秒?


そんなの数えている余裕なんてなかった。


おばあさんが初めて口を開いたのは、ちょうど私が耐えられず目を背けた時だ。


『……誰だ?』

男性のような低い声で問いかけてきたのは。

⏰:11/10/10 19:35 📱:S004 🆔:XJq82qMk


#606 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
響歌『…あ。わ、私、黒川奈穂さんと同じクラスの村井といいます!』

おばあさんがいきなり喋り出した事に驚いて、しどろもどろに返事してしまった。


少しの沈黙が続いたあと、おばあさんは私の顔と体を交互に見てから『入りな』と言わんばかりの仕草をし中に入っていった。


私も自然に体が動いて、ひきつけられるようにその後についていく。

⏰:11/10/10 19:39 📱:S004 🆔:XJq82qMk


#607 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
足を踏み出す度にギシギシと音がする廊下を歩いて、このおばあさんのと思われる畳のある和風の部屋に通されて座布団に座る。


他に人のいる気配はない。


部屋を見渡していると、壁に掛かっている古びた時計を発見。


午前7時38分―


黒川さんのお母さんは、朝の7時前にはもう家を出ているのだろう。


あのおじさんの言う通りだ。

⏰:11/10/10 19:41 📱:S004 🆔:XJq82qMk


#608 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
それにしてもこのおばあさん、ちょっとおかしい人だと近所の人達から思われているようだが、私にはそうは見えない。


なんというか、ただ人とコミュニケーションをとったりするのが苦手なだけのように思えた。


『…茶、いるか?』

そう言って立ち上がろうとするおばあさんに


響歌『あ、いえ大丈夫です。お構い無く…』

と、座ったばかりでまた立たせるのも悪いと思い丁寧に断った。


時間もあまりないので、黒川さんの事を聞いてさっさと学校へ行こう。

⏰:11/10/10 19:55 📱:S004 🆔:XJq82qMk


#609 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
響歌『ええと…おばあさん』


『佐伯…栄(ひで)だ』


響歌『あ、すみません…』

“おばあさん”と呼ぶのに少し抵抗があったので、名前を聞けて安心した。


響歌『あの…栄さんは黒川奈穂さんとどういう関係なんですか?』

なんか雑誌の記者になった気分だ。


栄さんは私の質問に表情を一つ変える事なく答えてくれた。

⏰:11/10/10 19:57 📱:S004 🆔:XJq82qMk


#610 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
  『…奈穂はアタシの孫だ。とってもいい子で強い子だが、母の実和子はいつも朝っぱらから仕事で帰ってくるのはいつも夜遅い…。寂しいんだろうが、奈穂はそういう感情を母に一度もぶつけた事はない』


響歌『…そうなんですか。あの、ちなみに奈穂さんのお父さんは?』


  『…拓郎はアタシの息子だったが、奈穂がまだ小さい時に事故に巻き込まれて死んでしまったよ』

そう少し寂しげに話す栄さんを見て、辛い事を聞いてしまったなと後悔が襲った。

⏰:11/10/11 23:07 📱:S004 🆔:q2gX470I


#611 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
響歌『最後にいいですか? 奈穂さんにはお兄さんもいると聞きました。そのお兄さんは…?』


  『…望(のぞむ)か。望は、すでに独立してもうここにはおらんよ。最近連絡が全くないのが気がかりだが…。ま、元気でやってればいいがな』


響歌『ありがとうございました…。あの、ところで奈穂さんが昨日学校に来なかったんですけど、どこに行ったか知りませんか? 家にも帰ってきてませんよね?』


  『…ああ。昨日、学校へ行ってくると言ったきり帰っていない』

それから彼女が行きそうな場所など心当たりを聞いてみたが、栄さんにはわからないとの事だ。

⏰:11/10/11 23:10 📱:S004 🆔:q2gX470I


#612 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
黒川さんが帰ってきたらすぐ私の携帯電話に連絡をくれるように伝言を頼んで栄さんの家を後にし、早足で学校へ向かう。


その日の夜、再び黒川さんを探す為、彼女の家の周りを歩いている時の出来事だった。


  『…ねえ。村井響歌ちゃん?』

背後から突然私の名前を呼ぶ声が聞こえて後ろを振り返ると、20代前半くらいの背の高い男の人が立っていて私をじっと見つめていた。

⏰:11/10/11 23:15 📱:S004 🆔:q2gX470I


#613 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
響歌『だ、誰ですか?』

私には全く見覚えのない男性。


当然の質問をすると男性は『やっぱりか』という表情を見せた。


なにやら気味が悪いので、逃げようと背を向けた時


  『君が探してる人は、黒川奈穂?』

…なぜこの人が黒川さんの名前を?


