悪魔と天使の暇潰し
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#108 [匿名]
「まあ、あの人でいいよね?次のターゲット。」
俺の主張は軽く流され、そしてターゲットが決まった。
人間の歳で言ったら、俺達とターゲットは同じくらいの年代。楽しみだ。
「じゃあ早速!」
誰に言った訳でもない。ただの自分の気持ちと行動の確認だ。
:11/05/30 21:13 :F06B :41UHEYEQ
#109 [匿名]
下に降りると、そこは人混み。
ここは渋谷という所らしい。派手な格好をした若者がうようよといる。
「人混みは嫌いだ。」
俺の隣から聞き慣れた声。あいつもついてきていた。
「何で一緒なんだよ。」
「今回は一緒の方がいいと思ってね。」
表情を変えずに、人を上手く避けながら歩くあいつが、何だかむかつく。
:11/06/01 14:51 :F06B :FrXz0ia2
#110 [匿名]
こいつに構っていたら、ターゲットを見失ってしまう。それほどの人混みだったから、すぐに目線を前方に戻した。
人間5人分程先を歩くターゲットは、この人混みに慣れている様だ。
事件は突然だった。
きっと周りの人間は驚いただろう。
俺達の前にいた小太りなサラリーマンが倒れた。
:11/06/01 14:53 :F06B :FrXz0ia2
#111 [匿名]
落ちているゴミにつまずいたのではない。脂肪のついた腹が邪魔で、脚が絡まったわけでもない。
刺されたのだ。
綺麗に心臓を刺されている。もう死んだだろう。
ターゲットは人が刺されたというのに興味も示さず、さっきと変わらないペースで歩いて行く。
:11/06/01 14:54 :F06B :FrXz0ia2
#112 [匿名]
「あいつ何者だ?」
「さぁ?とりあえず追い掛けよう。」
ターゲットは駅に向かっていた。
さっき倒れた男の周りには、人が円を作って見ていた。交差点内だっていうのに、人はそこから退こうとしない。
何が起こっているのか分からない車の運転手は、何度もクラクションを鳴らしている。
騒がしい。
:11/06/01 14:56 :F06B :FrXz0ia2
#113 [匿名]
犬の像の前あたりで、ターゲットに追い付いた。
ターゲットの右には俺。左にはあいつ。自然な流れで隣を歩いた。
「何か用?」
最初に口を開いたのはターゲットだった。俺達二人の動きを把握していた。
「なんだ。わかっていたのか。」
あいつは微笑みを絶やさない。いや、そういう真顔なのかもしれない。
:11/06/01 14:58 :F06B :FrXz0ia2
#114 [匿名]
「なかなかやるじゃん。」
俺もターゲットに微笑みかける。頑張って。
「はい?二人が知り合いなのは分かってる。話声がさっきから聞こえていたからな。」
ああ。人混みでも俺達の言い合いは筒抜けだったらしい。
「そうじゃないよ。」
すかさずあいつが言う。
:11/06/01 14:59 :F06B :FrXz0ia2
#115 [匿名]
「お前だろ?あのオッサン刺したの。」
あいつが言う前に、そう言ってやった。
ターゲットは驚いた顔をした。まさかバレるとは思わなかったのだろう。
「何のこと?」
しらを切るのは当たり前だ。
「お前さ、初めてじゃないだろ?ああやって、人を殺すの。」
:11/06/01 15:02 :F06B :FrXz0ia2
#116 [匿名]
そう俺が言うと、
「でも誰かにバレたのは、今回が初めてでしょ?」
と、あいつもすかさず口をはさんだ。
「言ってる意味が良く分からないんだけど?」
鼻で笑うターゲットは、演技が上手い。
「大丈夫。少なくとも、こいつはお前の味方だ!」
言いながら、あいつの肩を後ろからポンと叩いた。隣にターゲットがいるから叩きづらい。
:11/06/01 15:05 :F06B :FrXz0ia2
#117 [匿名]
「そうだね。僕は君を守る資格がある。」
嫌な顔で俺を見た。
「何から?」
守ってもらわなくても、俺は一人で平気だ。と考えているのだろう。興味のない顔だ。
「悪魔から。」
あいつはそう言うと、ターゲットの顔の前に手を出して、その向こう側にいる俺を指差した。
:11/06/01 15:06 :F06B :FrXz0ia2
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