悪魔と天使の暇潰し
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#184 [匿名]
「いや、俺は逃げねぇよ?」

カッコつけんなよ!とターゲットが俺を睨んだ。

「今ここでお前に死なれちゃ困んだよ。…明後日自殺してもらうんだからなー」

冗談に聞こえないように、真顔でターゲットを見た。

「どっちみち俺は死ぬしかねーのか?」

「ああ。そういう事になる」

「だったら今殺されても俺からしたら変わんねぇな?自分で命を捨てるより、誰かに殺られる方が、意外にマシかも」

ターゲットが鼻で笑う。

⏰:11/07/14 12:43 📱:F06B 🆔:mPWudR..


#185 [匿名]
「うるせぇ!ごちゃごちゃ言ってねぇで生きやがれ!」

ターゲットの意外な言葉に上手く返せなかった俺は、生きやがれ!と悪魔らしからぬ事を叫んでいた。

「お前意味わかんねぇな」

ターゲットは我慢できずに噴き出した。


「とにかくお前は死なせねぇ!借りもあるしな!」

「借り?俺は何もしてねぇぞ?」


「プリン二つ」

⏰:11/07/14 12:44 📱:F06B 🆔:mPWudR..


#186 [匿名]
「プリン?」

「さっき買ってくれただろ?」

「は?」

ターゲットの持つビニール袋を指差してやると、ターゲットは中を覗いた。

カップラーメンの山の一番上に、仲良く並んだプリンが二つ、ターゲットを見上げている。

「いつの間に!」

やっぱりターゲットは気付いていなかった。となると、俺がさっき言った事は強ち的外れでもなかったのかもしれない。

⏰:11/07/14 12:48 📱:F06B 🆔:mPWudR..


#187 [匿名]
「おい!お前だな!」

ターゲットが俺とプリンを睨み、俺が笑っていると、後ろから図太い声が聞こえた。

二人同時に振り返り、つけてきていた連中を見ると、黒いスーツを着た見事に柄の悪い男達だった。

一番前にいるのは30代前半くらいのスーツ男。その後ろに20代であろうスーツ男達が10人ほど立っている。

どう見ても健全なサラリーマンには見えない。


「お前だよな?俺の女に手出した奴はよ!」

ターゲットはそう言ったスーツ男を、目を細めながら見た。

⏰:11/07/16 00:10 📱:F06B 🆔:k3oDghFM


#188 [匿名]
「何の事だか全然わからねーな。人違いじゃねーのか?」

嘘をついている様には見えない。

「とぼけんじゃねーぞ!」

後ろにいる男が言った。

「防犯カメラにもお前がしっかり写ってんだ!」

一人の男が俺達に近づき、ポケットから紙を取り出した。

なんだか警察みたいだな。


見てみると、今言っていた防犯カメラの映像のコピーだった。

その防犯カメラがある店の中に入ろうとしている男女がいて、よーく見ると男の方がターゲットそっくりだった。

⏰:11/07/16 00:13 📱:F06B 🆔:k3oDghFM


#189 [匿名]
「お前にそっくりだなー」

俺が紙の中の男を指差す。

「ああ。これは俺だな」

ターゲットは頷いた。

「あ!思い出した!あの時の子だ!いやー!まさかあんたみたいなおっかない彼氏がいたとはなー。分かってたら誘ってなかったよ」


ターゲットはこんな状況なのに、ヘラヘラと笑った。

「この女を誘ってどこに行ったんだ?」

素朴な疑問を口にしただけなのに、スーツの男達から殺気を感じた。


「どこって、女を誘う理由なんて一つしかねぇだろ?ホテルだよ、ホテル」

⏰:11/07/16 19:37 📱:F06B 🆔:k3oDghFM


#190 [匿名]
ターゲットが答えると、スーツ男達の殺気は強くなった。怖い怖い。


「お前最低だな」

「しょーがなかったんだって。一仕事終えた後だったんだけど、ちょっとしたミスがあって、そこに泊まらなきゃいけなくなったんだよ」

「一人で泊まれば良かったんじゃねーのか?」

「男一人で泊まるなんて怪しすぎるだろ!ただでさえ治安の悪い場所だったんだ」

「でもやる事やったんだろ」

「やらねーよ」


「嘘つけ!」

俺達の会話にスーツ男が入ってきた。かなり興奮している。

⏰:11/07/16 19:39 📱:F06B 🆔:k3oDghFM


#191 [匿名]
「俺の女は、気が付いたら寝ちゃってたみたいで、起きたら裸だったの。って泣きながら言ってきたんだぞ!!」

スーツ男は今にも殴りかかってきそうな勢いだ。


「は?お前の女が勝手に服脱いだんだぞ?裸で俺にまとわりついてきて、うぜぇから眠らせたんだ。何で俺が無理矢理〜みたいになってんだよ!」


「本当かー?」

腕を組み、探るようにターゲットを見た。

「当たり前だろ!誰があんなブスと!…あ、やべ」

口が滑った。とターゲットが下を出す。

⏰:11/07/16 19:41 📱:F06B 🆔:k3oDghFM


#192 [匿名]
失言を誤魔化す様に、ターゲットは手を振りながらヘラヘラと笑っている。

そんなターゲットを見て、スーツ男は真っ赤な顔をして怒った。目は血走っている。

「殺せ!」


スーツ男が命令をすると、前から、そして後ろから、男達が足早に近寄ってきた。

「こんな所で俺達を殺したら、すぐに捕まるぞ?ここは住宅街だ」

ターゲットの言う通りだ。物音がすれば、住人が窓から外の様子を窺うだろう。

物騒な雰囲気を察したら、被害が及ばないように警察を呼ぶに違いない。

⏰:11/07/19 19:46 📱:F06B 🆔:hKY5.7Lg


#193 [匿名]
「連れてけ!」

スーツ男は叫んだ。

そんなに大声で叫ぶなんて自ら警察を呼んでくれ!と言ってる様なものだ。

この集団はきっと、馬鹿の集まりだ。


同情すら感じた俺は、素直にこのスーツ男達の言う事を聞いて車に乗り込んだ。

ターゲットも呆れた顔で、周りのスーツ男達を眺めている。


「拷問かなー?俺痛いの嫌いなんだよな」

ターゲットはずっとこの調子だ。

⏰:11/07/19 19:48 📱:F06B 🆔:hKY5.7Lg


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