私は再び男性の方を向き、改めて問いかけた。


響歌『あ、あなた誰なんです…か?』

声が震える。

⏰:11/10/11 23:24 📱:S004 🆔:q2gX470I


#614 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
  『どうでもいいじゃない。それよりも黒川奈穂を探してるんでしょ? 会わせてあげようか?』


響歌『え…?』

黒川さんは生きている?


男性が『ついてきなよ』と言って歩き始めたので、私もその後についていった。



歩いて数十分―


住宅街からだいぶ離れ私の目に飛び込んできたのは、多くの木々と雑草に囲まれた人のいる気配が全く感じられない古く寂れた家…いや、廃屋と呼ぶべき場所。


この中に黒川さんが…?

⏰:11/10/11 23:34 📱:S004 🆔:q2gX470I


#615 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
  『さ、どうぞ』

言われる通りに入口の方に向かい、ドアノブに手をかける。


ドアは佐伯さんの家よりも大きな『ギイイイ』という音と共に開かれた。


そっと中を覗くと、廃屋とは思えないほど家としての原形をしっかりと留めている。


  『靴のまま入っていーよ』

私の後ろで楽しそうな口調で男性が言う。

⏰:11/10/11 23:38 📱:S004 🆔:q2gX470I


#616 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
廊下を靴をはいたまま歩いていくと、奥にある襖と襖の間から小さく明かりがこぼれているのが見える。


『もしかして黒川さん?』と思い、急いでその部屋の前まで駆け寄った。


響歌『黒川さん!』

叫ぶように言いながら両手で襖をサッと開ける。


奈穂『む、村井さん…』

そこに黒川さんの姿はあった。


座椅子に座っていて、なにやら飲み物がはいった紙コップを手にして平然とした表情で私の顔を見上げている。

⏰:11/10/12 00:06 📱:S004 🆔:QnQd350.


#617 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
響歌『黒川さん…大丈夫!? 早く逃げなきゃ…』

あの男が黒川さんをここに監禁しているんだと判断した私は彼女の元へ行き、腕を引っ張ろうとしたが…


奈穂『ま、待って村井さん!』


響歌『…黒川さん?』


奈穂『そ、そこに座ってください』

こんな状況で何を言っているのだろう。


早く逃げなければあの男に何をされるかわからない。

⏰:11/10/12 00:10 📱:S004 🆔:QnQd350.


#618 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
その時、私のすぐ横にあの男が立ち、意味不な発言をする。


  『奈穂。村井響歌ちゃんをつれてきたよ』

…え?連れてきた?

私はすぐに男の方を見て当然の疑問をぶつける。


響歌『ど、どういう事ですか…?』


  『奈穂から聞きなよ』

私はどんな状況なのかを理解する為、黒川さんの向かい側に座った。

⏰:11/10/12 00:18 📱:S004 🆔:QnQd350.


#619 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
奈穂『村井さん…私の事心配してくれてたんですね…』


響歌『当たり前じゃん! それよりも、これは一体どういう事なの?』

黒川さんはもの悲しげな表情で語り出す。


奈穂『…私のお母さんはいつも朝から仕事で、夜帰ってきても疲れたと言って私とは全く話してくれないし、いつもほったらかしです。休みの日もお昼からお化粧してどこかに出掛けたりしてるんです』

…もう話が見えてきた気がしたが、今はまだ彼女の話を黙って聞く事にした。

⏰:11/10/12 00:22 📱:S004 🆔:QnQd350.


#620 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
奈穂『でも今ならお母さんが休みの日に何をしに行っているのかわかる気がします。昨日は仕事休みのはずなのに急に仕事がはいったと言って朝から出掛けたので気になって後をつけました。そしたら知らない男の人と待ち合わせしてたみたいで、2人で楽しそうに歩いていったのを見たんです』


響歌『…だから昨日は学校に来てなかったの?』


奈穂『はい…。心配かけて本当にごめんなさい!』

黒川さんの事情は理解した。


全てはお母さんの行動を知る為、そしていずれは自分が行方不明になる事でお母さんに心配して探しにきてもらえるか否かを試していたんだ。

⏰:11/10/12 00:28 📱:S004 🆔:QnQd350.


