悪魔と天使の暇潰し
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#194 [匿名]
しばらくして車が止まった。外を見ると古いビルが建っている。
ガラスは所々割れて、看板のような物がいくつか落ちていた。
もう何年も使われず、取り壊す事もされなかったビルだ。
周りは工場がいくつかあるくらいで、人の気配は感じなかった。
スーツ男達と雰囲気がぴったりで、何故か笑えた。きっとあからさますぎて現実ではなく、ドラマでも見ているような気分になったからだろう。
これで綺麗な部屋に連れて来られても、それもそれだが。
:11/07/19 19:51 :F06B :hKY5.7Lg
#195 [匿名]
俺達は前後左右囲まれながら無理矢理ビルの中に入れられた。
中はそこらじゅうが土や砂で汚れている。
机や棚などは何もなく、ただ広いだけの空間だった。
「ここで俺達は殺されるのか。周りには何もないし、ちょっと叫んでも誰も助けには来てくれなさそうだな」
殺される気なんて無いくせに、ターゲットはわざとらしくそう言った。
「ああ、そうだ。若いのに残念だったなー」
ターゲットの演技にも気が付かず、スーツ男は意気揚々と笑っている。
:11/07/20 14:54 :F06B :Vta.hKMw
#196 [匿名]
スーツ男を筆頭に、こいつらは正真正銘の馬鹿だ。ただ強面なだけで、頭の悪い連中だ。
こんな奴に殺されるなんて屈辱を味わったら、死んでも死にきれない。
「さあ、殺せ!好きなだけ痛め付けていいぞ!」
スーツ男は両手を広げ、高らかに笑った。
それが合図だったかのように、スーツ男達がナイフやバットを持ち、俺達にゆっくり歩み寄って来る。
拳銃を持っている様子がないのが、唯一の救いかもしれない。
:11/07/20 14:58 :F06B :Vta.hKMw
#197 [匿名]
「どうする?」
俺があいつに聞いた。
「どうするもなにも、今から作戦会議する時間なんてねーぞ。こういう時は殺られる前に、殺るだけだ!」
そうターゲットが言うと同時に、どこから出したのか、ナイフを構え出した。
「お前いつの間に!?」
身体検査をする事もなく、手足を縛る事もなく、俺達が自由に動ける状態にしたままだったのだから、ターゲットの反抗は安易に想像出来たはずだ。
それなのに、スーツ男達の反応は想定外の事が起きた!という反応だった。
:11/07/20 15:00 :F06B :Vta.hKMw
#198 [匿名]
「おい、俺にも何か武器くれよ!」
いくらなんでも死ぬまで人間を殴ったりはしたくない。そんな悪趣味は俺にはない。
「しょーがねーな。」
ほらっとターゲットがナイフを放り投げた。仕事がないのに二本も隠し持っているとは、殺し屋は大変だ。
「やるぞ!」
スーツ男達が武器を見て立ち止まり戸惑っている今、こっちから仕掛けた方が有利になる。
とりあえず刺されないようにしよう。俺は刺されても死なないんだから、こんな所でターゲットに、その点を怪しまれたくはない。
:11/07/20 15:08 :F06B :Vta.hKMw
#199 [匿名]
俺がそんな心配をしていると、ターゲットは地面を蹴り、スーツ男達目掛けて走った。
まずは一人目。
一番ターゲットの近くに居た男。いきなり自分に向かって勢いよく走り寄ってきたターゲットの速さに、ついていけていない。
あっという間に首を切られ倒れた。
血が噴き出し、周りのスーツ男達に飛び散る。
その後ろに立っていた男が二人目。前の男が呆気なく倒れ、ターゲットと目が合う。
咄嗟に鉄パイプを大きく振り上げターゲットの頭を狙った。
それがいけなかった。ターゲットはまた地面を蹴り、一歩でその男の懐に入り、左胸を刺した。
そして引く抜く。男は後ろに倒れた。
:11/07/21 15:51 :F06B :7xgv.6LI
#200 [匿名]
ターゲットが、ただのナンパ野郎だと思っていたスーツ男達は怯んだ。
そりゃそうだ。
ターゲットは普通の若者にしか見えない。ちょっと顔がいいからって女を弄ぶ男そのものだ。
それが蓋を開けてみたら、この有り様だ。
一般人を殺すと脅し、痛め付けるだけ痛め付けて、もう俺の女に近づくな!とでも言いたかったのだろう。
やっぱり同情してしまう。可哀想なスーツ男達。
:11/07/21 15:52 :F06B :7xgv.6LI
#201 [匿名]
ターゲットの様子を見ていた俺を、スーツ男達が十人程囲んでいた。
「よそ見してていいのか?」
「こうなったら殺すしかない!」
などと口々に話している。やっぱり殺すつもりは元々なかったみたいだ。
ナイフを持っている者がたったの三人で、他は鉄パイプやバットを持っている。
先にその危ない三人を殺そう。ちょうどナイフを持った三人は俺の目の前に並んでいた。これは一気に殺すのに最適だ。
今ターゲットが一人目を殺したやり方をマネしてみた。
:11/07/22 22:33 :F06B :f4Qhwrxk
#202 [匿名]
地面を蹴り、真ん中の男に突っ込む。ターゲットよりもスピードは早い自信があった。
その結果、男は抵抗する事も出来ない内に、俺に首を切られ倒れた。
血が少し顔にかかった。
最悪。
「この野郎!」
右の男が俺の腹を刺そうとナイフを下の方に構えた。左の男も同じ様にナイフを下の方で構え、俺にぶつかろうとしている。
そんな二人の間にいる俺は、右の男を殺そうと向きを変えていたので、前後を挟まれている形となった。
:11/07/22 22:38 :F06B :f4Qhwrxk
#203 [匿名]
このままだと腹と背中を同時に刺されてしまう。
だが、タイミングを逃さなければ、楽に二人は死んでくれる。
前後にあるナイフが皮膚に当たるか当たらないかの際どい瞬間を、俺は狙っていた。
着ている洋服にナイフが触れた瞬間、俺は体を横にずらした。ギリギリだったため、転んだように手を地面についたが、その瞬間苦しそうな声が二つ聞こえた。
俺を刺そうとした男二人は、俺がいきなりいなくなるもんだから、勢いを抑えきれずお互いを刺してしまった。
:11/07/22 22:47 :F06B :f4Qhwrxk
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