#621 [輪廻◆Laf0611CWs]
 
 
響歌『それで…お母さんからは?』


奈穂『さっき、ずっと切ってた携帯電話の電源つけてみたけど…お母さんからの電話は一回も来ていなかった…』

子供より仕事が優先な親…

私も彼女の気持ちがわかる。


私のお父さんも似たようなものだから。

⏰:11/10/16 15:06 📱:S004 🆔:IpVLkEZ2


#622 [輪廻]
 
 
そんな仕事ばかりのお父さんが嫌で、小学生の頃に一度だけ家出をした事がある。


お母さんは必死に私を探してくれたけど、お父さんは心配してくれる事も…叱る事すらもしてくれなかった。


だからそういう親に心配をかけさせて、子供の自分ともう一度向き合って欲しいと願う黒川さんの気持ちは痛いほどわかる。


でも―


奈穂『村井さん?』


響歌『……おばあちゃんが心配してるよ。家に帰ろう?』


奈穂『…………』

私がそう言った途端、黒川さんはうつむいて黙ってしまった。

⏰:11/10/16 15:26 📱:S004 🆔:IpVLkEZ2


#623 [輪廻]
 
 
そして、衝撃的な言葉を言い放つー


奈穂『私は…もうすぐ死ぬの』


響歌『…え? 死ぬ…って?』


奈穂『3日前にメールが来たの…。“1週間以内にあなたを殺しに行く”って…』


響歌『そ、そんなのただのイタズラだよ。ほら、チェーンメールってあるでしょ? それと同じようなものだよ』


奈穂『じゃあ…なんで私の名前を知ってるの!?』

ここで初めて黒川さんが声を荒げた。

⏰:11/10/23 10:36 📱:Android 🆔:KFSenJ12


#624 [輪廻]
 
 
奈穂『村井さん教えてよ…』


響歌『それは…』

当然私にはわかるはずもないけど、1つだけ黒川さんの名前を知っている上で送られた方法はある。


響歌『黒川さんの名前を知ってるって事は、そのメールを送ってきたのは黒川さんの知り合いとかじゃないかな…』


奈穂『でも! 知らないアドレスだし…』


頭を抱えて苦しそうにしている彼女に、これ以上何も言う事ができなかった。

⏰:11/10/23 10:52 📱:Android 🆔:KFSenJ12


#625 [我輩は匿名である]
更新されてるー♪
すごくおもしろいです!
これからも頑張ってください(*´ω`*)

⏰:11/10/24 03:09 📱:Android 🆔:OtO7k5iw


#626 [我輩は匿名である]
自演乙。

⏰:11/10/24 17:04 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#627 [我輩は匿名である]
>>626
なんでわかるの?機種が同じなだけ。

⏰:11/10/24 17:18 📱:T008 🆔:Qz3X89IU


#628 [輪廻]
すみません、完結までの間オーダー設定させてもらいます。
ーーーーーーーーーー


奈穂『ごめん…悪いけど今日はもう帰って…』


響歌『…黒川さん、明日学校で待ってるよ』

下を向く黒川さんにそう言い残して、廃屋を後にした。


彼女にきた“殺しに行く”というメール。


私は当然半信半疑…というよりもほぼ、ただのイタズラだと思っていた。


でもそれから2日後の夜、私はその光景を目撃することになる。

⏰:11/10/25 13:29 📱:Android 🆔:nQ5kCmAk


#629 [輪廻]
 
 
2日後の土曜日、再び黒川さんに会う為に彼女の家を訪れたが祖母の栄さんから、あれから一度も家に帰ってきていないと言われた。


そうなると黒川さんはあの廃屋にいるはずと思い、暗い夜道を向かって歩く。


そしてあのボロボロの外観が見えてきた時だ。


入口の辺りにうっすらと何人かの人影が見えた。

⏰:11/10/27 01:59 📱:Android 🆔:51fU2zxo


#630 [輪廻]
 
 
人数は3人ほどか。

背の高さから女性ではない事はわかる。


しばらくして中からもう1人、男が出てきた。


暗くてよくわからないけど、その男は何かを引きずっているように見える。


目をこらしてよく見ると、中から引きずり出してきたものが“人”だという事がわかった。

⏰:11/10/28 17:55 📱:Android 🆔:M5pCfIMw


#631 [輪廻]
 
 
私はそんな光景に声が出なくて、同時に嫌な汗が流れる。


怖くなった私は震えた足でその場から逃げようと後ずさりした時、地面にある木の枝か何かが、かかとにつっかかって転んでしりもちをついてしまった。


同時に『ガサッ』と木の葉を踏み潰す大きな音がして、一気に血の気が引く。


恐る恐る廃屋の入口の方を見ると、私の存在がバレてしまったのか、男がゆっくりとこちらに向かって歩いてきた。

⏰:11/10/28 18:07 📱:Android 🆔:jlIYUM8g


#632 [輪廻]
 
    
立ち上がろうとするものの、震えて思うように立てなくなった私は必死にその場から後ずさりした。


男は段々と私の方へと近づいてくる。


『私、殺される…?』

そんな言葉が頭の中をかけめぐった。


そして、ついに男は目の前にー
 
 

⏰:11/11/08 13:47 📱:Android 🆔:IhCj.3XI


#633 [輪廻]
 
 
暗がりの中でもハッキリとわかった。

男は笑っている。

口元をニヤリとさせているのもしっかりと見えていた。


  『…大丈夫?』

そう言いながら男は私の肩をポンと抑えた。
 
 

⏰:11/11/08 13:55 📱:Android 🆔:IhCj.3XI


#634 [輪廻]
 
 
そしてもう片方の手を差し伸べる。


この人は何を考えているのかわからなかったが、とりあえず立たないとと思って差し伸べられた男の手を握って、その場からゆっくりと立ち上がった。


お尻についた木の葉などを手で払ってから、再び男の顔を見る。


全く見覚えのない顔。

年齢は20代後半くらいか。

黒いフード付きパーカーに黒いズボンと、いかにも怪しい容姿。
 
 

⏰:11/11/08 14:10 📱:Android 🆔:zYkpmFe6


#635 [輪廻]
 
 
響歌『こ、こんな所で何をしてるんですか…?』

思いきって聞いてみると、男はさっきよりも大きく口元を歪ませ不気味に笑いながらこう言った。


  『…ここで僕達を見た事は秘密だよ?』

そう言い残して男は再び廃屋の入口の方へと戻っていった。
 
 
 
 

⏰:11/11/09 11:59 📱:Android 🆔:s3dH2Ves


#636 [輪廻]
 
 
別の男が廃屋の中から引きずり出してきた人が誰なのか知る術はなく、震えた足で回れ右をし、私は逃げるようにして走り出した。


もしあれが黒川さんの死体だったら…?


帰り道でそんな事ばかり考えてしまい、その日は胸騒ぎが収まらなかった。
 
 

⏰:11/11/09 12:13 📱:Android 🆔:muhIY0CY


#637 [輪廻]
 
 
結局その夜は一睡もできずに翌日の朝を迎える。

朝から強く激しい雨が降りしきり、所々で雷の光と共に大きな音が鳴る。


今の私の心はこの空と同じく雷雨が轟いていた。


今日は日曜日。

私は朝ご飯も食べず、ベッドの毛布を頭から被りながら昨夜の事を考えていた。
 
 

⏰:11/11/09 12:37 📱:Android 🆔:hlL3mehU


#638 [輪廻]
 
 
あれは黒川さんなのだろうか?


出会い系殺人ネットの標的としてあの男達に殺されてしまったのか?


それにしても、私に近づいてきた男性はなぜ私を生かして帰してくれたのだろうか?


考えれば考えるほど頭が混乱する。


そんな時、枕元に置いてある携帯電話の着信音が鳴った。
 
 

⏰:11/11/10 17:01 📱:Android 🆔:QCqL1Lm.


#639 [輪廻]
 
 
被っていた毛布を勢いよく払いのけ、携帯電話のディスプレイを見る。


画面には“黒川さん”の文字。

黒川さんからの電話だった。


…黒川さんは生きている?

そんな少なからずの期待をし、一つ息をのんでから通話ボタンを押して電話に出た。


だが向こうが発した声と言葉で、私の期待は見事に裏切られる。
 
 
 
 

⏰:11/11/10 17:03 📱:Android 🆔:QCqL1Lm.


#640 [輪廻]
 
 
『もしもし? 警察の者ですが、少しお話 を伺わせてもらっていいですか?』

嫌な予感は的中した。

黒川さんの携帯電話から警察が電話をかけ てくるという事は…


響歌『あの…黒川さんは…?』

彼女の生死の状態はわかりきっているはず なのに、自分でも認めたくなくて思わず聞 いてしまった。

⏰:11/11/10 17:06 📱:Android 🆔:QCqL1Lm.


#641 [輪廻]
 
 
『今朝方、彼女の遺体が山中で発見されました。遺体から少し離れた場所でこの電話も見つかり、着信履歴から最後に電話があったのがアナタの番号だったので何か知っている事があると思い、こうして電話をかけたのです』

そう告げられた瞬間、私は放心状態になり片手に持っていた携帯電話をぽとりと落とした。


その電話口からは警察の人の『もしもし?』という言葉が何度も連呼されている。


数分そんな状態が続いた後、携帯電話を手に取ると通話はすでに切れていた。
 
 

⏰:11/11/10 17:14 📱:Android 🆔:.54zK52w


#642 [輪廻]
 
 
響歌『黒川さん…』

自分を悔やんだ。

あの時彼女が言った事を私は話半分で聞いていた。


デスカメラの時と同じ。

今回も私の周りで人がまた一人…消えた。


携帯電話に一滴の涙がこぼれ落ちる。


それからは言うまでもなく、大きな声で子供のように泣きじゃくった。
 
 

⏰:11/11/10 17:26 📱:Android 🆔:44gYKaK6


#643 [輪廻]
 
 
私の泣き声に気がついたお母さんも来たけど、いっぱいいっぱいで何も話す事ができずお母さんの胸に飛びついて…とにかく泣いた。



その数時間後、私が迷う事なく向かったのは近くの交番。


昨夜見た事を全て話したんだ。


あの男に『僕達を見た事は秘密』と言われたが、別に忘れていた訳ではない。


くだらない出会い系殺人ネットとやらで亡くなった黒川さんが少しでも浮かばれるなら何だってするって決めただけ。
 
 

⏰:11/11/10 17:28 📱:Android 🆔:44gYKaK6


#644 [輪廻]
 
 
昨日起こった事はおそらくこうだ。


黒川さんはあの廃屋に一人でいた。


そこにあの男達が現れ、黒川さんを殺した。


男達は彼女の死体を山に捨てに行く為、中から死体を出そうとする。


その頃に丁度私が来た。


そして偶然にも私はその場面を目撃してしまう。
 
 

⏰:11/11/10 17:32 📱:Android 🆔:44gYKaK6


#645 [輪廻]
 
 
全ては私の想像に過ぎないけど、少しでも手がかりになればと思って警官に話した。


すると最後に警官から思わぬ言葉が返ってくる…


『話してくれてありがとうね。でも…約束はちゃんと守らないと駄目だよ?』

そう言って深く被っていた帽子のつばをゆっくりとあげる警官。


響歌『…えっ!?』


その警官の顔は、まさに昨夜見たあの男だった―
 
 

⏰:11/11/10 17:34 📱:Android 🆔:44gYKaK6


#646 [輪廻]
 
 
ニヤリと笑うその口元は昨日と全く同じ。


男は制服のポケットから黒い携帯電話を取り出し、私に見せた。


『誰の携帯電話なのかは聞かなくてもわかるだろ?』と言うように男が目で訴える。


響歌『それ…』


  『…当ったり。黒川奈穂のものだよ』

ストラップの部分を持って本体をブラブラとさせながら、からかい口調で言う。
 
 

⏰:11/11/10 23:42 📱:Android 🆔:4CCwSVHs


#647 [輪廻]
 
 
響歌『あなた達が黒川さんを…』

急に怒りが込み上げてきて、気がついたら男に飛びかかっていた。


だけど、戻ってきた別の警官によって私は取り押さえられ事情を聞かれる事に。


あの男はその警官と入れ替えでパトロールに向かった。



最後に私にあの笑みを浮かべて―
 
 

⏰:11/11/10 23:44 📱:Android 🆔:4CCwSVHs


#648 [輪廻]
 
 
 
 
 
追憶・完
 
 
 
 
 

⏰:11/11/10 23:46 📱:Android 🆔:4CCwSVHs


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